鶏のささみやむね肉は、犬のごはんのトッピングや手作りごはんの定番食材です。結論からいうと、骨と皮を外し、味付けをせず、中心まで火を通したものなら、犬に食べさせても問題ない食材(◯)です。一方で、生のまま与えるのはおすすめできません。鶏肉は細菌の汚染が起こりやすい食材で、犬にも人にもリスクがあるためです。ささみとむね肉の違いは「皮と脂の量」で、体重や体質が気になる犬には、皮を外した部位から試すのが安心です。
- 犬は、骨と皮を外し味付けなしで中心まで加熱した鶏ささみ・むね肉なら食べて問題ない(◯)です。
- 生の鶏肉は細菌のリスクがあり、犬にも人にも影響するため与えません。
- 加熱の目安は中心75℃で1分以上で、量は1日の必要カロリーの20%以内です。
- ささみは脂質が少なく、体重が気になる愛犬には皮を外した部位から試します。
- 鶏肉アレルギーの疑いや持病、子犬・シニア犬は獣医師に相談してから与えます。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- 骨と皮を外し味付けなしで中心まで加熱すれば与えられます
- 生の鶏肉は細菌のリスクがあり、与えるのは避けます
- おやつ・トッピングは1日の必要カロリーの20%以内が目安


この記事では、なぜ加熱が必要なのか、どのくらい火を通せばよいのか、皮や味付けはどうするか、アレルギーのある犬はどうするかを整理します。運営者は獣医師ではありません。
公的機関や獣医系団体などの情報をもとにした一般的な内容なので、持病がある犬や食事制限中の犬は、かかりつけの獣医師に確認してください。
犬に鶏ささみ・むね肉をあげる結論早見
要点|加熱したものは◯、生は×。骨・皮・脂を外し味付けなしで、ごく少量から始める早見表です。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 可否 | 加熱したものは◯、生は× |
| 下ごしらえ | 骨・皮・見えている脂を外し、味付けなしで中心まで加熱する |
| 量の考え方 | おやつ・トッピングとして1日に必要なカロリーの一部にとどめる。主食は総合栄養食が基本 |
| 初めての場合 | ごく少量から始めて、便や皮膚の様子を見る |
| 避けたい例 | から揚げ、焼き鳥のタレ、塩・だし入りの煮物、骨付き肉 |
AKC(アメリカン・ケネル・クラブ)は、味付けをしていない焼いた・ゆでた・蒸した鶏肉は、食事の一部やトッピング、おやつとして使えると紹介しています。
ささみやむね肉は皮や脂が少なく、淡泊で、火を通すとほぐしやすい部位なので、もも肉や皮付きの肉より脂質を抑えやすいのが特徴です。ただし、必ず食べさせるべき食材ではなく、鶏肉だけでは栄養バランスも偏ります。
毎日のごはんの中心は、必要な栄養がそろうように作られた総合栄養食です。
🍖 ささみとむね肉の違い|どちらを選ぶ?量はカロリーで考える
要点|違いは脂質の量で、体重が気になる犬はささみから。量はグラムでなくカロリーの枠で考えます。
ささみとむね肉は、どちらも犬に使いやすい部位ですが、脂質の量が違います。人の食品データ(文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の値を紹介したBITEKIの記事)で、可食部100gあたりを比べると次のとおりです。
| 部位(100gあたり) | エネルギー | 脂質 | たんぱく質 |
|---|---|---|---|
| ささみ | 98kcal | 0.8g | 23.9g |
| むね肉(皮つき) | 133kcal | 5.9g | 21.3g |
| もも肉(皮つき) | 190kcal | 14.2g | 16.6g |
これは人の食品の数値で、犬に必要な量の基準ではありません。ただ、ささみは脂質が少なく、皮つきのもも肉は脂質が多いという傾向はつかめます。むね肉は皮を外せば脂質を抑えやすくなります。
Pets Careの解説では、皮つきの鶏肉は脂質が多く、肥満や膵炎のきっかけになりうるとされているため、皮は外しておくのが無難です。
体重が気になる犬や、脂っこいものでお腹をこわしやすい犬は、ささみから始めると調整しやすいでしょう。
量はグラムではなく「カロリーの枠」で考える
犬の適量は、体重・年齢・運動量・ふだんのフードで変わるため、「何グラム」と決めることはできません。考え方の順番は次のとおりです。
- フードの1日の給与カロリーを確認する(パッケージの表示や、犬のフードの量はどれくらい?パッケージ表示の見方と調整のコツを参照)
- 環境省のガイドラインが示す「間食は1日に必要なカロリーの20%以内」が、おやつ全体の上限の枠になる
- ささみやむね肉のトッピングは、その枠の一部として数える(ほかのおやつと合わせて上限を超えないようにする)
- トッピングした分だけ、ごはんを減らして調整する
たとえば1日300kcalの犬なら、20%は60kcalです。ささみは100gで約98kcalなので、おやつ全体で少量にとどまることがわかります(計算の仕方の例で、与える量の推奨ではありません)。
持病がある犬や子犬、シニア犬の量は、かかりつけの獣医師に確認してください。年齢ごとのフードの考え方は子犬・成犬・シニアのフードの違いも参考になります。
💡 鶏肉を生で与えてはいけない理由
要点|生や加熱不足の鶏肉は食中毒のリスクが高く、犬にも人にも影響するため、生で与える理由は見当たりません。
鶏肉は、生や加熱が不十分な状態だと食中毒のリスクが高い食材です。自治体の食品衛生の情報では、鶏肉には生食用の衛生基準がないため、生や加熱不足で食べると食中毒になる可能性があると説明されています。
農林水産省の資料によると、カンピロバクターによる食中毒は細菌性食中毒の中で患者数・発生件数が最も多く、主な原因は生または加熱不十分の鶏肉です。
同じ資料では、出荷前の鶏や食鳥処理場に運ばれた鶏の群れの陽性率が3〜5割で推移しているとも報告されています。
犬も例外ではありません。
環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、肉や魚を生のまま与えると内部寄生虫が発生したり細菌性の中毒を起こしたりする可能性があるため、加熱調理したものを与えるほうが安全性が高まるとしています。
米国FDAも、生の動物性ペットフードからサルモネラやリステリアが検出されたことをふまえ、生食を避けるよう注意喚起しています。
神経の病気との関連を示した研究もある
2018年にメルボルン大学の研究チームが発表した症例対照研究(Journal of Veterinary Internal Medicine)では、急性多発性神経根神経炎(人のギラン・バレー症候群に似た、手足の麻痺が進む病気)が疑われた犬27頭のうち96%が生の鶏肉を食べていました。
健康な犬47頭では26%でした。研究チームは、生の鶏肉を食べることが危険因子であり、カンピロバクター感染が関わっている可能性があるとしています。
対象は多くなく、すべての犬が病気になる話ではありませんが、あえて生で与える理由は見当たりません。
家族への感染にも注意
生の鶏肉を食べた犬は、元気に見えても菌を持っていることがあり、だ液や便を通じて家庭内に広がる可能性があります。小さな子ども、高齢の方、妊娠中の方、体調を崩している方がいる家庭では、とくに慎重に判断してください。
🍖 加熱のしかたと与え方のコツ
要点|塩や調味料なしで中心まで加熱し、目安は中心75℃で1分以上。皮・骨付き・から揚げ類は避けます。


加熱の目安は、人向けの食品衛生の情報で示されている「中心部が75℃で1分以上」が参考になります。表面の色が変わっても中が生のことがあるので、厚みのあるむね肉は切って断面が白くなっているか確認しましょう。
- 下ごしらえ:皮、骨、見えている脂を取り除きます。ささみ中央の白い筋は加熱すると硬くなるため、除くか細かく切ると食べやすくなります。
- 加熱:塩や調味料を入れず、ゆでる・蒸す・油を使わずに焼くなどで中心まで火を通します。
- 冷まして切る:人肌程度まで冷まし、愛犬の口の大きさに合わせてほぐすか小さく切ります。
- 保存:残りは小分けにして冷蔵・冷凍し、食べ残しは長く置かずに片づけます。
量はグラム数では決められません。環境省のガイドラインは、おやつなどの間食を欲しがるまま与えると栄養の偏りや肥満につながるとして、1日に必要なカロリーの20%以内に抑えることが大切としています。
トッピングした日は、その分ごはんを減らす考え方が基本です。初めての日は他の新しい食材と重ねないようにしましょう。生の鶏肉に触れたまな板・包丁は、洗ってから他の食材に使い、犬に触れる前に手も洗っておくと安心です。
皮・味付け・加工品はどうする?
- 鶏皮:脂が多いため、体重が気になる犬や、脂っこいものでお腹をこわしやすい犬には向きません。外しておくのが無難です。
- 焼き鳥・から揚げ・フライドチキン:タレ、塩、衣、揚げ油は犬には不要で、玉ねぎやにんにくが使われていることもあります。人の料理の取り分けは避けましょう。
- 骨付き肉:鶏の骨は危険です。理由は犬に鶏の骨を与えてはいけない理由で解説しています。
- ささみジャーキー・缶詰:犬用の商品は環境省のガイドラインでいう「間食」などにあたります。給与量やカロリーの確認、原材料の見方はドッグフードの原材料表示の読み方が参考になります。
調理中の二次汚染を防ぐ|洗わない・器具・手洗い・保存
要点|鶏肉は洗わず、器具の消毒や手洗い、小分け保存で、調理中に菌を広げないようにします。
生の鶏肉で心配なのは、犬が食べることだけではありません。調理の途中で菌が広がると、人も食中毒になるおそれがあります。農林水産省の「カンピロバクター」のページや食品安全委員会のリーフレットで示されている家庭向けのポイントを、犬のごはん作りに当てはめて整理します。
- 鶏肉は洗わない:水はねで菌が飛び散り、キッチンや周りの食材を汚すおそれがあります。水分が気になるときは、キッチンペーパーでふき取ります
- 調理器具を分ける、または肉は最後に切る:生肉が生野菜や果物に触れないようにします
- 器具は洗剤で洗うだけでなく、熱湯や塩素系漂白剤で消毒し、よく乾かす
- 手洗い:生肉に触れたあと、そしてペットに触れる前にも必ず手を洗います
- 保存は袋に入れる:汁もれを防ぎ、ほかの食材から離して冷蔵庫に入れます
加熱後は、粗熱をとって小分けにし、早めに冷蔵・冷凍します。Pets Careの解説では、調理した鶏肉の冷蔵は3〜4日、それ以上は冷凍が目安として紹介されています。ただし、季節や冷蔵庫の状態で傷み方は変わります。
犬は人より体が小さいので、当サイトでは「迷ったら早めに使い切る」「少しでもにおいや見た目に違和感があれば捨てる」ことをおすすめします。冷凍したものは、食べさせる分だけ解凍し、解凍後の再冷凍は避けましょう。
鶏肉を控えたほうがよい犬・相談したいケース
要点|アレルギーの可能性がある犬は与えないのが基本で、子犬や持病のある犬は獣医師に相談します。
鶏肉アレルギーの可能性がある犬は、与えないのが基本です。AKCも、鶏肉は犬のアレルゲンになりやすい食材のひとつとしています。
Mueller博士らが2016年にBMC Veterinary Researchで発表した、犬の食物アレルギー報告297頭をまとめた総説では、原因として報告された食材は牛肉34%、乳製品17%、鶏肉15%、小麦13%の順でした。
食後にかゆがる、耳や皮膚が赤くなる、軟便や嘔吐が続くといった様子があれば、与えるのをやめて動物病院に相談してください。調べ方は犬の食物アレルギー検査方法にまとめています。
次のような犬も、鶏肉を新しく加える前に獣医師へ相談すると安心です。
- 子犬(消化が未熟で、栄養バランスも崩れやすい時期です)
- 腎臓・心臓・肝臓などの持病があり、たんぱく質や塩分の管理をしているシニア犬
- 肥満気味の犬、脂っこいものでお腹をこわしたことがある犬
- 療法食を食べている犬(トッピングで食事療法の意味が薄れることがあります)
🍖 初めて食べさせる日の進め方と、食べたあとの観察ポイント
要点|ごく少量から始め、他の新しい食材は重ねず、当日〜数日は皮膚やうんちの変化を観察します。
鶏肉は、AKCも犬のアレルゲンになりやすい食材の上位に挙げています。初めて与えるときは、次の流れで少しずつ進めると、変化に気づきやすくなります。
- 1日目:加熱して冷ましたものを、ごく少量だけトッピングする。ほかの新しい食材は同時に加えない
- 当日〜翌日:体をかく、皮膚や耳が赤い、吐く、うんちが緩いなどの変化がないか見る
- 2〜3日:うんちの硬さや回数がふだんどおりか確認する
- 問題がなければ:少しずつ増やす。ただし、間食の枠(1日の必要カロリーの20%以内)は守る
Pets Careなど海外の獣医情報サイトでは、鶏肉アレルギーの様子として、かゆみ、皮膚の赤み、嘔吐、下痢、耳の炎症、脱毛、発疹などが挙げられています。これらの様子が続くときは、与えるのをやめて動物病院に相談してください。
アレルギーではなくても、量が多い、皮や脂が多い、初めて食べたなどが重なると、うんちが緩くなることがあります(当サイトの整理)。
1回で戻るなら一時的なことも多いですが、下痢が続く、血が混じる、嘔吐を伴う、ぐったりしているといった様子があれば、動物病院へ連絡してください。
鶏肉以外のたんぱく源を検討するときは、犬は牛肉を食べても大丈夫?赤身は◯・生肉と脂身の注意点や、生肉の注意をまとめた犬に生の豚肉は危険?トキソプラズマ感染リスクと正しい加熱方法も参考になります。
🍖 生の鶏肉を食べてしまったとき
要点|量と時間を確認して数日は様子を見て、嘔吐や下痢、元気がなければ動物病院へ連絡します。


生の鶏肉を落として食べてしまった場合は、量と時間を確認し、数日は様子を見ます。
少量でふだんどおりなら慌てすぎる必要はありませんが、嘔吐、下痢(粘液や血が混じる)、食欲の低下、ぐったりして元気がない、足元がふらつくといった様子があれば、食べた内容と時間を伝えて動物病院に連絡してください。
家庭で吐かせたり薬を与えたりせず、獣医師の指示を受けましょう。
よくある質問


- ささみのゆで汁は飲ませてもいいですか?
-
塩や調味料を入れずにゆでた汁なら、ごはんの風味づけに使えます。ただし浮いた脂が多いので、脂を控えたい犬には量を絞るか、冷やして固まった脂を取り除いてください。傷みやすいので、その日のうちに使い切りましょう。
- 毎日あげても大丈夫ですか?
-
少量のトッピングなら問題になるとは限りませんが、足した分だけカロリーが増え、栄養バランスも崩れます。食べさせた分ごはんを減らし、体重の推移を見ながら調整してください。
- 鶏肉の加工品は大丈夫?ほかの食べ物は?
-
人用のハムやソーセージ、味付け肉は塩分や添加物が心配です。ほかの食べ物の可否は犬が食べていいもの・ダメなもの早見表で確認できます。
- ささみとむね肉は、どちらをあげるのがいい?
-
脂質が少ないのはささみです。むね肉も皮を外せば脂質を抑えやすく、どちらも使えます。体重が気になる犬や、脂でお腹をこわしやすい犬は、ささみから試すと調整しやすいでしょう。持病があるときは獣医師に相談してください。
- 茹でたささみは冷凍できますか?どのくらい持ちますか?
-
小分けにして冷凍すると使いやすくなります。Pets Careの解説では、調理した鶏肉の冷蔵は3〜4日が目安とされていますが、季節や保存状態で変わるため、犬には早めに使い切るのが安心です。解凍は食べさせる分だけにして、解凍したものを再冷凍するのは避けましょう。
- 人の料理を作るとき、味付け前に取り分けてもいいですか?
-
味付けや油を入れる前に取り分けて、中心まで加熱すれば、犬用のトッピングに使えます。玉ねぎやにんにく、塩、だしが入る前の段階で取り分け、生の肉に触れた手や器具は洗ってから使ってください。
- 腎臓病と言われた犬にも、ささみやゆで汁をあげていいですか?
-
自己判断では与えず、獣医師に確認してください。ささみはリンが多めの食材で(ゆでて100gあたり240mg)、腎臓病では食事の管理が治療の一部になるためです。
- ささみだけを毎日のごはんにしても足りますか?
-
足りません。ささみは主食の代わりになりません。手作りレシピの95%が必須栄養素を欠いていたという研究もあります。主食は総合栄養食にしてください。
- ゆでたささみは、生のときと栄養の数字が違いますか?
-
違います。100gあたり、生は98kcal・たんぱく質23.9g、ゆでは121kcal・29.6gです。水分が減るためで、量はカロリーの枠で数えると安心です。
鶏ささみ・むね肉はリンが多い?腎臓の数値を指摘された犬に与える前に知っておくこと
ささみやむね肉は、リンとカリウムを多めに含む食材です。腎臓の病気で食事を管理している犬には、獣医師に確認してから与えます。
文部科学省の食品成分データベースでは、ゆでたささみは100gあたりリン240mg、カリウム360mgです。部位ごとの数字は次の表のとおりです。
| 食品(可食部100gあたり) | エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | リン(mg) | カリウム(mg) | カルシウム(mg) |
|---|---|---|---|---|---|
| ささみ 生 | 98 | 23.9 | 240 | 410 | 4 |
| ささみ ゆで | 121 | 29.6 | 240 | 360 | 5 |
| むね肉 皮なし 生 | 105 | 23.3 | 220 | 370 | 4 |
| むね肉 皮つき 生 | 133 | 21.3 | 200 | 340 | 4 |
| もも肉 皮つき 生 | 190 | 16.6 | 170 | 290 | 5 |
これは人の食品の成分値で、犬に必要な量の基準ではありません。部位ごとの傾向をつかむための目安です。もも肉はリンが少なめですが、脂質が多いため、腎臓の病気がある犬に向くという意味ではありません。
生とゆでで数字が違う点にも注意が必要です。ささみの水分は生が75.0g、ゆでると69.2gに減ります。そのため同じ100gでも、ゆでたほうがエネルギーとたんぱく質の数字は大きくなります。量はグラム数ではなく、カロリーの枠で数えるとぶれません。
米国の動物病院グループVCAの解説では、リンを控えることが犬の慢性腎臓病の進行を遅らせるとみられています。食べ物のリンはたんぱく質と結びついているため、リンを減らすとたんぱく質も減ることが多いと説明されています。腎臓の病気の食事は、検査の数値を見ながら獣医師が決めるものです。
- 腎臓の数値を指摘された犬は、ささみのトッピングを増やす前に動物病院で相談します。
- 水をたくさん飲む、おしっこの量が増えたなどの変化があるときも、動物病院に相談します。
- 療法食を食べている犬は、トッピングで食事療法の意味が薄れることがあるため、与える前に獣医師へ確認します。
ささみだけで手作りごはんにしてもいい?栄養が足りなくなる理由
ささみは主食の代わりになりません。トッピングの範囲にとどめ、手作りごはんにしたいときは獣医師や獣医栄養の専門家に相談します。
ゆでたささみは、100gあたりカルシウム5mgに対してリンが240mgと、カルシウムに比べてリンがとても多い食材です。肉を中心にした食事では、補いきれない栄養が出てきます。
カリフォルニア大学デービス校の研究チームは、2013年に米国獣医学会誌(JAVMA)で、手作りの犬ごはんのレシピを調べた結果を発表しています。本やインターネットなど34の情報源から集めた200件のうち、95%が必須栄養素を1つ以上欠いていました。複数の栄養素が不足していたレシピも83%を超え、92%は作り方があいまいか不完全でした。
獣医師が書いたレシピは、不足が少なく軽度でした。それでも多くが、1つ以上の栄養素を欠いていました。研究者は、本やインターネットの一般的なレシピを避け、獣医栄養学の専門医に相談するよう勧めています。
成長期の犬は、食事の偏りの影響を受けやすい時期です。2024年には、骨を除いた生の肉だけを与えられていた大型犬の子犬4頭で、骨の密度が下がり、強い痛みで歩きにくくなった症例が報告されています。生肉の事例で、少数の報告ですが、肉だけの食事を続けるリスクを示しています。
- 毎日のごはんの中心は、必要な栄養がそろうように作られた総合栄養食にします。
- ささみはトッピングとして、間食の枠(1日に必要なカロリーの20%以内)に収めます。
- 手作りごはんに切り替えるときは、自己流のレシピで始めず、獣医師や獣医栄養の専門家に相談します。
- 元気や食欲がない、体重が急に変わる、歩き方に違和感があるといった様子が続くときは、動物病院に相談します。
この追記の出典
- 文部科学省 食品成分データベース|にわとり[若どり・副品目]ささみ ゆで(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
- 文部科学省 食品成分データベース|にわとり[若どり・副品目]ささみ 生
- 文部科学省 食品成分データベース|にわとり[若どり・主品目]むね 皮なし 生
- 文部科学省 食品成分データベース|にわとり[若どり・主品目]むね 皮つき 生
- 文部科学省 食品成分データベース|にわとり[若どり・主品目]もも 皮つき 生
- VCA Animal Hospitals|Nutrition for Dogs with Chronic Kidney Disease
- UC Davis(カリフォルニア大学デービス校)|Homemade dog food recipes can be risky business, study finds(Stockman ら, JAVMA 2013)
- Nowak ら|A Case Series of Four Dogs Presenting with Neurological Deficits Due to Suspected Nutritional Secondary Hyperparathyroidism after Being Fed an Exclusive Diet of Raw Meat(Animals 2024)
まとめ
- 鶏ささみ・むね肉は、骨・皮を外して味付けなしで中心まで加熱すれば◯。生は避ける
- 加熱の目安は、人向けの食品衛生で示される「中心75℃で1分以上」が参考になる
- 生の鶏肉は細菌のリスクがあり、研究では神経の病気との関連も報告されている
- おやつ・トッピングは1日に必要なカロリーの20%以内(環境省)が目安。主食は総合栄養食
- 鶏肉アレルギーの疑い、子犬・シニア犬、持病や食事制限がある犬は獣医師に相談してから
- 生で食べて下痢や嘔吐、元気がないなどの様子があれば動物病院へ連絡する
生の肉を使った食事について知りたい方は、犬の生食(BARF)とは?もご覧ください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。
📚 参考にした情報
- 環境省|飼い主のためのペットフード・ガイドライン(犬・猫の健康を守るために)
おやつ(間食)は1日に必要なカロリーの20%以内に抑える目安が示され、肉や魚は生のままだと寄生虫や細菌性中毒の可能性があるため加熱したほうが安全とされている。 - 米国FDA(食品医薬品局)|Get the Facts! Raw Pet Food Diets Can Be Dangerous to You and Your Pet
生の動物性ペットフードからサルモネラやリステリアが検出され、ペットだけでなく取り扱う飼い主にも感染リスクがあるため、取り扱い後の手洗い等が必要。 - 農林水産省|カンピロバクター
カンピロバクターは国内の細菌性食中毒で長年最多で、生や加熱不十分な鶏肉が原因の事例が毎年多い。 - MSDマニュアル(Merck Veterinary Manual)|Overview of Food Allergy / 食物アレルゲン
犬の食物アレルゲンとして鶏肉・牛肉・乳製品・小麦などが多く、皮膚のかゆみ・耳の炎症・消化器症状が出得るため、疑うときは獣医師の指示で除去食を行う。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。
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