ほうれん草や小松菜は、おひたしや味噌汁で毎日のように使う野菜です。愛犬にも少し分けたいけれど、「ほうれん草は結石になる」と聞いたことがあって不安、という方も多いのではないでしょうか。結論は、ほうれん草は「茹でて、ごく少量なら」与えられる(△寄りの◯)。過去に結石ができたことのある犬や、腎臓・尿路が心配な犬は避けるのが安心です。小松菜も、加熱して刻んだ少量から、が基本です。
この記事は、獣医師監修の日本語記事(オールアバウト、ワンクォール)、動物看護の専門家が監修した記事、米国の犬の団体・獣医師監修サイトの情報を読み比べて、犬好きの運営者がまとめたものです。獣医師による診断やアドバイスの代わりにはなりません。尿路の病気や腎臓病のある犬は、与える前に必ずかかりつけの動物病院に相談してください。
ほうれん草・小松菜は犬に食べさせていい?結論早見
| 項目 | ほうれん草 | 小松菜 |
|---|---|---|
| 可否 | △(茹でて少量なら。結石・腎臓が心配な犬は避ける) | ◯(加熱して少量なら) |
| 生 | 避ける | 加熱して与える |
| 調理 | 茹でる(または蒸す)。塩・油なし。細かく刻む | 加熱して細かく刻む |
| 気になる成分 | シュウ酸が多い | ほうれん草よりは少ないが、含まれる。茹でると減る |
どちらも、犬が必ず食べなければいけない野菜ではありません。AKC(アメリカンケネルクラブ)の記事も、犬に果物や野菜は必須ではなく、ほうれん草はあくまで限られた量なら利点もある、という立場です。主食の総合栄養食を基本に、トッピングにほんの少し、という扱いが安全です。
なぜほうれん草は気をつけるの?シュウ酸の話
ほうれん草で話題になるのが、シュウ酸という成分です。オールアバウトに掲載されている獣医師(丸田香緒里さん)監修の記事では、ほうれん草にはシュウ酸が多く含まれ、尿路疾患のひとつであるシュウ酸カルシウム結石を悪化させる原因になりうると説明されています。そのため、必ず茹でてから与えるよう勧められています。茹でるとシュウ酸の一部がお湯に流れ出るためです。
AKCの記事は、さらに踏み込んで、シュウ酸がカルシウムの吸収を妨げ、大量に摂り続けると腎臓に負担をかける可能性に触れています。同時に、「腎臓の健康な犬が少量を食べる分には処理できる。害が出るには非常に大量に食べる必要がある」とも書いています。つまり、「少量をたまに」なら過度に怖がる必要はないが、結石や腎臓の心配がある犬は避けるというのが、複数の出典に共通した考え方です。
なお、PetMD(獣医師が監修する米国のサイト)のレタスの記事でも、ほうれん草やケールはシュウ酸を含むため、腎臓に問題のある犬は避けるよう触れられていました。
ほうれん草・小松菜の下ごしらえと与え方
茹でるのか、蒸すのか
ここは出典で少し意見が違います。オールアバウトの記事は、シュウ酸を減らすために茹でることを勧め、塩や油は入れず、水溶性のビタミンが流れ出ないよう茹で時間は2〜3分程度にとどめるとしています。一方、AKCは、蒸すのが望ましいとしつつ、茹でると栄養の多くが失われると説明し、生は消化しにくいとしています。
「シュウ酸を減らしたい」のか「栄養を残したい」のかで答えが変わるため、結石が気になる犬には茹でる、そもそもリスクがある犬には与えない、と考えておくのがわかりやすいでしょう。いずれの場合も、塩・油・調味料・だし・ネギ類は使わず、茹でたあとは水気を絞り、細かく刻みます。
小松菜について
ワンクォール(カインズ)に掲載された、獣医師・堂山有里さん監修の記事では、犬に小松菜を与えること自体は問題ないものの、生の小松菜は与えず、食べやすくカットして加熱することが前提とされています。犬は野菜の食物繊維の消化があまり得意ではないためです。また、小松菜にもシュウ酸が含まれ、尿路結石の原因になる可能性があるが、茹でると量を減らせること、ほうれん草は小松菜よりシュウ酸が多いので与えすぎに注意が必要なことも書かれています。Honda Dogの記事(動物看護の専門家・秋山蘭さん監修)でも、小松菜は鉄分、カルシウム、ビタミンC、βカロテンを含み、加熱して細かく刻んでから与えるよう紹介されています。つまり小松菜も「ほうれん草よりはシュウ酸が少ないが、含まれる。だから茹でて、少量。尿路結石のある犬は注意」という扱いになります。
冷凍ほうれん草・市販品
オールアバウトの記事によると、冷凍の茹でほうれん草は、原材料がほうれん草だけであれば与えられます。ただし、塩茹でされた商品はナトリウムが多いことがあるため、原材料表示を確認してください。おひたし、胡麻和え、バターソテー、キッシュなどの人用の料理は味付けが濃く、犬には向きません。
量の考え方
グラム数はこの記事では断定しません。体格、年齢、食事内容で変わるためです。ワンクォールのほうれん草の記事(獣医行動診療科認定医のフリッツ吉川綾さん監修)では、トッピングやおやつとして「1日に必要なカロリーの10%を超えない量」が目安とされ、茹でて水気を切り、1cmほどに刻んで与える方法が紹介されています。AKCも、おやつやトッピングを含めて「1日のカロリーの約10%まで」という目安を紹介しています。ほうれん草・小松菜はその中でも、ごく少量(一口分程度)にとどめるのが無難です。フード側の量の見方は犬のフードの量はどれくらい?パッケージ表示の見方と調整のコツも参考にしてください。初めて与えるときは、ほんの少量から数日様子を見ます。
ほうれん草・小松菜を避けたほうがいい犬・ケース
- 過去にシュウ酸カルシウム結石・結晶ができた犬:オールアバウトの記事でも、避けておいたほうが安心とされています。尿検査で結晶を指摘されたことがある場合も、まず主治医に聞いてください。
- 腎臓病・尿路の病気がある犬:自己判断で与えず、食事の指示に従います。
- 血を固まりにくくする薬を飲んでいる犬:オールアバウトの記事では、ほうれん草のビタミンKが薬の効果に影響するため与えないようにとされています。服薬中の犬は、必ず先に獣医師へ。
- シラカバの花粉にアレルギーがある犬:同記事では、交差反応が起こる可能性があるため少量から様子を見ると書かれています。
- 子犬・シニア犬:子犬は消化機能が未熟で、シニア犬は腎臓の働きが落ちていることがあります。慎重に。
同じ尿結石の話題は、犬はキャベツを食べても大丈夫?の記事でも触れています(キャベツは含まれないとされる)。野菜の可否をまとめて確認するなら犬が食べていいもの・ダメなもの早見表が便利です。
食べてしまったとき・たくさん食べたとき
ほうれん草や小松菜を一度食べたからといって、すぐに結石になるわけではありません。まずは水をしっかり飲める環境を整え、おしっこの様子や元気を観察します。次のような場合は、動物病院に連絡してください。
- おしっこが出にくい、頻繁にトイレに行くのに少ししか出ない、血が混じる、痛そうに鳴く
- 嘔吐や下痢が続く、ぐったりして元気がない
- 生のまま大量に食べた、またはおひたし・炒め物など味付けされたものを多く食べた
- 過去に結石の診断を受けている犬が食べてしまった(量が少なくても、次回の受診時に伝える)
よくある質問
Q. ほうれん草の茹で汁も与えていい?
茹で汁にはシュウ酸が溶け出しているため、与えないほうが無難です。茹でたら汁は捨て、水気を切ってください。
Q. 子犬にあげてもいい?
子犬は離乳後も消化が未熟です。ほうれん草は必須ではないので、無理に与える必要はありません。与えるとしても、主食が安定してから、茹でて刻んだものをごく少量にしてください。
Q. 青汁やほうれん草パウダー、野菜ジュースは?
人用の製品は原材料や添加物がさまざまで、量の管理も難しいため、基本的におすすめしません。使う場合は、原材料を確認し、事前に獣医師に相談してください。
まとめ
- ほうれん草は、茹でて塩・油なしで、ごく少量なら与えられる(△寄りの◯)
- シュウ酸が多いため、結石・結晶の既往や腎臓・尿路の病気がある犬は避ける
- 小松菜も生ではなく加熱して刻み、少量から。ほうれん草よりシュウ酸は少ないが含まれるので、結石が心配な犬は相談を
- 服薬中の犬は、野菜に含まれる成分が影響することがあるので事前に獣医師へ
- 主食は総合栄養食。ほうれん草・小松菜は、なくても困らないトッピング
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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