ラサ・アプソは、床につくほど長い被毛と、凛とした表情が印象的なチベット生まれの小型犬です。ライオンのたてがみのような豊かな毛並みから「神秘的」と形容されることも多く、見た目の気品とは裏腹に、陽気で遊び好きな一面もあるといわれます。



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一方で、警戒心が強くマイペースな性格、毎日の被毛のお手入れ、目や腎臓など気をつけたい病気など、迎える前に知っておきたい点もはっきりしています。「小型犬だから簡単」とは言い切れず、犬との暮らしに慣れた人の方が向いているといわれることもある犬種です。
この記事では、犬種標準(英国ケネルクラブ)や国内外の犬種情報などをもとに、ラサ・アプソの大きさ・寿命、歴史、性格、お手入れ、運動量、しつけ、かかりやすい病気、向いている人までを順番に整理しました。祖先が近いとされるシーズーとの関係にもふれています。


ラサ・アプソの基本データ|大きさ・体重・寿命の目安
| 英語表記 | Lhasa Apso |
|---|---|
| 原産国 | チベット |
| サイズ | 小型犬 |
| 体高 | オス約25〜28cm、メスはやや小さめ |
| 体重 | 約6〜7kg前後(海外の犬種情報の目安。個体差あり) |
| 被毛 | 長くまっすぐで硬めの上毛と、適度な下毛をもつダブルコート |
| 毛色 | ゴールデン、サンディ、ハニー、ダークグリズル、スレート、スモーク、パーティカラー、ブラック、ホワイト、ブラウンなど |
| 寿命の目安 | 13〜15年前後とされることが多い(個体差あり) |
英国ケネルクラブの犬種標準では、理想の体高はオスで25cm、メスはそれよりやや小さいとされています。日本語の資料では、オスの体高は25.4〜28cm程度と紹介されています。体重の規定は標準にありませんが、海外の犬種情報では13〜16ポンド(約6〜7kg)が目安とされています。見た目は被毛でふんわり大きく見えますが、中身はがっしりした小型犬です。
毛色は、ゴールデンやサンディ、ハニーなどの明るい色から、ダークグリズル、スレート、スモーク、ブラック、ホワイト、パーティカラー(白との組み合わせ)まで、さまざまな色がいずれも認められています。英国ケネルクラブの標準では、マールのみが認められない色とされています。


ラサ・アプソの歴史|チベットの寺院や家庭を守った「番犬」
ラサ・アプソは、チベットの首都ラサの周辺で、800年以上にわたって飼われてきたと紹介される古い犬種です。名前は「ラサ」の地名と、チベット語でヤギを意味する言葉が変化したものとされています。寺院や一般の家庭で屋内飼育され、優れた聴覚で、訪れた人の足音をいち早く家の人に知らせる番犬の役割を担ってきたといわれます。
チベットでは、聖なる犬として大切にされ、ダライ・ラマが中国の皇帝などへの贈り物としたという話も伝わっています。そうした贈り物の一部が中国の宮廷でペキニーズと交配され、シーズーの成立につながったという説もあります。ただし、これらは伝承の色合いが強く、詳しい経緯ははっきりしていません。
欧米には20世紀の前半までに紹介され、特にアメリカで繁殖が進んだとされています。日本では、愛玩犬のグループに分類され、シーズーやマルチーズなどに比べると、数は多くありません。警戒心が強く、見知らぬ人や物音に敏感なのは、番犬として働いてきた名残だと考えられます。


ラサ・アプソの性格|陽気で忠実、でもマイペースで警戒心も強い
英国ケネルクラブの標準では、ラサ・アプソは「陽気で自己主張がある。油断がなく安定していて、見知らぬ人には控えめ」と書かれています。海外の犬種情報でも、自信があり、よく気がつく自然な番犬タイプ。家族には忠実で愛情深く、見知らぬ人には慎重だと紹介されています。
小型犬ながら、実際には主張がはっきりしたタイプが多く、「頑固」「マイペース」と感じる飼い主さんもいます。独立心があるため、呼ばれたらすぐ飛んでくる、というタイプではありません。落ち着いていて、家の中ではどっしり構えているという表現もよく見られます。
- 陽気で遊び好きな一面がある
- 家族には忠実で、愛情深い
- 自尊心が高く、頑固に見えることがある
- 用心深く、物音や来客に反応しやすい(番犬の資質)
- 見知らぬ人にはそっけなく、距離を保つことがある
社会化が不足すると、縄張り意識が強く出たり、他の人や犬に過剰に反応したりすることがあるとされます。子犬のうちから、いろいろな人、音、場所に慣れさせておくことが大切です。個体差は大きいので、実際に会って様子を見るのがおすすめです。


見た目・お手入れ・抜け毛|長い被毛をきれいに保つコツ
ラサ・アプソの被毛は、ショーでは床につくほど長く伸ばした姿が知られています。上毛は長く重みがあり、まっすぐで、ウールのようなふわふわやシルクのような柔らかさとは違って、しっかりした手触りが標準とされています。下毛は適度にあり、ダブルコートのため寒さには比較的強いといわれます。抜け毛は少ない部類ですが、毛が絡みやすいのが課題です。
- ブラッシング:毛玉を防ぐため、毎日。耳の後ろ、わき、足の付け根は特に絡まりやすい
- シャンプー:被毛と皮膚の状態に合わせて、定期的に。しっかり乾かす
- 目まわりの毛:長い毛が目に入ると傷つけることがあるため、こまめに整える
- 耳・目の汚れ:長毛で湿気がこもりやすい。やさしくふき取る
- トリミング:プロに任せると、長期的に管理しやすい
「毎日のお手入れが大変そう」と感じる場合は、短くカットするパピーカットという選択肢もあります。ショー用の長毛スタイルにこだわらなければ、お手入れの負担が軽くなります。換毛期の考え方は犬の換毛期とブラッシングの頻度も参考になります。ただし、短くしてもブラッシングは必要なので、トリミングサロンでスタイルについて相談してみてください。
目の周りの汚れや涙の量が気になる場合は、犬の目やにの色別チェックも参考にしてください。


運動量と散歩の目安
ラサ・アプソの運動量は「中くらい」とされています。毎日の散歩に加えて、室内で遊ぶ時間があれば、満足しやすい犬種です。散歩の目安は1日30分前後を、朝晩に分けて行う方法が一般的です。もちろん年齢や体調、個体差によって調整してください。
散歩は、運動だけでなく社会化の時間でもあります。いろいろな匂いや人、音に触れることで、警戒心が強い性格をやわらげる助けになります。ただし、長い被毛は夏の暑さが苦手な原因にもなるため、暑い日は涼しい時間帯に、短めに切り上げましょう。
- 室内では、ボール遊びや知育玩具で頭を使う遊びを取り入れる
- 散歩の後は、被毛についた汚れやゴミを取り除く
- 夏は被毛を短めに整え、エアコンで温度を管理する


しつけで気をつけたいこと|根気よく、一貫して
ラサ・アプソは、独立心が強く、頑固に見えることがあるため、しつけには根気が必要です。力で押さえつけるより、落ち着いた態度で、一貫したルールを教えるやり方が向いているといわれます。基本的な順番は子犬のしつけ完全ガイドにまとめています。
特に気をつけたいのは、吠えです。警戒心が強く、来客や物音に反応して吠えやすい傾向があります。子犬のころからインターホンの音や来客に慣らし、吠えずにいられたら褒める練習を重ねましょう。吠えの考え方は、犬のしつけで重要なポイント:無駄吠えへの理解と対処法でも詳しく解説しています。
叱るときは、感情的にならず、短く、一貫した態度で。叱るより、望ましい行動をしたときにすぐ褒める方が、気持ちの面でも関係づくりにも向いています。家族みんなでルールを統一しておくと、犬が混乱しにくくなります。
かかりやすい病気・健康管理のポイント
ラサ・アプソは、いくつか知られている注意点があります。ここでは診断や治療ではなく、日々の生活で気にかけたい点を整理します。気になる様子があれば、自己判断せず動物病院に相談してください。
- 目の病気:海外の犬種情報では、目の病気が主な注意点とされています。進行性網膜萎縮、乾燥性の目のトラブル、白内障、まつ毛の異常などが挙げられています。暗い場所を嫌がる、物にぶつかりやすい、目をしきりにこするなどの変化は受診の目安です。
- 腎臓の病気:生まれつき腎臓が弱い個体がいることが知られています。水をよく飲む、尿の量が増えるなどの変化に気づくことが大切です。膀胱の結石が挙げられることもあります。
- 膝のトラブル(膝蓋骨脱臼):若いうちから見られることがあり、滑りにくい床の工夫が予防につながります。
- 皮膚のトラブル:長い被毛が汚れや湿気をため込みやすく、かゆみや皮膚炎の原因になることがあります。
- 呼吸の問題:鼻が短めの犬種として、暑さや呼吸への配慮が必要です。
目や腎臓の問題は、進行してから気づくことが多いと言われています。そのため、年に1回は健康診断(血液検査・尿検査・眼科の検査など)を受けておくと安心です。7歳を過ぎたころからは、より細かく見てもらうとよいでしょう。膝の予防については、関節ケアのカテゴリーにも情報があります。
こんな様子があれば動物病院へ
- 目の色が白く濁ってきた、物にぶつかる、目をしきりにこする
- 水をよく飲む、尿の量や回数が明らかに増えた
- 後ろ足を上げたまま歩く、歩き方がおかしい
- 皮膚が赤い、強いかゆみが続く、においが強い
- 呼吸が荒い、舌の色が普段と違う(緊急の可能性あり)
食事と体重管理
食事は、年齢と体格に合った総合栄養食を、パッケージの給与量を目安に量って与えるのが基本です。1日2回に分けて与える飼い主さんが多く、おやつは1日の食事量から差し引きます。長い被毛で体型が見えにくいため、肋骨の触り具合で太りすぎていないかを確認する習慣をつけましょう。
ラサ・アプソが向いている人・向いていない人|迎える前のチェックリスト
向いている人
- 毎日のブラッシングを日課として続けられる人、またはトリミングサロンを定期的に利用できる人
- 犬との暮らしに慣れていて、マイペースな性格を受け入れられる人
- 落ち着いた環境で、一貫したルールを教えられる人
- 目や腎臓などの定期健診を続けられる人
向いていないかもしれない人
- 被毛のお手入れに、時間をかけたくない人
- 来客が多く、吠えへの対策に取り組む余裕がない人
- 小さな子どもがいて、犬のペースを尊重しにくい家庭
- 屋外で飼うことを考えている人(室内で一緒に暮らす犬種です)
迎える方法には、ブリーダー、ペットショップ、里親募集などがあります。ブリーダーの場合は、犬舎を見学できるか、親犬や兄弟犬の健康情報(目や腎臓など)を教えてもらえるかを確認しましょう。数の少ない犬種のため、焦らず信頼できる迎え先を探すことが大切です。ほかの犬種と比べたいときは、犬種図鑑から探してみてください。
よくある質問
- ラサ・アプソは初心者でも飼えますか?
-
頑固な一面があり、しつけには根気が必要なため、初めて犬を飼う方にはややハードルが高いといわれる犬種です。ただし、一貫した態度で根気よく向き合えば、信頼関係を築けます。被毛のお手入れの手間も含めて、時間をかけられる方に向いています。
- ラサ・アプソは吠えますか?
-
警戒心が強く、来客や物音に反応して吠えやすい傾向があります。子犬のころからインターホンの音や来客に慣らし、吠えずにいられたら褒める練習を重ねることで、吠えを軽減できる例もあります。個体差があるため、性格に合わせて対応しましょう。
- ラサ・アプソは留守番できますか?
-
短時間であれば、練習次第でできる子が多いです。独立心のある犬種ですが、長時間の留守番が続くと不安から吠えたり、落ち着かなくなったりする場合もあります。数分から少しずつ時間を延ばし、安心できる居場所を用意しておきましょう。
- ラサ・アプソの寿命は何歳くらいですか?
-
13〜15年前後とされることが多い犬種です。調査によって数字は異なるため目安として考え、目や腎臓の定期検査、膝への配慮、体重管理、歯のケアを積み重ねることが、長く元気に過ごす助けになります。
専門家に確認しました
身内のペットトリマーに確認したところ、「ラサ・アプソは目の周りの毛が伸びやすく、放置すると目に入って傷つけてしまうことがある」とのことでした。長毛スタイルを維持する場合は、目の周りだけはこまめにカットするなど、部分的なケアを取り入れると安心だとアドバイスをもらいました。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。
まとめ
- ラサ・アプソは体高25〜28cm、体重6〜7kg前後の小型犬。長い被毛が最大の特徴
- 性格は陽気で忠実だが、警戒心が強くマイペース。社会化と根気強いしつけが大切
- 被毛は毎日のブラッシングが基本。負担が大きい場合はパピーカットも選択肢
- 目の病気と腎臓の病気に注意。年1回の健診で早めの発見を
- 室内で家族と一緒に暮らす犬種。屋外飼育はおすすめできない
- 寿命は13〜15年前後とされる
ラサ・アプソは、気品ある姿と、凛とした気質、そして家族への深い愛情をあわせ持つ犬種です。お手入れやしつけに手間はかかりますが、その分、特別な絆を築ける存在になってくれるでしょう。迎える前の準備に、この記事がお役に立てれば幸いです。












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