子犬を迎えたばかりの飼い主さんが最初にぶつかる疑問は、だいたい共通しています。「しつけっていつから始めればいいの?」「何から教えればいいの?」「トイレはどれくらいで覚えてくれるの?」。この記事では、そうした疑問に一つずつ答えながら、子犬のしつけの基本を時期・順番・具体的なやり方まで通しで整理します。
子犬のしつけはいつから始める?


子犬のしつけを始める時期の目安は、生後2〜3か月頃です。犬には生後4週〜13週頃までの「社会化期」と呼ばれる、新しい経験を吸収しやすい期間があり、この時期にしつけや社会化のトレーニングを始めると効果が出やすいとされています。生まれてすぐの子犬は脳の発達自体が未熟なため、あまりに早すぎる時期にしつけをしても理解が追いつきません。逆に、社会化期を過ぎてから始めても遅すぎるということはなく、時間をかければ十分に学習できます。目安としては、遅くとも1歳頃までに基本的なしつけを一通り終えられるとよいとされています。
しつけを教える正しい順番


子犬のしつけは、いきなり「おすわり」や「待て」から始めるのではなく、土台になる順番があります。一般的に推奨されている順番は、以下のような流れです。
- 名前を覚える:名前を呼ばれたら自分に良いことがある、と学習させる最初のステップです。
- アイコンタクト:飼い主の顔を見る習慣をつけることで、その後のすべてのトレーニングがスムーズになります。
- トイレトレーニング:決まった場所で排泄する習慣づけです。
- ハウス(クレートトレーニング):自分の安全な居場所として、クレートやケージに慣れさせます。ハウスに慣れておくと、成長してからのお留守番もスムーズになります。
- おすわり・待て:基本的なコマンドの習得です。
- 散歩・社会化:外の世界に慣れ、他の人や犬と落ち着いて過ごせるようにします。
この順番が大切なのは、後の項目ほど「前の項目ができていること」を土台にしているためです。例えば、アイコンタクトが取れない状態で「おすわり」を教えようとしても、なかなか集中してもらえません。焦らず一つずつ積み上げていくのが、遠回りに見えて実は一番の近道です。
名前・アイコンタクトの教え方


名前を覚えさせるには、ごはんをあげる前やおやつをあげる前、遊びに誘う前など、子犬にとって嬉しいことが起こる直前に名前を呼び、こちらを見たらすぐにたくさん褒めます。これを繰り返すことで、「名前を呼ばれる=良いことが起きる」と学習していきます。
アイコンタクトは、おもちゃやおやつを子犬の顔の前で見せ、興味を示したらそれを飼い主の顔の高さまでゆっくり移動させます。子犬の視線が自然と飼い主の顔に向いたタイミングで名前を呼びながら褒め、おもちゃやおやつを与えます。これを繰り返すうちに、名前を呼ぶだけで自然と顔を見上げてくれるようになります。
トイレトレーニングの具体的なやり方と、何日で覚えるかの目安


トイレトレーニングは、生後8〜12週頃から始めるのが一つの目安です。子犬の膀胱はまだ小さく、長時間の我慢ができません。おおまかな目安として「月齢(か月)+1時間」程度が、その子が排泄を我慢できる時間の目安とされています。つまり生後2か月の子犬なら、2〜3時間おきにトイレのタイミングが来ると考えておくと、事前にトイレの場所へ誘導しやすくなります。
気になる「何日で覚えるか」については、個体差がとても大きいのが実情です。数日で覚える子もいれば、数か月、時には半年以上かかる子もいます。一つの目安として、最初の3日間ほどで「排泄のタイミング」を飼い主側がつかめるようになり、そこから1〜2週間ほど根気よく続けることで習慣化し、成功率が9割程度で安定してくることが多いとされています。他の犬と比べて焦らず、その子のペースに合わせて取り組むことが何より大切です。
失敗したときに叱るのは逆効果です。むしろトイレの失敗は「まだ膀胱のコントロールが未熟なだけ」と捉え、成功したときにその場でしっかり褒めることに力を注ぎましょう。
甘噛みや無駄吠えなど、問題行動への向き合い方


しつけの過程では、甘噛みや無駄吠えといった行動に悩まされることも少なくありません。甘噛みへの具体的な対処法は子犬の甘噛み、もう悩まないしつけの秘訣で詳しく紹介しています。また、犬種によっては警戒心や独立心の強さから、しつけがしにくいと感じる場面が出てくることもあります。柴犬のように性格特性がしつけの難易度に影響しやすい犬種については、柴犬のしつけが難しいと言われる理由も参考になります。犬種にかかわらず共通しているのは、力や叱責で抑え込もうとするのではなく、望ましい行動を褒めて伸ばす「陽性強化」のアプローチが効果的だという点です。
しつけでやってはいけないこと


子犬のしつけでは、以下のような対応は避けましょう。
- 名前を呼びながら叱る(名前=嫌なことと学習してしまいます)
- トイレの最中や直後に叱る(排泄自体を我慢するようになりかねません)
- 体を力で押さえつけて従わせようとする
- できないことを繰り返し叱り続ける
子犬のしつけは、短期間で完璧を目指すものではありません。失敗を織り込みながら、できたことを一つずつ褒めて積み重ねていく姿勢が、結果的に一番早く信頼関係とマナーの両方を育てます。
ハウストレーニングと留守番の練習


クレートやケージを「閉じ込められる場所」ではなく「安心して休める自分の部屋」と教えるのがハウストレーニングです。まずは扉を開けたまま、中におやつやおもちゃを置いて自分から入るのを待ち、入ったら褒めます。慣れてきたら、中で食事をさせる、短時間だけ扉を閉めてすぐ開ける、と少しずつ段階を進めます。「出して」と鳴いているときに出すと「鳴けば出られる」と学習するので、静かになった瞬間に出すのがポイントです。ハウスに慣れたら、留守番の練習も同じ要領で、数分の外出から少しずつ延ばしていきます。子犬のうちにひとりで落ち着いて過ごす経験を積んでおくと、成長してからの分離不安を防ぎやすくなります。
社会化で経験させておきたいことリスト


社会化とは「世の中にあるものを怖くないと知ること」です。ワクチン接種が完了する前でも、抱っこやスリングで外に連れ出し、見せる・聞かせるだけでも十分な経験になります。以下を目安に、怖がらせない距離と時間で少しずつ触れさせてみてください。
- 人:性別・年齢の違う人、帽子や眼鏡、傘、マスクをつけた人、子ども
- 犬・動物:ワクチン済みの落ち着いた成犬、パピークラスの子犬、猫など
- 音:チャイム、掃除機、ドライヤー、車やバイク、雷や花火の音(小さな音量の録音から)
- 場所・物:車、動物病院(診察以外でも立ち寄って褒めてもらう)、エレベーター、階段、金属の床、マンホール、公園
- 体を触られること:足先、口の中、耳、尻尾、お腹。爪切りや歯ブラシを見せる
「経験した」ことより「良い印象で終わった」ことが大切なので、怖がったら距離を取り、落ち着けたらおやつで終えましょう。
よくある質問


Q. しつけ教室(パピークラス)には通った方がいいですか?
A. 必須ではありませんが、初めて犬を飼う人にはおすすめです。同じ月齢の子犬と安全に遊ぶ社会化の機会になるうえ、飼い主が正しい褒め方やタイミングを学べます。動物病院やトレーナーが開催しているものを、ワクチンの進み具合を確認したうえで選びましょう。
Q. 「おすわり」や「待て」はどうやって教えますか?
A. おすわりは、おやつを子犬の鼻先から頭の上へゆっくり動かすと、自然にお尻が下がります。お尻がついた瞬間に「おすわり」と言って褒め、おやつを与えます。待ては、おすわりの状態で手のひらを見せ、1秒待てたら褒める、を繰り返し、少しずつ秒数と距離を延ばしていきます。どちらも1回5分以内、成功で終えるのがコツです。
Q. 甘噛みが激しくて手が傷だらけです。
A. 子犬の甘噛みは、歯の生え替わりのむずがゆさや、遊びの延長で起こる自然な行動です。噛まれたら「痛い」と短く言って遊びを中断し、数十秒その場を離れることで「噛むと楽しいことが終わる」と教えます。代わりに噛んでよいおもちゃを渡し、噛んだら褒めましょう。手を振り回して逃げると、追いかけっこの遊びだと誤解されるので注意してください。
まとめ


子犬のしつけは、生後2〜3か月の社会化期を目安に始め、名前→アイコンタクト→トイレ→ハウス→おすわり・待て→散歩という順番で土台を積み上げていくのが基本です。トイレトレーニングは個体差が大きく、数日で覚える子もいれば数か月かかる子もいますが、焦らずその子のペースに合わせることが成功への一番の近道です。叱るのではなく褒めて伸ばす姿勢を基本に、気長に向き合っていきましょう。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。


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