犬の夜鳴きは、年齢によって原因の当たりがつけやすくなります。子犬なら「環境の変化による不安」、成犬なら「運動・環境・発情」、シニア犬なら「痛みや認知機能の低下」を最初に疑うのが基本です。原因によって対応が逆になることがあり、不安が理由なら安心させる、要求が理由なら鳴いても反応しない、というように使い分けが必要です。急に始まった夜鳴きや、シニア犬の夜鳴きは病気が隠れていることもあるため、早めに動物病院へ相談してください。



まずは結論から!くわしい理由は、このあと順番に説明するよ。
夜鳴きは飼い主の睡眠不足だけでなく、ご近所への配慮も必要になる悩みです。この記事では、原因を年齢別に絞り込む方法、今夜からできる対策、受診の目安までを順番に整理します。


💡 夜鳴きの原因は?年齢と様子から絞り込む早見表
まずは次の表で、愛犬の年齢と夜鳴きの様子に近いものを探してみてください。複数が重なっていることもあります。
| ケース | 疑われる原因 | まず試すこと |
|---|---|---|
| 子犬(迎えて数日〜数週間) | 環境の変化による不安・寂しさ、トイレ、歯の生え変わり | 寝る前の排泄、匂いのついた寝床、飼い主の近くにクレートを置く |
| 成犬で毎晩のように鳴く | 運動不足・刺激不足、寝床の不快、要求 | 日中の運動、寝室の温度・音・明るさの見直し |
| 未去勢・未避妊の成犬 | 発情期の興奮、外の犬やにおいへの反応 | 獣医師に不妊手術を含めて相談 |
| 突然始まった、元気や食欲がない | 痛み、体調不良、トイレの異常 | 様子を記録して早めに受診 |
| シニア犬で夜に鳴く・徘徊する | 認知機能の低下、関節の痛み、視力・聴力の低下 | 受診して原因を確認、夜の環境を整える |
| 離れると必ず鳴く、留守番も苦手 | 分離不安 | 少しずつ離れる練習、必要なら専門家へ |
💡 子犬の夜鳴きはなぜ?最初の数日はどれくらい続く?
子犬は母犬ときょうだいと体を寄せ合って眠っていたのに、突然ひとりで夜を迎えます。静かな夜に不安になって鳴くのは自然なことで、新しい家に来た直後に特に多く見られます。
AKC(アメリカン・ケネル・クラブ)も、最初の1〜2晩は鳴く子が多く、母犬ときょうだいと離れて家に慣れる途中のことが多いと説明しています。個体差があり、最初からぐっすり眠る子もいれば、数日鳴く子もいます。
寂しさ・不安が原因のとき
犬はもともと群れで暮らしてきた動物で、ひとりで過ごすことが得意ではありません。迎えたばかりの子犬は特に、日中と同じような安心できる環境があると落ち着きやすくなります。次のような工夫が役立ちます。
- 自分のにおいやお世話の人のにおいがついたタオルを寝床に入れる
- クレートを飼い主の寝る部屋の近くに置き、手を入れて「ここにいるよ」と伝える
- 寝る前の流れ(遊ぶ→排泄→寝床)を毎晩そろえる
- 部屋は暗めで静かにし、外の物音が気になるなら小さな環境音を流す
クレートの慣らし方は、犬のクレートトレーニング完全ガイドで段階的にまとめています。
トイレや歯の生え変わりで目が覚めている場合
子犬はまだ排泄を我慢する力が弱く、夜中にトイレへ行きたくて鳴くことがあります。AKCは、夜間のトイレ休憩は生後4〜5か月ごろまでに不要になる子が多いとしています。
鳴いたら静かに外へ連れ出して短く排泄させ、遊ばずに寝床へ戻すと、夜中に起きる習慣をつけにくくなります。また、乳歯から永久歯に生え変わる時期は歯ぐきがむずがゆく、落ち着かなくなる子もいます。
鳴いたらすぐにクレートから出すと、「鳴けば出してもらえる」と覚えてしまいます。AKCも、数秒でも静かになったタイミングで扉を開けるよう勧めています。ただし、トイレの可能性があるときは我慢させず、先に排泄の機会を作ってあげてください。


🏃 成犬の夜鳴き:運動・寝床・発情の3つを見直す
成犬が夜に鳴くようになったら、まず生活面から見直します。ただし、これまで鳴かなかった子が突然鳴き始めた場合は、体調の変化も同時に疑ってください。
運動や刺激が足りていない
日中に体を動かす機会や頭を使う機会が少ないと、エネルギーが余って夜に落ち着かなくなることがあります。島根県の動物愛護に関するQ&Aでも、適度な運動はストレス解消になり、夜鳴きの予防にもなると紹介されています。
散歩の時間や回数を少し増やしたり、においを探す遊びを取り入れたりしてみましょう。寝る直前に激しく遊ぶとかえって興奮するため、運動は夕方までに済ませ、寝る前は静かに過ごすのがコツです。


寝床が快適でない・環境が変わった
暑さ寒さ、寝床の硬さ、外の車や人の音、引っ越しや模様替えなど、犬にとって不快な刺激が夜鳴きにつながることがあります。夜の部屋の温度や、寝床の場所が玄関や窓の近くになっていないかを確認しましょう。
防音カーテンや、ケージにかける布のカバーで外の刺激をやわらげる方法もあります。トイレに行きたいだけのこともあるため、寝る前の排泄もセットで見直してください。


発情期の興奮
未去勢・未避妊の犬は、発情期に落ち着きがなくなり、夜に鳴くことがあります。オス犬は近くのメス犬のにおいに反応して鳴くこともあります。
発情期が終われば落ち着くことが多い一方、毎回のように悩むなら、不妊手術については手術のメリット・デメリットを含めて、かかりつけの獣医師に相談するのがよいでしょう。


🐶 シニア犬が夜に鳴くのは?認知機能の低下や痛みのサイン
高齢になってから夜鳴きが始まった場合は、「しつけの問題」と決めつけず、体の変化を疑うのが基本です。国内外の動物病院の解説でも、夜に鳴く・歩き回る・昼夜が逆転するといった変化は、認知機能不全(犬の認知症)の代表的なサインとして紹介されています。
海外の研究(PubMed Central掲載)では、認知機能不全の飼い主の報告として、夜間の寝つきの悪さ、歩き回り、鳴き声が増えることが挙げられています。
28頭のシニア犬の睡眠を調べた研究では、認知症の症状スコアが高い犬ほど、昼寝中の睡眠が短く、起きている時間が長い傾向がありました。この研究は昼間の昼寝を測ったもので、夜の睡眠を直接調べたものではない点には注意が必要です。
認知症以外にも考えられること
- 関節の痛みや内臓の不調で、横になっても楽な姿勢がとれない
- 視力・聴力の低下で、暗い部屋が分かりにくく不安になる
- 夜間のトイレ回数が増えた(体調のサインのことがあり、急な変化は受診が必要)
- 暗さや静けさで、いつも以上に不安が強まる
認知症が疑われる様子としては、同じ場所をぐるぐる歩く、壁の前で立ち尽くす、昼間によく眠って夜に起きている、家族への反応が薄くなるなどがあります。ただし、見た目だけで認知症かどうかは判断できません。動物病院で他の病気がないかを確認してもらうことが先です。
夜の環境づくりでできること
- 足元が見える程度の常夜灯をつけ、滑りにくいマットを敷く
- 関節にやさしい寝床を用意し、体を休めやすくする
- 日中はできる範囲で外に出て日光を浴び、軽い散歩で生活リズムを整える
- 寝る前にトイレへ誘導する
日光や運動が進行を防ぐという確かな根拠までは示されていないため、「生活リズムを整える助けになるかもしれない」という位置づけで取り入れてください。
薬やサプリメントで夜鳴きを抑える方法もありますが、犬の状態によって合う・合わないがあり、使い方は獣医師の判断が必要です。シニア期の暮らし全般は老犬介護完全ガイドにまとめています。


🏠 離れると鳴く…分離不安が疑われる夜鳴き
原因の見当がつかないときは、分離不安も候補になります。飼い主が別の部屋に行く、部屋の電気を消して離れるなど、わずかな距離で強く鳴いたり、留守番中にも吠える・破壊する・粗相をするといった様子が重なっていれば疑う目安になります。
- いきなり長く離れず、数秒から始めて少しずつ離れる時間を延ばす
- 出かける・離れるときに大げさな挨拶をしない
- 寝室の近くにクレートやベッドを置き、まず「近くで眠れる」状態にする
- 改善しない、パニックのように見えるときは動物病院や専門家に相談する
詳しい練習法は犬の分離不安症完全ガイドを参考にしてください。一緒に寝ることと分離不安の関係が気になる方は、犬と一緒に寝るメリット・デメリットも読んでみてください。


💡 夜鳴きのたびに構うのは良くない?原因別の対応と今夜からの対策
原因別の基本の対応
「鳴いたら無視する」「必ず声をかける」と正反対のアドバイスが出回っていますが、正解は原因によって変わります。
| 原因 | 基本の対応 |
|---|---|
| 要求・退屈(遊んでほしい、出してほしい) | 鳴いている間は反応せず、静かになった瞬間にほめる・扉を開ける |
| 不安・寂しさ(子犬、環境が変わった直後) | 落ち着いた声で安心させ、近くにクレートを置いて少しずつ慣らす |
| トイレ | 静かに排泄だけさせて、遊ばずに寝床へ戻す |
| 痛み・認知機能の低下 | 無視せず、安心させて様子を記録し、受診して原因を確認する |
見分けにくいときは、鳴き声の様子を観察します。短く単発で、静かになるとやむのは要求や退屈のことが多く、落ち着きなく歩き回る・震える・いつもと違う声で続くときは、不安や体調不良の可能性があります。
一貫した対応を続けることが大切で、日によって構ったり無視したりを繰り返すと、犬が混乱して長引くことがあります。無駄吠え全般の考え方は無駄吠えへの理解と対処法も参考になります。
今夜からできる対策チェックリスト
- 夕方までに散歩や遊びを済ませ、寝る1時間ほど前からは静かな時間にする
- 寝る直前にトイレをすませる
- 寝床の温度、明るさ、外の音を確認する(暑すぎ・寒すぎ・窓際を避ける)
- 毎晩同じ順序の「寝る前の習慣」を作る
- 鳴いたときの対応を家族で決めて、全員でそろえる
- いつ・どれくらい鳴いたかをメモに残す
記録を残しておくと、受診したときに獣医師へ伝えやすくなります。時間帯、鳴き方、直前の出来事、トイレや食欲の変化などをメモしておきましょう。
🏥 動物病院に相談する目安とご近所への配慮
次のような様子があるときは、様子見を長引かせず、動物病院に相談してください。
- 今まで鳴かなかった犬が、突然夜鳴きを始めた
- 食欲や元気がない、触られるのを嫌がる、足を引きずる
- 夜間のトイレの回数が急に増えた
- シニア犬が歩き回る、昼夜が逆転している
- 1週間以上続く、または悪化している
夜間の鳴き声はご近所の迷惑になることもあります。国の基準でも、飼い主は動物の習性を理解し、周辺環境を害さないよう努めるとされています。
集合住宅では、窓際から寝床を離す、防音カーテンを使う、あらかじめ近隣に一声かけておくなどの対策も考えられます。すぐに止まらないときも、ひとりで抱え込まず、獣医師やトレーナーに相談してみてください。
よくある質問
- 子犬の夜鳴きは何日くらいで落ち着きますか?
-
個体差がありますが、数日から1週間ほどで慣れる子が多いとされています。ただし必ずその期間で止まるわけではありません。元気や食欲がない、強いパニックのように鳴く、数週間たっても改善しないときは、獣医師やトレーナーに相談しましょう。
- 夜鳴きのたびに構ってしまうのは良くないですか?
-
原因によります。要求が理由なら、鳴くたびに構うと「鳴けば来てくれる」と学習してしまいます。一方、痛みや認知機能の低下、トイレが理由のときは、無視せず対応するのが優先です。原因の見極めがポイントです。
- シニア犬の夜鳴きは認知症でしょうか?
-
認知症の可能性はありますが、関節の痛み、視力・聴力の低下、体の病気でも夜に鳴くことがあります。自己判断せず、まず動物病院で他の原因がないか確認してもらいましょう。
- 夜鳴きを止めるために別の部屋で寝かせてもいい?
-
原因が要求吠えなら別室が有効なこともありますが、不安や分離不安が原因なら逆効果になることがあります。子犬や慣れない時期は近くで眠れる環境から始め、少しずつ距離を取る方法がおすすめです。
まとめ


- 夜鳴きはまず年齢から原因を絞る。子犬は不安・トイレ、成犬は運動・環境・発情、シニアは痛みや認知機能の低下が目安
- 構うか無視するかは原因次第。要求なら反応せず、不安・痛みなら安心させる
- 今まで鳴かなかった犬の突然の夜鳴き、シニア犬の夜鳴きは病気のサインの可能性がある
- 夕方までの運動、寝る前のトイレ、毎晩同じ習慣が基本の対策
- 1週間以上続く、悪化するときは動物病院へ相談し、ひとりで抱え込まない










専門家に確認しました
身内のドッグトレーナーに確認したところ、「夜鳴きの相談で多いのは、原因を確かめずに構う・無視するを繰り返してしまい、かえって犬を混乱させているケース」とのことでした。まずは原因の見当をつけてから対応を決めることが遠回りに見えて一番の近道だとアドバイスをもらいました。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。


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