みずみずしい梨は、秋の果物の定番です。切っていると愛犬がそわそわ寄ってきて、「ひと切れならあげてもいいのかな」と迷う人も多いでしょう。結論は、皮と芯、種を取り除いた熟した果肉を、小さく切って少量なら与えられる(◯)です。ただし糖分や水分がそれなりにあるため、量と頻度は控えめにし、持病のある子は事前に獣医師に相談してください。
この記事では、AKC(米国のケネルクラブ)、獣医師が確認したとするペット保険会社の解説、獣医学部の准教授が監修したいぬのきもちWEB MAGAZINE、環境省のガイドラインをもとに、部位ごとの扱いと量の考え方をまとめます。運営者は獣医師ではありません。診断や治療の判断はできないので、気になる症状があれば動物病院に相談してください。
梨は犬に食べさせていい?早見表
| 部位・形 | 可否 | ひとこと |
|---|---|---|
| 熟した果肉 | ◯ 少量 | 小さく切る。ペーストにしてもよい |
| 皮 | △ むくのが無難 | 硬くて消化に向かないとされる |
| 芯・種 | × 取り除く | 種には微量の青酸系成分。芯は硬く、詰まりの心配も |
| 未熟な実・落果 | × 避ける | 拾い食いにも注意 |
| 缶詰・市販ジュース | × 避ける | 糖分が多い |
梨以外の果物や野菜については、犬が食べていいもの・ダメなもの早見表で確認できます。
梨のよいところと、期待しすぎないこと。AKCは、梨をビタミンCやAに加え、食物繊維を含むおやつとして紹介し、別のページでは銅やビタミンKも挙げています。PS保険の解説は、梨を水分補給の手段になるおやつとして位置づけています。暑い日に少しだけ水分をとれる果物、というくらいの感覚はよいのですが、これらの栄養は総合栄養食のフードでふつうに足りるものです。「体にいいから」と量を増やす食べ物ではありません。栄養面は話半分に受け止め、「愛犬が喜ぶごほうび」として楽しむくらいがちょうどよいでしょう。
芯と種、そして皮をどう扱うか
AKCは、梨の種には微量のシアン化合物が含まれ、大量だと有害になるうえ、窒息の原因にもなるとして、種を含む芯ごと与えないよう述べています。PS保険の解説(獣医師2名が確認して制作したとされるもの)では、種にはアミグダリンという犬の健康に悪影響を及ぼす物質が含まれ、未熟な梨の果肉にもアミグダリンが含まれることがあるため、熟したものを選ぶよう勧められています。梨園の近くの散歩などで、落ちた実を拾い食いしないよう気をつけたいところです。
皮については、見解が一つにそろっているわけではありません。AKCの該当ページは皮に触れていませんが、PS保険の解説は皮や芯は硬く消化に適さないとして取り除くとし、いぬのきもちWEB MAGAZINE(酪農学園大学・佐野忠士准教授監修)も、皮をむき、芯を取って小さく切る方法を紹介しています。農薬が気になる点も含め、皮はむいて与えるのが無難でしょう。
量の考え方|おやつ全体で見る
梨の量について、国の統一基準はありません。考え方の軸になるのは、おやつ全体の割合です。環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、間食は1日に必要なカロリーの20%以内、AKCの梨の解説は獣医師の目安として、おやつは食事量のおよそ1割としています。
PS保険の解説には、梨の1日量の目安として、体重4kg未満の超小型犬で1/10個まで、10kg以下の小型犬で1/5個まで、25kg未満の中型犬で1/4個まで、25kg以上の大型犬で1/3個まで、という例が示されています。ただし、これはあくまで一つの例で、体格、運動量、健康状態によって変わるとされています。同じ解説では、梨は100gあたり水分が約88g、エネルギーが約40kcalとされており、水分と糖分があるため、毎日たっぷりあげる食べ物ではありません。
- 初めての日は、ごく少量にして数時間は様子を見る
- 一気に食べるとお腹をこわしやすいので、小さく刻んで少しずつ
- 与えた分、その日のフードを少し減らす
注意が必要な犬・ケース
- 糖尿病・肥満・膵炎の経験がある犬:果物の糖分が負担になるおそれがあります。獣医師に確認を。
- 腎臓病・心臓病で食事制限がある犬、利尿作用のある薬を飲んでいる犬:PS保険の解説では、持病がある場合や食事管理中は与えないほうがよく、利尿剤を服用している場合は事前に獣医師へ相談するよう勧められています。
- バラ科の果物でアレルギーが出たことがある犬:梨はりんご、桃、さくらんぼ、いちごと同じバラ科です。いぬのきもちWEB MAGAZINEは桃の項で、りんごやさくらんぼにアレルギー歴がある犬には与えないとしています。All Aboutも、りんご・桃・梨で体調を崩す犬はいちごも避けると述べています。
- 子犬・シニア犬:胃腸がデリケートなことがあるので、ごく少量から。子犬に無理に与える必要はありません。
梨は必ず必要な食べ物ではなく、主食は総合栄養食のフードです。あくまでおやつの一つとして考えましょう。
缶詰やジュース、食べてしまったときの目安
AKCは、シロップなどで糖分が多い梨の缶詰や瓶詰めは避け、新鮮で熟した梨がいちばんとしています。PS保険の解説も、梨を原料にした加工食品やジュースには糖分や油が多く加えられていることが多く、人用のものは与えないよう勧めています。
うっかり種や芯をまるごと食べてしまった場合は、症状がなくても、いつ・どのくらい食べたかを確認して動物病院に電話で相談しておくと安心です。次のような様子があれば、早めに受診してください。
- くり返す嘔吐、元気や食欲がない
- お腹が張って痛がる、うんちが出ない
- 息づかいが荒い、呼吸が苦しそう、歯ぐきの色がおかしい
種を砕いて大量に食べた場合に中毒が心配されますが、少数の種を丸のみしたときの影響は、ケースにより異なります。自己判断せず、獣医師の指示に従ってください。
よくある質問
Q. 洋梨やラ・フランスもあげていい?
確認できた出典では、和梨と洋梨で扱いが分けられていませんでした。どちらも皮、芯、種を取り除く点は同じです。品種を問わず、少量にとどめましょう。
Q. 梨をすりおろして与えてもいい?
いぬのきもちWEB MAGAZINEは、超小型犬・小型犬にはペースト状にして与える方法も紹介しています。すりおろした場合も、種や芯が混ざらないよう気をつけ、量は通常の果肉と同じように少量にとどめてください。
Q. 梨で下痢をしたら?
水分と食物繊維を一度に多くとると、お腹がゆるくなることがあります。しばらく与えるのをやめて様子を見て、下痢が続く、ぐったりしている、血が混じるときは動物病院に相談してください。
まとめ
- 梨は、皮・芯・種を除いた熟した果肉を少量なら与えてよい(◯)
- 種には微量の青酸系成分があり、未熟な実や落果の拾い食いにも注意
- 量の決まりはなく、おやつ全体で1日のカロリーの一部まで(環境省は20%以内、AKCは約1割)
- 糖尿病・腎臓病・服薬中・バラ科アレルギーの経験がある犬は、先に獣医師へ
- 缶詰や市販ジュースは糖分が多いので避ける
- 同じバラ科の果物はりんごやいちごの記事も参考にどうぞ
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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