甘ずっぱい香りのパイナップル。ひと切れ落としたら、愛犬がじっと見つめていた、という経験がある人もいるかもしれません。結論は、皮・芯・葉の部分(冠芽)を取り除いた生の果肉を、小さく切ってごく少量なら与えられる(◯)です。缶詰やドライパイナップルは、砂糖が多いため避けるのが基本です。
この記事では、獣医師・丸田香緒里さん監修のAll About、いぬのきもちWEB MAGAZINE(酪農学園大学・佐野忠士准教授監修)、AKC(米国ケネルクラブ)、環境省のガイドラインをもとに、部位ごとの扱い、酵素「ブロメライン」の話、注意が必要な犬を整理します。運営者は獣医師ではありません。持病や服薬のある子は、必ず主治医に確認してください。
パイナップルの可否を一目で
| 形 | 可否 | ひとこと |
|---|---|---|
| 生の果肉 | ◯ 少量 | 小さく刻む。酸味を嫌がる犬には無理に与えない |
| 皮・芯・冠芽 | × 取り除く | 硬くてとげ状。消化しにくく詰まりの原因に |
| 冷凍の小片 | ◯ 少量 | 生の果肉を凍らせたもの。夏のおやつに |
| 缶詰(シロップ漬け) | × 避ける | 糖分が多い |
| ドライパイナップル | × 避ける | 砂糖コーティングや、胃で膨らむ心配 |
| ジュース | △ 原材料に注意 | 果汁100%でも糖類や香料が入ることがある |
他の果物や野菜の可否は犬が食べていいもの・ダメなもの早見表で確認できます。
皮・芯・冠芽を除く理由と、ブロメラインの話
AKCは、パイナップルの皮はとげ状でざらざらしており、中心の硬い芯と同様、消化管の詰まりを起こすおそれがあるため、果肉だけを与えるよう述べています。AKCの果物一覧ページでは、冠芽(上の葉の部分)も取り除くとしています。All Aboutも、皮と芯は硬いので必ず取り除き、犬の口の大きさに合わせて小さく刻むよう勧めています。繊維が多い果物なので、細かくするほど安心です。
ブロメラインとは
パイナップルにはたんぱく質を分解する酵素ブロメラインが含まれます。All Aboutでは、消化の助けになることが期待される一方、舌や口の中を刺激することがあるため、初めて与えるときは少量ずつ、としています。この酵素は熱に弱く、缶詰のように加熱された製品では働きが期待できません。AKCの果物一覧ページも、ブロメラインは犬がたんぱく質を吸収するのを助ける酵素と紹介していますが、これらはあくまで「期待」の話で、犬の健康効果として断定できるものではありません。栄養やブロメラインのために無理に与える食べ物ではない、と考えておきましょう。
ビタミンCやクエン酸は?
All Aboutでは、パイナップルのビタミンCは皮膚や粘膜の健康、抗酸化の面で期待でき、クエン酸は疲労回復の面で期待できるとして、長い散歩やトレーニングのあとのおやつにも向く、と紹介されています。ただ、犬は体内でビタミンCを作れることも同じ記事で触れられています。足りない栄養を果物で補う、というより、暑い日や運動後の気分転換になるおやつ、くらいの位置づけが現実的です。
与え方と量の考え方
量の数値は、確認できた出典にはありません。AKCは「一口大の果肉を数切れ」で多くの犬には十分としています。おやつ全体の割合としては、環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」が間食は1日に必要なカロリーの20%以内、AKCがおやつ全体の10%以内を目安にしています。いぬのきもちWEB MAGAZINEは、パイナップルは食物繊維が多く、与えすぎると軟便や便秘の原因になるとしています。
- 皮・芯・冠芽を除き、果肉を小さく刻む
- 初めての日は、ごく少量。口の周りの赤みやよだれ、下痢がないか見る
- 冷凍する場合は、小さく切ってから凍らせる(AKCの紹介)
- 与えた分、その日のフードを少し減らす
注意が必要な犬・ケース
- 血が固まりにくくなるのを防ぐ薬を飲んでいる犬:All Aboutは、ブロメラインの働きで薬の効果が強まり、出血しやすくなるおそれがあるとして、与えないよう述べています。服薬中は必ず獣医師に確認してください。
- 小麦アレルギーがある犬:All Aboutは、人の論文で、小麦アレルギーの人がブロメラインにも反応した例が報告されているとして、犬でも起こる可能性があり避けたほうがよいとしています。
- 糖尿病・肥満・膵炎の経験がある犬:果物の糖分に注意が必要です。
- 胃腸が弱い犬、酸味が苦手な犬:酸や糖分、食物繊維で軟便や胃の不調を起こすことがあります。AKCも、初めて食べたときは様子を見て、下痢などが出たら合わない可能性があるとしています。
- 子犬・シニア犬:食べ慣れないものは、ごく少量から。
缶詰・ドライ・ジュース、食べてしまったとき
パイナップルの缶詰は、All AboutもAKCも避けるよう述べています。シロップ漬けで糖分が多く、肥満につながりやすいうえ、加熱の工程で酵素の働きも期待できなくなるためです。ドライパイナップルは、砂糖がまぶされたものは肥満のリスクが高く、砂糖不使用の乾燥だけのものでも、水分を含んで膨らみ、大量に食べると吐き気の原因になるとされています。ジュースは、原材料がパイナップルのみなら問題ないとされますが、「果汁100%」でも糖類や香料が加えられることがあるため、成分表示を確認してください。
皮や芯、冠芽をかじってしまったときは、口の中に残っていれば取り除き、その後の様子を見ます。次のような様子があれば、動物病院に連絡してください。
- くり返す嘔吐、元気や食欲がない
- お腹が張って痛がる、うんちが出ない
- 口の中をしきりに気にする、よだれが止まらない
よくある質問
Q. パイナップルで食糞が治る?
All Aboutは、食糞(うんちを食べる行動)の予防について、日本語・英語ともに正式な研究結果は見つからなかったと述べています。ブロメラインで消化がよくなり減るのではないかという推測や、うんちの味が変わるという説にも、具体的な根拠は示されていません。試してみる価値があるという位置づけで、すべての犬に効くとは言えません。食糞が続く場合は、まず動物病院に相談してください。
Q. 冷凍パイナップルはあげてもいい?
AKCは、小さく切った生のパイナップルを凍らせたものを、夏のおやつとして紹介しています。砂糖などを加えていない、原材料がパイナップルのみの冷凍品なら、考え方は同じです。固まりのままだとのどに詰まりやすいので、小さく切ってから与えましょう。
Q. カットフルーツの盛り合わせは?
All Aboutは、加工していないカットフルーツなら、与えて問題ないとしています。ただし、盛り合わせにぶどうが混ざっている場合はそのまま与えず、パイナップルだけを取り分けてください。ぶどうは犬に与えてはいけない食べ物です。
まとめ
- パイナップルは、皮・芯・冠芽を除いた生の果肉を、小さく刻んで少量なら与えてよい(◯)
- 缶詰・砂糖入りのドライは避ける。ジュースも成分表示を確認
- ブロメラインの健康効果は断定できない。口の刺激や軟便には注意
- 血が固まりにくくなる薬を飲んでいる犬、小麦アレルギーの犬は先に獣医師へ
- 量はおやつ全体で1日のカロリーの一部まで(環境省は20%以内、AKCは10%以内)
- ほかの果物はキウイやバナナの記事も参考にどうぞ
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

コメント