犬の鼻血は、人の鼻血のように「よくあること」ではなく、体のどこかに原因があるサインのことが多いとされています。ぶつけた直後のごく少量で、すぐに止まって元気そうなら慌てなくてもよい場合もありますが、止まらない、くり返す、呼吸が苦しそう、ぐったりしているときは早めに動物病院へ連絡してください。この記事では、鼻血が出たときの家での落ち着いた対応、考えられる原因、受診の目安を整理します。原因の診断は獣医師にしかできないため、ここでは「どう動くか」の判断材料としてお読みください。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- 鼻血は病気のサインのことが多く、止まらないなら受診が基本
- 家では安静と鼻すじの冷却。鼻に詰め物や人の薬はNG
- 呼吸が苦しい・ぐったり・殺鼠剤の疑いは夜間でも救急へ
鼻血が出たとき、まず家でやること・やらないこと
要点|落ち着かせて鼻すじを冷やす。鼻に綿やティッシュを詰めない
鼻血に気づいたら、まず飼い主さんが落ち着くことが大切です。犬が興奮して暴れたり、鼻を足でこすったりすると、出血が増えることがあります。
VCAアニマルホスピタルズの解説では、興奮すると血圧が上がって出血が悪化しやすいため、犬を落ち着かせることが最初の対応として挙げられています。
やること
- 静かな場所で安静にさせる:声を荒げず、ゆったり抱くか、横にならせる。走り回らせない
- 鼻すじを冷やす:保冷剤をタオルで包み、鼻の上(鼻すじ)にそっと当てる。鼻が短い犬種は、呼吸をふさがないように注意する
- 出血のようすをメモ・撮影する:いつ始まったか、何分続いているか、片方か両方か、量はどのくらいか
- 周囲を確認する:直前にぶつけた、ケンカした、草むらで遊んだ、殺鼠剤(ネズミ用の薬)や農薬のある場所に行った、といった心当たりがないか
やらないこと
- 鼻の穴に綿棒・ティッシュ・ガーゼを詰めない:VCAアニマルホスピタルズでは、鼻の中に綿などを入れるとくしゃみを誘発しかねないと注意しています
- 人用の薬を与えない:獣医師の指示なく薬を与えるのは避ける
- 鼻を強く押さえつけない:嫌がって暴れ、かえって出血が増える
なお、鼻血のとき、犬は血を飲み込んでいることがあります。そのため、あとで黒っぽいうんちが出たり、血の混じったものを吐いたりすることもあります。
VCAアニマルホスピタルズでは、これは鼻血のあとによくあることで、胃腸からの出血とは限らないと説明されていますが、気になる場合は受診時に伝えてください。
💡 犬の鼻血の主な原因
要点|けが・異物・感染・歯の根・腫瘍・血が止まりにくい病気などを表で整理
犬では、病気とは関係なく鼻血が出ることはあまり多くないと説明されています。原因は大きく「鼻の中の問題」と「体全体(血液・全身)の問題」に分けて考えると整理しやすくなります。
| 分類 | 主な例 | ほかに見られやすい様子 |
|---|---|---|
| けが・外傷 | ぶつけた、ケンカ、遊びの最中の衝撃 | 直前の出来事がはっきりしている、顔まわりの腫れ |
| 異物 | 草の種(ノギなど)が鼻に入る | 突然のくしゃみ、鼻を前足でこする、片側の鼻水 |
| 鼻・のどの炎症や感染 | 鼻炎、細菌・真菌の感染 | くしゃみ、鼻水、いびきのような呼吸音 |
| 歯の根の問題 | 上あごの歯の根元の膿など | 口臭、顔の腫れ、食べにくそうなしぐさ |
| 鼻の腫瘍 | 鼻の中にできものがある場合 | 慢性的な鼻水・くしゃみ、顔の変形、鼻血のくり返し |
| 血が止まりにくい状態 | 血小板の減少、血液が固まりにくい病気、殺鼠剤の中毒 | 歯ぐきの出血、皮膚の紫色の点(点状出血)、黒いうんち |
| その他の全身の病気 | ダニが媒介する感染症、肝臓の病気、薬の影響など | 元気や食欲の低下、貧血っぽい様子 |
VCAアニマルホスピタルズでは、けがと鼻の腫瘍が主な原因として挙げられ、そのほかにも多くの原因があるとされています。急に起きたものの多くは、単純なけがや上気道の感染が原因とされる一方で、原因が複数重なることもあります。
MSDマニュアルでも、血小板の働きや数に問題がある病気で、小さなあざ、鼻血、黒いうんちなどが見られることがあると説明されています。
草の種のような異物や、マダニなどが関わる場合もあります。散歩のあとのチェックや予防については、ノミ・マダニ予防の記事もあわせてご覧ください。
🐶 「片方だけ」「高齢」「少量だけ」の鼻血をどう見る?
要点|片側だけ・少量でも決めつけず、くり返すなら受診を考える
片方の鼻だけから出ている
片側だけなら軽い、両側なら重い、といった単純な見分けはできません。
片側だけの出血や鼻水は、鼻の中に異物がある場合のサインとして挙げられることもありますが、腫瘍や感染が片側にだけ起きている場合もあるため、「片方だけだから大丈夫」とは言い切れません。くり返すか、止まりにくいときは受診してください。
高齢の犬の鼻血
年齢を問わず鼻血の原因は幅広いのですが、高齢の犬では腫瘍や全身の病気が背景にあることもあるため、「ぶつけていないのに出た」「何度も出る」といった場合は、早めに診てもらう価値があります。ふだんのくしゃみや鼻水の様子と合わせて伝えると診察がスムーズです。
少量で、すぐ止まった
1回だけ少量で、すぐ止まり、直前にぶつけたなど理由がはっきりしていれば、様子を見るという判断もあります。それでも、数日以内にもう一度出る、くしゃみや鼻水が続く、といった場合は受診してください。
鼻血が出た時点で止まっていても、鼻の中に異物が残っていることがあり、止まったあとに受診を勧める情報もあります。
くしゃみのあとに血が混じる
くしゃみが続いたあとにピンク色の鼻水や血が混じる場合は、鼻の中の炎症や異物のサインであることがあります。くしゃみの原因については犬のくしゃみの原因と逆くしゃみとの違いで整理しています。
鼻血に見えて別の出血のこともある?血の混じり方の見分け方
要点|出血の場所は素人には判断しにくい。色・場面・口の中の様子をメモして伝える
「鼻から血が出ている」と思っても、実際には口の中やのどからの出血が鼻のほうへ流れてきている場合があります。
VCAアニマルホスピタルズでも、出血は鼻の穴の入り口、鼻の奥の空間、鼻の奥からのどにつながる部分など、複数の場所から始まりうると説明されています。
飼い主さんが出血の場所を特定するのは難しいため、次の点を見て、そのまま獣医師に伝えるようにしましょう。
- 血の出方:さらさらした鮮やかな赤か、鼻水に血がまじるピンク色か、黒っぽく固まっているか
- 出る場面:くしゃみのあと、運動のあと、寝ているとき、何もしていないときのどれか
- 口の中の様子:歯ぐきの色(白っぽくないか)、口臭、出血、腫れ
- 吐いたものやうんち:血が混じる、黒っぽい、といった変化がないか
血を吐いたように見えるときは、鼻血で飲み込んだ血が出てきただけの場合もあれば、胃腸など別の場所の出血の場合もあります。見た目では区別がつかないため、嘔吐が続く、ぐったりしているなどの様子があれば、早めに連絡してください。
🏥 動物病院へ行く目安
要点|様子見・早めの受診・すぐ連絡の3段階。殺鼠剤の疑いは緊急
様子を見てよいことが多いケース
- ぶつけたなど理由がはっきりしていて、ごく少量で短時間で止まった
- 止まったあとも元気・食欲・呼吸がいつも通りで、くしゃみや鼻水が続かない
ただし、「初めて」の鼻血なら、念のためかかりつけの動物病院に電話で相談しておくと安心です。次回の受診時に、鼻血のあった日と状況を伝えるのもよいでしょう。
早めに動物病院を受診したいケース
- 鼻血が何度もくり返す、数日〜数週間のうちにまた出た
- くしゃみ・鼻水・いびきのような音が続く
- 顔が腫れている、鼻まわりの形が変わった、目の様子がおかしい
- 口臭が強い、歯ぐきから血が出る、食べにくそうにしている(歯や口の病気については歯茎が赤い・出血するときの見方も参照)
- 皮膚に紫色の点やあざが出ている、黒いうんちが続く
- 食欲や元気が落ちている
すぐに動物病院(夜間・休日は救急)へ連絡したいケース
- 応急処置をしても止まらない。日本語の解説では「30分以上止まらない」を目安とするものもあります
- 出血量が多い、ぽたぽた流れ続ける
- 呼吸が苦しそう、口を開けて息をしている、ゼーゼーしている
- ぐったりしている、歯ぐきが白っぽい、ふらつく
- 殺鼠剤(ネズミ用の薬)を食べた可能性がある。MSDマニュアルは、疑われる場合は緊急で、すぐ受診すべきだと説明しています。食べてから24時間は出血が目立たないこともあるため、「症状が出ていないから大丈夫」と考えないでください
- 人の薬やほかの薬を誤って食べた可能性がある(誤飲全般については誤飲・誤食の対処法を参照)
受診の前に電話をして、出血の量・続いている時間・呼吸の様子・心当たりを伝えると、受け入れの準備や移動中の注意点を教えてもらえます。移動中は保冷剤で鼻すじを冷やしながら、車内でも落ち着かせてあげてください。
🏥 病院ではどんなことをする?伝えておきたい情報
要点|薬、殺鼠剤、けが、くしゃみの有無をメモ。写真や動画も役立つ
鼻血の原因は多いため、病院では問診と触診に加えて、状況によって血液検査、血圧、レントゲンなどが行われることがあります。VCAアニマルホスピタルズでは、診察の際に次のような点が確認されると説明されています。
- ここ1か月ほどに与えた薬・サプリ(痛み止めなどを含む)
- 殺鼠剤・農薬にふれた可能性、ネズミを捕まえて食べたか
- 顔のけが、激しい遊び、草の種の可能性
- くしゃみ・鼻をこする様子、以前の鼻血、あざ、しこりや腫れ
あらかじめ、上の項目をメモしておき、鼻血の様子を撮影した写真・動画があれば持っていくと役立ちます。治療の内容は原因によって大きく変わり、原因を取り除くことが基本です。治療法の判断はすべて獣医師に任せ、家庭で薬を自己判断で与えないようにしてください。
鼻血以外の気になる症状が重なっているときは、犬の症状から探すページから該当する記事を探してみてください。
よくある質問
- 乾燥した季節や暑いときにも鼻血は出ますか?
-
人では乾燥で鼻血が出ることがありますが、犬では病気以外の理由で鼻血が出ることはあまり多くないとされています。乾燥した時期でも、鼻血があれば「季節のせい」と決めつけず、くり返すなら受診してください。
- 鼻血が出たときは、鼻を上に向けたほうがいいですか?
-
無理に顔を上向きにしたり押さえつけたりする必要はありません。血を飲み込んでしまうこともあるため、落ち着かせて、鼻すじを冷やす程度にとどめ、動物病院に連絡してください。
- 一度止まれば、受診しなくてもいいですか?
-
ごく少量で理由がはっきりしている場合は様子を見ることもありますが、原因がわからない鼻血や、くり返すもの、異物が入った疑いがあるものは、止まったあとでも受診が勧められます。迷ったら電話で相談してください。
- 鼻血が出る前に気づけるサインはありますか?
-
鼻血の前に、くしゃみが続く、片側の鼻水が出る、鼻を気にして前足でこする、いびきのような呼吸音が増えるといった様子が見られることがあります。こうした変化が続くときは、鼻血が出る前でも一度相談してみましょう。
まとめ
- 犬の鼻血は病気のサインのことが多いとされ、けが・異物・感染・腫瘍・血が止まりにくい病気など原因は幅広い
- 家では落ち着かせて鼻すじを冷やし、鼻に綿やティッシュを詰めたり、人の薬を与えたりしない
- 止まらない、量が多い、呼吸が苦しそう、ぐったりしているときは、夜間・休日でも動物病院へ連絡する
- 殺鼠剤を食べた可能性があるときは、症状が出ていなくても緊急で受診する
- 出血の量・時間・心当たりをメモし、写真や動画を残しておくと、診察で役立つ
📚 参考にした情報
- VCA Animal Hospitals|Nosebleeds (Epistaxis) in Dogs
鼻血の主な原因(外傷・腫瘍など)、安静と鼻すじの冷却、鼻に詰め物をしない、血を飲み込んで黒いうんちになることがある、止まらない・呼吸が苦しいときは直ちに受診、問診で確認される項目が説明されている。 - MSDマニュアル(獣医学・飼い主向け)|Bleeding Disorders in Dogs
血小板の異常で鼻血・あざ・黒いうんちが出ることがあること、殺鼠剤を食べた疑いは緊急で、食べて24時間は出血しないことが多いことが書かれている。 - ORICON NEWS(獣医師監修の犬の病気解説)|犬の鼻水・くしゃみ(鼻血を含む)
鼻に詰め物をしない・自己判断で薬を与えない、鼻血が長く(30分以上など)止まらない・呼吸が苦しそう・元気がないときは受診といった目安が書かれている。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。獣医師ではありません。くわしくは編集方針をご覧ください。



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