お刺身を食卓に出したら、愛犬がじっと見つめてくる。まぐろやかつおは、犬が大好きな匂いの魚です。でも、「ひと切れくらいならいいかな」と思って大丈夫なのでしょうか。結論からいうと、まぐろ・かつおは、加熱したものをごくたまに少量だけなら△、生の刺身やたたきは与えないのが無難(×)です。理由は、生の魚に付く寄生虫や細菌のリスクと、まぐろ類に含まれやすい水銀の問題です。



気になるところは、目次からすぐに飛べるよ!


この記事では、まぐろとかつおの違い、水銀の考え方、与えるなら加熱と量をどうするか、食べてしまったときの目安をまとめます。運営者は獣医師ではありません。AKCやPetMD、米国FDA、環境省の情報をもとにした一般的な内容なので、持病がある犬や子犬は獣医師に確認してください。なお、獣医系の情報源でも評価が割れているため、控えめな結論にしています。
犬にまぐろ・かつおをあげる結論早見
| 種類 | 可否 | ひとこと |
|---|---|---|
| まぐろの刺身・生の切り身 | × | 寄生虫や細菌のリスクに加え、水銀が高めの魚種もある |
| かつおの刺身・たたき | × | 表面を炙っただけのたたきは、中が生のため同じ扱い |
| 十分に加熱した赤身 | △ | 味付けなしで、ごく少量をたまに |
| トロなど脂の多い部位 | × | 脂質が多く、お腹をこわす・太る原因になる |
| 漬け丼・寿司・味付けした加工品 | × | 酢飯、しょうゆ、わさびなどが使われている |
AKC(アメリカン・ケネル・クラブ)は、まぐろは玉ねぎやチョコのように強い毒性があるわけではないものの、水銀が気がかりなので、生のものも缶詰も安全とは考えていないと説明しています。PetMDは、まぐろは水銀が高いので、小さなごほうびとしてごく少量に限り、主食や定番の食材にはしないよう勧めています。意見に幅はありますが、どちらも「頻繁に与える食材ではない」という点では一致しています。
まぐろとかつお、水銀の違いは?
魚の水銀は、食物連鎖の上位にいる大型の魚ほど多くなりやすいとされます。米国FDAが公表している市販魚の水銀濃度(1990〜2012年のデータ)の平均値を見ると、生・冷凍のまぐろは種類で差があり、メバチは0.689ppm、キハダは0.354ppm、ビンナガは0.358ppmでした。一方、かつお(スキップジャック)は0.144ppm、サケ(生・冷凍)は0.022ppmと低めです。
この数字は、人の食品としての調査なので、犬の安全基準を示すものではありません。ただ、犬は人より体が小さく、同じ量でも体重あたりの摂取量が多くなりやすいため、AKCは少量でも常食すると問題になりうる点を指摘しています。まぐろ類をごほうびに多用するより、サケなど水銀の低い魚を選ぶほうが安心、というのがAKCやPetMDの考え方です。
生の刺身・たたきを与えてはいけない理由
環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、肉や魚を生のまま与えると内部寄生虫が発生したり、細菌性の中毒を起こしたりする可能性があるため、加熱調理したものを与えるほうが安全性が高まるとしています。また、生の魚は消化が悪く、下痢や嘔吐の原因になることもあると述べています。AKCも、生のまぐろは寄生虫や細菌の心配があると説明しています。PetMDは「すべての魚介類は加熱してから」と明記しています。
かつおのたたきは、表面を炙るだけで中は生に近い状態です。人が食べる刺身やたたきには、しょうが、にんにく、ねぎ、ぽん酢、しょうゆなど、犬に向かない薬味やタレもついてきます。「ひと切れだけ」のつもりでも、食べさせないほうが安心です。人の食べ物の中でも、玉ねぎやにんにくなどは危険です。詳しくは犬の玉ねぎ中毒を確認してください。
与えるなら:加熱のしかたと量の考え方
- 加熱する:塩・油・調味料を使わず、蒸すかゆでる、焼くなどで中心まで火を通します。
- 赤身を選ぶ:トロや脂身は外します。骨や皮、血合いの硬い部分も取り除きます。
- ほぐして少量:愛犬の口の大きさに合わせてほぐし、ごはんにほんの少し混ぜます。
- 頻度は少なく:毎日ではなく、ごくたまに。PetMDは、まぐろは主食や定番の食材にしないよう勧めています。
なお、PetMDは、油漬けのまぐろは胃腸の不調や、体質によっては膵炎につながるおそれがあるため、水煮のほうが安全な選択だと説明しています。人用の味付けした加工品(ねぎとろ、漬け、そぼろなど)は、塩分や調味料が多いため避けましょう。
量はグラム数では決められません。環境省のガイドラインは、おやつなどの間食を1日に必要なカロリーの20%以内に抑えることが大切としています。魚をトッピングした日は、その分ごはんを減らします。
PetMDは、子犬にはまぐろをごく少量でも与えないよう勧め、小さい犬や若い犬、体調がよくない犬、療法食を食べている犬への給与にも注意を促しています。該当する犬には、与えないのが安心です。
魚アレルギーと、食べてしまったとき


魚へのアレルギーは、犬の食物アレルギーでは割合が多くない部類です。Mueller博士らが2016年にBMC Veterinary Researchで発表した、犬の食物アレルギー報告297頭の総説では、魚は2%でした(牛肉34%、乳製品17%、鶏肉15%、小麦13%)。それでも、食べた後にかゆがる、軟便や嘔吐が続くといった様子があれば、中止して動物病院に相談してください。調べ方は犬の食物アレルギー検査方法にまとめています。
刺身を少量なめた程度で元気なら、数日は様子を見ます。嘔吐、下痢(血が混じる)、ふらつき、震え、食欲がない、元気がないなどが見られたら、食べた量・魚の種類・時間を伝えて動物病院に連絡しましょう。AKCは、水銀が疑われる場合の症状として、震えやふらつき、嘔吐、血便などを挙げています。大量に食べた、毎日のように食べていたという場合も、早めに相談してください。家庭で吐かせたり薬を与えたりしてはいけません。
よくある質問


- 刺身を一切れだけ、あげてしまいました。大丈夫?
-
少量で、ふだんどおり元気なら、過度に心配しすぎる必要はありませんが、数日は便と食欲を見てください。繰り返さないようにしましょう。
- ツナ缶やかつお節は?
-
缶詰は塩分や油、かつお節は別の注意点があります。ツナ缶・かつお節は、別の記事でそれぞれまとめます。塩分の基本は犬の塩分の摂りすぎに注意が参考になります。
- 魚を食べさせたいなら、どの魚がいい?
-
KCは、まぐろの代わりにサケや白身魚などを挙げています。魚全般の考え方や、加熱・骨・塩分の注意点は犬は鮭を食べても大丈夫?で解説しています。ほかの食べ物は犬が食べていいもの・ダメなもの早見表で確認できます。
まとめ


- まぐろ・かつおの刺身やたたきは、寄生虫・細菌・水銀の面から与えない(×)
- 与えるなら、十分に加熱した赤身を、味付けなしで、ごく少量をたまに(△)
- 水銀はまぐろ類で高めになりやすく、かつおやサケは低め。常食は避ける
- 間食は1日に必要なカロリーの20%以内(環境省)。主食は総合栄養食
- 子犬、持病や食事制限のある犬は与えず、様子がおかしいときは動物病院へ
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

コメント