脂肪が少なそうで、ドッグフードにも使われている馬肉や鹿肉。「うちの子に与えてもいいの?」「馬刺しなら生でも平気?」と気になる方も多いと思います。結論からいうと、馬肉・鹿肉は、中心までしっかり加熱して、少量を与えるなら食べられる(△)食材です。生で与えるのはおすすめできません。とくに野生の鹿肉(ジビエ)は、人でもE型肝炎ウイルスや寄生虫などの食中毒が心配される食材です。
- 犬は、馬肉・鹿肉を中心まで加熱して少量なら食べられます(△)が、生は避けます。
- 鹿肉(ジビエ)は、中心75℃で1分以上の加熱が国の目安です。
- 馬刺しの冷凍処理は人向けの対策で、犬への安全を保証するものではありません。
- 間食やトッピングは1日に必要なカロリーの20%以内にとどめます。
- アレルギー対策の除去食は自己判断せず、獣医師と進め方を決めます。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- 馬肉・鹿肉は中心まで加熱して少量なら△、生は避けます
- 鹿肉(ジビエ)は中心75℃で1分以上の加熱が国の目安です
- 馬刺しの冷凍処理は人向けで、犬への安全を保証しません


この記事では、馬肉と鹿肉それぞれの注意点、加熱の目安、アレルギーの犬に使われることがある理由を整理します。運営者は獣医師ではありません。
公的機関や獣医系の情報をもとにした一般的な内容なので、持病がある犬や、食物アレルギーの疑いがある犬は、獣医師に確認してください。
犬に馬肉・鹿肉をあげる結論早見
要点|加熱したものは馬肉△〜◯・鹿肉△、生は控える。主食ではなくトッピング向きと整理した早見表です。
| 項目 | 馬肉 | 鹿肉 |
|---|---|---|
| 可否 | 加熱したものは△〜◯、生は控える | 加熱したものは△、生は× |
| 加熱の目安 | 中心まで十分に(75℃で1分以上が参考) | 中心75℃で1分以上(国が示すジビエの目安) |
| 主な心配 | 生の細菌や寄生虫、馬刺しのタレ | E型肝炎ウイルス・大腸菌・旋毛虫など |
| 避けたい例 | タレ付きの馬刺し、味付け馬肉 | 入手経路が不明な野生肉、生肉・生の骨 |
馬肉も鹿肉も、一般に脂肪が少ない赤身の肉といわれ、ドッグフードの原料としても使われます。ただし、栄養効果を期待して主食代わりにする食材ではありません。
どちらも、主食は総合栄養食という前提で、トッピングやごほうびとして少量使う食材です。
環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、肉や魚を生のまま与えると内部寄生虫が発生したり、細菌性の中毒を起こしたりする可能性があるため、加熱調理したものを与えるほうが安全性が高まるとしています。
馬肉:馬刺しの「生食OK」は人向けの話
要点|馬刺しの冷凍処理(-20℃で48時間以上)は人向けの食中毒対策で、犬の生食を想定した公的な基準は見つかりません。
馬肉は日本では馬刺しとして生で食べる文化があるため、「犬も生で大丈夫」と思われがちです。しかし、人が生で食べるときには決まりごとがあります。
厚生労働省は2011年に、馬肉に寄生する住肉胞子虫(サルコシスティス・フェアリー)が、生食による下痢や嘔吐などの食中毒の原因になりうるとして、生食用の馬肉は中心温度−20℃で48時間以上の冷凍処理をするよう指導しています。
自治体の資料によれば、症状は数時間後に出て軽く済むことが多いものの、食中毒として扱われています。
この冷凍処理は人向けの食中毒対策で、犬に生で与えても安全だと保証するものではありません。犬については、馬肉の生食を想定した公的な基準は見つかりませんでした。
意見が分かれる点なので、少なくともこのサイトでは「加熱して与える」のを基本にします。馬刺しの付け合わせのタレ(醤油・にんにく・しょうが)は塩分や香味野菜が気になるため、犬には不要です。
⚠️ 鹿肉:ジビエは「人でも生はNG」の食材
要点|E型肝炎ウイルスや旋毛虫などの心配があり、入手経路が不明な野生肉を生で与えるのは避けたい行動です。
鹿肉は、狩猟で得られた野生の肉であれば、どんな病原体を持っているかわかりません。
厚生労働省は、生や生焼けの鹿・イノシシ肉による食中毒として、E型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌、旋毛虫(トリヒナ)などを挙げ、中心温度75℃で1分以上の加熱を求めています。旋毛虫は冷凍しても死なないとされ、冷凍品も加熱が必要です。
犬でも、旋毛虫は生や加熱不十分な肉を食べることで感染しうるとPetMDなどの獣医系の情報で説明されており、子犬は感染しやすい傾向があるとされています。
つまり、鹿肉をもらったからと生のままあげる、猟で得た肉を生で与えるといったことは避けたい行動です。入手するなら、食肉処理施設で処理され、販売元がはっきりしているものを選び、家庭で中心まで火を通しましょう。
🍖 加熱のしかたと与え方
要点|骨・脂・筋を外し、塩なしで中心まで加熱。間食は1日に必要なカロリーの20%以内で、初日はごく少量です。


- 下ごしらえ:骨、見える脂、硬い筋を取り除きます。
- 加熱:塩・調味料なしで、ゆでる・蒸す・油を使わずに焼くなどして、中心まで火を通します。表面だけ焼くのは不十分です。
- 切り方:冷まして、愛犬の口に合わせて薄く小さく切るか、ほぐします。
- 量:環境省のガイドラインは、間食を1日に必要なカロリーの20%以内に抑えるよう示しています。馬肉・鹿肉もこの範囲で、足した分はごはんを減らします。
初めての日は、ほんの少量にして、ほかの新しい食材と重ねないようにします。まな板や包丁、手を洗うことも忘れないでください。ほかの肉の扱い方は、犬は牛肉を食べても大丈夫?も参考になります。
🍖 アレルギーの犬に使われる理由と、注意が必要な犬・食べてしまったとき
要点|除去食に使われることがありますが、アレルギーが起きない意味ではなく、進め方は獣医師と決めるのが基本です。


鶏肉や牛肉でアレルギーが出る犬の除去食に、馬肉や鹿肉などが使われることがあります。Mueller博士らが2016年にBMC Veterinary Researchで発表した、犬の食物アレルギー報告297頭の総説では、原因として報告された食材は牛肉34%、乳製品17%、鶏肉15%、小麦13%の順で、馬肉や鹿肉は挙がっていませんでした。
ただし、これは馬肉・鹿肉でアレルギーが起きないという意味ではありません。もともと食べる機会が少ないぶん、報告が少ないだけの可能性があります。除去食(原因食材を調べる食事)は、獣医師と進め方を決めるのが基本です。
調べ方は犬の食物アレルギー検査方法で解説しています。食後にかゆがる、軟便や嘔吐が続くなどの様子があれば、与えるのをやめて動物病院に相談してください。
子犬、腎臓や肝臓の持病でたんぱく質の管理をしている犬、肥満気味の犬、療法食を食べている犬は、肉をトッピングする前に獣医師へ相談すると安心です。食事の内容は、体の状態によって「足してよいもの」が変わるためです。
生の馬肉・鹿肉を食べてしまったとき
生の馬肉・鹿肉を食べてしまったら、食べた量と時間、肉の種類(市販か猟で得たものか)を確認します。数日は便と食欲を見て、嘔吐、下痢、元気や食欲の低下、筋肉を痛がる様子があれば、その情報を伝えて動物病院に連絡してください。
野生の肉の場合は、とくに早めの相談が安心です。家庭で吐かせたり薬を与えたりせず、獣医師の指示を受けましょう。生肉の考え方は、犬に生の豚肉は危険?も参考になります。
よくある質問


- 馬肉・鹿肉のジャーキーや缶詰は大丈夫?
-
犬用として売られているものは、環境省のガイドラインでいう「間食」などにあたり、パッケージの給与量の範囲で使います。原材料と加工方法を確認し、人用の味付けジャーキーは避けましょう。
- 鹿の角や骨は与えていい?
-
硬さによる歯の欠けや、割れた破片のリスクがあります。注意点は鹿の角を与える際の注意点にまとめています。
- ほかの食べ物の可否は?
-
犬が食べていいもの・ダメなもの早見表で確認できます。
- 馬肉・鹿肉だけを主食にしてもいいですか?
-
おすすめしません。環境省のガイドラインでは、必要な栄養がそろうのは総合栄養食で、肉や魚以外の食材も組み合わせて栄養の偏りを防ぐよう示しています。
- 1日に必要なカロリーは、どう計算すればいいですか?
-
環境省の参考式では、成犬は「132×体重(kg)の0.75乗」kcalです。目安なので、体型や運動量を見て調整し、迷うときは獣医師に相談します。
- 腎臓病の犬に、馬肉・鹿肉をトッピングしてもいいですか?
-
自己判断では与えず、獣医師に確認してください。腎臓病は食事の管理が治療の一部で、リンを減らした腎臓用の食事を使うことがあります。
馬肉・鹿肉は、1日にどれくらいまでなら与えてよいですか?
おやつやトッピングを全部合わせて、その犬が1日に必要とするカロリーの20%以内が上限です。馬肉・鹿肉も、この枠の中に入れます。
環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、間食を欲しがるままに与えると、栄養が偏ったりカロリー過多で肥満につながったりするため、1日に必要なカロリーの20%以内に抑えるよう示しています。
同じガイドラインでは、成犬の1日に必要なカロリーの参考値は、「132 × 体重(kg)の0.75乗」で計算するとしています。この20%を、食材のカロリーで割ると、重さの上限がわかります。
| 体重(成犬) | 1日に必要なカロリーの参考値 | 間食の上限(20%) | 馬肉(生の赤肉)に換算 | 鹿肉(ニホンジカの生の赤肉)に換算 |
|---|---|---|---|---|
| 5kg | 441kcal | 約88kcal | 約86g | 約74g |
| 10kg | 742kcal | 約148kcal | 約145g | 約125g |
| 20kg | 1,248kcal | 約250kcal | 約245g | 約210g |
この表は、あくまで上限の計算例です。毎日この量まで与えてよいという意味ではなく、ほかのおやつやごほうびも含めた合計の枠です。重さは、生の赤肉で計算しています。加熱や部位によって変わります。
運動量や体質で、必要なカロリーは変わります。初めての日はごく少量にして、体重や便の様子を見ながら調整してください。子犬、高齢犬、肥満気味の犬、体重管理中の犬は、量を決める前に獣医師に相談すると安心です。
馬肉と鹿肉では、カロリーに違いがありますか?
生の赤肉どうしなら、100gあたり約100〜126kcalの範囲で、大きな差はありません。
文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」では、馬肉の赤肉(生)は100gあたり102kcalです。シカは種類によって値が異なります。
| 食材(生の赤肉) | エネルギー(100gあたり) |
|---|---|
| 馬肉 | 102kcal |
| あかしか(輸入シカ肉の大半) | 102kcal |
| えぞしか | 126kcal |
| ほんしゅうじか・きゅうしゅうじか | 107kcal |
| にほんじか(上の2つの分析値をもとにした代表値) | 119kcal |
同じ成分表には、シカ肉の大部分はニュージーランドやオーストラリアから輸入された牧場飼育のもので、国内では、有害駆除や個体数の調整のために捕獲された野生シカも食肉として供給されている、という説明があります。
これらは人用の食材として分析された値です。犬用に加工されたジャーキーや缶詰は、製品のカロリー表示を確かめ、与えた分だけ主食を減らします。
腎臓病などの持病がある犬にも、トッピングしてよいですか?
腎臓病などの持病がある犬には、自己判断でトッピングを足さず、獣医師に確認してください。
MSDベテリナリーマニュアルによると、慢性腎臓病の治療では、腎臓の療法食に切り替えたり、食事中のリンを減らしたりすることが選択肢に挙がります。つまり、食事の管理そのものが治療の一部です。ここに肉を足すと、その計画に影響する場合があります。
慢性腎臓病は、初期にははっきりした症状がないことが多い病気です。水を飲む量や尿の量が増えるのが、早いサインのひとつです。進むと、嘔吐、疲れやすさ、食欲の低下、体重の減少などが出ます。
水を飲む量が増えた、尿が増えた、食欲が落ちた、といった様子があるときは、肉を与える前に動物病院へ相談してください。
この追記の出典
まとめ
- 馬肉・鹿肉は、中心まで加熱して少量なら△。生は避ける
- 馬刺しの冷凍処理(−20℃48時間以上)は人向けの対策で、犬への安全を保証するものではない
- 鹿肉(ジビエ)は、E型肝炎ウイルス・大腸菌・旋毛虫のリスクがあり、中心75℃で1分以上の加熱が国の目安
- 間食・トッピングは1日に必要なカロリーの20%以内。主食は総合栄養食
- アレルギー対策の除去食は自己判断せず、獣医師と進める
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。
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