「ステーキの切れ端を欲しがる」「牛肉をトッピングしたいけれど、生でもいいの?」と迷う飼い主さんは多いはずです。牛肉は犬が好む食材のひとつで、脂身を除いた赤身を、味付けなしでしっかり加熱して少量与えるなら、食べても大丈夫(◯)です。反対に、生の牛肉・脂身の多い部位・味付けした焼肉やハンバーグは控えたい食べ物です。
この記事では、赤身と脂身の違い、生で与えないほうがよい理由、加熱の目安、牛肉でアレルギーが出る犬がいることまでを整理します。運営者は獣医師ではありません。公的機関や獣医系団体などの情報をもとにした一般的な内容なので、持病がある犬は獣医師に確認してください。
犬に牛肉をあげる結論早見
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 可否 | 加熱した赤身は◯、生肉と脂身の多い部位は△〜× |
| 下ごしらえ | 脂身と筋を取り、味付けなしで中心まで加熱して小さく切る |
| 量の考え方 | トッピング・おやつとして1日に必要なカロリーの一部まで。主食は総合栄養食 |
| 避けたい例 | 焼肉のタレ付き、すき焼き、ハンバーグ、骨付き肉、霜降り肉 |
| 初めての場合 | ごく少量から。かゆみや軟便が出たら中止して相談 |
環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」でも、牛肉は鶏肉や豚肉と並んで、犬が好む食材として挙げられています。ただし、牛肉だけで毎日の栄養がまかなえるわけではありません。栄養がそろうように作られた総合栄養食を主食にして、牛肉はあくまで「ごほうび」や食欲をそそるトッピングの位置づけで考えましょう。
生の牛肉は与えない:細菌のリスクがあるから
牛肉の生食で心配なのは、腸管出血性大腸菌(O157など)やサルモネラなどの細菌です。厚生労働省の食中毒予防の案内では、腸管出血性大腸菌は中心部を75℃で1分以上加熱すれば死滅するとされており、逆にいえば、生や加熱不足の肉にはこのリスクが残ります。厚生労働省は2012年から、牛のレバーを生食用として販売・提供することを禁止しています。生で安全に食べる方法がないと判断されたためです。
犬についても同じ考え方です。環境省のガイドラインは、肉や魚を生のまま与えると内部寄生虫が発生したり、細菌性の中毒を起こしたりする可能性があるため、加熱調理したほうが安全性が高まるとしています。AKCも、生のステーキやハンバーグ用の肉にはサルモネラや大腸菌が含まれることがあり、犬にも人にも害になりうると説明し、症状がなくても犬のふんから菌が広がる可能性を指摘しています。
生の肉を中心にした食事(BARFなど)を勧める意見もありますが、米国FDAは生の動物性ペットフードのサンプルからサルモネラやリステリアが見つかったとして、生食を避けるよう呼びかけています。意見が分かれる分野ですが、始める前に獣医師へ相談したい内容です。詳しくは犬の生食(BARF)とは?で解説しています。
赤身と脂身:選ぶなら赤身、脂身は外す
牛肉は部位によって脂の量が大きく違います。犬に与えるなら、もも肉やヒレなどの赤身が向いています。バラやサーロインの脂身、霜降り肉、焼肉の脂がたっぷり付いた部位は、少量でもカロリーが高くなり、体重が増えやすくなります。
脂の多い食事と膵炎の関係は、実は研究でもはっきり結論が出ていません。MSDマニュアル(獣医学の専門情報)の飼い主向けページでは、膵炎の多くは原因を特定できないものの、ごみをあさる、人の食べ物を大量に食べるなど不適切な食事がよくある危険因子と考えられているとしています。確かなのは、脂っこい人の食べ物を日常的に与えるメリットが見当たらないということです。膵炎の既往がある犬や肥満気味の犬、脂でお腹をこわしやすい犬には、脂身を避けるのが無難です。
加熱のしかたと与え方
- 部位:赤身を選び、見える脂と太い筋を取ります。
- 加熱:塩やタレを使わず、ゆでる・蒸す・油を使わずに焼くなどして、中心まで火を通します。目安は人向けの「中心75℃で1分以上」です。
- 切り方:硬い肉は丸のみやつまりの原因になるため、愛犬の口の大きさに合わせて薄く小さく切るか、細かくほぐします。
- 量:環境省のガイドラインは、間食やおやつは1日に必要なカロリーの20%以内に抑えるのが大切としています。牛肉を足した日は、その分ごはんを減らしましょう。
ひき肉は、中まで火が通りにくいので、パラパラになるまで加熱します。ハンバーグは、玉ねぎ(犬の玉ねぎ中毒)や塩、香辛料が入っているため、人用を分けるのはやめましょう。ステーキの骨や、焼いた骨付き肉は、加熱した骨が割れやすいとされ、AKCも骨の扱いは注意が必要と述べています。骨付きは与えないでください。
牛肉アレルギーと、注意が必要な犬・食べてしまったとき
牛肉は、犬の食物アレルギーでよく報告される食材です。Mueller博士らが2016年にBMC Veterinary Researchで発表した、犬の食物アレルギー報告297頭を集めた総説では、原因として報告された食材は牛肉が34%で最多、次いで乳製品17%、鶏肉15%、小麦13%でした。つまり、アレルギーは「珍しい食材」より、むしろよく食べている食材で起きやすい傾向があります。
食べた後にかゆがる、耳や皮膚が赤くなる、軟便や嘔吐が続くといった様子が出たら、牛肉をやめて動物病院に相談してください。原因の調べ方は犬の食物アレルギー検査方法にまとめています。次のような犬も、新しい食材を加える前に獣医師に相談すると安心です。
- 子犬(消化器が未熟で、食事の栄養バランスも崩れやすい)
- 腎臓や心臓、肝臓の持病があり、たんぱく質や塩分の管理をしている犬
- 肥満気味の犬、膵炎や消化器トラブルの経験がある犬
- 療法食を食べている犬
生の牛肉・脂身を食べてしまったとき
生の牛肉を少し食べてしまった場合は、量と時間を確認し、数日は便や食欲の様子を見ます。嘔吐、下痢(血や粘液が混じる)、元気がない、食べたがらないといった様子があれば、食べた内容を伝えて動物病院に連絡しましょう。脂身や焼肉の肉を大量に食べたあと、何度も吐く、お腹を痛がる様子があるときも、早めの相談が安心です。家庭で吐かせたり薬を与えたりはしないでください。
よくある質問
Q. 牛タンやホルモンはあげてもいいですか?
どちらも脂が多く、味付けされていることがほとんどです。犬に与えるメリットは少なく、控えたほうが無難です。内臓類については、レバーのビタミンAの摂りすぎなど別の注意点もあります。
Q. 牛肉の煮汁やビーフシチューの汁は?
人用のスープは塩分や玉ねぎ、香辛料が入っていることが多いため避けましょう。塩分の摂りすぎが気になる方は犬の塩分の摂りすぎに注意も参考にしてください。
Q. ほかの人の食べ物の可否はどこで調べられますか?
犬が食べていいもの・ダメなもの早見表で、果物・野菜・肉などをまとめて確認できます。
まとめ
- 牛肉は、脂身を除いた赤身を、味付けなしで中心まで加熱すれば◯。生肉・脂身・タレ付きは控える
- 生の牛肉には、腸管出血性大腸菌やサルモネラなどのリスクがある。加熱の目安は中心75℃で1分以上
- 間食・トッピングは1日に必要なカロリーの20%以内(環境省)。主食は総合栄養食
- 牛肉は犬の食物アレルギーで報告が最も多い食材のひとつ。かゆみや軟便が出たら中止して相談
- 骨付き、ハンバーグ、焼肉のタレなど、人の料理の取り分けは避ける
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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