犬が太る一番の原因は、消費するエネルギーより食べるエネルギーが多い状態が続くことです。つまり「フードやおやつの与えすぎ」と「運動不足」が中心で、避妊・去勢手術や加齢、犬種の体質が重なると、さらに太りやすくなります。ただし、食事を変えていないのに急に太った場合や、減量しても体重が動かない場合は、病気が隠れている可能性もあります。この記事では、体型のチェック方法から、カロリーの考え方、安全な減量のペース、受診の目安まで順番に整理します。なお、運営者は獣医師ではないため、目標体重や食事量の最終判断は、かかりつけの動物病院で相談してください。



気になるところは、目次からすぐに飛べるよ!
・犬が太る原因と、自宅でできる体型チェックの方法
・1日に必要なカロリーの目安と、食事・おやつの見直し方
・安全な減量のペースと、無理のない運動の進め方
・急に太ったときに考えたい病気と、動物病院に相談する目安
犬が太る原因は食べ過ぎだけ?5つの要因


わんちゃんが太る仕組みはシンプルで、1日に使うエネルギーより、食事やおやつで摂るエネルギーが多い日が続くと、余った分が脂肪として蓄えられます。ただ、その背景にはいくつかの要因が重なっていることが多いです。
フードやおやつの与えすぎ
もっとも多いのは、食事とおやつの量が体に合っていないケースです。小型犬は体が小さいぶん、ほんの少しのおやつでも1日に必要なカロリーに占める割合が大きくなります。「少しだけ」を何度も重ねるうちに、気づかないうちに摂りすぎていることがあります。家族それぞれが別々におやつをあげている家庭は、特に注意が必要です。
運動不足と室内飼育
散歩の時間が短い、天気が悪い日が続くなどで運動量が減ると、消費するエネルギーも下がります。室内で暮らす犬は、活動量が減る一方で食べ物を得る機会が多くなりやすく、肥満が進みやすいという研究も紹介されています。
避妊・去勢手術のあと
年齢と犬種
年齢を重ねると運動量や筋肉量が減り、同じ量を食べていても太りやすくなります。また、ラブラドール・レトリーバーやダックスフンドなど、もともと太りやすいといわれる犬種もいます。犬種によって体型の「普通」が違うため、体重の数字だけでなく、後述する体型チェックも合わせて見ることが大切です。
病気やお薬の影響
甲状腺の働きが落ちる病気など、体の不調が原因で太ることもあります。食事や運動に心当たりがないのに体重が増えている場合は、「太っただけ」と決めつけないことがポイントです。詳しくは後半の「急に太ったとき」の項目で説明します。
うちの子は太っている?自宅でできる体型チェック


体重計の数字だけでは、犬が太っているかどうかは判断しにくいものです。同じ5kgでも、骨格の大きさや筋肉量で適正は変わります。そこで使われるのが、ボディ・コンディション・スコア(BCS)という体型の評価方法です。見た目と触った感触で、痩せすぎ・理想・太り気味などを判定します。
日本の解説では5段階で説明されることが多く、その場合は3が理想です。一方、海外の獣医系団体では9段階の尺度が標準とされ、4〜5が理想、6〜7が体重過多、8〜9が肥満という扱いです。尺度が違うと数字の意味も変わるので、資料を読むときは「何段階評価か」を確認しましょう。
見る・触るポイントの目安
| チェックする場所 | 痩せ気味 | 理想的 | 太り気味 |
|---|---|---|---|
| 肋骨(あばら) | 見た目でくっきり浮いている | 薄い脂肪の下で、軽く触れば確認できる | 脂肪が厚く、強く押さないと触れない |
| 上から見たウエスト | くびれが強く、細く見える | 肋骨の後ろにゆるやかなくびれがある | くびれがなく、寸胴に見える |
| 横から見たお腹 | お腹がかなり引き上がっている | 胸からお腹にかけて引き上がっている | お腹が垂れて、引き上がりがない |
ただし、グレイハウンドなどのサイトハウンド系の犬は、健康でも肋骨が多少浮いて見えることがあります。犬種ごとの特徴は、かかりつけの獣医師に聞いておくと安心です。
体重は「月に1回」同じ条件で測る
体型チェックと合わせて、体重の記録も続けましょう。小型犬は100g単位の変化でも体への影響が大きいため、家庭用のヘルスメーターで「飼い主さんが抱いた状態の体重−飼い主さん単体」を測る方法のほか、動物病院で測ってもらうのも一つの手です。測る時間帯(食前など)をそろえると、変化がわかりやすくなります。
犬が太るとどうなる?肥満のリスク
「ぽっちゃりしていてかわいい」と見える体型でも、犬の体には負担がかかっています。肥満が関わるとされる主なリスクは次のとおりです。
- 関節への負担(膝や腰など。関節炎のリスクが高まるとされています)
- 心臓や呼吸器への負担(息が上がりやすく、暑さにも弱くなります)
- 糖尿病などの代謝のトラブル
- 皮膚や耳の感染症にかかりやすくなる
- 手術や麻酔のときのリスクが高まる
- 免疫力の低下
また、2018年に報告された研究では、アメリカの動物病院で調べた約5,800頭のデータから、太り気味の犬は理想体型の犬より寿命が半年〜2年以上短い結果が出たと紹介されています。ロイヤルカナンの解説では、先進国の成犬の少なくとも2割に肥満が見られるとされており、決して珍しい悩みではありません。


年齢が上がってからの体重の変化については、老犬介護完全ガイドでも触れています。シニア期は痩せすぎも問題になるため、「太らせない」と「痩せさせすぎない」の両方を見ていく必要があります。
1日に必要なカロリーの計算方法と、フード量の決め方
「うちの子は何kcalあげればいいの?」を知りたい方向けに、一般的に使われる概算の方法を紹介します。まず、安静にしているときに必要なエネルギー(RER)は、体重2〜45kg程度の犬ならおおよそ次の式で概算できます。
たとえば体重5kgの犬なら、5×30+70=220kcalです。ここに、生活の状態に応じた係数をかけたものが、1日に必要なカロリー(DER)の目安になります。
| 状態の目安 | かける係数(目安) | 体重5kgの場合 |
|---|---|---|
| 避妊・去勢済みの成犬 | 約1.6倍 | 約350kcal |
| 未手術で活発な成犬 | 約1.8倍 | 約400kcal |
| シニア犬 | 約1.4倍 | 約300kcal |
これはあくまで計算上の目安です。同じ体重でも、運動量や体質によって実際に必要なエネルギーは変わります。すでに太り気味の場合は、現在の体重ではなく「理想体重」を基準に考えるのが一般的ですが、その理想体重を決めるのは獣医師の役割です。
ドッグフードのパッケージには100gあたりのカロリーが書かれています。DERの数字を見ながらパッケージの給与量の表を確認し、おやつを与える日は、その分のカロリーを食事から差し引くようにすると管理しやすくなります。具体的な見方は、犬のフードの量はどれくらい?パッケージ表示の見方と調整のコツで詳しく説明しています。
食事とおやつの見直し方|まず「量」と「ルール」を整える
体重管理では、運動よりも食事のほうが影響が大きいと解説されることが多く、ダイエットの第一歩は食事の見直しです。ただし、量を急に大きく減らすのは逆効果になりかねません。
おやつは1日のカロリーの1割以内を目安に
おやつを完全にゼロにする必要はありません。一般的には、おやつは1日の総カロリーの10%以内に収めるのが目安とされています。与えた分は、その日の食事から差し引きましょう。野菜のきゅうりなど、低カロリーなものを少量使うのも一つの方法です。
家族でルールを共有する
体重が減らない原因として意外に多いのが、家族それぞれがこっそりおやつをあげているケースです。1日に与えてよい量を決め、小さな容器にあらかじめ取り分けておくと、全員が同じ量を守りやすくなります。記事の最後にある「専門家に確認しました」のとおり、誰がどれだけ与えたかを記録して共有することが管理のコツです。
回数を分けて、空腹を和らげる
1日分のフードを1回で与えるより、2回以上に分けるほうが空腹を感じにくくなるといわれます。同じ時間、同じ場所、同じボウルで与えると、犬も生活のリズムをつかみやすくなります。
かさ増しトッピングを使うなら
ごはんの量が減って物足りなそうなときは、豆腐やおから、ゆでたキャベツなどでかさ増しする方法があります。ただし、トッピングにもカロリーはあるので、その分はフード量から調整してください。使う食材や量は愛犬の体質によって合う合わないがあるため、不安な場合は獣医師に確認しましょう。


ダイエット用フードに切り替えるとき
減量用に設計されたフードは、カロリーを抑えつつ満腹感を支えるよう工夫されたものがあります。切り替えるときは、数日かけて少しずつ混ぜながら変えるとお腹の負担が少なくなります。成分表示の読み方は、ドッグフードの原材料表示の読み方が参考になります。
犬の減量はどのくらいのペースが安全?運動の進め方
目安は「1週間に体重の1〜2%程度」
急激な減量は、強い空腹による問題行動や栄養不足のリスクがあります。海外の肥満外来の獣医師は、1週間に体重の1〜2%程度のペースが適切だと説明しています。国内の解説では1〜3%とする記事もあり、資料によって幅があるため、愛犬に合ったペースは獣医師と決めるのが安心です。
たとえば体重5kgの犬の場合、1週間で50〜100g程度の変化が一つの目安です。数字の小さな変化に見えますが、数か月かけて少しずつ減らしていくのが基本です。量を減らして終わりではなく、体重とBCSを定期的に確認しながら調整します。
散歩・遊びで無理なく運動量を増やす
運動を増やすときも、急に負荷を上げるのは避けましょう。肥満の犬は関節にすでに負担がかかっているため、まずは散歩の時間を少しずつ延ばす、ゆるやかな坂道を取り入れる、知育玩具やボール遊びで体を動かす時間をつくる、といった方法から始めます。運動は、まとめて長時間行うより、週に分散させるほうが続けやすいといわれます。
- 夏場の散歩は、気温が下がる早朝や夜に
- 関節の弱い犬や短足の犬は、ジャンプを繰り返す遊びを避ける
- 息が荒い、ふらつくなどの様子があればすぐ休ませる
- 運動後は水を飲ませ、体の様子を観察する
運動後の簡単なマッサージは、筋肉をほぐすだけでなくスキンシップにもなります。ただし、痛がるそぶりを見せたら無理に続けないでください。
急に太った・減らしても痩せないときは、病気のことも


食事や運動を変えていないのに体重が増えた、お腹だけがふくらんできた、元気がなくなった、といった変化がある場合は、病気が関わっている可能性があります。代表的なものとして、甲状腺の働きが低下する病気や、クッシング症候群と呼ばれるホルモンの病気などが挙げられます。
こうした病気は、シニア期に増えるうえ、「年のせい」と見過ごされやすい点が課題です。次のような様子があれば、自己判断で食事を減らす前に動物病院で相談しましょう。
- 食事量は同じか少ないのに、体重が増えている
- お腹だけが大きくふくらんでいる
- 水を飲む量やおしっこの量が増えた
- 毛が薄くなる、皮膚の状態が変わった
- 寝てばかりで、散歩に行きたがらない
甲状腺機能低下症については、犬の甲状腺機能低下症完全ガイド|「ただ太った」と見分けるポイントで詳しくまとめています。診断や治療が必要かどうかは、検査をした獣医師にしか判断できません。
よくある質問
- 犬のダイエットで、体重はどのくらいのペースで減らすのが安全ですか?
-
海外の獣医師は1週間に体重の1〜2%程度を目安としていますが、国内の解説には1〜3%とするものもあります。極端な食事制限は避け、獣医師と相談しながら計画的に進めましょう。
- ダイエット中でもおやつをあげたいのですが、どうすればいいですか?
-
おやつを完全にゼロにする必要はありません。1日の総カロリーの1割以内を目安にし、与えた分は食事の量から差し引きます。家族で1日の上限を共有しておくと管理しやすくなります。
- フードの量を減らしているのに痩せません。なぜですか?
-
家族それぞれが少しずつおやつをあげている、計量せず目分量で与えている、運動量が足りていない、といった理由が考えられます。それでも体重が変わらない場合は、病気が隠れている可能性もあるため、一度動物病院で相談することをおすすめします。
- 避妊・去勢手術のあと、太りやすくなったらフードも変えたほうがいいですか?
-
手術後は必要なエネルギーが減りやすいといわれます。同じ量を与え続けると太りやすいため、体重とBCSを見ながら量を調整し、必要に応じて獣医師と相談してフードの種類を見直すのも一つの方法です。
まとめ


- 犬が太る主な原因は、食事・おやつの与えすぎと運動不足。避妊・去勢手術、加齢、犬種、病気も関わる
- 体重だけでなく、肋骨の触れやすさ・ウエストのくびれ・お腹の引き上がりでBCSをチェックする
- 1日のカロリーは概算できるが、あくまで目安。おやつは1日の1割以内にまとめる
- 減量は1週間に体重の1〜2%程度が目安。急に食事を減らさず、獣医師と相談しながら進める
- 運動は散歩や遊びから少しずつ。関節への負担に注意する
- 急に太った、お腹だけふくらむ、水を飲む量が増えたなどの変化があれば病気の可能性もあるので受診する
愛犬の体型は、飼い主さんの工夫で変えていけます。無理なく続けられる方法を選んで、少しずつ進めていきましょう。
専門家に確認しました
身内のドッグトレーナーに確認したところ、「体重管理で一番つまずくのは、家族の中で誰がどれだけおやつをあげたか分からなくなること」だそうです。1日に与えて良いおやつの量を家族で共有し、記録しておくと管理しやすいとアドバイスをもらいました。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。


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