子犬の口の中で、乳歯の横に永久歯が顔を出している。生後半年を過ぎても、小さな乳歯が抜けずに残っている。そんな様子を見つけると、「このまま様子を見ていいの?」「抜けなかったらどうなる?」と心配になります。結論からいうと、犬の乳歯は一般に生後6〜7か月ごろまでに永久歯へ生え変わり、その時期を過ぎても残っている場合は「乳歯遺残(にゅうしいざん)」の可能性があるため、動物病院で相談するのが安心です。



ひとつずつ、やさしく整理していくね。


この記事では、生え変わりの時期と様子、乳歯が抜けないときに起こりやすいこと、受診の目安、家庭でできることをまとめます。運営者は獣医師ではなく、診断や治療の判断はできません。獣医師が監修した解説をもとにした一般的な情報としてお読みください。
生え変わりの時期と、そのころの子犬の様子


アニコム損保の「どうぶつ病気大百科」や、第一アイペット損害保険の獣医師チームの解説では、犬の歯は生後6〜7か月ごろまでに乳歯から永久歯へ生え変わるとされています。時期には個体差があり、犬種や成長のペースによっても前後します。
生え変わり期の子犬には、次のような様子が見られることがあります。
- 家具や手、おもちゃをやたらと噛みたがる(歯茎のむずがゆさが関係しているといわれます)
- 歯茎が少し赤く見える、少量の血がおもちゃにつく
- 小さな乳歯が床に落ちていることがある(気づかないうちになくなっていることも珍しくありません)
この時期の甘噛みやいたずらは、成長の一時的な過程でもあります。「いつまで子犬なのか」という疑問は犬はいつまで子犬なのかの記事も参考にしてください。
乳歯が抜けない「乳歯遺残」とは
永久歯は通常、乳歯の根っこを吸収しながら生えてきます。この吸収がうまく進まず、乳歯が残ったまま永久歯が生えてしまう状態が乳歯遺残(乳歯遺存)です。アニコム損保の解説では、小型犬や超小型犬で多くみられるとされています。犬歯(牙)や前歯で見つかることが多いと紹介されることもあります。
乳歯が残っていると、次のような問題が起こりやすくなります。
- かみ合わせの乱れ:乳歯が邪魔をして、永久歯が本来の位置に生えられず、不正咬合になることがあります。
- 歯周病のリスク:乳歯と永久歯の隙間に歯垢や歯石がたまりやすくなり、歯周病につながります。
第一アイペット損害保険の解説では、乳歯遺残に予防法は現時点でわかっていないとされています。だからこそ、生え変わりの時期に口の中を定期的に見て、早めに気づくことが大切です。
乳歯遺残が見落とされやすい理由のひとつは、小型犬の口が小さく、飼い主の目では歯の本数や並びがわかりにくいことです。さらに、痛がる様子が目立たないまま、歯石や歯茎の炎症だけが少しずつ進むこともあります。「元気に食べているから大丈夫」と判断せず、成長の節目に口の中を確認する習慣をつけておくと安心です。
いつまで様子を見る?受診の目安


| 様子 | 目安 |
|---|---|
| 生後4〜6か月ごろ、乳歯がぐらぐらしている、永久歯が出てきている | 通常の生え変わりの範囲。無理に触らず見守る |
| 永久歯の横に乳歯がそのまま残っている(歯が二重に見える) | 早めに相談。時期を見て獣医師が判断する |
| 生後7か月を過ぎても乳歯が残っている | 乳歯遺残の可能性。動物病院で相談 |
| 歯茎の腫れが強い、膿のようなものが見える | 早めに受診 |
| 食べづらそうにしている、口を気にする、口臭が強い | 受診を検討 |
乳歯の抜けるタイミングには個体差があり、「1歳ごろまで様子を見てよい」と説明する情報もあります。ただ、永久歯の生え方に影響が出ていないかは見た目だけではわかりにくいため、生後6〜7か月ごろに一度、動物病院で口の中を診てもらうと確実です。予防接種や健康診断で来院するついでに、口の中も見てもらうとよいでしょう。病院選びはかかりつけの動物病院の選び方が参考になります。
受診するときは、「乳歯がいつごろ抜けたか(気づいた範囲で)」「永久歯がいつごろ見えてきたか」「食欲や食べ方の変化」「噛み癖や、与えているおもちゃ・ガムの種類」をメモして伝えると、診察がスムーズです。口の中を写真に撮っておくのも役立ちます。
動物病院での対応と、費用面で知っておきたいこと


乳歯遺残が確認された場合、一般には乳歯の抜歯が検討されます。永久歯を傷つけないこと、歯垢や歯石がたまりにくくすることなどが目的とされています。多くの場合、抜歯には全身麻酔が必要になります。そのため、避妊・去勢手術を予定している場合は、麻酔を1回にまとめるかどうかなど、獣医師と相談して時期を決めることがあります。
具体的な方法や麻酔の内容、リスクについては、犬の体の状態によって変わります。気になることは、診察のときに遠慮なく質問してください。
ペット保険に加入している場合、乳歯遺残の抜歯は補償の対象外になる保険もあります。たとえばアニコム損保のFAQでは、乳歯遺残による抜歯は対象外で、歯周病など歯科口腔内の症状があり治療の一環として行う場合は対象になる、と案内されています。補償内容は保険会社や契約によって異なるため、加入先に確認してください。
家庭でできること・やってはいけないこと
口の中を定期的に見る
週に1〜2回、唇をそっとめくって、歯が二重に生えていないか、歯茎が赤くなっていないかを見ておきます。嫌がる場合は無理をせず、遊びの中でさりげなく触れる程度で構いません。口を触る練習は、歯磨きのはじまりにもなります。犬の歯磨きはいつから?の記事も参考にしてください。
乳歯を無理に引っ張らない
ぐらついている乳歯を指やタオルで引っ張って抜こうとするのは避けましょう。歯が途中で折れて根が残ったり、歯茎を傷つけたりするおそれがあります。抜くかどうかは獣医師の判断に任せるのが安全です。
硬いガムやおもちゃは慎重に
生え変わり中の歯茎はデリケートです。硬すぎるおもちゃやガムは歯の破折の原因になることもあるため、子犬向けの製品を選び、必ず見守って与えます。選び方は犬のデンタルガム・噛むおもちゃの選び方で整理しています。
よくある質問
- 抜けた乳歯を飲み込んでしまっても大丈夫ですか?
-
乳歯は小さいため、気づかないうちに飲み込んでしまうこともあるといわれます。元気や食欲に変わりがなければ、過度に心配する必要はないとされることが多いですが、嘔吐が続く、食欲が落ちるなどの様子があれば、動物病院に相談してください。
- 小型犬だけが乳歯遺残になりやすいのですか?
-
小型犬や超小型犬に多いとされていますが、中型犬以上でも起こる可能性があります。犬種にかかわらず、生後7か月ごろに口の中を確認しておくと安心です。
- 乳歯は自然に抜けるのを待ったほうがいいのでは?
-
自然に抜ける場合もありますが、残ったまま永久歯が生えると、かみ合わせや歯周病に影響することがあります。待ってよいのか抜歯が必要なのかは、獣医師が口の中の状態を見て判断します。
まとめ
- 犬の乳歯は、一般に生後6〜7か月ごろまでに永久歯へ生え変わる。
- 乳歯が残る乳歯遺残は小型犬や超小型犬に多く、かみ合わせの乱れや歯周病の原因になることがある。
- 生後7か月を過ぎても残っている、歯が二重に生えて見えるときは、動物病院で相談する。
- 乳歯を無理に抜こうとせず、口の中を定期的に見て、硬いおもちゃは避ける。
子犬の歯の生え変わりは、一生使う永久歯を育てる大切な時期です。「そろそろかな」と思ったら、愛犬の口の中をのぞいてみてください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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