子犬を迎えたばかりの飼い主さんから、「歯磨きはいつから始めればいいの?」「乳歯なのに磨く意味はあるの?」という疑問はよく挙がります。結論からいうと、歯ブラシで磨くのはもう少し先でも、口まわりに触れて慣らす練習は、迎えてすぐ(生後2〜3か月頃)から始めるのが理想とされています。成犬になってから始める場合も、遅すぎることはありません。
この記事では、月齢ごとの進め方と、乳歯から永久歯への生え変わり期の注意点、成犬から始めるときの考え方をまとめます。運営者は獣医師ではないため、診断や治療の判断はできません。一般的に紹介されている内容と、受診を考える目安としてお読みください。
歯磨きを始める時期の目安は「生後2〜3か月」から
オリコンMEのペット保険ガイドに掲載されている獣医師の解説では、犬の歯周病予防として、子犬の時期(生後2〜3か月頃)から歯磨きに慣らしていくのが理想とされています。ただし、この時期に目指すのは「しっかり磨く」ことではなく、「口まわりを触られても平気になる」ことです。
価格.comのペット保険ページ(獣医師監修)や東京ドクターズの解説でも、子犬の頃から慣れさせておくことが歯周病予防のうえで重要とされています。成犬になってから急に口を触られると、多くの犬は驚くため、早い段階で「口を触られるといいことがある」と覚えてもらうほうが、後々の負担は小さくなります。
迎えた直後の数日は、新しい環境に慣れるだけで子犬にとっては大仕事です。環境に慣れて、食欲や排泄が落ち着いてきた頃から、無理のない範囲で口まわりに触れる練習を加えていくイメージで考えると、飼い主さんも気持ちに余裕を持てます。体調が悪そうなとき、眠そうなときは、その日は練習を休んで構いません。
歯のケアは、一度の頑張りより、小さな積み重ねが結果につながります。歯垢が固まって歯石になるまでの期間は数日とされており(オリコンMEの解説では約3日)、家庭ではいったん歯石になると取り除けません。だからこそ、「歯垢のうちに落とす習慣」を早くから身につけておく意味があるのです。
月齢別の進め方
| 時期の目安 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 生後2〜3か月頃 | 口元に触れる、唇を軽くめくる練習 | おやつと組み合わせ、数秒で終える |
| 生後3〜6か月頃(乳歯が抜けて永久歯に変わる時期) | 指やガーゼで歯の表面をなでる | 歯茎が敏感な時期なので、力を入れない |
| 生後6〜7か月以降 | 歯ブラシや指サックに少しずつ慣らす | 永久歯がそろってから、習慣として定着させる |
| 成犬・シニアから | 触る練習から段階的にやり直す | 痛みがないか、口の状態を先に確認する |
あくまで一般的な目安で、個体差があります。「この月齢までに磨けないといけない」というものではなく、犬の様子を見ながら進める目安として使ってください。
最初の1週間のイメージ
迎えたばかりの子犬に、いきなり「毎日歯磨き」を課す必要はありません。たとえば次のような小さな目標を、1日に何度か数秒ずつ行う形が取り入れやすいでしょう。
- 1〜2日目:おやつを与えながら、口元やあごの下をなでる
- 3〜4日目:口の横を軽く持ち上げて、犬歯(とがった歯)をちらっと見せてもらう
- 5〜7日目:指先に少量のおやつ(またはペースト)を付けて、前歯の表面にそっと触れる
どの段階でも、できたらすぐにほめてご褒美を与え、犬が自分から顔を近づけてくるくらいの様子になったら次に進みます。進みが遅くても、戻っても、問題ありません。
用意しておくと便利なもの
- 小さく切ったガーゼや、犬用の歯磨きシート(指に巻いて使う)
- 犬用の歯ブラシ(毛先がやわらかく、小さめのもの)
- 犬用の歯磨きペースト(慣らす段階では必須ではありません)
- ご褒美にするおやつ(細かくちぎれるもの)
子犬用の歯ブラシは、口の大きさに合わないと奥まで届かず、犬にとっても不快になりやすいため、サイズ感を確認してから選びたいところです。指サック型を使う場合は、指から外れて犬が飲み込むことのないよう、抜け落ち防止の工夫があるものを選ぶとよいとされています。
乳歯でも磨く意味はある?
乳歯は、生後6〜7か月頃までに永久歯へ生え変わるとされています(アニコム損保「どうぶつ病気大百科」など)。すぐに抜けてしまう歯なのに、と思うかもしれませんが、この時期の歯磨きには意味があります。
- 歯垢を落とすことより、「口を触られる習慣」をつくることが主な目的になる
- 歯の生え変わり期は口の中がむずがゆく、触られるのを嫌がる子もいるため、無理のない範囲で慣らしておくと後が楽になる
- 乳歯が抜けずに残る「乳歯遺残」がないか、飼い主が口の中を見る機会になる
乳歯が抜けない、永久歯と並んで二重に生えているといった様子があれば、早めに獣医師に見てもらうと安心です。
生え変わり期の歯磨きで気をつけたいこと
乳歯が抜けて永久歯が出てくる時期は、歯茎が少し赤くなったり、わずかに出血したりすることがあります。この時期は次の点を意識するとよいでしょう。
- ぐらついている歯を指で引っ張らない
- 歯ブラシでこすらず、ガーゼや指で軽くなでる程度にとどめる
- 嫌がる日は無理をせず、口元に触れるだけで終える
- 乳歯が落ちたときは、床に落ちた歯を犬が誤って飲み込んでも通常は問題ないとされますが、気になる様子があれば動物病院に相談する
生後7か月を過ぎても乳歯が残っている、歯茎の腫れが強い、食欲が落ちている、という場合は、動物病院で口の中を確認してもらいましょう。
成犬・シニアから始めるときの考え方
「もう大人だから」と諦める必要はありません。ただし、成犬になってから始める場合は、すでに歯石がついていたり、歯茎に炎症があったりすることがあります。その状態で歯ブラシを使うと、痛みで歯磨き自体を嫌いになってしまうおそれがあります。
- 最初に口の中を見て、歯茎の赤み・出血・歯石・口臭を確認する
- 気になる点があれば、歯磨きを始める前にかかりつけの動物病院で相談する
- 問題がなければ、触る練習から子犬と同じ順番で進める
嫌がる犬の慣らし方は犬が歯磨きを嫌がるときの記事に詳しくまとめています。高齢の犬については老犬介護の完全ガイドもあわせて参考にしてください。
よくある質問
Q. ワクチンが終わる前でも練習していいですか?
家の中で口に触れる練習をする分には、ワクチンの接種状況は関係しません。むしろ外出を控える時期は、室内でじっくり慣らすのに向いています。ワクチンの時期については混合ワクチンの接種スケジュールを参考にしてください。
Q. 歯磨きペーストは最初から必要ですか?
必須ではありません。まずは何も付けずに触る・拭くところから始め、犬が受け入れてきたら、犬用のペーストを少量試すのでも遅くありません。人用の歯磨き粉は使わないでください。
Q. 毎日できないと意味がありませんか?
オリコンMEの解説では、最低でも3日に1回以上の歯磨きが推奨とされています。理想は毎日ですが、まずは「やらない日」を減らすことから始めるのでも十分です。
まとめ
- 歯磨きの準備は、迎えてすぐ(生後2〜3か月頃)から口まわりに触れる練習として始められる。
- 乳歯でも、「口を触られる習慣づくり」という意味で練習する価値がある。
- 生え変わり期は歯茎が敏感なので、力を入れず、短時間で終える。
- 成犬・シニアは、先に口の状態を確認し、痛みがないことを確かめてから始める。
最初の目標は、歯をきれいにすることではなく、「歯磨きの時間は楽しい」と犬に覚えてもらうこと。その土台があれば、成長しても歯のケアを続けやすくなります。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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