「犬の耳掃除は、どのくらいの頻度でやればいいの?」「やらないと臭くなりそうだし、やりすぎると良くないとも聞くし…」。耳掃除は、飼い主さんの間でも意見が分かれやすいテーマです。
結論からいうと、耳掃除に「全員共通の正解の頻度」はありません。耳の中が健康で汚れが少ない犬なら、頻繁な掃除はむしろ不要とされることもあります。一方、垂れ耳や耳道が狭い犬など、汚れがたまりやすい犬は、定期的なチェックと必要に応じたお手入れが勧められます。この記事では、頻度の考え方、やってはいけないこと、掃除より先に受診したほうがよい状態を整理します。耳掃除の具体的な手順や薬の話は、獣医師の領域ですので扱いません。運営者は獣医師ではない点をご了承ください。
「頻度」より先に見るべきは、耳の状態
耳掃除の回数を決める前に、まず耳の中を観察することが大切です。ペット向けの解説では、掃除の前に「においの異常」「赤みや腫れ」「異常な量の耳垢」がないかを確認することが勧められています。こうした異変があるときは、掃除をする段階ではなく、動物病院で診てもらう段階だからです。
耳の状態は、ざっくり次の3段階で考えると整理しやすくなります。
| 耳の状態 | 考え方 |
|---|---|
| ピンク色で、耳垢が少なく、においも気にならない | 無理に掃除せず、見て確認するだけでも十分なことが多い |
| 耳垢が少したまっている、入り口が汚れている | 犬の体質に合わせて、必要に応じた軽いお手入れを検討する |
| 赤い・腫れ・強いにおい・色のついた耳垢・掻く/頭を振る | 掃除ではなく、動物病院へ相談する |
「毎週やらないといけない」と思い込んで、きれいな耳を触りすぎてしまうのは、かえって負担になることがあります。
目安として紹介されている頻度の考え方
ペット向けの解説では、耳トラブルが起きやすい犬の場合、2〜4週に1回程度の耳掃除を目安として紹介しているものがあります。同時に、週に1回程度は耳の中を確認することが勧められています。
ここで押さえたいのは、「掃除の回数」と「チェックの回数」は別物ということです。
- チェック:週1回ほど、耳の中を見て、においを嗅ぎ、赤みや耳垢の量を確認する
- お手入れ:汚れが目に見えてたまっているとき、または獣医師に勧められた頻度で行う
つまり、「毎週掃除」ではなく、「毎週見る」が基本です。なお、人間の耳掃除の解説では「月に1〜2回で十分」「やりすぎは外耳炎のリスクを高める」といわれており、犬に直接当てはまるとはいえませんが、「やりすぎに注意」という考え方は共通しています。
頻度が変わりやすい犬
- 垂れ耳の犬:耳の中が蒸れやすく、汚れがたまりやすいため、こまめなチェックが勧められる
- 耳道が狭い犬種:耳垢が外に出にくいことがあり、専門家に頻度を相談しておくと安心
- 水遊びや入浴が多い犬:水分が残るとトラブルのもとになるため、濡れたあとのケアが大切
- アレルギー体質・皮膚が弱い犬:耳の症状を繰り返しやすいので、定期チェックと早めの相談が向く
これらに当てはまるかどうかは、かかりつけの動物病院やトリミングサロンで耳の状態を見てもらい、「この子はどのくらいが目安か」を一度聞いておくのが最も確実です。
耳掃除でやってはいけないこと
耳掃除は「良かれと思って」やったことが、トラブルのきっかけになることがあります。獣医師が監修する情報やペット向けの解説で共通して注意されているのは、次のような点です。
- 綿棒を耳の奥に入れる:耳垢を奥へ押し込んだり、耳道に細かな傷をつけたりするおそれがある。入れるのは目に見える入り口付近までにとどめる、という考え方が一般的
- 人間用の耳掃除用品や、水・アルコールで代用する:刺激が強かったり、水分が残って蒸れたりする原因になる
- 必要以上に頻繁に掃除する:皮膚のバリアを傷めて、かえって炎症を起こしやすくなる
- 強くこする・無理に取ろうとする:耳の皮膚は薄くデリケート。嫌がる犬を押さえつけると、事故にもつながる
- 症状があるのに自己判断で続ける:外耳炎になっている場合、耳掃除だけでは良くならないといわれる
- 掃除したあとに水分を残す:湿った状態は、においやトラブルのもと
耳の奥は見えにくく、どこまで器具が入っているか分かりにくいのが、自宅ケアの難しいところです。「奥の汚れは自分で取ろうとしない」ことを、基本ルールにしておきましょう。
掃除の前に受診を考えたいサイン
次のような様子があるときは、耳掃除ではなく、まず動物病院に相談するのが安心です。
- 耳の中や入り口が赤い、腫れている、熱っぽい
- 強いにおいがする(甘酸っぱい、腐ったようなど)
- 茶色・黒・黄色の耳垢が急に増えた、膿のような分泌物がある
- 後ろ足で耳を何度も掻く、頭をよく振る
- 耳を触ると嫌がる、痛がる
- 頭が傾く、歩き方がふらつく
においと耳垢の見方は犬の耳が臭い・耳垢が多いときの見方で詳しくまとめています。症状があるのに「掃除すれば治るかも」と続けてしまうと、悪化や長引く原因になることがあります。
子犬・シニア・耳の弱い犬はどうする?
子犬はまだ耳が小さく、耳道も短いため、慎重さが求められます。いつから始めるかや、慣らし方の考え方は子犬の耳掃除はいつから始めるべき?をご覧ください。
シニア犬は、皮膚が薄くなったり、触られるのを嫌がるようになったりすることがあります。無理に掃除しようとせず、トリミングサロンや動物病院に任せるのも選択肢です。耳の中の毛が多い犬は、サロンで毛を整えてもらうことで、汚れがたまりにくくなる場合もあります。
自宅でのケアに不安があるときは、動物病院で「うちの子の耳の見方」と「どのくらいの頻度が適切か」を実際に聞いておくと、迷いが減ります。
トリミングサロンで耳のケアを頼むとき
シャンプーやカットのついでに、耳の中の毛の処理や耳の掃除を行うサロンもあります。頼む場合は、事前に「耳に赤みや強いにおいが出たことがあるか」「過去に外耳炎と言われたことがあるか」を伝えておくと安心です。外耳炎が治りきっていない状態での耳掃除は避けるよう勧められているため、通院中や症状が残っているときは、まず主治医に確認してからにしましょう。サロンで耳の様子を指摘された場合も、「汚れている」ではなく「赤い」「においがする」といった言葉が出たら、動物病院で診てもらうきっかけにしてください。
よくある質問
Q. 耳掃除をまったくしないと、外耳炎になりますか?
A. 健康な耳は自浄作用で耳垢が外へ運ばれるともいわれ、掃除をしないこと自体がすぐ外耳炎につながるとは限りません。一方、垂れ耳や耳道が狭い、湿気がたまりやすいなどの条件があるとトラブルが起きやすくなります。定期的なチェックを続けて、変化に気づくことが予防になります。
Q. 耳の入り口の毛は抜いたほうがいい?
A. 耳の中の毛の扱いは、犬種や耳の状態によって考え方が分かれています。自己判断で抜くと痛みや炎症の原因になることがあるため、動物病院やトリミングサロンで相談してください。
Q. 嫌がって暴れます。無理にでもやるべき?
A. 無理にやる必要はありません。嫌がる状態で行うと、耳を傷つけたり、耳を触られること自体が苦手になったりします。まずは耳に触れても落ち着ける練習から、あるいはプロに任せるほうが安全です。
まとめ
- 耳掃除に全員共通の正解の頻度はない。基本は「週1回ほど見る」「汚れが気になったら軽く整える」
- 耳トラブルが起きやすい犬は、2〜4週に1回が目安として紹介されることもあるが、動物病院で聞くのが確実
- 綿棒の奥まで入れる、人間用品や水・アルコールの使用、やりすぎ、強くこすることは避ける
- 赤み・強いにおい・色のついた耳垢・掻く/頭を振るときは、掃除ではなく受診を
耳掃除は「しっかりやること」より、「安全に、必要なときだけ」が大切です。愛犬の耳の特徴を知ったうえで、無理のないペースを見つけていきましょう。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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