ふと愛犬の耳に顔を近づけたら、ツンとしたにおいがした。耳の中に茶色や黒っぽい耳垢がたまっている。こんなとき、「掃除すれば済むのか」「病院に行くべきか」と悩む飼い主さんは多いはずです。
先に結論をいうと、耳のにおいが強い・耳垢が多い・色がついているという状態は、耳の中で炎症や感染が起きているサインのことが少なくありません。耳掃除だけで済ませようとせず、においや赤み、犬の仕草とセットで見て、気になるなら動物病院に相談するのが基本です。この記事では、においや耳垢の見方、起こりやすい犬の特徴、受診の目安を整理します。運営者は獣医師ではないため、診断ではなく「見方の目安」としてお読みください。
健康な耳でも、少しの耳垢とにおいはある
犬の耳の中は、もともと薄い皮脂や耳垢で保護されています。うっすら薄茶色の耳垢が少しあり、においもほとんど気にならない程度なら、特に問題のないケースが多いです。
日常のチェックで目安になるのは、次のような点です。
- 耳の中の皮膚がうすいピンク色で、赤みや腫れがない
- 耳垢が少量で、ベタつきやドロッとした感じがない
- 近づいても強いにおいがしない
- 耳を触っても嫌がらず、頭を振る・掻くが増えていない
反対に、「前よりにおいが強くなった」「触ると嫌がるようになった」といった変化が出たときは、一度立ち止まって耳の中を見てあげましょう。
においと耳垢の様子から考えられること
ペット向けの健康情報サイトなどでは、においや耳垢の色から、ある程度の方向性が説明されています。ただし、これはあくまで目安で、同じ見た目でも原因が違うことがあります。正確な判断には、耳の中を器具で観察したり、耳垢を調べたりする検査が必要です。
| 様子 | 一般的に言われること |
|---|---|
| 甘酸っぱい、カビっぽい、トウモロコシのようなにおい/茶色っぽい耳垢 | カビの仲間(真菌)が増えている可能性が指摘されている |
| 腐ったような強いにおい/黄色くドロッとした耳垢 | 細菌が関わる炎症の可能性が指摘されている |
| 黒っぽいカスのような耳垢/強いかゆみ | 耳のダニなどの寄生虫の可能性が指摘されている |
| 赤い・腫れている/膿のような分泌物 | 炎症が進んでいることが多く、早めの受診が勧められる |
「黒い耳垢=ダニ」「茶色=カビ」などと家で決めつけてしまうのは危険です。いくつかの原因が重なっていることもあり、原因が違えば必要な対応も変わります。表は「こんなふうに説明されることがある」という知識として、受診時に先生へ状態を伝えるヒントにしてください。
耳が臭くなりやすい犬・タイミング
どの犬でも耳トラブルは起こりますが、次のような特徴があると起きやすいといわれています。
垂れ耳・耳の中に毛が多い犬
耳が垂れていると、耳の入り口がふさがれて風通しが悪くなり、湿気がこもりやすくなります。犬種によっては耳の中にも毛が生えており、毛が耳垢をからめて詰まりやすい点も指摘されています。
耳道が狭い犬種
パグやフレンチ・ブルドッグなど、耳の穴が狭い犬は、耳垢が外に出にくく、炎症が慢性化しやすいという説明があります。
アレルギー体質・皮膚が弱い犬
アレルギー性の皮膚トラブルがある犬は、耳の中の皮膚も炎症を起こしやすく、耳の症状を繰り返すことがあります。こうした背景がある場合、耳だけをケアしても根本が変わらないことがあるため、皮膚全体の様子もあわせて見ることが大切です。アレルギーの出やすい犬種については犬のアレルギーが出やすい犬種一覧、食物アレルギーの調べ方は犬の食物アレルギー検査方法で整理しています。
水に入ったあと・梅雨から夏
シャンプーやプール、川遊びのあとに耳の中が湿ったままだと、においが出やすくなります。梅雨から夏にかけての高温多湿の時期は、特に注意が必要な季節です。
こんなときは動物病院に相談を
耳が臭い状態に加えて、次のような様子が一つでもあれば、受診を考えるタイミングです。
- 後ろ足で耳を何度も掻く、頭をよく振る
- 耳の入り口や内側が赤い、腫れている、熱っぽい
- 茶色・黒・黄色の耳垢が増えた、または膿のような分泌物がある
- 耳を触ろうとすると嫌がる、キャンと鳴く
- 頭が傾いている、ふらつく、目が揺れる(耳の奥まで炎症が及んでいるサインのことがあります)
- 耳掃除をしても数日でにおいが戻る、何度も繰り返す
特に頭の傾きやふらつきは、耳の奥の炎症が関わっていることがあるとされ、様子見にせず早めに受診しましょう。外耳炎が長引くと中耳炎に進むことがあるともいわれています。
また、「耳が臭いから」と綿棒で奥まで掃除すると、耳道に細かな傷がつき、かえって炎症を起こすおそれがあります。症状があるときは掃除で何とかしようとせず、診てもらうのが近道です。
受診するとどんな流れになる?
一般的には、問診のあと、耳の中を専用の器具でのぞいて赤みや分泌物の状態を確認します。必要に応じて耳垢を採って顕微鏡で調べ、細菌・真菌・ダニなどの手がかりを探すこともあります。原因によって必要な対応は変わるため、家庭で「これだろう」と決めて長引かせるより、早めに原因をはっきりさせたほうが、犬の負担も少なくなりやすいといえます。
受診の際は、いつからにおいが出たか、掻く・頭を振る仕草の頻度、最近のシャンプーや水遊びの日、フードやおやつを変えたかどうかをメモして持っていくと、先生に状況を伝えやすくなります。耳の写真を明るい場所で撮っておくのもおすすめです。ただし、写真を撮るために無理に耳を広げて痛がらせないようにしてください。
家でできる予防と日常チェック
耳は見えにくい場所なので、「習慣としてのチェック」が役立ちます。
- 週に1回ほど、耳の中を目で見る:赤み、耳垢の量と色、においを確認する
- 濡れたら乾かす:シャンプーや水遊びのあとは、耳の入り口まわりの水分をやさしく拭き取る
- 耳まわりの毛を整える:耳の中の毛や、耳周りの長い毛についてはトリミングサロンでの相談も選択肢
- 変化を記録する:においが強くなった日、掻く回数が増えた日をメモしておく
耳掃除そのものをどのくらいの頻度でするかは、犬の体質によって変わります。耳掃除の考え方については、子犬向けの子犬の耳掃除はいつから始めるべき?も参考になりますし、気になる場合はかかりつけ医に頻度を確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 耳のにおいが少しするだけで、元気です。病院に行くほどですか?
A. 赤みや掻く仕草がなく、においも軽いなら、まず数日、耳の中の様子を観察する方法もあります。ただし、においが強まる、耳垢の色が変わる、掻く・頭を振るが出るといった変化が見られたら、受診を考えてください。どちらか迷うときは、予約の電話で相談するのも一つの方法です。
Q. 市販の耳掃除用品で自分でケアしていい?
A. 耳に異常がない状態での軽いお手入れなら、使い方を守れば一般的なケアとして紹介されています。ただし、すでに赤みやにおいがあるときは、炎症に刺激が加わることもあるため、先に動物病院で状態を診てもらうことをおすすめします。人間用の製品や、水・アルコールで代用するのは避けましょう。
Q. 一度治っても、またにおってきました。なぜ?
A. 外耳炎は、アレルギー体質、耳の形、湿気など、背景に理由があると繰り返しやすいとされています。再発するときは、耳だけでなく皮膚全体や食事、生活環境も含めて獣医師に相談してみましょう。
まとめ
- 少量の薄い耳垢は自然なもの。ただし「においが強い」「色がついている」「ドロッとしている」は注意のサイン
- 耳垢の色やにおいの方向性は説明されているが、家で原因を決めつけず、受診時の情報として使う
- 掻く・頭を振る・赤い・触ると嫌がる・頭が傾く場合は早めに動物病院へ
- 症状があるのに綿棒で奥まで掃除しない。予防は「見る・乾かす・変化を記録する」から
耳は犬が自分でケアできない場所です。小さなにおいの変化に気づいてあげることが、愛犬の快適さを守る第一歩になります。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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