マルチーズは、真っ白で絹のような長い被毛と、くりっとした黒い瞳が印象的な小型犬です。日本では長く人気が続いており、「室内で一緒に暮らす小さな白い犬」の代表的な存在といえます。性格は甘えん坊で愛情深く、明るく穏やかなタイプが多いといわれています。



迷ったら、最後のまとめを見てね。ポイントをまとめてあるよ。
一方で、被毛が長く毛玉や汚れがつきやすいため、毎日のお手入れは欠かせません。警戒して吠える子や、留守番が苦手な子もいて、体が小さいぶん低血糖や膝などにも気をつけたい犬種です。
「かわいい」だけでなく、お世話の手間も含めて理解しておくと、迎えたあとの暮らしが楽になります。
この記事では、犬種標準(ジャパンケネルクラブ・英国ケネルクラブ)や国内外の犬種情報、日本の保険会社の統計などをもとに、マルチーズの体重・寿命、性格、お手入れ、運動量、しつけ、かかりやすい病気、向いている人までを整理しました。白くふわふわした見た目が似たビションフリーゼとの違いにもふれています。


📏 マルチーズの基本データ|体重・体高・寿命の目安
| 英語表記 | Maltese |
|---|---|
| 原産国 | 中央地中海沿岸地域(JKC) |
| グループ(JKC) | 9G(愛玩犬) |
| サイズ | 小型犬(超小型犬寄り) |
| 体高 | オス約21〜25cm/メス約20〜23cm(JKC) |
| 体重 | 約3〜4kg(JKC)。AKCでは約3.2kg未満 |
| 被毛 | 長くまっすぐで絹のようなシルキーコート |
| 毛色 | 純白。淡いレモンやアイボリーの色調は許容される |
| 寿命の目安 | 12〜15年前後。日本の統計では13歳台 |
JKCの犬種標準では、体高はオスが21〜25cm、メスが20〜23cm、体重は3〜4kgとされています。英国ケネルクラブの標準では体高25cm以下、AKCの犬種情報では約7〜9インチ(18〜23cm)、体重は7ポンド(約3.2kg)未満とされており、3kg台前半〜4kg程度が各国のケネルクラブに共通する目安といえます。
ネット上では「ティーカップ」「ミニ」といった呼び名で、さらに小さい個体が紹介されることがありますが、犬種標準にそのような区分はありません。極端に小さい個体は、低血糖など健康面の心配が増えるとされるため、小ささだけで選ぶのは避けたほうが安心です。
寿命は、AKCの犬種情報で12〜15年とされています。
日本の保険会社アニコムの「家庭どうぶつ白書」では、マルチーズの平均寿命は2023年版・2024年版のいずれも13.6歳と報告されており、小型犬としては平均的な水準です。
調査によって数字は少しずつ異なるため、目安として考えてください。


📜 マルチーズの歴史|古くから愛された「抱き犬」
マルチーズの名前は、島の名前のマルタ島が由来と思われがちですが、JKCの犬種標準では、隠れ家や港を意味する言葉に由来するという説明がされています。そのため、必ずしもマルタ島が起源とはいえず、原産国は「中央地中海沿岸地域」とされています。
古代ギリシャの陶器に似た犬が描かれたとされるなど、歴史は非常に古い犬種です。船乗りたちと一緒に地中海を渡り、各地へ広まったという話もよく紹介されますが、これは伝承の色合いが強く、詳しい経緯ははっきりしていません。
中世以降は、ヨーロッパの貴婦人たちに「抱き犬」として愛され、イギリスでは14世紀ごろから上流階級の間で人気になったと紹介されています。
19世紀にはビクトリア女王への献上品として知られるようになり、1888年にはAKCに公認されたと伝えられています。
日本では1960年代後半から1980年代前半にかけて大流行し、JKCの登録数で16年間にわたってトップだったともいわれます。今でも家庭犬として根強い人気があり、犬種ランキングにたびたび登場します。
マルチーズは古くから、働くためではなく人のそばで暮らすために飼われてきた犬種です。甘えん坊で人のそばにいたがる性格は、その歴史が関係していると考えられます。




🐾 マルチーズの性格|甘えん坊で愛情深い、でも警戒心も強め
JKCの犬種標準では、マルチーズの気質は「活発で、愛情深く、非常に穏やかで、大変知的」とされています。英国ケネルクラブでも「明るく、知的で、油断がない。性格は温和」と表現されています。
家族への愛情が深く、褒められるのが大好きなため、ごほうびを使ったしつけにも前向きに取り組める子が多いようです。
その一方で、日本では「内弁慶」「繊細」「シャイ」と表現されることもあります。家族の前では甘えん坊でも、知らない人や他の犬には警戒して吠えたり、引っ込み思案になったりする子もいます。
社会化が足りないと、こうした面が強く出やすいため、子犬のうちから少しずつ慣らすことが大切です。
吠えやすい? 噛む? 分離不安は?
小型犬の中では吠えやすい傾向があるといわれています。理由としては、警戒して吠える「警戒吠え」、甘えたくて吠える「要求吠え」、留守番中の不安から吠える場合などがあります。原因によって対応が変わるため、どんなときに吠えるのかを観察してみましょう。
体が小さいため、しつこく構われたり、乱暴に触られたりすると、驚いて噛んでしまうことがあります。小さな子どもと暮らす場合は、触り方を教え、大人が必ず見守ってください。
また、人のそばにいるのが大好きなので、甘やかしすぎると留守番で不安になりやすい面があります。留守番の練習については、分離不安症完全ガイドを参考にしてください。
オスは甘えん坊、メスはしっかり者で気が強い、といわれることもありますが、個体差のほうがはるかに大きいため、性別だけで決めすぎないのが安心です。


✂️ 見た目・毛色・お手入れ|毎日のブラッシングが基本
マルチーズは、純白の長い被毛が最大の特徴です。毛は長くまっすぐ、絹のような手触りで、ウールのようなカールや縮れは標準では好まれません。毛色は純白が基本で、ごく淡いレモンやアイボリーの色調は許容されます。
鼻や唇、目の縁が黒いことも特徴で、白い被毛とのコントラストが魅力です。
抜け毛は少ないといわれますが、毛が長く細いぶん、絡まりやすく、汚れも目立ちやすい犬種です。お手入れの基本は次のとおりです。
- ブラッシング:毎日、毛先から根元へ少しずつとかす。耳の後ろ、わきの下、足の付け根は毛玉ができやすい
- 目元・口まわり:涙やよだれで汚れやすいので、やわらかい布でこまめにふく
- シャンプー:汚れ具合に合わせて、トリミングとあわせて計画的に
- トリミング:サマーカットなど短めにするとお手入れは楽になるが、ブラッシングは続ける
- 耳・爪・歯:垂れ耳は蒸れやすい。爪や歯もあわせて定期的に確認する
涙で目の下の毛が赤茶色に変色する「涙やけ」は、白い毛のマルチーズで目立ちやすい悩みのひとつです。こまめに拭いて乾かすことが基本ですが、涙の量や目やにの色が急に変わった場合は、目の病気が隠れていることもあります。
犬の目やにの色別チェックを参考に、気になるときは動物病院に相談してください。
口の小さい小型犬は歯石がたまりやすく、マルチーズも例外ではありません。犬の歯石がつく原因と予防を参考に、子犬のうちから歯みがきに慣らしておきましょう。
マルチーズとビションフリーゼの違い
白くふわふわした見た目が似ているため、よく比べられる2犬種です。JKCの犬種標準にある数値を並べると、違いがわかりやすくなります。
| 体高 | マルチーズ:オス21〜25cm/メス20〜23cm ビション・フリーゼ:25〜29cm |
|---|---|
| 体重 | マルチーズ:3〜4kg ビション・フリーゼ:約5kg |
| 被毛 | マルチーズ:まっすぐで絹のような長い毛 ビション・フリーゼ:カールした綿のようなふんわりした毛 |
| 寿命(AKC) | マルチーズ:12〜15年 ビション・フリーゼ:14〜15年 |
| 共通点 | どちらも白い被毛のお手入れが必要。涙やけや皮膚の管理が課題になりやすい |
マルチーズはひと回り小さく、被毛が長く垂れる点が大きな違いです。詳しくはビションフリーゼのページもあわせてご覧ください。


🏃 運動量と散歩の目安
マルチーズの運動量は、中くらいか、やや少なめです。海外の犬種情報でも、短い散歩と室内遊びで満足しやすい犬種と紹介されています。
目安としては、1日2回、1回あたり10〜20分程度の散歩に加え、室内でのボール遊びや知育玩具で遊ぶ時間があれば十分な子が多いようです。もちろん個体差や年齢によって調整してください。
散歩は、気分転換や社会化のためにも大切です。いろいろな匂いや音、人や犬に触れることで、警戒心がやわらぐことがあります。ただし、体が小さいため、夏の暑い時間帯や、冬の冷え込む時間帯は避けましょう。
- フローリングは滑りやすいので、滑り止めマットを敷く(膝への負担を減らす)
- ソファやベッドからの飛び降りを防ぐため、ステップを置く
- 抱っこの際は、しっかり体を支える(落下事故に注意)
- 長い毛が地面につくので、雨の日は汚れ対策を




🎓 しつけで気をつけたいこと|褒めて伸ばす、でも甘やかしすぎない
マルチーズは、飼い主さんに忠実で、褒められるのが大好きな犬種です。そのため、叱るよりも「できたら褒める」を繰り返すしつけが向いています。基本の順番は子犬のしつけ完全ガイドにまとめています。
特に意識したいのは、次のポイントです。
- 社会化:子犬のうちから、いろいろな人・音・場所に少しずつ慣らす
- 吠えのコントロール:吠えたあとに落ち着けたら褒める。吠えて要求が通る経験を減らす
- 留守番の練習:最初は数分から。出かけるときも帰ったときも、大げさにしない
- ハンドリング:体を触られることに慣らす(ブラッシングや爪切り、歯みがきのため)
甘えん坊なので、つい何でも許してしまいがちですが、ルールのない生活は、犬本人にとっても不安のもとになります。家族みんなで同じルールを守るようにしましょう。


🏥 かかりやすい病気・健康管理のポイント
マルチーズは、体が小さく、長い被毛を持つことから、いくつか知られている注意点があります。ここでは診断や治療ではなく、日々の生活で気にかけたい点を整理します。気になる様子があれば、自己判断せず動物病院に相談してください。
- 膝のトラブル(膝蓋骨脱臼):小型犬に多く、マルチーズでも代表的な注意点です。後ろ足を上げたままスキップのように歩くなどの様子に気をつけます。
- 心臓の病気(僧帽弁の病気):高齢の小型犬に多いとされ、マルチーズも該当する犬種のひとつです。咳が増える、疲れやすいなどの変化は受診の目安です。
- 低血糖:体が小さい子犬期は、食事の間隔があきすぎないよう注意が必要です。ぐったりする、震える、ふらつくなどの様子があれば、すぐに動物病院へ。
- 白い小型犬に見られる震えの症状:原因ははっきりしていませんが、白い毛の小型犬で体の震えが見られることがあると紹介されています。続く場合は動物病院で相談しましょう。
- 目・耳のトラブル:涙やけ、目の炎症、垂れ耳の蒸れによる耳のトラブルなど。
- 歯の問題・気管の問題:歯石がたまりやすく、気管がつぶれて咳が出る体質の小型犬もいます。首輪よりハーネスのほうが気管に優しいとされます。
定期的な健康診断は、年に1回を基本にし、7歳を過ぎたころからはより細かく見てもらうと安心です。体重は自宅でも量り、小さな変化を見逃さないようにしましょう。シニア期の心臓や膝の管理が、元気で長生きするための鍵になります。
こんな様子があれば動物病院へ
- 子犬がぐったりしている、震える、ふらつく、食欲がない(低血糖の可能性があり、すぐに受診)
- 咳が増えた、疲れやすい、息が荒い
- 後ろ足を上げたまま歩く、歩き方がおかしい
- 目やにや涙が急に増えた、目をしきりにこする
- 口臭が強くなった、歯ぐきが赤い、食べにくそうにする
食事と体重管理の考え方
マルチーズは食が細く、食べムラがある子もいるといわれます。年齢と体格に合った総合栄養食を、パッケージの給与量を目安に量って与えるのが基本です。小型犬は数十〜数百グラムの増減が体型に大きく影響するため、計量が大切です。
おやつは1日の食事量から差し引いて考えます。子犬期は低血糖を避けるため、食事を1日数回に分けるのが一般的です。




✅ マルチーズが向いている人・向いていない人|迎える前のチェックリスト
向いている人
- 毎日のブラッシングと、目元・口まわりのケアを日課にできる人
- 集合住宅や限られたスペースで、穏やかな小型犬と暮らしたい人
- 家族と過ごす時間が長く、犬をひとりにしすぎない暮らしができる人
- 心臓や膝、歯などの定期的な健康チェックを続けられる人
向いていないかもしれない人
- 毛玉や汚れのお手入れに時間をかけたくない人
- 留守が長く、犬が一人で過ごす時間が多い人
- 小さな子どもがいて、落下や踏みつけのリスクを管理しにくい家庭
- 吠え声が近所に響きやすい住環境で、吠えの対策に取り組む余裕がない人
迎える際は、親犬や兄弟犬の健康情報を教えてもらえるか、犬舎を見学できるかを確認しましょう。ほかの犬種と比べたいときは、犬種図鑑から探してみてください。














よくある質問
- マルチーズは初心者でも飼えますか?
-
性格は穏やかで人懐っこく、運動量も多すぎないため、初めて犬を迎える方でも暮らしている例は多い犬種です。ただし、毎日のブラッシング、吠えのコントロール、低血糖や膝への配慮など、事前に知っておきたいポイントがあります。準備ができていれば、初心者でも十分に楽しく暮らせます。
- マルチーズは吠えますか?
-
小型犬の中では吠えやすい傾向があるといわれます。警戒吠えや要求吠え、留守番中の不安などが主な理由です。吠える場面を観察し、落ち着けたら褒める練習や、留守番の練習を少しずつ重ねることが大切です。
- マルチーズは留守番できますか?
-
短時間であれば、練習次第でできる子が多いです。ただし、人のそばにいるのが大好きな犬種のため、長時間の留守番が続くと不安から吠えたり、落ち着かなくなったりすることがあります。数分から少しずつ時間を延ばし、安心できる居場所を用意しましょう。
- マルチーズの寿命は何歳くらいですか?
-
AKCの犬種情報では12〜15年とされ、日本の保険会社の統計(アニコム「家庭どうぶつ白書」)では13.6歳と報告されています。小型犬としては平均的な水準です。心臓や膝、歯のケアと、定期健診を続けることが、シニア期の元気につながります。
まとめ
- マルチーズは体高20〜25cm、体重3〜4kg前後の小型犬。純白の絹のような被毛が特徴
- 性格は甘えん坊で愛情深く、知的。一方で警戒心が強く、吠えやすい子も
- 抜け毛は少ないが、毛玉と汚れがつきやすいので、毎日のブラッシングが基本
- 散歩は10〜20分程度を1日2回が目安。滑り止めやステップで膝を守る
- 膝・心臓・低血糖・歯などを意識して、定期健診を欠かさない
- 寿命は12〜15年前後。日本の統計では13歳台
マルチーズは、白くやわらかな被毛と愛らしい表情で、毎日を明るくしてくれる犬種です。お手入れや健康管理に手間はかかりますが、そのぶん、深い絆を築けるパートナーになるでしょう。迎える前の準備に、このページがお役に立てれば幸いです。
