犬を迎えるとき、最初にまとまったお金が必要になります。「何にいくら用意しておけば足りるのか」が分からないと、不安ですよね。この記事では、法律で決まっている手続きの費用、動物病院でかかる費用、用品をそろえる費用に分けて、公的な資料や調査にもとづく目安を整理します。犬の購入価格は犬種や販売元で大きく変わるため、ここでは「迎えたあとに必要になる初期費用」を中心に見ていきます。
金額は自治体や動物病院、販売店によって違います。目安として使い、最終的にはお住まいの市区町村や、かかりつけにしたい動物病院に確認してください。
迎える方法で費用の考え方が変わる
犬を迎える方法は、ブリーダーやペットショップから購入する、保護団体や自治体の施設から譲渡を受ける、知人から譲り受ける、などがあります。
購入の場合、価格は犬種、血統、月齢、販売元によって大きく差があり、一概に目安は示せません。契約前に、総額(犬の代金に加えてワクチンやマイクロチップ、保証などが含まれるか)を書面で確認しておくと安心です。国民生活センターのまとめでは、ペットの購入や解約に関する相談(PIO-NET登録分)が2023年度に1,492件、2024年度に1,333件、2025年度に1,484件寄せられており、先天性の病気や、勧められて断りきれずに契約してしまったケースが事例として紹介されています。その場で決めず、費用や返金・補償の条件を確認する習慣をつけたいところです。
譲渡の場合は、自治体の施設なら費用が低く抑えられることがあります。環境省がまとめた「犬・猫の引取り等手数料」(令和7年3月31日現在)の表では、北海道、札幌市、岩手県、宮城県、仙台市などで犬の譲渡手数料が0円となっている一方、青森県のように3,000円としている自治体もあります。長野県の動物愛護センターでは、犬1頭の譲渡費用が13,000円で、不妊・去勢手術、病気の検査、ワクチン接種、マイクロチップの装着を済ませたうえで譲渡する運用が案内されています。条件や金額は自治体や団体で違うため、詳しい比較は別の記事で取り上げます。
法律や自治体への手続きにかかる費用
犬を飼うと、生後91日以上の犬は市区町村への登録と、年1回の狂犬病予防注射が必要です。複数の自治体の案内では、次のような手数料が示されています。
- 犬の登録手数料:3,000円(一生に1回)
- 狂犬病予防注射済票の交付手数料:550円(毎年)
- 鑑札や注射済票を再交付してもらう場合:それぞれ別の手数料
名古屋市西区の集合注射の案内では、登録手数料3,000円、注射料金3,000円、注射済票交付手数料550円が示されています。動物病院で注射を受ける場合は、注射料金が病院ごとに異なります。
マイクロチップについては、2022年6月1日から、販売される犬・猫への装着が義務化されました。装着済みの犬を迎えたときは、飼い主の情報を変更登録する手続きが必要です。手数料や手順の詳細は、犬のマイクロチップ完全ガイドで確認できます。
動物病院でかかる初期費用の目安
日本獣医師会の「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」(令和3年8〜10月に実施、小動物診療施設の開設者1,096件が回答、令和5年9月公表)では、診療料金は各病院が独自に決めており、施設によって幅があることが示されています。主な結果は次のとおりです。
- 初診料の中央値:1,500円
- 健康診断(1日ドック)の中央値:16,250円
- 狂犬病予防接種:59.0%の施設が3,000円〜5,000円未満、37.0%が2,000円〜3,000円未満
- 犬の混合ワクチン(5種・6種):72.4%の施設が5,000円〜7,500円未満
- 犬の混合ワクチン(8種〜10種):51.7%の施設が7,500円〜10,000円未満、31.1%が5,000円〜7,500円未満
子犬は複数回の接種が必要になることが多いので、1回の料金に回数をかけて考える必要があります。接種の時期や回数は犬のワクチン完全ガイドを見てください。なお、この調査は令和3年のものです。令和3年の調査では前回(平成27年)より診療料金の中央値が上がっているため、現在の料金はもう少し高い可能性があります。
用品をそろえる費用の目安
不動産情報サイトのアットホームが2022年に公開した解説では、主な用品の目安は次のとおりです(記事内で個別の出典は示されていない目安です)。
| 用品 | 目安 |
|---|---|
| サークル・ケージ | 5,000円程度から10万円以上 |
| トイレ | 1,500円〜2,000円程度 |
| 食器 | 500円〜3,000円くらい |
| リード | 1,500円〜3,000円程度 |
| トイレシーツ | 使い捨てで1枚100円程度、洗えるタイプは2,000〜3,000円程度 |
サークルやケージは大きさで価格が大きく変わります。成犬になったときの体格を見越して選ぶと買い替えを減らせますし、寝床としての使い方は犬のクレートトレーニング完全ガイドが参考になります。すべてを最初に新品でそろえる必要はなく、足りないものを様子を見ながら足していく方法もあります。
初期費用の合計をどう見積もるか
ここまでの目安を、私が単純に足し合わせてみます(購入費用や譲渡費用は除く)。登録3,000円、注射済票550円、狂犬病注射3,000円、混合ワクチン5,000円、ケージ5,000円、トイレ1,500円、食器500円、リード1,500円、トイレシーツ2,000円で、低めに見積もって約2万2,000円です。ここに健康診断や、サークル・ベッドなど用品にこだわった分が加わるため、実際には数万円から10万円を超える範囲に広がると考えておくのが現実的です。
初期費用のあとは、毎月のフード代や医療費が続きます。年間でかかる費用は犬を飼うと年間いくらかかる?月の支出・内訳・予算の立て方を参考に、迎える前に月々の予算も決めておきましょう。
よくある質問
Q. 初期費用を抑えるために、中古品を使ってもよいですか?
ケージやサークルなど、洗って清潔にできるものであれば選択肢になります。ただし、食器やリード、首輪は犬の口や首に触れるので、傷みや汚れ、金具の緩みがないかを必ず確認してください。ワクチンや登録など、必要な手続きと医療の費用を削ることはおすすめできません。
Q. ペット保険は初期費用に入れるべきですか?
加入するかどうかは任意です。入る場合は、加入できる年齢や、すでにある持病の扱いなどの条件が商品によって違います。考え方は別の記事で、特定の商品をすすめずに整理する予定です。
Q. 迎える前に動物病院を探しておく必要はありますか?
おすすめします。迎えた直後に健康診断やワクチンの相談をするため、通いやすい距離にある病院の料金表や診察時間をあらかじめ確認しておくと、夜間や休日の急な不調にも落ち着いて対応できます。
まとめ
- 初期費用は「法律・自治体の手続き」「動物病院」「用品」の3つに分けて考える。
- 登録3,000円、注射済票550円など、公的な手数料は金額の目安がはっきりしている。
- 混合ワクチンなど病院の料金は施設によって幅がある。日本獣医師会の令和3年調査は目安として使う。
- 低く見積もっても約2万円台、用品や健康診断を加えると数万円から10万円超になることがある。
- 購入は総額と補償条件を確認し、譲渡は自治体や団体の条件を比べる。
数字は各資料の時点のものです。最新の金額は、お住まいの市区町村や動物病院でご確認ください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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