「犬を飼うと、1年でいくらかかるの?」と気になって検索する方は多いはずです。結論から言うと、調査によって数字が大きく違います。ペットフード協会の全国調査では犬1頭の月の支出は平均で約1万6,000円(年間にすると約19万円)、ペット保険会社が保険契約者に行った調査では年間約41万円という結果が出ています。この記事では、どちらの数字をどう読めばよいのか、項目別の内訳、自分の家の予算の立て方まで整理します。
なお、ここで紹介する金額はあくまで調査の平均や中央値で、実際の出費は犬種・年齢・健康状態・住んでいる地域で変わります。特定の商品や保険をすすめる記事ではありません。
ペットフード協会の調査|犬の月の支出は平均1万8,041円
ペットフード協会の「令和7年(2025年)全国犬猫飼育実態調査」では、犬に関する1か月の支出総額(医療費を含む)が報告されています。報道記事に掲載された数字をまとめると次のとおりです。
| 項目(1か月) | 平均 | 中央値 |
|---|---|---|
| 支出総額(犬全体・医療費を含む) | 18,041円 | 13,000円 |
| 犬を1頭飼っている場合 | 16,030円 | 12,000円 |
| 犬を複数頭飼っている場合 | 27,715円 | 20,000円 |
| 市販の主食用ドッグフード | 4,646円 | 3,000円 |
12か月分に直すと、犬全体の平均で年間約21.6万円、1頭飼いの平均で約19.2万円、中央値(真ん中の人の金額)で年間約15.6万円という計算になります。これは私が単純に12倍した数字で、調査が公表した年額ではありません。
この調査の集計対象は「ペットフードを使っていて、銘柄の選定や購入に関わっている飼い主」で、購入金額が0円の回答は除かれています。全員の平均というより、日常のお世話にお金を使っている飼い主の目安と考えるとよいでしょう。
ペット保険会社の調査|年間約41万円という数字の中身
アニコム損害保険は、同社のペット保険「どうぶつ健保」の契約者に向けて、毎年「ペットにかける年間支出調査」を行っています。2025年1年間の結果(有効回答5,494件)では、犬にかけた費用は年間413,416円で、前年とほぼ横ばいでした。そのうち、けがや病気の治療費は89,120円、飼育に伴って増える光熱費は22,273円と報告されています。
項目別の内訳が分かりやすいのは、少し前の2022年の調査です。犬の年間支出は約36万円で、内訳は次のように紹介されています。
- けがや病気の治療費:約6万7,000円
- フード・おやつ:約6万6,000円
- シャンプー・カット・トリミング料:約4万7,000円
- ペット保険料:約4万5,000円
- ワクチン・健康診断などの予防費:約3万4,000円
- 光熱費(飼育に伴う追加分):約1万9,000円
治療費とフード・おやつの2項目だけで、全体の約4割(37.3%)を占めていました。
なぜ数字がバラバラなのか|見るときの3つの注意点
同じ「犬の年間費用」でも約19万円と約41万円の開きがあるのは、数字の成り立ちが違うからです。
1. 調査の対象が違う
ペットフード協会の調査は全国の飼い主が対象ですが、アニコムの調査は保険に加入している飼い主が対象です。保険に入る人は医療や手入れに手をかける傾向があるかもしれず、全体の平均とは別物として見る必要があります。アニコム自身の調査でも、あくまで契約者へのアンケート結果です。
2. 含まれる項目が違う
アニコムの2022年の内訳にはペット保険料やトリミング料、光熱費まで入っています。ペットフード協会の「支出総額」は医療費を含む金額として集計されていますが、報道で確認できた範囲では、保険料や光熱費までを含むかどうかは分かりません。どこまで含めて数えるかで、総額は変わります。
3. 平均は高い人に引っ張られる
ペットフード協会の数字でも、平均(18,041円)は中央値(13,000円)よりかなり高くなっています。手術や入院などで大きく支出した人が平均を押し上げているためと考えられます。「自分は平均より少ないから心配」と考えすぎず、中央値も合わせて見るのが現実的です。
自分の家の年間予算を作る手順
調査の平均は参考にとどめ、自分の犬の条件で組み立てるほうが役に立ちます。次の順番がおすすめです。
- 毎月かかるお金を書き出す:フード、おやつ、トイレシーツなどの消耗品、毎月の予防薬など。直近3か月のレシートや明細から平均を出すと正確です。
- 年に数回かかるお金を書き出す:混合ワクチン、狂犬病の注射、健康診断、トリミング、ペット保険料など。年額を12で割って月あたりに直します。
- 突発的な出費の枠をつくる:けがや病気の治療費は予測できません。月に数千円でも、別の口座や封筒に積み立てておくと慌てずに済みます。
- 年に1回見直す:犬は年齢とともに医療費が増えやすいので、誕生日などに合わせて金額を更新します。
予防に関する費用の考え方は、犬のワクチン完全ガイド、ノミ・マダニ予防完全ガイド、フィラリア予防完全ガイドも参考になります。
見落としやすい費用と、年齢で変わる費用
年間予算に入れ忘れやすいものとして、次のような項目があります。
- 旅行や出張のときの預け先(ペットホテル・ペットシッター)
- ケージ、ベッド、リードなど用品の買い替え
- 犬が壊した家具やスリッパなどの補修
- 夏と冬の冷暖房費の上乗せ(アニコムの調査でも光熱費が項目に入っています)
- 老犬になってからの介護用品や通院費
特に年齢による差は大きく、アニコムの「家庭どうぶつ白書2025」(保険契約データにもとづく集計)では、犬の年間診療費の平均が0〜4歳で約5.3万円、5〜9歳で約8.8万円、10歳以上で約17.3万円と報告されています。若いうちの金額だけで長期の予算を考えず、シニア期に費用が増える前提で備えておくと安心です。介護が必要になったときの備えは老犬介護完全ガイドも参考にしてください。
よくある質問
Q. 小型犬と大型犬では、年間費用は大きく違いますか?
フードの量は体の大きさに比例しやすく、大型犬のほうが食費はかさみます。ただ、ペットフード協会の生涯費用の試算では、超小型犬・小型犬・中型大型犬の差はそれほど大きくなく、小型犬はトリミング代、大型犬は食費や用品代が増えるといった具合に、項目ごとに差が出ます。犬種ごとの毛の手入れや、かかりやすい病気も影響します。
Q. 毎月の積み立てはいくらくらいが目安ですか?
決まった正解はありません。ペットフード協会の中央値(月1万3,000円前後)を毎月の生活費の目安にし、それとは別に突発的な医療費のための積み立てを置く、という二段構えが考えやすいと思います。積み立ての考え方は、このカテゴリの別の記事でも取り上げます。
Q. 調査の数字より多くかかっている気がします。おかしいですか?
おかしくありません。平均は目安にすぎず、犬種、年齢、持病、住んでいる地域、トリミングの頻度などで変わります。数字が大きく外れていても、毎月の明細を見て「どの項目が大きいか」を確認すれば、見直しの手がかりになります。
まとめ
- ペットフード協会の2025年調査では、犬の月の支出は平均18,041円・中央値13,000円(医療費を含む)。
- アニコムの保険契約者向け調査では、犬の年間支出は約41万円。保険料などが入るため、全国調査とは単純に比べられません。
- 平均だけでなく中央値や調査の対象を確認し、自分の家の毎月・年数回・突発の3つに分けて予算を作る。
- 年齢とともに診療費は増えやすい。今の金額だけで長期の予算を決めない。
数字は調査時点のものです。最新の金額や詳しい内訳は、各調査の公式発表でご確認ください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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