犬の予防ケアは、「ワクチンは毎年必要?」「予防薬のお金がじわじわ重い」と、年間のトータルが見えにくい出費のひとつです。この記事では、予防にかかる費用を項目ごとに分けて、調査や公的な資料にもとづく目安を整理します。予防薬の種類や使い方には触れず、費用の見通しの立て方に絞って解説します。具体的な薬の選択や投与は、必ずかかりつけの獣医師に相談してください。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。


また、予防ケアは犬の健康を守るための費用です。節約を目的に必要な予防を省くことは、おすすめできません。「何にいくらかかるのか」を知り、無理なく続ける計画を立てることが目的です。
予防ケアの主な項目
犬の予防ケアとして、一般に次のような項目があります。
- 狂犬病予防注射(法律で義務。年1回)
- 混合ワクチン(接種の種類や頻度は犬の状況による)
- フィラリア予防(蚊が出る時期に予防薬を使うのが一般的。開始前に検査をする)
- ノミ・マダニ予防
- 健康診断
それぞれの時期や進め方は、犬のワクチン完全ガイド、犬のフィラリア予防完全ガイド、犬のノミ・マダニ予防完全ガイドで詳しく解説しています。この記事では費用の面だけを見ます。
全体の目安|年間の予防費は「3万円台」という調査も


アニコム損害保険の「2022年のペットにかける年間支出調査」(同社の保険契約者が対象)では、犬のワクチン・健康診断等の予防費は年間約3万4,000円でした。同じ調査で、けがや病気の治療費は約6万7,000円でしたので、予防費は治療費の約半分にあたります。犬の平均年齢は5.0歳とされており、全体の目安として使えます。ただし、フィラリアやノミ・マダニの予防薬がこの金額に含まれているかどうかは、公開されている情報からは確認できませんでした。
項目別の費用の目安


日本獣医師会の「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」(令和3年8〜10月実施、小動物診療施設の開設者1,096件が回答、令和5年9月公表)から、予防に関係する料金の分布を紹介します。料金は病院ごとに異なる点にご注意ください。
| 項目 | 調査結果(施設の割合) |
|---|---|
| 狂犬病予防接種 | 3,000円〜5,000円未満が59.0%、2,000円〜3,000円未満が37.0% |
| 犬の混合ワクチン(5種・6種) | 5,000円〜7,500円未満が72.4%、7,500円〜10,000円未満が14.4% |
| 犬の混合ワクチン(8〜10種) | 7,500円〜10,000円未満が51.7%、5,000円〜7,500円未満が31.1% |
| フィラリア検査(抗原検査・麻酔料除く) | 2,000円〜3,000円未満が41.9%、1,000円〜2,000円未満が41.3% |
| 健康診断(1日ドック) | 中央値16,250円 |
これに、狂犬病予防注射の済票交付手数料(複数の自治体で550円)が毎年加わります。
予防薬の費用は、体重や使う製品で変わるため、平均的な金額を断定することはできません。参考として、アニコム損害保険が2010年4月に行った契約者2,633人へのアンケートでは、フィラリア予防を毎年している人が94.1%で、年間の平均費用は10,925円でした。調査が古く保険契約者が対象のため、現在の価格とは異なる可能性があります。ノミ・マダニ予防については、最近の飼い主アンケートによる平均額が確認できませんでした。かかりつけの動物病院で、使う予定の予防薬と自分の犬の体重を伝えて、見積もりを出してもらうのが確実です。
年間の合計を試算してみる
上の分布から、私が単純に足し合わせた目安です。実際の金額ではなく、見通しを立てるための例として見てください。
- 狂犬病予防注射+済票:約3,500円〜5,500円
- 混合ワクチン(年1回の場合):約5,000円〜10,000円
- フィラリア検査:約1,000円〜3,000円
この3つで年間約1万円〜2万円ほどになります。ここに、フィラリアやノミ・マダニの予防薬代(体重・製品で変動)と、希望すれば健康診断(1日ドックの中央値は16,250円)が加わります。アニコムの調査にあった「予防費 年間約3万4,000円」は、このような項目の組み合わせの結果として納得できる水準です。
なお、一般的なペット保険では、予防接種や健康診断などの費用は補償の対象外であることが一般的です。予防費は自己負担として、毎年の予算に組み込んでおきましょう。保険の見方はペット保険は必要?入る前に知りたい考え方と比べる視点で整理しています。
予防ケアの費用を整える3つの工夫
1. 受診のタイミングをまとめる
フィラリア予防を始める前の検査のときに、健康診断を兼ねて血液検査を追加する飼い主も少なくありません。2010年のアニコムの調査でも、56.8%が追加検査を一緒に行っていました。診察料が重ならず、通院の回数も減らせます。
2. 予防の内容を獣医師と相談する
混合ワクチンの種類や接種の間隔、ノミ・マダニ予防の期間は、住んでいる地域、散歩の場所、同居する動物などによって必要性が変わります。獣医師に生活環境を伝えたうえで、無理のない予防計画を立ててもらってください。
3. 年間の予定を最初に決める
狂犬病の注射(自治体の案内の時期)、フィラリア予防の開始時期、ワクチンの接種月などを、カレンダーに書き出します。支出の時期が見えると、「急な出費」が減ります。
4. 月々に直して積み立てる
予防費は、支払いが春や秋に集中しがちです。年間の予防費を12で割って、毎月の予算に組み込んでおくと、支払いの月に家計が苦しくなる心配が減ります。たとえば年間3万円なら、月2,500円です。犬の体重が増えたり、シニア期に健康診断の回数が増えたりしたときは、金額を見直しましょう。
よくある質問


- 室内飼いなら予防は不要ですか?
-
狂犬病予防注射と登録は、室内飼いでも法律で義務付けられています。その他の予防の必要性は、生活環境や外出の頻度で変わります。自己判断で省かず、獣医師に相談して決めてください。
- 予防費が負担で、頻度を減らしたいのですが?
-
自己判断で間隔をあけると、予防の効果が不十分になることがあります。費用面で悩んでいる場合は、事情を獣医師に伝え、時期や製品などの選択肢を相談してください。
- 毎年の費用は、年齢が上がると増えますか?
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予防そのものの費用は大きくは変わりませんが、シニア期には健康診断の頻度が増えるなどで総額が上がる傾向があります。シニア期の費用の全体像は、このカテゴリの別の記事で取り上げています。
まとめ
- アニコムの2022年調査では、犬のワクチン・健康診断等の予防費は年間約3万4,000円。
- 日本獣医師会の令和3年調査では、狂犬病予防接種は多くの施設で2,000〜5,000円未満、混合ワクチンは5,000〜10,000円未満に分布。
- 予防薬の費用は体重や製品で変わるため、動物病院で見積もりを取る。
- 予防費は保険の対象外が一般的。毎年の予算に入れて、受診のタイミングをまとめると効率的。
- 費用を理由に自己判断で予防を省かず、獣医師に相談する。
数字は調査時点のものです。実際の料金は、受診する動物病院でご確認ください。年間の支出全体の見通しは、同じカテゴリの「犬を飼うと年間いくらかかる?」もご覧ください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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