「うちの子にもう1頭、お友だちを迎えたい」「ひとりっ子で寂しそうだから」。2頭目の犬を考え始めたとき、いちばん悩むのが、先住犬との相性ではないでしょうか。年齢、性別、体の大きさ、犬種、性格……。調べるほど情報が分かれていて、迷ってしまいます。
この記事では、日本語と英語の飼い主向けの解説や、獣医師・トレーナーの記事を読み比べて、2頭目を迎える前に考えておきたいことを整理しました。先に結論をお伝えすると、組み合わせの「正解」よりも、先住犬の年齢・健康・性格を最優先に見て、飼い主の時間とお金に余裕があるかを確かめることが、どの解説にも共通していました。
最初に見るのは「先住犬のコンディション」
オールアバウトの解説では、2頭目を迎えるうえでまず大切なのは先住犬であり、先住犬が嫌な思いをすれば同居はうまくいかない、という考え方が示されています。具体的には、次の点を確認します。
- 年齢と健康状態:若くて健康なら新入りを受け入れやすい一方、シニア期や持病があると、新しい犬の存在がストレスになりやすいとされています。ただし、子犬の登場で元気になるシニア犬もいるため、年齢だけでは決められません。
- 他の犬への慣れ:動物行動を専門とする獣医師のウェイラニ・スン氏は、「Psychology Today」のコラムで、ドッグランやデイケアで他の犬とうまく遊べる犬でも、自宅という縄張りに「ずっと居る相手」が増えることに戸惑う場合があると述べています。また、他の犬に慣れていない先住犬は、新入りを怖がったり攻撃的になったりすることがあり、中には他の犬を受け入れられない犬もいる、とも書かれています。
- 性格:オールアバウトでは、好奇心旺盛で社交的な犬は多頭飼いに向いている、おっとりした犬は受け入れやすいが我慢を重ねてストレスをためることがある、甘えん坊で飼い主にべったりの犬は新入りにヤキモチをやくことがある、といった傾向が紹介されています。
- しつけの状態:スン氏とヴェットストリートの記事は、どちらも「先住犬の悪い癖は新入り犬が真似をする」ことを注意しています。飛びつき、リードを引っ張る、吠え続けるといった行動があるなら、2頭目を迎える前に先住犬のしつけを見直しておくことがすすめられています。
なお、「先住犬が留守番で不安そうだから、仲間がいれば安心するはず」という理由での2頭目には注意が必要です。ヴェットストリートは、分離不安のある犬は犬が1頭増えても改善しないことが多いため、まず獣医師やトレーナーに相談するよう述べています(分離不安については犬の分離不安症完全ガイドをご覧ください)。一方、スン氏は、2頭目が不安の強い犬を落ち着かせることもあると、プラスの面にも触れています。つまり、うまくいく場合もあれば、そうでない場合もある、ということです。
年齢の組み合わせ──子犬、成犬、シニアで変わること
2頭目は子犬を迎えるケースが多いようです。獣医師で作家の片川優子氏は、現代ビジネスの記事の中で、子犬は警戒心が少なく新しい環境になじみやすい反面、先住犬は「ひとりっ子」だった立場が変わるため、注目が子犬ばかりに集まらないよう気を配る必要があると述べています。
| 先住犬 | 迎える犬 | 考えておきたいこと |
|---|---|---|
| 若い成犬 | 子犬 | 活発な子犬を受け止められるか。子犬のしつけ(トイレ、噛み癖など)に手がかかる |
| 若い成犬 | 同じくらいの年齢の成犬 | 活動量が合えば遊び相手になりやすい。性格の相性が重要 |
| シニア犬 | 子犬 | 子犬の勢いが負担になりやすく、休める場所の確保が必須 |
| シニア犬 | 落ち着いた成犬 | 子犬よりは活動量が近くなりやすい。成犬同士でも相性は要確認 |
パデュー大学のキャンディス・クローニー氏は、AP通信の記事で、飼い主が2頭目を1頭目と同じように想像してしまうが、それは必ずしも2頭に公平ではないと指摘しています。また、ペット紹介サービス「グッド・ドッグ」の共同創業者であるローレン・マクデビット氏は、子犬には時間が必要で、年上の犬には煩わしく感じられることもあるとし、保護団体やブリーダーに他の動物との接し方を詳しく聞くことをすすめています。
プリナ(オーストラリア)の解説には、先住犬が1歳くらいになって、しつけが進み飼い主との絆ができてから迎えるほうが導入しやすいという説明や、年齢差が大きすぎると活動量の違いや優位性をめぐる摩擦が出ることがあるので避けたい、という説明がありました。先住犬がシニアの場合の暮らし方は、あとで別の記事でくわしく取り上げます。
性別・体格・犬種はどう考える?
性別の組み合わせは、情報源によって意見が分かれています。ここでは、読んだ範囲での整理です。
- オスとメス:オールアバウトとプリナは、トラブルが比較的少ない組み合わせとして紹介しています。ただし、発情期への対策として避妊・去勢手術を検討する必要があります。
- メス同士:オールアバウトでは比較的トラブルが少ないとされますが、ヴェットストリートは、メス2頭の家庭では激しいケンカに発展するリスクがあると注意しています。意見が分かれている点なので、性別だけで決めないほうが安全です。
- オス同士:オールアバウトでは、性成熟(生後6か月頃)以降に縄張り争いが起こる可能性があるとされています。ただし、年齢差や性格、飼い主の対応しだいでうまくいく場合もある、という整理です。
体格については、オールアバウトが、大型犬と小型犬の組み合わせでは小型犬が押しつぶされたりケガをしたりしないよう配慮が必要で、特に大きな先住犬が小さな新入りを受け入れられないと大きなケガにつながるおそれがあると説明しています。ヴェットストリートも、体格差が極端な組み合わせはうまくいかない場合があるとしつつ、少しだけ違う程度なら競争心が減ると述べています。
同じ腹から生まれた兄弟姉妹を2頭同時に迎える場合は、犬同士の結びつきが強くなり、飼い主との関係づくりやしつけに工夫がいる、という注意がヴェットストリートとプリナの両方にあります。
犬種については、犬種名の相性より、活動量・遊び方・気質が近いかを見るほうが現実的です。ボール遊びが大好きな先住犬に、のんびり屋の犬種を迎えると、お互いに疲れてしまうことがあります。
飼い主側の準備──時間・お金・生活
片川氏は、「安易な飼育は動物のためにも飼い主のためにもならない」と述べ、複数のペットのケアを続けられるか、医療費やフード代が頭数分増えることも含めて考えるよう勧めています。オールアバウトの解説では、次の点も振り返るようにすすめられています。
- 1頭増えると、スペース、フード代、医療費、世話の時間が実質的に増える
- 家族全員が賛成しているか
- 将来、2頭が近い時期にシニアになって、介護が重なる可能性があること
- 災害のときに、全頭の安全に責任を持てるか(避難のしかたを含めて)
スン氏も、子犬を迎えるなら、トイレのしつけに使える時間、ワクチンや子犬の社会化教室の費用、2頭それぞれに毎日の運動と1対1の時間を取れるかを問いかけています。「2頭目をかわいがりたい」という気持ちだけでなく、毎日の時間割に2頭分が収まるかを具体的に想像してみてください。
迎える前の相性確認と、見送る判断
相性は、実際に会わせてみないとわからない部分が多くあります。オールアバウトでは、事前に先住犬を候補の犬に会わせて、一緒に遊ばせるなどして相性を確かめられるのが理想だと述べています。
- 中立の場所で会わせる:公園やドッグランなど、どちらの縄張りでもない場所で、リードをつけて短時間から。AP通信の記事でも、リードをつけて中立の場所で、数日かけて会わせることがすすめられています。
- 先住犬の反応を見る:体がやわらかいか、固まっていないか。判断のポイントは犬と猫・新しい犬の引き合わせ方や、多頭飼いの喧嘩の記事もあわせて参考にしてください。
- 事前の面会を相談してみる:保護団体やブリーダーに、先住犬と会わせてもらえないか相談してみましょう。迎える犬が他の犬とどう過ごしてきたかを質問できる点も安心材料です。
- 健康面の確認:迎える犬のワクチン接種や健康状態を確認します。Petscareの解説でも、会わせる前に両方の犬がワクチン接種を済ませているかを確認するようすすめています。
「今は迎えない」も立派な選択
スン氏のコラムは、2頭目の犬が必ずしも先住犬のためになるわけではないこと、相性が悪ければ犬も人も生活の質が下がり、どちらかを手放すような難しい選択を迫られることもあると警告しています。次のような状況なら、時期を見送るのも一つの選択です。
- 先住犬が他の犬に強く吠える・怖がる、または体調やシニア期の負担が大きい
- 先住犬のしつけや分離不安の課題が解決していない
- 留守番の時間が長い、家族の協力が得られない、経済的な余裕が不安
先住犬と飼い主の暮らしが落ち着いていれば、あせって迎える必要はありません。多頭飼いのメリットとデメリットを整理したいときは、犬の多頭飼いを考えていますか?も読んでみてください。
よくある質問
Q. オスとメスならうまくいきますか?
読んだ解説では、オスとメスの組み合わせはトラブルが比較的少ないとするものが多かった一方、性別だけで相性が決まるわけではありません。去勢・避妊の有無、年齢差、それぞれの性格のほうが大きな要素になります。
Q. 同じ犬種のほうが仲良くなりますか?
同じ犬種だと体格や遊び方が近く、合わせやすい面はありますが、犬種が同じだから必ず仲良くなるとはいえません。犬種より、遊び方や運動量が近いかを見てください。
Q. 先住犬が寂しそうなので、お友だちを迎えたいです。
先住犬が本当に寂しいのか、運動や遊び、飼い主と過ごす時間が足りていないのかを、まず見直してみてください。仲間を迎えれば解決するとは限らず、むしろ先住犬の負担が増えることもあります。不安が強いときは、動物病院やトレーナーに相談することをおすすめします。
まとめ
- 最初に見るのは、先住犬の年齢・健康・性格・他の犬への慣れ
- 先住犬のしつけの課題は、2頭目を迎える前に整えておく
- 性別・体格の組み合わせは意見が分かれるため、傾向として参考にする
- 犬種より、活動量と気質が近いかを重視する
- 飼い主側は、時間・お金・住環境・家族の同意・将来の介護や災害時まで想像する
- 中立の場所で実際に会わせて、先住犬の反応を確かめる。迎えない判断もあり
この記事は海外・国内の解説を読んでまとめた一般的な情報です。個々の犬の状況については、かかりつけの獣医師やトレーナーに相談してください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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