犬も紫外線で日焼けをします。とくに毛が薄い部分や皮膚の色が薄い部分、白っぽい短毛の犬は影響を受けやすいとされています。対策の基本は「日差しが強い時間帯の外出を減らす」「日陰と水を用意する」の2つで、日焼け止めや服は補助として考えるのが現実的です。ゴーグル(犬用サングラス)は、健康な犬のふだんの散歩で必須というより、目の病気がある犬や獣医師から勧められた犬で検討するものです。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- 犬も鼻先・耳・お腹など毛の薄い場所は日焼けする
- 強い日差しの時間帯を避け、日陰と水を用意する
- ゴーグルは目の病気など特定のときに獣医師と相談
この記事では、犬の日焼けが起きやすい場所、起きたときのサイン、毎日の散歩でできる対策、日焼け止めとゴーグルの考え方、動物病院へ行く目安を順番に整理します。
運営者は獣医師ではない犬好きの個人なので、獣医系の大学や動物福祉団体などの情報をもとにまとめました。気になる症状があるときは、自己判断せずかかりつけの動物病院に相談してください。
犬も日焼けする?影響を受けやすい部位と犬のタイプ
要点|鼻先・耳・目のまわり・お腹など毛の薄い場所と、白っぽい短毛の犬は特に注意が必要です。
「犬は毛皮があるから平気」と思われがちですが、被毛が薄い場所や、皮膚に色素が少ない場所では日焼けが起こります。
カナダのサスカチュワン大学獣医学部の記事では、日焼けは毛のない部分(鼻、肉球、目のまわりなど)にもっとも起こりやすいとされ、耳の先、口まわり、唇、股のあたりのように毛が薄い場所も挙げられています。
英国の動物福祉団体PDSAも、ひどくなりやすいのは耳、鼻、まぶた、お腹のまわりだとしています。
| 部位 | 日焼けしやすい理由 | 見るときのポイント |
|---|---|---|
| 鼻先・口まわり | 毛が少なく、日差しを正面から受けやすい | 赤み、皮むけ、かさぶたがないか |
| 耳(とくに耳の先) | 毛が薄く、皮膚も薄い | 赤み、フケのような皮むけ、治りにくい傷 |
| まぶた・目のまわり | 毛が短く、ふだんから日差しを受けやすい | 赤み、腫れ、しょぼしょぼした様子 |
| お腹・股のあたり | 毛が薄く、日向でごろんと寝ると日差しが当たる | 皮膚の赤み、触ると嫌がる |
| 肉球 | 毛がなく、地面の熱も受ける | 赤み、舐め続ける、歩き方がおかしい |
犬のタイプでは、サスカチュワン大学の記事が「短くて明るい色の被毛の犬」をもっとも日焼けしやすい例として挙げています(ダルメシアン、白いボクサーなど)。
PDSAも、白や薄い色の犬、毛が薄い・まばらな犬が危険度が高いとしています。テキサスA&M大学獣医学部の記事では、ピンク色の鼻や、日光浴が好きな白い動物は日焼けしやすいとされています。
では、黒や濃い色の犬は安心なのかというと、そうとも言い切れません。テキサスA&M大学の記事は、濃い色の被毛は熱を吸収しやすく、熱中症のリスクが高くなると指摘しています。
紫外線による日焼けと、暑さによる体調不良は別の問題ですが、どちらも「強い日差しの下に長くいない」という対策でカバーできます。夏の外遊びについては、夏のドッグランの熱中症対策の記事も参考にしてください。
犬の日焼けのサインと、続くとどうなるか
要点|赤み・皮むけ・痛みがサイン。治りにくい傷やしこりが続くときは早めに相談します。
PDSAによると、ペットの日焼けでは、赤み、かさぶたのようなもの、皮むけ、かゆみ、水ぶくれ、痛みが見られることがあります。犬は自分で「ヒリヒリする」とは言えないので、触られるのを嫌がる、同じ場所を気にして掻く・こする、日向を避けるようになった、といった行動の変化も手がかりになります。
軽い日焼けの場合、PDSAは、冷たいタオルなどでやさしく冷やし、皮膚が回復するまで直射日光を避けることを挙げています。
軽い日焼けなら数日で落ち着くことが多いともされていますが、痛がる様子が強い、水ぶくれのようなものがある、範囲が広い場合は、早めに動物病院へ相談してください。人間用の塗り薬を自己判断で塗るのはやめておきましょう。犬が舐めてしまうおそれがあります。
長い目で気をつけたいのが、日焼けをくり返すことです。サスカチュワン大学の記事は、日焼けが皮膚がんのリスクを高めることがあり、早く見つければ治療できる場合があると説明しています。
テキサスA&M大学の記事も、日光による皮膚の変化(日光角化症)が赤くて平らな盛り上がりとして現れ、放っておくとがんに進むことがあると述べています。もちろん、日焼けをしたらがんになるというわけではありません。
ただ、「治りにくい傷」「かさぶたがくり返しできる場所」が耳・鼻・目のまわりにあれば、早めに見てもらう価値があります。
🔧 今日からできる紫外線対策|時間帯・日陰・服・日焼け止め
要点|午前11時〜午後3時ごろの外出を控え、日陰と水を用意。日焼け止めは犬用を選び獣医師に確認します。
強い日差しの時間帯を外す
いちばん効果的で、お金もかからないのがこれです。サスカチュワン大学の記事は、日差しが強い時間帯(おおむね午前11時から午後3時)の屋外を控え、日陰にいさせるよう勧めています。
PDSAは、散歩は一日のうちでもっとも暑い時間を避けて、朝や夕方にすることを勧めています。
紫外線の強さは地域や季節で違うので、時刻だけにこだわらず「自分が眩しい・暑いと感じる時間は犬にも負担」と考えると判断しやすくなります。
日陰と水を用意する、日光浴を長引かせない
庭やベランダで過ごすときは、日陰を用意し、新鮮な水を置いておきます。PDSAは、犬を直射日光の下で日光浴させないこと、日陰をいつでも使える状態にしておくことを挙げています。
車での移動や、ベランダ・縁側の窓辺でごろんとする癖がある犬も、同じ発想で日差しの当たり方をチェックしてみてください。
曇りの日、水辺や照り返しにも注意
サスカチュワン大学の記事は、曇りの日でもリスクがなくなるわけではなく、水面のような反射する場所ではさらに紫外線を受けやすくなると説明しています。
「今日は曇りだから大丈夫」と決めつけず、長時間の外遊びや水辺では、日陰での休憩を増やす方向で考えましょう。水辺は日差しが水面で反射するぶん、涼しく感じても紫外線は受けている、と覚えておくとよいでしょう。
服やUVカット素材を使う
サスカチュワン大学の記事は、日焼けを防ぐ手段として、犬用のボディスーツなどの着用にも触れています。
ただ、夏の服は熱がこもる心配もあるため、通気性のよいものを選び、嫌がる、息が荒くなる、ふらつくといった様子があればすぐ脱がせてください。服が苦手な犬に無理に着せる必要はありません。
犬用の日焼け止めは使うべき?選ぶときの考え方
毛が薄くて日焼けしやすい子(鼻・耳・お腹など)で、どうしても日向にいる時間が長くなるときは、日焼け止めが候補になります。ただし、犬は塗った場所を舐めてしまうため、選び方に注意が必要です。
- 人間用はそのまま使わない:サスカチュワン大学の記事は、人間用の日焼け止めには犬や猫に害になる成分が入っているものがあり、舐めてしまうおそれもあるので、できればペット用を使い、使う前に獣医師に確認するよう勧めています。
- 成分と使用感:舐めても問題ないかどうかが大切です。香りや成分(亜鉛を含むかなど)は製品ごとに違うので、パッケージの犬用表示を確認し、不安なら獣医師に聞いてください。
- 塗る場所と回数:PDSAは、鼻、耳の先、お腹など毛の薄い部分に、外出の少なくとも15分前に塗り、舐めさせないようにして、必要に応じて塗り直すよう勧めています。ただしSPFの数値の目安は情報源によって異なります。
製品ごとに成分や使い方は違うので、SPFの数値や塗り直しの間隔は、かかりつけの獣医師に「うちの子の場合」を聞いて決めるのが安心です。日焼け止めを塗ったあと、赤みやかゆみが出る、舐め続けるといった様子があれば使用を中止し、相談してください。
🔧 犬用ゴーグル・サングラスは必要?目の紫外線対策
要点|健康な犬の日常では必須とは言えず、目の病気があるときなどに獣医師と相談して検討します。
「紫外線対策 ゴーグル」で検索する人が多いのは、目への影響が気になるからでしょう。米国の獣医系メディアPetMDが獣医師の話をまとめた記事では、犬の目の保護具は「いつも必要」ではなく、特定の状況で役に立つものとされ、使う前に獣医師に相談するよう勧められています。
| 犬の状況 | ゴーグルの考え方 |
|---|---|
| 健康で、ふだんは散歩が中心 | 日常的に必須とは言いにくい。日陰・時間帯の工夫を優先 |
| パンヌス(慢性表在性角膜炎)など、日光で悪化しやすい目の病気がある | 日光を避ける対策のひとつとして、獣医師と相談して検討 |
| 高齢で、まぶしそうに目を細める | 加齢で虹彩(目の中の膜)が変化し、まぶしく感じることがあるため獣医師に相談 |
| 短頭種など目が出っぱっていて傷つきやすい | 草やゴミなどから守る目的で検討されることがある |
| 目の手術後 | エリザベスカラーが基本。ゴーグルは獣医師の指示があるときだけ |
PetMDの記事では、獣医師の見解として、紫外線は犬の白内障の主な原因ではなく(遺伝や糖尿病が多い)、日光で悪化するのは主にパンヌスという目の病気で、ジャーマン・シェパードやグレーハウンドで特に挙げられていると説明されています。つまり、「紫外線で白内障になるから全員にゴーグル」という考え方は、獣医師の説明とは合っていません。
実際にゴーグルを選ぶ場合は、人用のサングラスはずれやすいので、ストラップ付きのゴーグル型で、食べる・飲む・歩くを邪魔しないフィット感のものを選びます。
ただし多くの犬は嫌がるので、おやつを使って少しずつ慣らす必要があります。装着中に目をこすろうとする、嫌がって暴れるときは、すぐ外してください。
目を細める、涙や目やにが増える、赤い、前足で目を触るといった様子があるときは、目の痛みのサインかもしれません。PetMDは、目を細めている犬は、できればその日のうちに獣医師に診てもらうのが望ましいと述べています。
目の症状は犬の目が赤い・しょぼしょぼするときの見方の記事も参考にしてください。
🏥 動物病院へ行く目安|様子見でよいケースと早めに相談したいサイン
要点|強い赤み・水ぶくれ・治りにくい傷・目を細める様子があれば早めに連絡しましょう。
様子見でよいことが多いケース
- 日向にいたあと、鼻先や耳がうっすら赤いが、痛がらず、数日以内に落ち着いてきた
- 元気・食欲があり、同じ場所を執拗に気にしていない
この場合も、日差しを避けて、冷たいタオルで軽く冷やし、数日は経過を見てください。悪化したり、同じ場所が何度も赤くなったりするなら相談しましょう。
早めに動物病院へ連絡したいサイン
- 赤みが強い、水ぶくれのようなものがある、触ると痛がる
- 耳・鼻・目のまわりに、治りにくい傷やかさぶたがある、盛り上がったしこりのようなものがある
- 皮膚が黒ずむ、ただれる、出血する
- 目を細める、涙が止まらない、目が赤い
- 日焼けと同時に、ぐったりする、息が荒い、ふらつく(熱中症の可能性もあり、急いで受診)
全身の症状(ぐったり・ふらつき・激しいパンティング)がある場合は、夜間・休日でも動物病院に電話で連絡して指示を受けてください。皮膚の症状全般については、犬が体を掻く・皮膚が赤いときの見方や、犬の症状から探す一覧も役に立ちます。
よくある質問
- 黒い犬や毛が長い犬は紫外線対策をしなくていい?
-
毛が長くて密な部分は、毛が日差しをある程度さえぎってくれると考えられます。ただ、鼻先・耳・目のまわり・お腹など、毛の薄い場所は犬種や毛色に関係なく日焼けのリスクがあります。濃い色の犬は熱を吸収しやすく熱中症にも注意が必要(テキサスA&M大学の記事)なので、日陰と水は欠かせません。
- 曇りの日や冬も気にしたほうがいい?
-
曇りの日でもリスクがゼロになるわけではないとされています(サスカチュワン大学の記事)。季節を問わず、長時間の外遊びや、照り返しの強い場所では日陰での休憩を入れると安心です。
- 人間用の日焼け止めを少しだけ使ってもいい?
-
人間用には犬に害のある成分が入っているものがあり、舐めてしまうおそれもあるため、基本的にはペット用を選び、使う前に獣医師に確認するよう勧められています。
- 日焼けしたあと、家でできることは?
-
直射日光を避けて、冷たいタオルなどでやさしく冷やすことが挙げられています(PDSA)。ただし、痛がる・水ぶくれがある・広範囲のときは、家で様子を見続けずに動物病院へ連絡してください。
まとめ
- 犬も日焼けする。鼻先・耳・目のまわり・お腹など毛の薄い場所と、白っぽい短毛の犬は特に注意
- 基本の対策は、強い日差しの時間帯を避けること、日陰と水を用意すること。曇りの日や照り返しにも注意
- 日焼け止めを使うなら犬用を選び、成分や使い方は獣医師に確認する
- ゴーグルは多くの犬で必須ではない。目の病気がある、目を細めるなどのときは獣医師に相談
- 治りにくい傷・しこり・強い赤みや痛みは、早めに動物病院へ
📚 参考にした情報
- サスカチュワン大学 獣医学部(WCVM Today)|Can your pet get sunburned?
毛の薄い場所や色の薄い短毛の犬が日焼けしやすいこと、強い日差しの時間帯を避けること、曇りや照り返しでもリスクがあること、犬用日焼け止めを獣医師に確認して使うこと。 - PDSA(英国の動物福祉団体)|Sunburn in pets
日焼けのサイン(赤み・皮むけ・水ぶくれ・痛み)、軽い場合の冷却、朝夕の散歩と日陰、ペット用日焼け止めの塗り方、受診の目安。 - テキサスA&M大学 獣医学部|Sun Exposure and Skin
淡い色の皮膚や薄い毛の部位が日焼けしやすいこと、日光による皮膚の変化が放置するとがんに進むことがあること、濃い色の被毛は熱を吸収しやすいこと。 - PetMD|Eye Protection for Dogs: Is It Necessary?
犬の目の保護具は特定の状況で役立つこと、紫外線は白内障の主な原因ではなくパンヌスを悪化させること、ゴーグルの選び方、目を細める犬は受診が望ましいこと。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。獣医師ではありません。くわしくは編集方針をご覧ください。



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