結論から言うと、エアコンなしの部屋で犬に留守番をさせるのは熱中症のリスクが高く、基本的にはおすすめできません。東京都は、留守番をさせるときも天気予報で天候を予測し、エアコンなどで温度と湿度を管理するよう案内しています。遮光や風通し、水の置き方などの工夫でリスクを下げることはできますが、エアコンの代わりにはなりません。どうしても使えない日は、留守番の時間を短くする、誰かに様子を見てもらう、預け先を探すといった方法も一緒に考えてください。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- エアコンなしの留守番は熱中症のリスクが高く基本はおすすめしない
- 遮光・風通し・水の置き方は補助。エアコンの代わりにはならない
- ぐったり・よだれ・嘔吐・けいれんは冷やしながらすぐ病院へ電話
この記事では、エアコンなしの留守番がなぜ危険なのか、今日からできる工夫とその限界、避けたいこと、熱中症が疑われるときの動き方を整理しました。運営しているのは獣医師ではない犬好きの個人です。
持病のある子、子犬、シニアの子は、かかりつけの動物病院に相談しながら進めてください。
🏠 エアコンなしの留守番が危険な理由|犬は汗で体を冷やせない
要点|犬は呼吸で体温を調整する。25℃超や高い湿度で危険が高まり、留守中は異変に気づけない
犬は人のように全身で汗をかいて体温を下げることが得意ではありません。福島県は、犬や猫は呼吸で体温を調整していて、人のように汗で体を冷やせないため、人以上に注意が必要だと説明しています。
東京都も、犬は体温調節が苦手で、体が地面に近いため地面からの熱の影響を受けやすいとしたうえで、高温多湿の環境や風通しの悪い場所では短時間でも熱中症になるおそれがあると呼びかけています。
とくに留守番では、次のような事情が重なりやすくなります。
- 気温が高くなくても油断できない:福島県は、気温が25℃を超えると犬や猫も熱中症の危険性が高まること、気温がそれほど高くなくても湿度が高いと熱中症になることがあると説明しています。
- 異変に気づく人がいない:飼い主さんがいれば息づかいの変化にすぐ気づけますが、留守中は様子が悪くなっても対応が遅れます。
- 自分で涼しい場所に動けないことがある:ケージやサークルの中、窓際に置いたベッドなどでは、暑くなっても逃げ場がありません。
- 部屋の中は時間とともに暑くなることがある:朝は大丈夫でも、日が高くなるにつれて、日差しが入る部屋や風が通らない部屋は温度が上がっていくことがあります。
「うちの子は今までエアコンなしで大丈夫だった」という声もありますが、暑さの影響は、その日の気温や湿度、犬の体調や年齢で大きく変わります。去年まで平気だったからといって、今年も同じとは限りません。
🌡️ 暑さの影響を受けやすい犬|エアコンなしは特に避けたいタイプ
要点|短頭種・肥満・子犬や老犬・心臓や呼吸器が弱い子・北方原産・長毛は特に注意
自治体の資料では、次のような犬は熱中症になりやすい傾向があるとされています。当てはまる子は、エアコンなしでの留守番を避けることを前提に考えましょう。
| 犬のタイプ | 自治体の資料で挙げられている理由 |
|---|---|
| 短頭種(パグ、ブルドッグ、シーズー、ペキニーズなど) | 鼻が短く、呼吸がしづらい構造のため |
| 太っている犬 | 脂肪が熱をためこむ。首まわりの脂肪で気管が圧迫されることもある |
| 子犬・老犬 | 体温調節がうまくいきにくい傾向がある |
| 心臓や呼吸器が弱い犬 | 体温調節がうまくいきにくい傾向がある |
| 北方原産の犬(シベリアンハスキーなど) | 生まれつき暑さに弱い傾向がある |
| 長毛の犬 | 熱がこもりやすい。夏の間だけ毛を短くするサマーカットが役立つこともある |
短頭種の暑さ対策は、パグの性格・飼い方・寿命|大きさ・暑さ対策・病気まで徹底ガイドのように、犬種ごとのページも参考になります。
🌡️ エアコンなしの日にできる暑さ対策|補助として重ねる工夫
要点|遮光、風の通り道、水飲み場を複数、涼しい場所を選べる環境、温湿度計、留守番の日と時間の調整
ここから紹介するのは、エアコンの代わりではなく、リスクを少し下げるための「補助」です。1つだけで安心せず、いくつか組み合わせて、そのうえで留守番の時間そのものも短くすることを考えてください。
1. 直射日光を遮って、熱をためない
鳥取県は、室内飼いでは、エアコンの使用やカーテンによる遮光で室温が上がりすぎないようにすること、長時間の直射日光を避けることをすすめています。
窓から日が差し込む時間帯を確認して、遮光カーテンやブラインドを閉めておくと、部屋の温度が上がりにくくなります。ケージやベッドは、日が当たる窓際から離して置きましょう。
2. 風が通る道をつくる
福島県は、風通しをよくして、日陰など直射日光を避けられる場所をつくること、室温によっては扇風機やエアコンで温度を管理することを案内しています。扇風機は部屋の空気を動かす道具で、室温そのものを下げるわけではありません。
犬が風に当たりたくないときに離れられるよう、扇風機の風が犬の居場所に直接当たり続けない配置にし、コードをかじれない位置に置くことも大切です。
3. 水飲み場を複数つくる
東京都は、きれいで十分な飲み水を用意することをすすめています。福島県は、飲み水の場所を複数用意するとよいとしています。1か所だけだと、お皿をひっくり返されたときに水がなくなってしまいます。
倒れにくい重めの容器を使い、部屋の違う場所に2〜3か所置いておくと安心です。
4. 犬が涼しい場所を選べるようにする
東京都は、犬が快適な場所へ自由に移動できる環境を整えるよう案内しています。
留守番中のケージの扉を閉め切るよりも、安全に過ごせる範囲で、日陰になる場所、床がひんやりした場所、風が通る場所を選べるようにするほうが、犬は自分で調整できます。
ひんやりする素材のマットを敷く方法もありますが、犬がかじって飲み込まないかどうかは、事前に在宅中に確認してください。
5. 温湿度計を犬の高さに置く
人が立っている高さと、地面に近い犬の高さでは感じる暑さが違うことがあります。温湿度計を犬の居場所の近くに置き、出かける前と帰宅したときの数字を見ておくと、「この部屋はこの天気だとここまで上がる」という目安がつかめます。
数字はあくまで自分の家の傾向を知るためのもので、安全な室温を保証するものではありません。
6. 留守番の日と時間を選ぶ
東京都が案内するように、天気予報で天候を予測して準備することは大切です。気温が高い日、蒸し暑い日、日差しの強い日は、留守番の予定を入れない、短い時間で帰る、家族に頼むといった調整ができると安全です。
💡 工夫だけでは足りない理由|効果と限界を整理
要点|工夫には限界があり、暑くなりすぎない保証はない。時間の短縮や預け先、エアコン使用も検討
よく紹介される工夫には、それぞれ限界があります。「これをしたからエアコンなしでも大丈夫」と考えないために、表で整理しました。
| 工夫 | 期待できること | 限界・注意点 |
|---|---|---|
| 遮光カーテン | 日差しによる温度上昇をやわらげる | 外気温が高い日は室温が上がる。湿度は下がらない |
| 扇風機 | 空気を動かして、こもった熱を逃がす | 室温を下げるわけではない。無風・高湿の日は効果が小さい可能性 |
| 窓を少し開ける | 換気ができる | 脱走や侵入、転落の心配がある。風がない日は役に立たない |
| ひんやりマット | 体を預けて熱を逃がせる場所になる | マット自体が温まる。かじって誤飲する子には向かない |
| 水を複数置く | 水分をとる機会を確保できる | 水を飲んでも、部屋が暑すぎれば熱中症は防げない |
| 見守りカメラ | 様子を外から確認できる | 見られるだけで、室温は下がらない。気づいてもすぐ帰れないことがある |
つまり、エアコンなしの留守番では「暑くなりすぎない保証」がありません。そこで、次のような現実的な選択肢も一緒に考えてみてください。
- 留守番の時間を短くする:用事をまとめる、在宅勤務の日に調整するなど、不在の時間そのものを減らします。
- 預け先を探す:家族や友人、かかりつけの動物病院、ペットホテル、ペットシッターなど。暑さが厳しい時期だけでも頼れる先があると心強いです。
- エアコンを使う:電気代は気になりますが、熱中症になった場合の通院の負担や、愛犬の命の危険と比べて考えてみてください。設定温度は、犬の様子と温湿度計を見ながら調整します。
- 故障や停電への備え:エアコンがあっても、故障や停電で止まることがあります。留守番中の様子を確認できる体制や、頼れる人を決めておきましょう。
留守番の長さの目安や、分離不安との見分け方は、犬の留守番は何時間まで?年齢別の目安と分離不安の見分け方で整理しています。
🌡️ やってはいけないこと|熱中症のリスクを上げる行動
要点|車内留守番、閉め切り、日向のケージ、水の入れ忘れ、氷水に浸ける冷やし方は避ける
- 車の中で留守番をさせる:福島県は、自動車内の気温は急上昇して非常に危険なので、車内でのお留守番はやめるよう呼びかけています。鳥取県も、蒸し暑い日は車内に留守番させないよう注意しています。
- 部屋を閉め切って出かける:風が通らず、湿度も上がりやすくなります。
- 日が当たる窓際にケージを置く:同じ部屋でも、日向と日陰では温度が大きく違うことがあります。
- 水を1か所にしか置かない、または水を入れ忘れる:留守番前に水が十分あるか、容器が安定しているかを確認しましょう。
- 留守番の前後に激しく遊ばせる、暑い時間に散歩へ行く:鳥取県は、日中の暑い時間の散歩は避け、地面に近い犬は照り返しの熱を強く受けることに注意するよう案内しています。
- 氷水に体ごと浸ける:体温が下がりすぎるおそれがあるため、冷やすときはタオルなどを使い、動物病院の指示を受けましょう。MSDマニュアルも、熱中症のペットの冷却では、冷水に浸ける方法は使わないと説明しています。
- 暑い日に服を着せたまま出かける:熱がこもる原因になります。
氷や冷たい水を与えることについては、犬に氷や冷たい水はあげていい?歯・のど詰まり・お腹の冷えの注意もあわせて読んでみてください。
🏥 熱中症のサインと動物病院へ行く目安
要点|ぐったり、荒い呼吸、大量のよだれ、嘔吐、けいれんは冷やしながらすぐ連絡。落ち着いても受診
熱中症は命に関わることがあります。東京都や福島県、鳥取県の資料に挙げられているサインを、様子見でよいかどうかの目安と一緒に整理します。ただし、判断に迷うときは、様子を見すぎずに動物病院へ電話してください。
少し様子を見てもよいケース
- 帰宅したとき、少し息が荒いが、涼しい場所へ移すと数分で落ち着く
- 水を自分から飲み、反応や動きがいつもどおり
- その後も食欲や元気が普段どおりに戻る
この場合でも、その日は涼しい環境で過ごさせ、半日〜1日は食欲、元気、呼吸、便や尿の様子を見てください。いつもと違うと感じたら、早めに動物病院へ相談しましょう。
すぐに動物病院へ連絡したいサイン
次のような様子があるときは、応急処置をしながら、すぐに動物病院へ連絡してください。夜間や休日は、救急対応の動物病院を探して電話します。
- ぐったりして動かない、呼びかけへの反応が弱い
- 舌を出して荒く息をしている、呼吸が浅く速い
- よだれを大量に垂らす、泡を吹く
- 嘔吐する、ふらつく、まっすぐ歩けない
- けいれんする、意識がない
- 舌の色が濃くなる、目が充血している
応急処置と受診のポイント
- 日陰の風通しのよい涼しい場所へ移す。
- 首すじ、脇の下、内股などを、濡れタオルや保冷剤を包んだものなどで冷やす(東京都、福島県、鳥取県の案内をもとにした内容です)。
- 意識がはっきりしている場合は、水を飲める範囲で与える。無理に飲ませない。
- 冷やしながら動物病院へ電話をして、獣医師の指示を受ける。
- 症状が落ち着いたあとも、東京都が案内するとおり、動物病院で診察を受ける。
よくある質問
- 扇風機をつけておけば、エアコンなしでも大丈夫ですか?
-
扇風機は空気を動かして熱を逃がす助けにはなりますが、室温や湿度そのものを下げる道具ではありません。福島県の資料も、室温によっては扇風機やエアコンで温度を管理するという書き方で、気温が高い日や湿度が高い日には十分とは言い切れません。扇風機だけで長時間の留守番を任せるのは避け、短時間にする、人に見てもらうなどの工夫を重ねてください。
- 窓を開けて風を通せば大丈夫でしょうか?
-
風が通る日には役に立つこともありますが、風がない日や湿度が高い日は効果が小さくなります。また、脱走や侵入、転落などの心配もあります。窓を開けて出かける場合は、網戸の固定や、犬が出入りできない造りかどうかを確認し、犬が窓に近づけない配置にしてください。
- 凍らせたペットボトルを置いておけば涼しくなりますか?
-
犬が寄りかかって涼む場所にはなりますが、時間がたてば溶けて温まります。結露で床が濡れたり、かじって誤飲したりすることもあるため、留守番中に置くときは、短時間で帰れる日に限る、犬が噛まない子かを確認するなど、慎重に使いましょう。
- 室温は何度までなら留守番させて大丈夫ですか?
-
今回確認した自治体の資料には、留守番の安全な室温として決まった数字は示されていませんでした。福島県は気温が25℃を超えると危険性が高まるとしていますが、湿度や犬の体質、年齢でも変わります。数字だけで判断せず、温湿度計と愛犬の様子を合わせて見て、迷うときは預け先やエアコンの使用を選んでください。
まとめ
- エアコンなしの留守番は熱中症のリスクが高く、東京都もエアコンなどでの温度・湿度の管理を案内しています。
- 遮光、風通し、複数の水飲み場などは補助にすぎず、エアコンの代わりにはなりません。
- 短頭種、肥満、子犬・老犬、心臓や呼吸器が弱い犬は、とくにエアコンなしでの留守番を避けましょう。
- 車内の留守番、閉め切った部屋、氷水に浸ける冷やし方は避けます。
- ぐったり、よだれ、嘔吐、けいれんなどがあれば、冷やしながらすぐ動物病院へ電話します。ほかの症状は犬の症状から探す|気になる「いつもと違う」の一覧もご覧ください。
📚 参考にした情報
- 東京都保健医療局|ペットの熱中症に注意しましょう(犬・猫の熱中症)
留守番時もエアコンなどで温度と湿度を管理すること、犬が快適な場所へ移動できる環境、熱中症の症状、応急処置、落ち着いた後も受診することの案内。 - 福島県|犬・猫の熱中症対策
気温25℃超で危険が高まること、湿度が高いと熱中症になること、水飲み場を複数置くこと、車内留守番をやめること、短頭種・肥満・長毛への注意、症状と応急処置。 - 鳥取県|ペットの熱中症について
熱中症になりやすい犬(北方原産・短頭種・肥満・子犬・老犬・心臓や呼吸器が弱い犬)、カーテンによる遮光、日中の散歩を避けること、応急処置と早めの受診。 - MSDマニュアル(獣医学)|What to Do in a Dog or Cat Emergency
熱中症では皮膚が熱い・嘔吐・よだれ・速い呼吸・虚脱などが見られること、冷水に浸ける方法は使わず、すぐ獣医師へ向かうこと、事前に電話で伝えること。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。獣医師ではありません。くわしくは編集方針をご覧ください。


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