おつまみやおやつのナッツは、犬が手を伸ばしやすい食べ物のひとつです。結論から言うと、ナッツ類は基本的に犬に与えないほうが安全(×)です。マカダミアナッツのように少量でも中毒を起こすものがあり、そうでないナッツも、脂質の多さ、のどや腸への詰まり、カビ毒、塩味などの問題があるためです。無塩のピーナッツを数粒だけ、というケースだけが例外的に「許容されることもある」程度に考えてください。
この記事は獣医師ではない犬好きの運営者が、環境省、AKC(アメリカンケネルクラブ)、Pet Poison Helpline、獣医師が執筆・監修している日本のメディアなどを読み比べてまとめたものです。食べてしまったときの判断は、必ず動物病院に任せてください。
ナッツ別の可否と早見表
| ナッツ | 可否 | 主な理由 |
|---|---|---|
| マカダミアナッツ | ×(絶対NG) | 少量でも中毒症状。仕組みは解明されていない |
| くるみ | × | カビ毒のリスク、脂質、詰まりやすさ。ブラックウォルナットは特に危険 |
| アーモンド | ×(基本避ける) | 消化しにくい、脂質が多い、詰まりやすい |
| ピーナッツ(無塩・殻なし) | △ | 少量なら問題になりにくいとする情報もあるが、脂質が多く積極的にはすすめない |
| ピーナッツ(殻付き・味付き・ピーナッツバター・チョコ) | × | 窒息・腸閉塞、塩分、キシリトール、テオブロミン |
| カシューナッツ・ピスタチオ | ×(基本避ける) | 脂質が多い。ピスタチオは殻の誤飲に注意 |
ほかの食べ物の可否は犬が食べていいもの・ダメなもの早見表で確認できます。
なぜナッツは犬に向かないのか
脂質が多く、消化しにくい
環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、「生の豆やナッツ類」を消化が悪い食べ物として挙げ、下痢や嘔吐の原因になると説明しています。AKCも、ピーナッツやアーモンドは脂肪が多く、たくさん食べたり続けたりすると消化の不調や膵炎の原因になりうるとしています。膵炎は獣医師の治療が必要な病気で、特に脂肪を制限するよう言われている犬では注意が必要です。
のど・食道・腸に詰まる
アーモンドやくるみ、殻付きのピーナッツは、特に小型犬ではのどや食道、腸に詰まるおそれがあります。AKCは、アーモンドが気道や食道、腸を塞ぐと命に関わることがあり、手術が必要になる場合もあると説明しています。アニコム損保の獣医師監修記事も、ピーナッツは殻付きだと窒息し、豆だけでも噛み砕けず消化不良を起こす可能性があるとして、ピーナッツを「×(絶対NG)」に分類しています。
くるみのカビ毒
PETOKOTOの記事(獣医師執筆)は、くるみは保存状態によってはカビ毒(マイコトキシン)を含み、神経症状やけいれんを起こすことがあると説明しています。AKCも、カビの生えたくるみには、筋肉の震えやけいれん、嘔吐に関係するカビ毒(ペニトレムA)や、アフラトキシンを作るカビがつくことがあるとしています。さらにAKCは、ブラックウォルナットという種類は犬にとって特に有害で、ユグロンという成分で嘔吐や下痢を起こすことがあるとしています。日本で一般に流通するくるみとは異なる種類ですが、カビたナッツを食べさせないという意味でも、避けるのが無難です。
マカダミアナッツはとくに危険
Pet Poison Helplineによると、マカダミアナッツを食べた犬では、強い元気消失、体温の上昇、嘔吐、震え、関節のこわばり、後ろ足の弱りによる歩行困難などがみられることがあります。毒性の仕組みははっきりわかっておらず、油分の多さから膵炎になる犬もいるとされます。PETOKOTOの記事は、5〜10粒程度で症状が出たケースもあり、12時間以内に発症する例が多いと説明しています。詳しくは犬がマカダミアナッツを食べたらの記事で解説しています。ミックスナッツにはマカダミアが入っていることがあるので、「ミックスナッツも与えない」を原則にしてください。
ピーナッツだけは例外?与えるならこの条件
ピーナッツ(落花生)は、実際にはナッツではなく豆の仲間です。AKCは、乾煎り(またはそのまま)の無塩のピーナッツだけが犬が食べても安全なピーナッツで、与えても数粒、毎日のおやつにはしないよう述べています。PETOKOTOも、無塩・無添加であれば少量は問題ないとする一方、脂質が多く、アレルギー反応の可能性があるため、初めての場合は少しずつ様子を見るよう勧めています。ただし、アニコム損保の記事は×としており、専門家の間でも「積極的にはすすめない」が共通の立場です。
それでも与えるなら、次の条件をすべて満たす場合にとどめます。
- 殻を外した、無塩・無添加の豆であること(バターピーナッツ、味付き、はちみつがけ、チョコがけは不可)
- 数粒まで。細かく砕いて、小型犬ではのどに詰まらせないようにする
- 毎日ではなく、たまに。食べたぶんのカロリーはフードを減らして調整する
- 膵炎の既往がある犬、脂肪制限のある犬、肥満の犬には与えない
量はグラム数で言い切ることはできません。環境省は、間食全体で1日に必要なカロリーの20%以内を上限として挙げていますが、ナッツは少量でもカロリーが高いため、その範囲まで与える食べ物ではありません。
ピーナッツバターは別物
市販のピーナッツバターは、砂糖や油が多く、キシリトールが添加されている商品もあります。PETOKOTOは与えないよう述べ、AKCも、キシリトールの中毒が増えているとして、成分の確認や無添加の手作りのものを勧めています。キシリトールは少量でも危険です(犬がキシリトールガムを食べたとき)。ピーナッツチョコレートは、チョコレートの成分が中毒の原因になるため絶対に与えません。
注意が必要な犬・ケース
- 膵炎になったことがある犬、脂質制限の指導を受けている犬、肥満の犬:ナッツは与えません。
- 小型犬・シニア犬・早食いの犬:詰まりの危険が高くなります。殻や破片にも注意。
- 食物アレルギーが心配な犬:ピーナッツなどでアレルギー反応が出る可能性があります。かゆみ、下痢、嘔吐が出たら中止して獣医師に相談してください。
- 子犬:食事の設計が大切な時期なので、与えないのが無難です。
食べてしまったとき
ナッツの種類にかかわらず、特にマカダミアナッツが含まれる可能性があるときは、少量でも早めに動物病院へ連絡してください。PETOKOTOの記事も、少量でも、時間が経っていても相談すること、数時間後に症状が出ることもあること、無理に吐かせたり水やミルクを飲ませたりしないことを案内しています。連絡のときは、何を、どれだけ、いつ食べたかを伝え、パッケージを持参すると判断がスムーズです。
AKCは、アーモンドを1〜2粒食べた程度なら慌てずに様子を見て、症状(嘔吐、下痢、ガス、食欲低下、元気消失)が出たら受診、数粒以上なら獣医師へ連絡するとしています。次のような様子があるときは、種類を問わず動物病院へ連絡しましょう。
- 嘔吐や下痢が続く、お腹を痛がる様子、食欲がない
- ふらつく、震える、後ろ足の力が入らない、体が熱い
- えずく、よだれが出る、呼吸が苦しそう(詰まった疑い)
- 殻や破片を飲み込んだ可能性がある
誤飲全般の考え方は犬の誤飲・誤食完全ガイドも参考にしてください。
よくある質問
Q. ピーナッツを1粒食べてしまいました。大丈夫ですか?
無塩のピーナッツ1粒であれば、多くの場合は大きな問題にならないと考えられます。ただし殻付きだった、味付きだった、ミックスナッツのほかのナッツが混ざっていた、という場合は別です。小型犬や持病のある犬も判断が変わるので、不安なときは動物病院に電話で相談してください。
Q. 栄養があるなら、アーモンドやくるみを砕いてトッピングしてもいいですか?
栄養があっても、犬の主食は総合栄養食で足りています。脂質が多く膵炎のリスクがあるアーモンドや、カビ毒の心配があるくるみを、わざわざトッピングにする理由は小さいと考えられます。
Q. ナッツ入りのクッキーやチョコ、柿ピーはどうですか?
砂糖、バター、塩分、チョコレート、キシリトールなどが加わるため、ナッツ以外の理由でも避けてください。柿ピーなどの塩味のスナックは、塩分も気になります(犬の塩分の摂りすぎ)。
まとめ
- ナッツ類は基本的に犬に与えない(×)。マカダミアナッツは少量でも危険で、ミックスナッツにも注意。
- くるみはカビ毒、アーモンドは詰まりと脂質が問題。ピーナッツは無塩・殻なし・数粒までの例外的な場合のみ。
- ピーナッツバター(キシリトール)、チョコがけ、塩味・味付きのナッツは与えない。
- 膵炎の既往がある犬、肥満の犬、小型犬、シニア犬、子犬には与えない。
- 食べてしまったら、種類・量・時間を整理して動物病院へ。マカダミアは少量でも連絡。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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