🐕 同じサイズ(大型・超大型犬)のほかの犬種


フラットコーテッド・レトリーバー(愛称は「フラッティ」)は、黒またはレバー(濃い茶色)の光沢のある被毛と、いつもしっぽを振っているような陽気さが魅力の大型の鳥猟犬です。いつまでも子犬のように無邪気で、家族との時間が大好きな一方、運動量がとても多く、寿命が比較的短めと言われることなど、迎える前に知っておきたい点もあります。この記事では、「フラットコーテッド・レトリーバーの性格・大きさ・寿命・飼い方・かかりやすい病気」を、英国ケネルクラブの犬種標準や各国の資料をもとに整理しました。



迷ったら、最後のまとめを見てね。ポイントをまとめてあるよ。
- 体高56〜61cm、体重25〜36kgほどの大型犬で、陽気で人が大好き
- 運動は1日1〜2時間ほどが目安。「取ってくる」遊びや水遊びで発散
- 腫瘍の傾向が知られているため、全身をなでてしこりを確認する
ゴールデンやラブラドールほど身近ではありませんが、その分、情報が少なく迷う人も多い犬種です。犬種全体の比較には犬種図鑑もご利用ください。
📏 フラットコーテッド・レトリーバーの基本データ
要点|体高はオス58〜61cm、メス56〜58cmで、毛色はブラックかレバーのみ。寿命は資料により8〜13年ほどと幅があります。
| 英語表記 | Flat-Coated Retriever |
|---|---|
| 原産国 | イギリス |
| サイズ | 大型犬 |
| JKCグループ | 8G(レトリーバー・フラッシング・ウォーター・ドッグ) |
| 体高 | オス58〜61cm、メス56〜58cm(英国ケネルクラブの犬種標準) |
| 体重 | オス27〜36kg、メス25〜32kg(同上、引き締まった状態の目安) |
| 寿命 | 8〜13年ほどと、資料により幅があります |
| 被毛 | 密で、できるだけ平らな中くらいの長さの被毛。あしと尻尾に飾り毛 |
| 毛色 | ブラック、またはレバーのみ |
体格は個体差があります。体型は、肋骨に軽く触れられるか、上から見て腰にくびれがあるかを目安に確認しましょう。体重管理が、関節の負担や寿命にも関わってきます。


📜 フラットコーテッド・レトリーバーの歴史とルーツ
要点|19世紀半ばのイギリスで猟場管理人の犬として発展しましたが、一時はごく少数になり、愛好家の努力で数を増やしました。
フラットコーテッド・レトリーバーは、19世紀半ばのイギリスで、猟場の管理人(ゲームキーパー)の犬として発展した犬種です。陸と水の両方で撃ち落とされた鳥を回収するための犬として育てられました。
最初の姿は1860年ごろに登場し、20年ほどたって現在のタイプが整えられたとされています。
祖先には、ニューファンドランドや、コリーに似た牧羊犬、セター類などが関わっていると考えられています。当初は「ウェービーコーテッド・レトリーバー」と呼ばれていたとも言われますが、祖先についてははっきりしない部分もあります。
のちにゴールデン・レトリーバーなどの人気が高まったことで、フラットコーテッドの数は減り、第二次世界大戦の頃にはごく少数になったとされています。その後、1960年代以降の愛好家の努力によって数を増やしてきました。


🐾 フラットコーテッド・レトリーバーの性格
要点|楽観的で友好的な性格で、成犬でも遊び心が残ります。ひとりで長時間過ごすのは苦手な傾向があります。
英国ケネルクラブの犬種標準では、気質は「自信に満ち、優しい」とされ、特徴として「生まれながらの猟犬としての才能、楽観的で友好的であり、元気なしっぽの動きで表される」と書かれています。ロイヤルカナンの資料も、活発で聡明、友好的で熱意があり、愛情深いと紹介しています。
人が大好きで、家族みんなと遊ぶことを喜びます。子どもや他の動物にも穏やかに接する子が多いと言われる一方、元気がありあまっているため、小さな子とは大人が見守る必要があります。
「大人になっても子犬のよう」「犬のピーターパン」と表現されることもあり、成犬になってからも遊び心が残る子が多いようです。
その反面、ひとりで長時間過ごすのは苦手な傾向があります。寂しさから吠えたり、物を壊したりすることもあるため、留守番の多い家庭では工夫が必要です。もちろん個体差が大きく、落ち着いた子もいれば、とても元気な子もいます。




🐾 見た目・被毛・毛色の特徴
要点|すらりとした力強い体つきで、被毛は密でできるだけ平らです。あしと尻尾の飾り毛は成犬で豊かになります。
標準では、全体に「力強さがあって重苦しくなく、すらりとしているが貧弱ではない」と表現されます。頭は長く、よく整い、目は濃い茶色かヘーゼル、耳は小さく頭に沿ってついています。賢そうな表情が特徴です。
被毛は、密で細〜中くらいの質感で、できるだけ平らに生えます。あしと尻尾には飾り毛があり、成犬になると豊かになります。毛色はブラックかレバーのみで、他の色は認められていません。


✂️ 被毛のお手入れ(ブラッシング・シャンプー)
要点|手入れは比較的しやすく、週に数回のブラッシングが目安です。泳いだあとは耳と皮膚をしっかり乾かします。
被毛は絡まりにくく、手入れは比較的しやすいと言われます。目安として、週に数回のブラッシングをして抜け毛を取り除き、飾り毛(耳、胸、お腹、あしの後ろ、尻尾)は特に念入りにとかして、毛玉を防ぎましょう。
換毛期は抜け毛が増えます。考え方は犬の換毛期はいつ?ブラッシングの頻度とやり方が参考になります。
水が好きな子が多く、泳いだあとは耳と皮膚が湿ったままにならないよう、しっかり拭いて乾かしてあげてください。耳が垂れているので、においや耳垢の変化も気にしておくと安心です。
見方は犬の耳が臭い・耳垢が多いときの見方にまとめています。シャンプーは皮脂を落としすぎないよう、頻度は月1回前後を目安に、すすぎ残しがないようにしましょう。


🏃 運動量・散歩の目安と遊び方
要点|運動量は非常に多く、退屈は噛む行動などにつながります。子犬のうちは階段や激しい運動を控えめにします。
運動量は非常に多い犬種です。ロイヤルカナンの資料でも「たくさんの運動が必要」とされ、散歩に加えて、走る、ボールやダミーを取ってくる遊び、水遊びなどを取り入れることが勧められています。
目安としては、1日に1〜2時間程度、できれば複数回に分けて体を動かす時間を作りましょう。年齢や体調によって適量は変わります。
運動不足や退屈は、物を噛む、穴を掘る、家の中で興奮するといった行動につながりやすくなります。「取ってくる」遊びは、この犬種の本能を満たすうえで効果的です。
成長期の子犬は関節に負担をかけないよう、階段の上り下りや激しい運動は控えめにして、少しずつ運動量を増やしてください。
賢くて作業が好きな犬種なので、散歩だけでなく、ドッグスポーツ(アジリティやオビディエンス、ノーズワークなど)に挑戦したり、日々のしつけを「お仕事」として楽しんだりするのもおすすめです。頭を使うと、体を動かすだけよりも満足感が高まり、家の中での落ち着きにつながることがあります。
夏は暑さに注意が必要です。毛が黒く熱を吸収しやすい子も多いため、涼しい時間帯に運動し、水分補給と休憩をこまめにとりましょう。


🎓 しつけで気をつけたいこと
要点|覚えが早くごほうびトレーニングが向きますが、興奮しやすいため、落ち着く習慣や飛びつきのルールを早めに教えます。
人を喜ばせたい気持ちが強く、覚えも早いので、ごほうびを使った前向きなトレーニングが向いています。ただ、陽気で興奮しやすいため、人や他の犬が多い場所では、落ち着く習慣を早めから教えておくことが大切です。
- 落ち着き:玄関や散歩の前など、興奮しやすい場面で「待て」「おすわり」ができたら褒めます
- 引っ張り癖:力が強いので、子犬のうちからリードで歩く練習をします
- 飛びつき:喜んで飛びつくので、座れたら構う、というルールを一貫させます
- 拾い食い・誤飲:口に入れたがる子もいるので、「出して」や「待て」を練習しておきます。起こったときの対処は犬の誤飲・誤食完全ガイドが参考になります
- 留守番:人が大好きなため、短い時間から練習します
子犬の時期に何を教えるかは子犬のしつけ完全ガイドが参考になります。


🏥 かかりやすい病気と健康管理
要点|腫瘍がよく話題にあがる犬種です。しこりや元気・食欲の変化に気づけるよう、定期健診と日々のチェックを。
フラットコーテッド・レトリーバーで最もよく話題にあがるのは、腫瘍(がん)です。繁殖者団体は、組織球性の腫瘍が他の犬種より多い傾向があると説明し、英国の調査では、追跡した犬のうち約4割が腫瘍で亡くなったと報告されています。
そのほか、股関節や膝、目の病気、てんかんなどがあげられますが、繁殖者による検査や選択で減らす努力が行われています。
すべての子がかかるわけではありませんが、「この犬種にはそうした傾向が知られている」と知っておくと、小さな変化に気づきやすくなります。
日常でできるのは、次のような予防とチェックです。
- 全身をなでるたびに、皮膚の下や関節まわりにしこりや腫れがないか確認する
- 元気や食欲の低下、体重の減少、足を引きずるなどの変化が続かないか見る
- 暗い場所で動きが鈍くなる、物にぶつかるなど、見え方の変化に気づく
- 毎日の歯みがきを習慣にする。始め方は犬の歯磨きはいつから?が参考になります
- 定期的な健康診断を受け、体重を記録する
気になる様子が続くときは、自己判断せず動物病院に相談しましょう。このページは診断や治療の情報を示すものではありません。


🍖 食事・太りやすさ・おやつの考え方
要点|食欲旺盛で太りやすく、食事は1日2回以上に分けます。おやつも1日の総量に含めて考えます。
食欲旺盛な子が多く、食べ物への執着が強いため、運動量が減ると太りやすくなります。体重が増えると関節への負担も増えます。フードの量はパッケージの目安を出発点にして、体型と便の状態を見ながら調整してください。見方は犬のフードの量はどれくらい?で整理しています。
大型犬は胃に負担がかかりやすいと言われるため、食事は1日2回以上に分け、食事の前後の激しい運動は避けるようにしましょう。おやつはしつけのごほうびに使う機会が多いので、1日の総量の中に含めて考えます。
皮膚の調子が気になるときは、自己判断でフードを変えず、かかりつけの動物病院に相談してください。


📏 寿命とシニア期の暮らし
要点|寿命は8〜13年ほどと幅があり、主な原因として腫瘍があげられるため、元気なうちから定期健診を受けます。
寿命は、資料によって8〜13年ほどと幅があります。ロイヤルカナンは10〜13年、2024年の英国の調査では平均11.7年(純血種全体は12.7年)と報告されています。
繁殖者団体が関わる調査では、さらに短い平均が示されることもあります。数字には幅があり、主な原因として腫瘍があげられるため、他の大型犬と比べても早めの健康チェックが勧められます。
だからこそ、元気なうちから定期健診を受け、体のしこりや変化に気づく習慣が大切です。シニア期の備えは老犬介護完全ガイドも参考にしてください。


✅ 向いている人・向いていない人/お迎え前のチェックリスト
要点|毎日1〜2時間の運動時間が取れる人向きです。留守が長い場合や、静かな犬を求める場合は慎重に考えます。
向いているのは、次のような人です。
- 毎日1〜2時間ほど、散歩や運動の時間を取れる
- 家族みんなで一緒に過ごす時間を大切にしたい
- 水遊びや「取ってくる」遊びなど、犬と一緒に体を動かしたい
- 大型犬を落ち着いて扱える体力と気持ちの余裕がある
向いていない可能性があるのは、留守が長く犬が一人で過ごす時間が多い人、運動やしつけの時間を取りにくい人、静かで落ち着いた犬を求める人などです。
お迎え前には、次の点を確認しておくと安心です。
- 世話にかけられる時間(運動・お手入れ・しつけ)を家族で話し合ったか
- 腫瘍や関節、目の病気について、繁殖者に親犬の検査状況や家系を確認できたか
- 集合住宅の場合、ペット可の規約や、犬の大きさ・頭数の制限を確認したか
- 生涯にわたる飼育費用の備えがあるか。費用の目安は犬の生涯費用はいくら?が参考になります
同じレトリーバーグループに興味がある人は、ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバーのページも比べてみてください。




よくある質問
- フラットコーテッド・レトリーバーは初心者でも飼えますか?
-
人懐っこく陽気で、覚えも早い犬種ですが、運動量が非常に多く、興奮しやすいため、しつけには根気が必要です。毎日の運動とトレーニングの時間を確保でき、しつけ教室などの助けも借りられるなら、初めてでも暮らせる可能性はあります。
- フラットコーテッド・レトリーバーはゴールデンやラブラドールと何が違いますか?
-
どれも友好的な鳥猟犬ですが、フラットコーテッドは、すらりとした体つきと、黒またはレバーの光沢のある被毛が特徴です。「いつまでも子犬のよう」と言われるほど無邪気な子が多い一方で、寿命が比較的短めと紹介されることがあり、腫瘍の傾向が話題になる点も違いとしてあげられます。
- フラットコーテッド・レトリーバーの寿命は何歳くらいですか?
-
8〜13年ほどと、資料により幅があります。ロイヤルカナンは10〜13年、2024年の英国調査では平均11.7年と報告されています。あくまで目安として受け止め、定期健診を続けて変化に早く気づけるようにしましょう。
- フラットコーテッド・レトリーバーは留守番できますか?
-
人と過ごすのが大好きな犬種で、ひとりで長時間過ごすと寂しさから吠えたり物を壊したりすることがあります。短い時間から少しずつ慣らし、出かける前に十分に運動させるなどの工夫をしましょう。つらそうな様子が続くときは犬の分離不安症完全ガイドも参考にしてください。
まとめ
- フラットコーテッド・レトリーバーは、体高56〜61cm、体重25〜36kgほどの、黒かレバーの被毛をもつ大型の鳥猟犬
- 陽気で人が大好き。いつまでも子犬のように無邪気な子が多い
- 運動は1日1〜2時間ほどが目安。「取ってくる」遊びや水遊びで発散させる
- ブラッシングは週に数回。飾り毛の毛玉と、泳いだあとの耳のケアに注意
- 腫瘍の傾向が知られているため、全身をなでてしこりを確認し、定期健診を大切に
- 寿命は8〜13年ほどと幅があり、毎日の積み重ねで元気な時間を長く過ごしましょう








📚 犬種データの出典
- 一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)|フラットコーテッド・レトリーバー
体高・体重 - 国際畜犬連盟(FCI)|FCI-Standard N°121 Flat Coated Retriever
体高・体重・グループ - The Kennel Club (英国ケネルクラブ)|Retriever (Flat Coated)
体高58〜61cm/56〜58cm、体重 - Scientific Reports|Longevity of companion dog breeds: those at risk from early death
純血種全体の中央値12.7年
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。







