🐕 同じサイズ(中型犬)のほかの犬種
ブリタニー・スパニエルは、フランス北西部のブルターニュ地方で生まれた中型の鳥猟犬です。名前に「スパニエル」と付いていますが、獲物の位置を知らせる「ポインティング」を得意とする犬種で、猟のスタイルはむしろセッターに近いと言われています。人なつこく賢い一方、運動量が非常に多く、運動不足になると家の中で持て余してしまう犬種です。見た目のかわいさ以上に、毎日の過ごし方をイメージしてから迎えることが大切です。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- 運動量が非常に多く、毎日1時間以上が目安とされています
- 人なつこく賢い一方、強く叱ると萎縮する子もいます
- 獲物を追う本能があり、呼び戻しとリード管理が最優先です
この記事では、AKC(アメリカンケネルクラブ)の紹介や海外の犬種情報、日本の犬種解説などをもとに、ブリタニー・スパニエルの基本データ、歴史、性格、運動量、お手入れ、しつけ、かかりやすい病気、向いている人までを整理しました。他の犬種との比較は犬種図鑑も参考にしてください。
| 英語表記 | Brittany(Brittany Spaniel) |
|---|---|
| 原産国 | フランス(ブルターニュ地方) |
| サイズ | 中型犬(体高の目安はおよそ46〜52cm。JKC・FCIの標準では理想体高がオス49〜50cm、メス48〜49cm。基準や系統で差があります) |
| 体重の目安 | およそ14〜23kg(ヨーロッパ系は軽め、北米の猟犬系は大きめの傾向) |
| 平均寿命 | 12〜14年前後(12〜15年とする資料もあります) |
| 被毛 | 中程度の長さで、平らかゆるいウェーブ。耳や足に飾り毛 |
| 毛色 | ホワイト&オレンジ、ホワイト&ブラック、ホワイト&レバー、トライカラーなど |
| グループ | 7G(ポインター・セター) |


📜 ブリタニー・スパニエルの歴史|ブルターニュ生まれの万能猟犬
要点|ブルターニュ地方で、鳥を探して位置を知らせ、回収まで行う万能の鳥猟犬として好まれてきた犬種です。
犬種名の由来は、フランス北西部のブルターニュ(英語でBrittany)地方です。
この地方では17〜18世紀ごろから、ヤマウズラやキジ、カモなど、さまざまな鳥を探し当て、位置を知らせ、回収まで行う「万能の鳥猟犬」が好まれてきました。
17世紀の絵画やタペストリーにも、ブリタニーに似た犬の姿が描かれていると言われています。
19世紀半ばには、フランスの猟師がスパニエル系の犬とイングリッシュ・セッターを交配させたとする説明もあります。
こうして生まれたのが、スパニエルのように人に寄り添いながら、セッターのように獲物の位置を指し示す、独特の猟犬です。北米へは1920年代に渡り、猟犬としての人気を得ました。


名称は、原産地では「エパニュール・ブルトン(Epagneul Breton)」と呼ばれます。
アメリカでは、猟のスタイルがスパニエルよりもセッターに近いことから、1982年にAKCが犬種名から「スパニエル」を外し、単に「ブリタニー」としたとされています。
日本では今も「ブリタニー・スパニエル」と呼ばれることが多い犬種です。


🐾 ブリタニー・スパニエルの性格|賢くて活発、人が大好き
要点|人と何かをするのが好きで覚えも早い一方、繊細な面もあるため、ほめながら教える接し方が向いています。
AKCの紹介では、ブリタニーは「室内では明るく熱心、野外では疲れ知らず」とされ、機敏でエネルギッシュな犬種です。人と一緒に何かをするのが大好きで、家族に対しては愛情深く、子どもとも相性が良いと言われています。
覚えが早く、飼い主に従順な傾向がありますが、猟犬らしい独立心を見せることもあります。
繊細でやさしい面も
大きな声で叱られたり、強い罰を与えられたりすると萎縮してしまう子もいます。ほめながら教える、短い時間で楽しく練習する、といった接し方が向いています。


獲物を探す本能
鳥や小動物を見つけると、本能的に追いかけたり、じっと動きを止めて位置を知らせるポーズ(ポイント)を取ったりすることがあります。散歩中に興奮して走り出さないよう、リードの管理と呼び戻しの練習が重要です。
もちろん、すべてのブリタニーが同じ性格というわけではありません。猟犬として育てられた血統か、家庭犬として育てられた血統かでも違いがあるため、迎える前に親犬の性格を確認すると安心です。


✂️ 体格・毛色・被毛のお手入れ
要点|がっしりした中型犬で、被毛は週に1〜2回のブラッシングが目安です。耳のケアは念入りに行います。
ブリタニーは、体高と体長がほぼ同じ「スクエア型」の、がっしりとした中型犬です。筋肉質で足が長く、スピード、持久力、跳躍力に優れた体つきをしています。垂れ耳で、毛先にゆるくウェーブがかかるのも特徴です。尾は、生まれつき短い個体と長い個体がいるとされています。
毛色は、ホワイト&オレンジ、ホワイト&ブラック、ホワイト&レバー(パイボールド)、これらに白い斑が入ったローン、トライカラーなどがあります。顔の中央に入る細い白い筋(ブレーズ)が好まれるとされ、単色の被毛は認められていません。
ブラッシングの目安


被毛は中くらいの長さで、手入れの難易度は高くありません。週に1〜2回のブラッシングとコーミングを目安に、耳の後ろ、足、お腹の飾り毛にできる毛玉を取り除きます。外で草むらを走り回った後は、草の実やダニ、トゲなどが毛に付いていないか、全身を確認しましょう。
耳のケアは念入りに
垂れ耳の犬種のため、耳の中が蒸れやすく汚れもたまりやすいのが悩みどころです。耳のにおい、赤み、かゆがる様子がないか、週に1回は耳の中をのぞいて確認してください。
日常のチェックのポイントは犬の耳が臭い・耳垢が多いときの見方にまとめています。爪切りと歯みがきも、子犬のうちから慣らしましょう。


🏃 運動量と散歩の目安|「たっぷり走れる環境」が必須
要点|毎日1時間以上が目安という情報がありますが、年齢や体力で必要量は変わります。頭を使う遊びも取り入れます。
ブリタニー・スパニエルを飼ううえで最も大きなポイントが、運動量の多さです。もともと一日中野山を駆け回って鳥を探すために作られた犬種で、AKCの紹介でも、好きな人と一緒にたっぷり運動する必要があるとされています。
毎日の散歩に加え、ジョギングやボール投げ、広い場所での自由運動を組み合わせると満足度が上がります。目安として、毎日1時間以上、できればそれ以上の運動時間があると安心という情報がありますが、年齢や体力で必要量は変わります。
運動不足のサイン
夜中に家の中を走り回る、物をかじる、鳴き続ける、落ち着きがなくなる、といった行動が増えたら、運動量や頭を使う時間が足りていない可能性があります。
頭を使う運動も取り入れる


体を動かすだけでなく、においを探すゲームや、おもちゃの回収、服従訓練などの頭を使う遊びも、満足感を高めます。猟犬としての能力を活かす、回収(レトリーブ)遊びは特に喜ぶ子が多いと言われています。
子犬・シニアの運動
子犬のうちは関節や筋肉が未発達なので、長距離やジャンプ、階段の上り下りを繰り返すような運動は避け、短い散歩と遊びを数回に分けます。シニア期は無理のない距離とペースに切り替え、関節に不安があるときは動物病院に相談しましょう。
似た猟犬出身の犬種として、イングリッシュ・セターやイングリッシュ・コッカー・スパニエルのページも参考になります。


🎓 しつけのポイント|呼び戻しと社会化を重視
要点|ごほうびを使った短時間の練習がコツで、呼び戻し、待て・おいで、リードの引っ張り防止を優先します。
ブリタニーは頭が良く、ごほうびを使ったトレーニングによく反応します。食べ物やおもちゃをごほうびにして、短時間で楽しく進めるのがコツです。しつけ全般の流れは子犬のしつけ完全ガイドも参考にしてください。
優先したい3つの練習
- 呼び戻し:どんなに興奮していても、名前を呼ばれたら戻ってくる練習。ドッグランや広い場所で遊ぶ前に必須です
- 待て・おいで:獲物に反応して走り出すのを防ぐ、安全のための基本
- リードの引っ張り防止:エネルギーが高く、散歩中に引っ張りやすいため、子犬のうちから歩き方を教える
社会化


人好きな犬種ですが、さまざまな人、犬、音、場所を経験させておくことで、落ち着いた成犬に育ちやすくなります。子犬期のワクチンの完了時期を獣医師に確認しながら、無理のない範囲で外の世界に触れさせましょう。
留守番と退屈対策
家族と過ごすことが好きなため、長時間の留守番や運動不足が続くと、吠え、いたずら、破壊行動につながることがあります。短い時間から留守番を練習し、出かける前に十分な運動をしておくと、落ち着いて過ごしやすくなります。


🏥 ブリタニー・スパニエルがかかりやすい病気と健康管理
要点|股関節の病気や外耳炎、てんかんなどが挙げられますが全個体ではなく、気になる様子があれば早めに動物病院へ。
ブリタニーは、長く実猟に使われてきた背景から、丈夫な犬種と言われます。それでも、犬種として知られている病気があります。以下は一般的に挙げられている例で、すべての個体にあてはまるわけではありません。気になる様子があれば、早めに動物病院で相談してください。
- 股関節の病気(股関節形成不全):遺伝的な要素があり、体重が増えすぎると負担が大きくなると言われています。後ろ足の動きがぎこちない、立ち上がりにくい、散歩を嫌がるといった様子が目安です。
- 外耳炎:垂れ耳のため、蒸れや汚れから起こりやすいとされています。
- てんかん:発作が見られることがあると言われています。発作の様子と時間を記録しておくと、診察で役立ちます。
- 甲状腺の病気:元気がない、体重増加、毛のつやの変化などで気づかれることがあります。
- 目の病気:緑内障や水晶体の異常などが報告されています。目の赤み、濁り、目やにの増加に注意しましょう。


繁殖の段階で、股関節や目の検査をしているブリーダーから迎えると、遺伝性の病気のリスクを減らしやすいと言われています。日常では、体重管理、耳のチェック、歯みがき、定期的な健康診断を習慣にしてください。寿命は12〜14年前後が目安です。
食事の考え方
運動量が多い犬種ですが、体重管理は欠かせません。年齢・体型・運動量に合った総合栄養食を、パッケージの給与量の目安を参考にしつつ、量って与えましょう。見方は犬のフードの量はどれくらい?で解説しています。
おやつは1日の量の一部として数え、しつけのごほうびには小さく割ったものを使うのがコツです。


✅ ブリタニー・スパニエルに向いている人・向いていない人
要点|毎日たっぷり運動でき、家で過ごす時間が長い人が向くとされます。短い散歩で済ませたい人は要注意です。
向いている人
- 毎日たっぷり散歩・運動の時間が取れる
- アウトドア、ジョギング、ドッグスポーツなどを犬と一緒に楽しみたい
- 広い場所で自由に走らせる機会を作れる
- ほめて育てるしつけを根気よく続けられる
- 家で犬と過ごす時間が長い
向いていない人
- 散歩は短時間で済ませたい
- 長時間の留守番が毎日続く
- 狭い住居で運動の場所が確保しにくい
- 犬を強く叱るしつけをしたい


お迎え前のチェックリスト
- 毎日1時間以上の運動時間を、雨の日も含めて確保できるか
- 安全に走らせられる場所(ドッグラン、広場など)が近くにあるか
- 呼び戻しの練習を、家族全員で続けられるか
- 動物病院を決め、緊急時の連絡先を確認しているか
迎え方の選択肢
国内では取り扱いが少ない犬種のため、複数の犬舎に問い合わせる方法があります。親犬の性格・運動量、股関節や目の検査の有無、飼育環境を確認しましょう。猟犬系統か家庭犬系統かも聞いておくと参考になります。
保護犬を迎える方法もあります。募集は不定期なので、条件や譲渡までの流れを事前に確認してください。
店頭で見かける機会は多くありません。取り扱いの有無、親犬の情報、健康チェックの記録を確認しましょう。


よくある質問
- ブリタニー・スパニエルは初心者でも飼えますか?
-
性格は人なつこく覚えも良い一方、運動量が非常に多く、呼び戻しなどの練習も必要です。毎日の運動時間を確保でき、しつけを学ぶ意欲があれば、初めての方でも飼えます。
- ブリタニー・スパニエルは吠えますか?
-
極端に吠えやすい犬種とは言われていませんが、運動不足や退屈、寂しさがあると吠えが増えることがあります。運動と知的な遊びを十分にして、予防しましょう。


Q. ブリタニー・スパニエルは留守番できますか?
A. 家族と過ごすことを好むため、長時間の留守番は得意ではありません。出かける前にしっかり運動させ、短い時間から練習を始めてください。
Q. ブリタニー・スパニエルの寿命は?
A. 12〜14年前後(資料により12〜15年)とされています。体重管理と耳・関節のケア、定期的な健康診断を続けることが、元気に過ごす助けになります。


まとめ|ブリタニー・スパニエルは「一緒に走れる人」の犬
- フランス・ブルターニュ生まれの万能鳥猟犬。名前はスパニエルでもポインティングが得意
- 性格は賢く、人なつこく、エネルギッシュ。やさしく教える接し方が向いている
- 運動量は非常に多い。毎日1時間以上を目安に、頭を使う遊びも
- 呼び戻しとリードの練習は最優先。獲物を追う本能に注意
- 股関節、耳、目、てんかんなどに気をつけ、体重管理と定期健診を
- 運動時間が取れない、留守番が長い家庭は慎重に検討を
ブリタニー・スパニエルは、たくさん体を動かし、人と一緒に何かをすることで本領を発揮する犬種です。毎日の運動と時間を楽しめるかを、家族でじっくり話し合ってから迎えてください。


📚 犬種データの出典
- 一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)|犬種紹介 ブリタニー・スパニエル(FCI犬種標準)
理想体高(牡49〜50cm・牝48〜49cm、許容46〜52cm)と原産地の裏づけ。 - 一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)|グループ別犬種一覧(FCI10グループ)
第7グループ所属の裏づけ。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。







