犬が1回だけ吐いて、そのあと元気も食欲もふだんどおりなら、様子を見て問題ないことが多いとされています。一方で、何度も吐く・血が混じる・ぐったりしている・お腹が張っている・異物や毒物を食べた心当たりがある場合は、時間を置かずに動物病院へ連絡してください。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- 1回で元気なら様子見も。回数増・血・ぐったりは受診
- 色は手がかりだが、色だけで原因は決められない
- 空えずき+お腹の張り、誤食の心当たりはすぐ病院へ
犬は人より吐きやすい動物と言われ、色や吐いたものの内容もさまざまです。
「黄色い液体」「白い泡」「ごはんをそのまま」など、見た目で一喜一憂してしまいがちですが、判断で大事なのは色よりも回数・続いた時間・ほかの様子(元気、食欲、お腹、呼吸)です。
この記事では、最初の確認ポイント、色や状態別の見方、すぐ受診したい目安、家で気をつけること、受診時に伝えるメモを整理します。運営者は獣医師ではなく、犬好きの個人です。
診断や治療の代わりにはなりませんので、気になる場合はかかりつけの動物病院に相談してください。
犬が吐いたら最初に確認すること|元気・回数・吐いたもの
要点|元気・回数・吐いたもの・お腹・状況の5点を落ち着いて確認
吐いた直後は慌ててしまいますが、まず次の5点を落ち着いて確認します。
- 犬の状態:元気はあるか、ぐったりしていないか、呼吸が荒くないか
- 回数:1回だけか、繰り返しているか(短時間に何度も、数日続いているなど)
- 吐いたものの内容:色、血の有無、フードや草、異物(ひも、布、おもちゃの破片など)が混じっていないか
- お腹の様子:触ると嫌がる、張っている、丸まっている、「祈りのポーズ」(前足を伸ばして胸を床に近づけ、お尻を上げる姿勢)をしていないか
- 吐く前後の状況:何を食べたか、拾い食いはなかったか、ゴミ箱や薬、観葉植物、人の食べ物に触れた可能性はないか
MSDマニュアル(ペットの飼い主向け)は、1〜2回程度の一過性の嘔吐で、ほかに症状がなければ問題のないことが多いとしています。
一方、1日に1〜2回を超えて頻繁に吐く、または長期間続く、血が混じる、腹痛、元気消失、脱水、脱力、発熱、体重減少などがある場合は、詳しい検査が必要とされています。
つまり、回数が増えているか、ほかの様子が加わっているかが分かれ目です。
「いつもと違う」ほかの症状も含めて探したいときは、犬の症状から探す|気になる「いつもと違う」の一覧も使えます。
吐く・吐き戻す・えずく|まず「嘔吐」と「吐出」を見分ける
要点|腹筋を使う嘔吐か、力まず出る吐出かで伝える情報が変わる
「吐いた」と思っても、実は2つのパターンがあります。MSDマニュアルでは、次のように区別しています。
| 種類 | 様子 | 吐いたものの特徴 |
|---|---|---|
| 嘔吐 | よだれ、そわそわ、えずき、お腹をぐっと動かす。腹筋を使う能動的な動き | 胃や小腸の内容物(フード、液体、胆汁など) |
| 吐出(吐き戻し) | ほとんど力まず、すっと出る。受動的な動き | 未消化で、食道の形を反映した筒状になることがある |
MSDマニュアルは、咳や呼吸困難は嘔吐より吐出に伴うことが多いとも説明しています。食後に毎回すぐ出てくる、咳き込む、むせる様子がある場合は、動画に撮って動物病院で見てもらうと、区別の手がかりになります。
🍖 色と状態別の見方|透明・黄色い液体・白い泡・食べ物・血が混じる
要点|血やコーヒーかす状は早めに受診。色だけで原因は決まらない
吐いたものの色や状態は、受診時に伝える大事な手がかりになります。ただし、色だけで原因を決めることはできません。次の表は、飼い主さんが整理しやすいようにまとめたもので、診断ではありません。
| 吐いたもの | 考えられることの例(可能性) | 見方のポイント |
|---|---|---|
| 透明な液・水っぽいもの | 胃液や飲んだ水を吐いた | 1回で元気なら様子を見ることが多い。繰り返すなら受診 |
| 白い泡 | 胃の刺激、空腹時の胃液など。胃炎で泡が見られることもある | 1回でケロッとしていれば様子見も。何度も繰り返す、ぐったりは受診 |
| 黄色い液体(胆汁を含む) | 空腹時間が長い、胃の刺激など | 胆汁が混じることがある。頻繁、または元気がないなら受診 |
| 消化されていないフード | 早食い、食べすぎ、食道の問題(吐出)など | 食後すぐ・毎回なら動画を撮って相談 |
| 草や食べ物のかけらが混じる | 食べたものが胃を刺激した | 量と回数を確認。異物が混じるなら受診 |
| 茶色・黒っぽい、コーヒーかすのようなもの | 消化された血液の可能性 | 早めに受診(写真を撮る) |
| 赤い・血が混じる | 新しい出血の可能性 | 早めに受診(写真を撮る) |
| ひも・布・おもちゃの破片など | 異物の誤食 | 残りが体内にある可能性。すぐ連絡 |
MSDマニュアルは、急性の胃炎について、突然嘔吐し、吐物に食べたもの(草など)が混じることがあり、胆汁、泡、新鮮な血、コーヒーかすのような消化された血液が見られることもあると説明しています。下痢を伴うこともあるとされています。
黄色い液体・白い泡を何度も吐くとき
「黄色い液体を吐く」「白い泡を吐いて下痢もある」という相談はよく見かけます。1回で収まって元気なら、様子を見ることもあります。
しかし、何度も繰り返す、下痢が続く、食欲がない、ぐったりしている場合は、胃腸のトラブルだけでなく、膵炎や腎臓・肝臓の病気など別の原因が隠れている可能性もあります。
MSDマニュアルは、嘔吐の原因として、消化器の病気のほか、腎不全や肝不全、膵炎、神経系の病気、刺激物や毒物の摂取などを挙げています。
腎臓のサインについては犬の腎臓病の初期症状とは?飲水量・尿の変化で早期発見するチェックポイントも参考になります。
フードの色(茶色)を吐いたとき
吐いたものが茶色くても、ドッグフードの色であればただの食べ物のことが多いです。一方、黒っぽくどろっとしたもの、コーヒーかすのような見た目のものは、血液が混じっている可能性があるため、フードの色とは区別して扱います。
迷うときは、吐いたものを写真に撮り、においや量も覚えておいてください。
🏥 すぐ動物病院へ行く目安と、様子を見てもよいケース
要点|空えずきとお腹の張り、繰り返す嘔吐、誤食の心当たりは至急連絡
色にかかわらず、緊急性を左右するのは「ほかの様子」です。迷ったら、電話で状況を伝えて指示をもらうのが安心です。
すぐ動物病院(夜間・休日は救急)へ連絡したいサイン
- 吐こうとしても何も出ない(空えずき)うえ、お腹が張る、よだれが多い、そわそわして落ち着かない、呼吸が速い。胸の深い大型犬では特に緊急
- 何度も繰り返し吐く、水を飲んでもすぐ吐く
- 血が混じる、黒っぽい・コーヒーかす状のものを吐く
- ぐったりして反応が鈍い、ふらつく、歯ぐきの色が白っぽい
- お腹を触ると嫌がる、鳴く、「祈りのポーズ」をとる
- ひも、布、骨、おもちゃ、薬、人の食べ物、チョコレートやキシリトールなどを食べた心当たりがある
- 子犬、高齢犬、持病のある犬で吐く
- 血が混じる下痢、突然の激しい吐き気と下痢
MSDマニュアルは、胃拡張・胃捻転(ガスで胃が膨れてねじれる病気)について、命にかかわる緊急事態とし、落ち着きのなさ、速い呼吸、腹痛や腹部の膨らみ、乾いたえずき、よだれがあるときはすぐに獣医療を受けるよう書いています。また、異物による腸閉塞では、元気消失・食欲低下・嘔吐が中心の症状で、嘔吐が止まらないと命にかかわる場合があるとされています。
様子を見てよいことが多いケース
- 1回だけ吐いて、その後は元気も食欲もいつもどおり
- 食べすぎ、早食い、草を食べた後に1〜2回吐いただけで、その後は落ち着いている
- 車に乗った後の吐き気で、降りたら収まった(車酔いの対策は犬の車酔い対策|症状の見分け方と車に慣らすステップ)
このような場合でも、その後の半日〜1日は、回数が増えていないか、元気や食欲、うんち、水を飲む様子を確認してください。様子見の間に、先ほどのサインが出てきたら、すぐ受診に切り替えます。
🍖 家で様子を見るときの注意|絶食・水・食事の戻し方
要点|絶食や水の制限は自己判断で続けず、動物病院に電話で確認
吐いたあとにどうするかは、獣医師の指示が優先されます。ここでは、MSDマニュアルの記述をもとに、一般的な考え方を整理します。
水と食事の扱い
MSDマニュアルでは、短期間(おおむね3〜4日未満)の嘔吐では、原則として24時間は食事を与えず、水の量も制限する対応が紹介されています。
一方で、点滴などを受けている場合を除き、水を取り上げてはいけないとも書かれています。脱水が悪化するおそれがあるためです。
さらに、食事を再開するときは、少量の消化のよい食事から始め、再び吐かなければ徐々に通常の食事に戻すとされています。
ただし、水や食事の量が多すぎても少なすぎても体に負担になるため、獣医師の指示に従うことが重要とされています。
ここで注意したいのは、これは獣医師の診察を受けた上での一般的な考え方であり、飼い主さんが自己判断で長く絶食させたり、水を制限したりすることを勧めるものではない点です。とくに、子犬・小型犬・高齢犬・持病のある犬は、状態が変わりやすいため、「どのくらい食事を休ませるか」「水はどう与えるか」を、まず動物病院に電話で聞いてください。
家でやってはいけないこと
- 人用の吐き気止め・胃薬、以前もらった薬などを自己判断で飲ませる
- 食べたものを吐かせようとする(家庭での催吐は危険なことがあります。Pet Poison Helplineも、塩や塩水で吐かせてはいけないと明記しています)
- 水を一気に大量に飲ませる
- 吐いたものを片づけてしまい、写真も撮らない
- 「いつものことだから」と何日も様子を見続ける
誤食が疑われるときの家庭での対応は、犬の誤飲・誤食完全ガイドに詳しくまとめています。
食欲が戻らないとき
吐いた後に食欲が戻らない場合は、無理に食べさせようとしないでください。食欲低下が続く場合の見方は犬がご飯を食べない原因と対処法|おやつは食べる時の受診目安にまとめています。
🏥 動物病院に伝えるメモ|写真・時刻・回数のまとめ方
要点|初回の時刻・回数・写真・誤食の心当たりをまとめて伝える
診察では、「いつから、何回、どんなものを」を伝えられるかどうかで、獣医師が状況をつかむスピードが変わります。吐いたものの状態は診察時には残っていないことが多いので、写真と短いメモを残しておきましょう。
- 初めて吐いた時刻と、その後の回数・時間
- 吐いたものの写真(色、量、混ざっているものが分かるように。可能なら定規やコインなど大きさが分かるものと一緒に)
- 最後に食べたものと時刻、いつもと違うおやつや人の食べ物の有無
- 誤食の心当たり(ゴミ、薬、観葉植物、おもちゃ、ひも、靴下など。パッケージも)
- 下痢・血便・食欲・元気の変化、水を飲む量
- 持病・飲んでいる薬・サプリ、ワクチン、フィラリア予防の状況
- 嘔吐の動画(吐出か嘔吐か分からないときに役立つ)
受診をためらう理由が費用や時間であっても、まずは電話で状況を伝えて、今すぐ来院が必要か、様子を見てよいかを聞いてみてください。迷ったら相談する、が基本です。
よくある質問
- 朝方に黄色い液体を吐きます。ほうっておいていい?
-
元気も食欲もあり、頻度が少ないなら様子を見ることがありますが、週に何度も続く、日中も吐く、元気がない場合は受診してください。おなかが空いている時間が長い場合に胃液や胆汁が出ることがある、と一般には言われますが、続くときは原因を調べてもらうのが安心です。
- 草を食べて吐くのは病気?
-
草を食べて1〜2回吐くだけで元気なら、様子を見ることが多いです。ただし、毎日のように食べて吐く、元気や食欲が落ちている、血が混じる場合は受診を考えてください。散歩中に何を食べたか分からない場合は、毒物の可能性も念頭に置いて、動物病院に相談してください。
- 吐いたあとすぐ水を飲ませていい?
-
水を取り上げないことが大切ですが、一気に大量に飲ませるとまた吐くことがあります。飲ませ方は、症状や年齢によって違うため、動物病院に電話で確認してください。
- 吐いたけど元気で食欲もある。病院に行かなくていい?
-
1回だけで、その後ふだんどおりなら、様子を見てよいことが多いです。ただし、そのあと吐く回数が増える、元気がなくなる、お腹を痛がるなどの変化が出たら、すぐに受診してください。毒物や異物の心当たりがある場合は、元気でも連絡しましょう。
まとめ
- 1回だけ吐いて元気・食欲があれば様子見でよいことが多い。回数が増える、血、ぐったり、お腹の張りがあれば受診
- 色(黄色・白い泡・茶色・赤)は手がかりだが、色だけで原因は決められない。写真と時刻を残す
- 空えずき+お腹の張り+よだれ、誤食の心当たりは、夜間でもすぐ動物病院へ
- 絶食や水の制限は自己判断で続けず、動物病院に電話で確認。人用の薬や吐かせる処置はしない
- いつから・何回・何を食べたか・誤食の有無・元気や下痢の様子をメモして伝える
📚 参考にした情報
- MSDマニュアル(ペットの飼い主向け)|Vomiting in Dogs
1〜2回の一過性の嘔吐は問題ないことが多いこと、頻繁・長期・血・腹痛・元気消失・脱水などでは検査が必要なこと、嘔吐と吐出の違い、短期の嘔吐での絶食・水の扱いと獣医師の指示に従う点。 - MSDマニュアル(ペットの飼い主向け)|Disorders of the Stomach and Intestines in Dogs
急性胃炎の吐物に胆汁・泡・血・コーヒーかす状の血液が見られること、異物による腸閉塞の症状、胃拡張・胃捻転は命にかかわる緊急事態であること、祈りのポーズ。 - Pet Poison Helpline|Salt Is Toxic To Pets
塩や塩水を使って動物を吐かせてはいけないこと。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。獣医師ではありません。くわしくは編集方針をご覧ください。



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