犬を車に乗せるときは、走行中に車内で動き回れない状態にして(クレート・キャリーをシートに固定する、または後部座席でハーネスをシートベルトの金具につなぐ)、膝の上や運転席まわりには乗せないのが基本です。駐車中は短時間でも車内に残さないことも重要です。道路交通法には、運転者の視野や操作を妨げる乗せ方を禁じる条文があり、犬を膝に乗せて運転することは、取り締まりの対象となるおそれがあります。この記事では、乗せ方の選び方、法律の考え方、慣らし方、停車中の暑さ対策、体調が悪そうなときの目安を整理します。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- 犬は後部座席で、クレートを固定するかハーネスをベルトにつなぐ
- 運転席の膝の上は視野や操作の妨げになり、道路交通法に触れるおそれ
- 駐車中は短時間でも車内に残さない。10分で約39℃になる検証がある
犬を車に乗せるときの基本|走行中に動かない状態にする
要点|固定されていない犬は急ブレーキで投げ出されます。動かない・運転を邪魔しない・後部座席の3点を押さえます。
急ブレーキや衝突のときは、固定されていない犬の体がシートや窓に投げ出されるおそれがあります。犬自身がけがをするだけでなく、運転者や同乗者にぶつかる危険もあります。
米国のASPCA(動物虐待防止協会)は、キャリーやクレートは通気性があり、犬が立つ・座る・横になる・向きを変えられる大きさにして、急に止まっても動かないよう車に固定することを勧めています。
クレートを使わない場合は、後部座席に乗せ、ハーネスをシートベルトの金具につなぎ、窓から顔を出させないようにする方法が紹介されています。
基本の考え方は次の3つです。
- 動かない:クレート・キャリーはシートベルトなどで固定し、中で転がらない大きさ・置き方にする
- 運転を邪魔しない:運転席の膝の上、足元、ハンドルまわりには乗せない
- 席は後部座席:飼い主の目が届きやすく、エアコンの風も届きやすい場所を選ぶ。荷室は温度が上がりやすい場合があるので避けたい
固定する用品は、体の大きさや車種によって合うものが変わります。商品を選ぶ前に、愛犬の体重と体高、車のシートの形、ベルトの位置を確認しておきましょう。お出かけ用品の種類は犬のお出かけ用品の比較記事でまとめています。
⚖️ 乗せ方の比較|クレート・ハーネス・シート・抱っこ
要点|クレートの固定、ハーネスとシートベルトの連結などを比較します。膝の上は避けましょう。
代表的な乗せ方の特徴を、一覧にしました。どれが正解というより、犬の性格や体格、車の使い方に合わせて選びます。
| 乗せ方 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| クレート・キャリー(シートに固定) | 犬の動ける範囲が限られ、ASPCAも通気性のあるものを固定して使う方法を紹介している | 車に置くだけでは動くので、ベルトなどで固定する。中に慣れていないと不安が強くなる |
| ハーネス+シートベルト連結(後部座席) | クレートを使わない場合の方法として、ASPCAが後部座席でベルトの金具につなぐやり方を紹介 | 首輪ではなく体に当たるハーネスを使う。リードの長さを短く調整し、足場から落ちたり絡まったりしないようにする |
| ドライブシート・ドライブベッド | 小型犬が落ち着いて座りやすい。固定用のベルトが付いた商品がある | 商品ごとに耐荷重や固定方法が違う。体格に合うか確認する |
| 同乗者が抱っこ | 近くで見守れる | 急ブレーキのときに支えきれないことがある。長時間には向かない |
| 運転者の膝の上 | ― | 視野や操作を妨げるため、避ける。次の項目で説明 |
ハーネスを選ぶ際は、サイズが合っていないと体が抜けたり、擦れたりします。商品の選び方は上の比較記事も参考になります。クレートに慣れていない犬は、車に乗せる前に自宅で慣らしておくと、車内での落ち着きが変わってきます。
段階的な慣らし方はクレートトレーニングの記事で紹介しています。
違反になる?道路交通法の考え方
要点|第55条第2項と第70条が関係します。犬の名前は条文にありませんが、視野や操作の妨げになる乗せ方は避けます。
「犬を乗せてはいけない」という決まりはありませんが、乗せ方によっては道路交通法に触れるおそれがあります。e-Gov法令検索で確認できる条文のうち、関係しやすいのは次の2つです。
- 第55条第2項(乗車又は積載の方法):運転者の視野やハンドルその他の装置の操作を妨げるような乗車をさせて車両を運転してはならない、という内容です
- 第70条(安全運転の義務):ハンドル、ブレーキなどの装置を正しく操作し、道路や交通の状況に応じて、他人に危害を及ぼさない速度と方法で運転する義務です
条文に「犬」と書かれているわけではありません。そのうえで、犬を膝の上に乗せて運転したり、運転席や足元で動き回れる状態にしたりすると、視野や操作の妨げになると判断される可能性があります。
実際にどの場合が取り締まりの対象になるかは、状況や警察の判断によります。トラブルを避けるには、「運転席には乗せない」「後部座席で固定する」を守ることです。
窓から顔を出させる行為についても、運転の妨げ、他の車や物との接触、小石や虫が目に入る危険があるため、避けたいところです。各都道府県には道路交通規則もあるため、不安なときはお住まいの都道府県警察の案内を確認してください。
初めて乗せるときの慣らし方と、出発前の準備
要点|停車、数分のドライブ、距離を延ばす、の順に慣らします。食事は出発の3〜4時間前に軽く済ませましょう。
車は、犬にとって音・揺れ・においが慣れない環境です。いきなり長距離に出るより、段階的に慣らすほうが、犬も飼い主もラクになります。ASPCAは、出発前に短いドライブを繰り返し、乗っている時間を少しずつ長くすることを勧めています。
- エンジンをかけない状態で、車に乗って、おやつをあげて降りる
- エンジンをかけて、数分だけ停車したまま過ごす
- 近所を数分ドライブして、帰ったらたくさん褒める
- 距離と時間を少しずつ延ばし、目的地を「楽しい場所(公園など)」にする
出発前の準備として、次の点も確認します。
- 食事:ASPCAは、出発の3〜4時間前に軽い食事をとらせ、走行中の給餌は避けることを勧めています
- トイレ:出発直前に排泄を済ませ、車内にペットシーツを敷いておくと粗相に慣れない場合も安心です
- 水:こぼれにくい容器で用意し、休憩のたびに飲ませます
- 車内の温度:JAFのページでは、犬の適温が18〜28℃とされ、車内はエアコンで25〜27℃を目安にするとよい、と紹介されています
- 持ち物:リード、ペットシーツ、ウェットシート、水、犬の書類など。旅行の持ち物は犬と旅行に行く前の準備リストにまとめています
乗るたびによだれが増える、吐く、震えるなど、車酔いのような様子があるときは、犬の車酔い対策の記事を参考に、症状の見分け方と慣らし方を確認してください。
車内で避けたいこと
- 運転中に犬へおやつをあげたり、遊んだりして、注意がそれる
- リードを長いまま持たせて、運転席のほうへ出られる状態にする
- 犬を自由にさせたまま、後部座席で立たせて走る
- 慣れていないのに、いきなり長距離のドライブに連れ出す
- においの強い芳香剤を使う。犬は人よりにおいに敏感なので、気になる様子があれば外す
長めのドライブでは、サービスエリアや公園でこまめに休憩をとり、トイレと水分補給、足を伸ばす時間をつくります。休憩のたびに、犬の呼吸の速さや表情、水を飲むかどうかを見ておくと、疲れや体調の変化に早く気づけます。
無理に予定を詰め込まず、犬の様子を優先して計画を立てましょう。
乗り降りと停車中が危ない|車内に残さない・リードを離さない
要点|ドアを開ける前にリードを付けます。日なたの車内は10分で約39℃になるため、車内に残すのは避けます。
走行中だけでなく、乗り降りと駐車中にも注意が必要です。
乗り降りのとき
ドアを開けた瞬間に犬が飛び出すと、車道に出てしまい、交通事故や迷子につながります。
ドアを開ける前にリードを付ける、飼い主が先に降りて犬の様子を確認してから降ろす、駐車場では舗道側のドアから降ろす、といった習慣をつけておきましょう。迷子の予防については犬とのお出かけマナー完全ガイドにも書いています。
駐車中の暑さ
JAFの検証では、日なたに駐車した車内は10分で約39℃、90分後には53℃まで上昇しました。外気温が23.3〜24.4℃でも、車内温度が最高46.5℃に達した例が報告されています。
日陰に停めても、エアコンを止めれば暑くなり、短時間でも、窓を少し開けていても、犬を車内に残すのは危険です。JAFのページでは、車内での留守番は動物愛護法に触れる場合があるとも説明されています。
- 買い物や用事のあいだ、犬を車内に残さない。連れて入れない場所には行かない
- 車に戻ってすぐの車内は暑いままなので、エアコンで冷やしてから乗せる
- 秋でも日差しが強いと車内は高温になる。季節を問わず注意する
- スマートキーを車内に置いたまま離れない。JAFによると、子どもやペットが車内に残されたままのキー閉じ込め救援が報告されている
🏥 動物病院へ行く目安|車内で様子がおかしいとき
要点|パンティングが止まらない、ぐったりしている、事故のあとに痛がるときは、動物病院へ連絡します。
車内で次のような様子が見られたら、無理に走り続けず、安全な場所に停めて犬の状態を確認します。
様子を見てよいことが多いケース
- 乗り始めに落ち着かず、少し震える・鳴くが、慣れてくると静かになる
- 休憩で外に出て、水を飲んで普段通りに歩けるようになる
早めに動物病院へ連絡したいサイン
- 激しく口を開けて呼吸する(パンティング)が止まらない、体がとても熱い
- ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い、ふらつく
- 何度も吐く、よだれが大量に出る
- 事故や急ブレーキのあと、痛がる、足を引きずる、出血がある
JAFのページでは、熱中症の初期症状として激しい口呼吸や体の熱さを挙げ、涼しい場所へ移して水を飲ませ、流水で体を冷やすよう紹介されています。
そのうえで、症状が強いときや回復しないときは、できるだけ早く動物病院に連絡して指示を受けてください。夜間や休日は、救急対応の病院を探します。事前に旅行先の近くの動物病院を調べておくと安心です。
よくある質問
- 小型犬なら、助手席に乗せてもいいですか?
-
助手席に乗せるなら、固定したクレートやキャリーに入れ、運転の邪魔にならないことが前提です。事故のときのエアバッグの影響などを心配する声もあるため、後部座席のほうが安心とされることが多いです。
- 窓を少し開けておけば、短時間なら車内に残してもいいですか?
-
避けてください。JAFの検証では、短時間でも車内温度が大きく上がることが示されています。窓を少し開けた程度では危険を防げません。
- 初めて車に乗せるとき、何分くらいから始めるのがよいですか?
-
決まった時間はありません。まずはエンジンをかけずに乗ってみる、停車したまま過ごす、数分のドライブ、と段階的に延ばします。犬の様子を見て、嫌がったら一段階戻りましょう。
- 犬用シートベルトだけで十分ですか?
-
商品ごとに固定の仕組みや強度が違うため、製品の説明をよく確認してください。体に合うハーネスと組み合わせ、後部座席で使う方法がASPCAで紹介されています。不安がある場合は、クレートに入れて固定する方法も検討してください。
まとめ
- 犬は後部座席で、クレートを固定するか、ハーネスをシートベルトにつなぐ形で、動かない状態にして乗せる
- 運転者の膝の上や足元に乗せると、視野や操作の妨げとして道路交通法に触れるおそれがある
- 慣らしは、停車、数分のドライブ、距離を延ばす、の順に。出発前は軽い食事とトイレを済ませておく
- 駐車中は短時間でも車内に残さない。JAFの検証では10分で約39℃まで上がった
- パンティングが止まらない、ぐったりしている、事故のあとに痛がる場合は、動物病院に連絡する
📚 参考にした情報
- ASPCA(米国動物虐待防止協会)|Road Trip Tips for You and Your Pet
通気性のあるキャリーを固定すること、クレートを使わない場合は後部座席でハーネスをシートベルトの金具につなぐこと、短いドライブから慣らすこと、出発3〜4時間前の軽い食事、駐車車内に残さないことが説明されている。 - JAF(日本自動車連盟)|JAF Mate 夏の車内温度・熱中症対策
日なたの車内が10分で約39℃、90分後に53℃まで上がったこと、子どもやペットの車内放置は極めて危険であること。 - JAF(日本自動車連盟)|JAF Mate 春先から初夏の車内熱中症の注意
外気温が23.3〜24.4℃でも車内温度が最高46.5℃に達したこと、短時間やエアコンを直前まで使っていても子どもやペットを車内に残さないよう呼びかけていること。 - JAF(日本自動車連盟)|JAF Mate ドライブの注意(愛犬の車内環境)
犬の適温の目安、車内の留守番は動物愛護法に触れる場合があること、熱中症の初期症状と応急対応の紹介。 - e-Gov法令検索(デジタル庁)|道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)
第55条第2項(視野や操作を妨げる乗車の禁止)と第70条(安全運転の義務)の条文。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。獣医師ではありません。くわしくは編集方針をご覧ください。



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