犬がいる家でストーブやファンヒーターを使うときは、①犬が触れない・倒せない置き方にする、②周りに燃えやすいものを置かず、外出時と就寝時は消す、③石油・ガスの器具は換気するの3点が基本です。NITE(製品評価技術基盤機構)によると、2020〜2024年の5年間に通知された主な暖房器具のトラブルは596件で、電気と石油の器具が約8割を占めました。この記事では、公的機関の資料と獣医系の情報をもとに、犬のいる家で気をつけたいことを整理します。



ストーブはあったかいけれど、ぼくたち犬は「熱いよ」を言葉で伝えられないんだ。置き場所と距離は、飼い主さんが先に決めてあげてね🐾
情報の確認日:2026年11月8日。公的資料の多くは「人」向けです。犬に限った統計や基準が公式資料で確認できなかった部分は、その旨を本文と末尾に書いています。
- 囲う・離す:床に置くストーブやファンヒーターは、犬が近づけないようにガードやサークルで囲み、取扱説明書にある壁や燃えやすいものとの距離を守ります
- 消す・抜く:外出時と就寝時は消します(東京消防庁・NITEが共通して挙げる基本)。留守中に犬や猫がこんろのスイッチを押した例や、コードをかんだ例が報告され、器具を倒すおそれも指摘されています
- 換気する:石油ストーブ・ガスストーブ・ファンヒーターは室内の空気を使って燃えるため、こまめな換気が必要です(東京都の資料)
- 受診の目安:毛や皮膚が焦げた・赤い・水ぶくれがある、電気コードを噛んだ疑いがある、といったときは、様子見にせず動物病院へ連絡します
犬がいる家のストーブには、どんな危険がある?
犬のいる家で気をつけたいのは、大きく4つです。①触れたり、温風を浴び続けたりするやけど、②倒す・可燃物が触れることによる火災、③換気不足による一酸化炭素、④電気コードを噛むことです。器具の種類で、特に気をつける点が少し変わります。
| 器具 | 犬のいる家で気をつけたいこと | 公的資料で確認できたこと |
|---|---|---|
| 石油ストーブ・石油ファンヒーター | 犬が倒す・触れる、毛布やおもちゃが近づく、給油のときの灯油のこぼれ、換気 | NITEの資料(2023年10月)では、2018〜2022年度の石油ストーブ等の通知269件のうち、調査が終わった233件で「誤使用・不注意」が115件(49%)。可燃物が熱で過熱・接触して出火した例が25件、近くに置いたスプレー缶が過熱されて破裂した例が3件ありました |
| 電気ストーブ・電気ファンヒーター | 火が見えないため油断しやすい、コードを噛む・引っ張る、倒す | 東京消防庁は、ストーブの火災では電気ストーブが最も多いことを示しています。NITEの2025年の資料では、コードやプラグの傷み、たこ足配線、転倒時に切れる機能、リコール対象かどうかの確認が点検項目に挙がっています |
| ガスストーブ・ガスファンヒーター | 熱い面や温風への接触、開放型の場合は換気、ガス器具のスイッチへの接触 | 東京都の資料では、石油ストーブ・ガスストーブ・ファンヒーターなどの開放型暖房器具は室内の酸素を使うため、換気せずに使い続けると不完全燃焼が進み、一酸化炭素が増えるとされています。ガス器具だけの件数は、今回の資料では確認できませんでした |
出典:NITE(2023年10月26日発表)/NITE(2025年10月30日)/東京消防庁/東京都多摩立川保健所。詳しい出典は記事末尾にまとめています。
犬が関わるトラブルとして、NITEは2013〜2022年度の10年間にペットが関わった製品の報告が61件あり、うち54件(約9割)が火災に至ったと公表しています(飼い主の不在中に犬や猫がこんろのスイッチを押した例が多いとのこと)。また、ペットがストーブを倒すと、可燃物が熱源に触れて出火するおそれがあるとも指摘しています。公益社団法人日本獣医師会も、留守番中の犬がガスこんろの操作ボタンを押して火災になったことへの注意喚起(NITEの取り組み)に賛同しています。
※NITEの件数には、ペットの関与が状況から推定されたものも含まれます。ストーブだけの件数は、公表資料から確認できませんでした。
ストーブへの近づけすぎ・倒す・触るを防ぐには?
犬は寒い日に、ストーブの前から離れないことがあります。ここでは、公的資料にある基本を、犬のいる家向けに読み替えて手順にしました。なお、消費者庁の注意喚起は子ども向けで、犬についての記載はありません。床に近い場所で暮らす点が似ているため、考え方を参考にしています。
- 床に置く器具は、手の届かない場所に置くか、安全柵で囲む(消費者庁が子ども向けに示している対策。犬ではストーブガードやサークルで囲む方法が考えられます)
- 器具と壁・燃えやすいものとの距離は、取扱説明書に書かれた数字を確認する(NITEが石油ストーブ等の使用前点検に挙げています)
- ストーブの近くに、毛布・クッション・犬のおもちゃ・おやつ・洗濯物を置かない(NITEは、ペットの興味を引く餌やおもちゃを暖房器具の周りに置かないよう求めています)
- ストーブの上や近くにスプレー缶を置かない(NITEの資料に、過熱されて破裂した例があります)
- 温風が犬に当たり続ける位置に寝床を置かない(消費者庁の資料に、約50cmの距離で温風が当たって赤ちゃんの足に水ぶくれができた例があります。犬での安全な距離は公式資料で確認できませんでした)
- ストーブの上にやかんを置かない(消費者庁の資料に、やかんが倒れて子どもが熱湯をかぶった例があります。犬が倒す可能性も考えて、置き方を見直します)
- 転倒したときに自動で消える機能(対震自動消火装置・転倒時に切れる機能)が正しく働くかを、使い始めの時期に確認する(NITEの点検項目)
- ガードやサークルに、洗濯物やタオルをかけて乾かす(東京消防庁・NITEは、ストーブの近くで洗濯物を乾かさないよう求めています)
- 給油をつけたまま行う(東京消防庁は、給油は消してから行うよう示しています)
- ガソリンや前のシーズンの灯油を入れる(NITEの石油ストーブ等の点検項目に、新しい灯油を使うことが入っています)
- 犬が触れる位置で、たこ足配線や傷んだコードを使い続ける
ストーブガードは、ストーブの大きさや形に合うものを選ぶ必要があります。対応する器具やガード自体の熱への注意は製品ごとに違うため、購入前に取扱説明書やメーカーの表示で確認してください(メーカー公式の注意書きは、今回確認できませんでした)。
低温やけど(熱いと感じない温度で、同じ場所に触れ続けて起こるやけど)は、こたつやホットカーペットで特に問題になります。こちらは、犬とこたつの安全な使い方|低温やけど・脱水・コードの危険と、犬用ホットカーペットおすすめ|タイマー・温度調節付きペットヒーターの口コミと低温やけど・コードの安全対策でくわしく書いています。
一酸化炭素を防ぐ換気は、犬がいる家でどうする?
石油ストーブ・ガスストーブ・ファンヒーターなどの開放型暖房器具は、室内の酸素を使って燃やし、排気ガスを室内に出します。東京都多摩立川保健所の資料によると、換気をせずに使い続けると、酸素が減って不完全燃焼が進み、一酸化炭素が急に増えます。一酸化炭素は、濃度が0.02%(200ppm)ほどで頭痛などが起こり、濃度が上がると吐き気やめまいが進み、最悪の場合は命に関わるとされています。
- 「1時間に1回以上、5分間程度窓を開ける」か、時間を決めて換気扇を回すなど、こまめに換気する
- 換気用の小窓や給排気口が、家具などでふさがれていないか確認する
- 空気の出入り口を、換気扇と窓、窓と窓など、対角線上に2か所以上つくると効率がよい
- ガス機器の使用中は、窓を開けるか換気扇を回し続ける。煙突式の風呂がまや大型湯沸器があるときは、キッチンの換気扇で排気が逆流することもある
犬の一酸化炭素中毒について、日本の公的機関が出している詳しい資料は、今回の調査では確認できませんでした。そのため、犬の症状の出方や、人より影響を受けやすいかどうかは断定しません。犬が元気をなくした、ふらつく、吐くなどの様子があり、ストーブをつけた部屋で人にも頭痛などがあるときは、一般的な対応として、器具を止めて窓を開け、人も犬も外の空気がある場所へ移り、動物病院や医療機関に連絡することを考えてください(この対応は、確認した東京都のページには書かれていません)。
暖房を使うときの換気で部屋が冷えるのが心配な場合は、犬の寝床の位置や防寒を見直す方法があります。冬の室温や湿度の目安は、犬にとって快適な室温・湿度|夏と冬のエアコン設定の目安に、寒がっているサインは犬が寒くてブルブル震える時の対策|寒さ以外の震えとの見分けと受診の目安にまとめています。
留守番中、ストーブや暖房はつけっぱなしにしていい?
ストーブ類(石油・電気・ガス)は、外出時と就寝時は消すのが、東京消防庁とNITEが共通して示している基本です。東京消防庁は、ストーブの火災は周りの可燃物が接触して出火する例が多いことを示しています。NITE(北海道支所・2022年)は、電気暖房器具について、就寝時や外出時に電源コードをコンセントから抜いておくことを挙げています。犬の留守番では、これに加えて次の点が重なります。
- 犬がスイッチを押す・器具を倒す:NITEは、留守中の犬や猫がこんろの操作ボタンを押して発火した例が最も多いとしています。ストーブを倒して可燃物が熱源に触れる火災のおそれも指摘しています
- 犬が電気コードを噛む:NITEの2017年の資料には、空気清浄機や電気ストーブなど床に置かれた製品の電源コードを犬が噛んだ例があります
- 誰も見ていない:何かあっても、すぐに気づいて止められません
NITEは対策として、外出時はペットをケージに入れる(サークルで囲う方法は、この記事の提案です)、使わない電気製品はプラグを抜いて犬が届かない場所に保管する、といった複数の対策を重ねるよう勧めています。ストーブを使わずに留守番中の寒さを防ぐ方法として、エアコンや、タイマー・温度調節のあるペット用ヒーターなどが考えられますが、冬の留守番中にエアコンをつけたままにすることの可否や、ペット用ヒーターの安全性を示す公的資料は、今回は確認できませんでした。
夏のエアコンを留守中に使うときの考え方(停止したときの備え、室温の見方)は、犬の夏の留守番はエアコンつけっぱなしがいい?停止リスクと室温の見方が参考になります。ペット用ヒーターを選ぶ場合は、低温やけどとコードの注意が必要です(前のセクションのリンクを参照)。
電気毛布・ホットカーペット・電気あんかなど、ストーブ以外の電気暖房の低温やけどやコード噛みについては犬の電気毛布・ホットカーペットの安全対策の記事も参考にしてください。冬は、ストーブの近くに置きがちなクリスマスツリーやポインセチアの注意を犬とクリスマスツリーの記事にまとめています。
やけど・コード噛みのとき、動物病院へ行く目安は?
ストーブでのやけどは、毛に隠れて見つけにくいことがあります。応急処置は、英国のペット慈善団体PDSA(獣医師と動物看護師が執筆)の案内が参考になります。やけどが疑われるときは、まず動物病院に電話で連絡し、獣医師の指示を受けてください。PDSAは、やけどをした皮膚を冷たい水で少なくとも10〜20分冷やすよう案内しています。氷や氷水は使いません。クリームや軟膏は塗りません。冷やしすぎて体が冷えないよう、毛布などで体を温めておく(やけどの部分には触れさせない)とも書かれています。そして、やけどの大きさにかかわらず獣医師に連絡するよう勧めています。日本の獣医系の機関による、同じ内容の資料は今回確認できませんでした。
| こんな様子 | 目安 |
|---|---|
| 皮膚が赤い・毛が縮れた・焦げたにおいがする・水ぶくれがある・触られるのを嫌がる | 応急処置のあと、できるだけ早く動物病院へ連絡して受診。PDSAは大きさにかかわらず獣医師に連絡するよう案内しています |
| ストーブに触れた疑いがあるが、見た目は変わらない | 様子見にせず、動物病院に電話で相談。やけどの範囲は、あとからはっきりすることがあります(MSDマニュアルの口腔のやけどの記載より) |
| 電気コードを噛んだ疑いがある(口の周りが赤い、よだれが多い、食べない、咳、呼吸が苦しそう、ぐったりしている) | 電源を切ってから犬を離し、すぐ動物病院へ。MSDマニュアルは、コード噛みのやけどは子犬や子猫に多く、飼い主の留守中に起きやすいこと、全身への影響(肺に水がたまる症状など)の確認が必要なことを示しています。見た目が軽くても相談を |
| 灯油をなめた・皮膚や毛についた | 量が分からないときも含め、動物病院へ連絡。製品名・時間・量の見当を伝える(この項目は、公式資料で確認できていない一般的な目安です) |
| ストーブをつけた部屋で、犬がふらつく・ぐったりしている、人にも頭痛やめまいがある | 器具を止めて換気し、外の空気がある場所へ移動して、動物病院・医療機関に連絡 |
出典:PDSA(英国)/MSDマニュアル獣医版。獣医師の診察の代わりにはなりません。



やけどは、見た目よりあとから深く分かることもあるよ。迷ったら、病院に電話して聞いてね🐾
犬とストーブについて、よくある質問
- 電気ストーブは火が出ないから、犬がいても安全?
-
電気ストーブは、火が見えなくても安全とは言えません。東京消防庁は、ストーブの火災の中で電気ストーブによるものが最も多いと示しています。犬が倒す、コードを噛む、毛布が触れるといったことが重なると、火災のおそれがあります。囲う・コードを隠す・外出時は消す、の3つを基本にしてください。
- ファンヒーターの温風を、犬に当てて温めてもいい?
-
犬に限った基準は、公式資料で確認できませんでした。消費者庁の子ども向けの資料には、約50cmの距離で温風が当たり続けて、赤ちゃんの足に水ぶくれができた例があります。直接当て続ける位置に寝床を置かず、犬が自分で離れられる場所を残しておきましょう。皮膚の赤みやいつもと違う様子があれば、動物病院に相談してください。
- ストーブの上にやかんを置いて、加湿してもいい?
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消費者庁の資料に、ストーブの上のやかんが倒れて、子どもが熱湯をかぶった例があります。犬が器具にぶつかって倒す可能性もあるため、犬のいる家では置き方を見直す方法を考えてください。乾燥が気になる場合の室内の湿度の目安は、犬の室温・湿度の記事(本文中のリンク)にあります。
- 犬がストーブの前から動かないときは?
-
近づけすぎて、やけどや脱水のもとになることがあります。ストーブをガードやサークルで囲み、犬の寝床を離れた場所に作り、毛布や防寒着で寒さを補いましょう。こたつやホットカーペットでも同じで、くわしくは低温やけどの記事(本文中のリンク)にあります。皮膚が赤い、毛が焦げているといったときは動物病院へ。
- NITE(製品評価技術基盤機構)の暖房器具の注意喚起(2025年10月30日発表):2020〜2024年の主な暖房器具596件、電気208件・石油263件、点検項目。北陸版資料はこちら
- NITE「シーズン初めの石油ストーブ安全大作戦」(2023年10月26日発表):2018〜2022年度の石油ストーブ等269件、使用前の5つのチェックポイント
- NITEのペットによる火災を防ぐポイント(2024年3月発表):2013〜2022年度のペット関与61件・うち火災54件、暖房器具周りの注意、コードの保管
- NITEの身近な動物が引き起こす火災についての発表(2017年8月24日):床に置かれた電気ストーブ等のコードを犬が噛んだ例
- NITE北海道支所の電気暖房器具の注意喚起(2022年11月24日):就寝時・外出時にコードを抜く
- 日本獣医師会が賛同するNITEのポスター「ペットに留守番をさせる際のお願い」:留守番中の犬がこんろの操作ボタンを押した火災への注意
- 東京消防庁「ストーブの周りに、物を置かないようにしましょう」/東京消防庁「STOP!住宅火災」:外出時・就寝時は消す、電気ストーブの火災が多い
- 東京都保健医療局 多摩立川保健所「一酸化炭素中毒の注意点」(ページの更新日:2019年9月10日):換気の目安
- 消費者庁「みんなの消費安全ナビ」Vol.610(暖房器具などによるやけど):子ども向けの注意喚起(ペットの記載なし)
- PDSA「First aid for burns」:英国のペット慈善団体。やけどの応急処置の案内
- MSDマニュアル獣医版「Soft Tissue Trauma of the Mouth in Small Animals」:電気コードによる口のやけど
公式資料で確認できなかった点:犬に限った暖房器具のやけど・火災の件数/犬にとっての安全なストーブとの距離/犬の一酸化炭素中毒の症状と日本の公的な基準/冬の留守番中にエアコン等をつけたままにすることの可否/ストーブガードのメーカー公式の注意書き/日本の獣医系機関によるやけどの応急処置。これらは断定せず、迷ったときはかかりつけの動物病院に相談してください。
最終更新:2026年11月8日。この記事は一般的な情報で、診断や治療の代わりにはなりません。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。


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