メスの犬がクッションや人の足にしがみついて腰を動かしても、多くの場合は珍しい行動ではありません。マウンティングは性別に関係なく見られ、背景は性的なものだけでなく、興奮、遊び、ストレス、飼い主の反応を引き出したい気持ちなど、さまざまです。叱って止めるより、きっかけを見つけて、落ち着ける行動に切り替える対応のほうが続けやすいとされています。ただし、急に増えた、止めにくい、体の不調のサインを伴うといった場合は、動物病院に相談してください。
- メス犬のマウンティングは珍しくなく、避妊後も続くことがあります。
- 犬のマウンティングの原因は、興奮・ストレス・注目・くせなどさまざまです。
- 愛犬がマウンティングしたら、叱らず反応しすぎず、中断します。
- 犬が落ち着いたらほめて、代わりの行動を教えていきます。
- 犬のマウンティングが急に増えたときは、動物病院に相談します。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- メス犬のマウンティングは珍しくなく避妊後も続く
- 原因は興奮・ストレス・注目・くせなどさまざま
- 反応しすぎず中断し、落ち着いたらほめる
この記事では、メス犬のマウンティングについて、原因の見分け方、家庭でできるやめさせ方、避妊手術との関係、受診の目安を整理します。運営者は獣医師ではない犬好きの個人のため、獣医系の情報源で確認できた内容をもとに、診断や断定は避けて書いています。
💡 メスの犬もマウンティングする?性別に関係なく見られる理由
要点|性別を問わず見られ、上下関係を示す行動とは限らない
「マウンティングはオスだけの行動」と思われがちですが、メスにも見られます。犬の暮らしを紹介する情報では、メスでもマウンティングをすることがあり、オスより少ない傾向があるとされています。
海外の獣医系の情報でも、子犬のうちから性別を問わずマウンティングが見られること、メスでも、特に発情期に見られることがあるとされています。
また、避妊手術を受けた犬でも、マウンティングが見られることがあります。獣医系の動物病院グループの解説では、避妊・去勢をした犬でも、性別を問わずマウンティングを続けることがあり、手術の経過に問題があったことを示すとは限らないと説明されています。
昔から「マウンティングは上下関係を示す行動」と言われることがありますが、近年の獣医系の解説では、これは一般的な理由ではない、犬は優位性を主張するためにマウンティングするという考えは俗説だとする見方が示されています。「なめられている」と受け取って厳しく叱るより、状況を観察して原因を探るほうが、対応がうまくいきやすいでしょう。
💡 原因別の見分け方|いつ・何に対してするかを観察する
要点|興奮・ストレス・注目・くせ・体の不快感を、場面から見当づける
同じマウンティングでも、理由は一つとは限りません。「どんな場面で」「何に対して」「どのくらい続くか」を数日記録すると、原因の見当がつきやすくなります。獣医師監修の解説でも、場面ときっかけを観察することが勧められています。
| 考えられる背景 | よくある場面 | 見分けるヒント | 対応の方向 |
|---|---|---|---|
| 興奮・遊び | 来客、帰宅時、ほかの犬との遊び、散歩前 | しっぽが振れ、息が上がり、全体にテンションが高い | 興奮が上がる前に落ち着かせる。遊びをいったん区切る |
| ストレス・葛藤 | 叱られたあと、留守番前後、環境の変化、緊張する場面 | あくび、体をかく、落ち着きなく歩くなどを伴う | 刺激を減らし、運動や知育で発散。原因となる場面を見直す |
| 注目を引きたい | 飼い主がスマホや家事に集中しているとき | する前に飼い主の顔を見る。反応すると続く | 反応しすぎず、落ち着いたときに声をかける |
| 性的な理由・ホルモン | 発情の時期、未避妊のメス | 外陰部の腫れや出血など、発情のサインと同時期に増える | 時期を把握し、獣医師に避妊手術の相談も |
| 習慣(くせ) | 特定のクッション、ぬいぐるみ、毛布 | 同じ物に決まってする。避妊後も続く | 対象物を片付け、代わりの遊びを用意する |
| 体の不快感・病気 | 急に増えた、陰部をしきりに舐める、触られるのを嫌がる | ほかに体の変化がある | 早めに動物病院で相談する |
この表は「よくある傾向」をまとめたもので、見分け方に決まった正解はありません。複数の理由が重なっていることも多く、たとえば「興奮して、さらにストレスがかかった」というケースもあります。
遊びや興奮でするとき
獣医系の解説では、興奮しやすい犬は、遊びの中でテンションが高まったときに、遊び相手の犬や人にマウンティングすることがあるとされています。
相手の犬が嫌がっていなければ、介入が必要ないこともありますが、相手が嫌がっている、けんかに発展しそうなときは、いったん遊びを止めて離すほうが安全です。
多頭飼いのけんかとじゃれ合いの見分け方は犬の多頭飼いで喧嘩が起きる原因と対処法|じゃれ合いとの見分け方が参考になります。
ストレスや不安があるとき
緊張や葛藤のあまり、気持ちをそらす行動(転位行動)としてマウンティングが出ることがあるとされています。留守番のあとや来客のあとなど、特定の場面で出るなら、その場面の負担を減らすことが対策になります。
留守番に関係するときは犬の分離不安症完全ガイド|留守番中の破壊・吠え・粗相を克服するトレーニングもあわせて読んでみてください。
くせになっているとき
特に避妊手術の時期が遅かった犬などでは、手術前に覚えた行動が習慣として残ることがあるとされています。くせになったあとは、手術だけでなくなるとは限らないため、手術の有無に関係なく、行動の切り替えを練習することが大切になります。
やめさせ方|中断→落ち着かせる→代わりの行動の3ステップ
要点|叱らず反応しすぎず中断し、落ち着いてからほめる
基本の流れは、「叱らずに中断する」「落ち着かせる」「代わりの行動をほめる」の3ステップです。叱ったり、おやつやおもちゃで気をそらしたりするのは、犬にとって「やればかまってもらえる」という学習につながることがあるため、やり方に注意が必要です。
- 反応しすぎずに中断する:人の足にしがみついてきたときは、大きなリアクションをせず、そっと離れるか、体の向きを変えます。「おすわり」「ふせ」など、すでにできる指示を出して、別の行動に切り替える方法も紹介されています。
- 落ち着くまで待つ:興奮が強いときは、静かな場所で少し休ませます。ハウスやクレートを使う場合は、罰ではなく休憩の場所として、普段から自分で入れるように慣らしておくことが前提です。クレート嫌いにさせないよう、無理に押し込まないでください。
- 落ち着いたあとにほめる:マウンティングをしている最中におやつを出すと、ごほうびになってしまうことがあります。いったん落ち着いてから「おすわり」などをさせ、ほめたりおやつをあげたりすると、「落ち着いた行動がよい結果につながる」と学びやすくなります。
やってはいけない対応
- 大声で怒鳴る、叩く:怖がらせるだけでなく、注目を得られたと学習して続けたり、不安が強まったりするおそれがあります。
- 長い説教:犬には内容が伝わりにくく、かまってもらえたという経験になりがちです。叱るなら短く低い声で一言にとどめ、次にしてほしい行動を指示します。
- 笑って受け入れるような対応:優しい声で止めながら抱き上げるような対応は、受け入れているように伝わることがあるとされています。
- 罰としてケージに閉じ込める:ケージ嫌いにつながるおそれがあります。
日常の環境調整
- 対象になりやすいクッション、ぬいぐるみ、毛布は、いったん片付ける
- 長く遊べる別のおもちゃや、知育おもちゃを用意する
- 散歩や遊びの時間を見直し、体と頭を使って発散できるようにする
- きっかけになりやすい場面(来客、帰宅直後)の前に、落ち着く行動を練習しておく
基本的なしつけの順番は子犬のしつけ完全ガイド|いつから何を教える?順番とトイレトレーニングの日数目安にまとめています。成犬でも、基礎の指示を使い直すと切り替えやすくなります。
🏥 避妊手術・体の不調との関係と、動物病院へ行く目安
要点|急な増加や止まらない様子、陰部の変化があれば受診を相談
避妊手術との関係
手術でホルモンの影響が減るため、性的な理由でのマウンティングは減ることがあるとされています。一方で、すでにくせになっていたり、興奮・ストレス・遊びが理由だったりする場合は、手術後も続くことがあります。
「手術をすればなくなる」とも「手術しても意味がない」とも言い切れません。避妊手術には、マウンティング以外にも、ほかの病気の予防や体への負担、麻酔のリスクなど、考えるべき点が多くあります。
行動のためだけに判断せず、かかりつけの獣医師と、年齢や健康状態をふまえて相談してください。
体のトラブルとの関係
行動の問題は、まず病気などの体の要因がないかを確認することが大切だと、獣医学の専門書でも説明されています。メス犬では、マウンティングそのものより、同時に見られる変化に注目してください。
皮膚のかゆみや赤み、陰部の不快感が行動の背景にあるかどうかは、見た目だけでは判断できません。皮膚の見方は犬が体を掻く・皮膚が赤いときの見方|かゆみの観察ポイントと受診の目安に整理しています。
動物病院へ行く目安
次のような様子があるときは、様子見をせずに動物病院に相談してください。
- マウンティングが急に増えた、以前はなかったのに始まった
- 1日の多くの時間を占め、声をかけても止まらない(強いこだわりの可能性)
- 陰部をしきりに舐める、触られるのを嫌がる、おしっこの回数や様子が変わった
- 避妊手術を済ませているのに、外陰部からの出血や腫れ、乳腺の張り、未去勢のオスが寄ってくるといった様子がある
- 関節や腰が弱い犬で、後ろ足で立ってしがみつく動作の負担が心配なとき
- しつけを続けても、数週間たってもまったく改善しない
一方、特に困っておらず、短時間で切り替えられるマウンティングは、様子を見ながら環境を整える対応でもよいとされています。迷うときの目安は、犬の症状から探す|気になる「いつもと違う」の一覧から確認できます。
来客・ほかの犬・クッションへの対応
要点|場面別に環境を整え、呼び戻しや代わりの遊びを使う
来客のとき
インターホンが鳴る前から、落ち着ける場所で待たせる習慣をつけると、興奮が上がりにくくなります。人にしがみつくときは、飼い主が冷静にリードをつけて距離をとるか、ハウスで休ませてもらうなど、あらかじめ決めておくと安心です。
来客に「抱っこしたり、笑って受け入れたりしないでほしい」と事前に伝えておくのも一つの方法です。
ほかの犬に対して
ドッグランや散歩中は、相手の犬が嫌がるそぶりを見せたら、すぐに呼び戻します。
獣医師監修の解説では、ほかの犬に対しては「おいで」で呼び戻す方法が紹介され、普段から落ち着いている場面でごほうびを使わずに練習しておくとよいとされています。相手の飼い主さんに一声かけて、無理に続けさせないことも大切です。
クッションやぬいぐるみに対して
対象物を片付けるだけで減ることもあります。そのうえで、長く遊べるおもちゃを与えたり、散歩や遊びの時間を増やしたりして、エネルギーの出口を作ります。特定の物に何度も繰り返すときは、運動量や留守番時間も見直してみてください。
関節への負担
後ろ足で立ってしがみつく動作は、関節に負担がかかることがあります。椎間板や膝、股関節に不安のある犬や、シニア犬では特に、続けさせないほうが安心だとされています。
よくある質問
- 避妊済みのメスがマウンティングするのはおかしいですか。
-
避妊済みでもマウンティングが続く犬はいて、手術がうまくいかなかったことを示すとは限らないと説明されています。遊び、興奮、ストレス、くせなど別の理由が重なっていることが多いためです。外陰部の出血や腫れなど、気になる変化があるときだけ受診の相談をしてください。
- 飼い主の腕や足にしがみつくのは、なめられているからですか。
-
「上下関係を示している」と考えるのは一般的ではないとされています。興奮、遊びの誘い、注目を引きたい気持ちなど、ほかの理由のほうが多いと考えられます。厳しく叱るより、反応しすぎず、すわりなどに切り替えるほうがうまくいきやすいでしょう。
- 一日何回までなら問題ないですか。
-
回数で線引きできる目安は確認できませんでした。短時間で切り替えられて、犬や相手が困っていなければ、深刻に受け止めなくてよいとされています。一方、生活の多くの時間を占める、止めにくい、ほかの犬や人が不快に感じているときは、相談する目安になります。
- 子犬の時期のマウンティングは、放っておいていいですか。
-
子犬でも、遊びの中で性別を問わず見られる行動です。放っておくというより、くせにならないよう、興奮しすぎる前に遊びを区切り、落ち着く練習を重ねることが大切です。
まとめ
- メスの犬のマウンティングは珍しくなく、避妊済みでも見られる。「上下関係」とは限らない
- 原因は、興奮・遊び・ストレス・注目・くせ・体の不快感など。場面と相手を観察して見当をつける
- やめさせ方は「反応しすぎずに中断→落ち着かせる→代わりの行動をほめる」。叱りすぎ、最中のごほうびは避ける
- 急に増えた、止まらない、陰部の気になる様子や出血・腫れがあるときは、動物病院に相談する
- 避妊手術は行動だけで決めず、かかりつけの獣医師と健康状態をふまえて話し合う
📚 参考にした情報
- VCA Animal Hospitals|Why Does My Spayed Or Neutered Dog Still Hump
避妊・去勢後も性別を問わずマウンティングが続くことがあり、遊び・ストレス・くせなどの理由があり、優位性は一般的な理由ではないと説明されている。 - PetMD|Why Do Dogs Hump?
メスも発情期などにマウンティングすること、叱らず別の行動にそらす対応、止まらない場合は獣医師やトレーナーに相談する目安が説明されている。 - アニコム損害保険(獣医師監修)|犬がマウンティングする理由は? やめさせる方法や犬への影響も解説!
メスでもマウンティングをすること、最中のごほうびは避けて無視・別の指示で切り替えること、関節への負担などが説明されている。 - MSDマニュアル獣医版|Behavior Problems of Dogs
行動の問題では、まず体の要因の可能性を除外することが重要と説明されている(マウンティング自体の記載はなし)。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。獣医師ではありません。くわしくは編集方針をご覧ください。



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