脂肪が少なそうで、ドッグフードにも使われている馬肉や鹿肉。「うちの子に与えてもいいの?」「馬刺しなら生でも平気?」と気になる方も多いと思います。結論からいうと、馬肉・鹿肉は、中心までしっかり加熱して、少量を与えるなら食べられる(△)食材です。生で与えるのはおすすめできません。とくに野生の鹿肉(ジビエ)は、人でもE型肝炎ウイルスや寄生虫などの食中毒が心配される食材です。
この記事では、馬肉と鹿肉それぞれの注意点、加熱の目安、アレルギーの犬に使われることがある理由を整理します。運営者は獣医師ではありません。公的機関や獣医系の情報をもとにした一般的な内容なので、持病がある犬や、食物アレルギーの疑いがある犬は、獣医師に確認してください。
犬に馬肉・鹿肉をあげる結論早見
| 項目 | 馬肉 | 鹿肉 |
|---|---|---|
| 可否 | 加熱したものは△〜◯、生は控える | 加熱したものは△、生は× |
| 加熱の目安 | 中心まで十分に(75℃で1分以上が参考) | 中心75℃で1分以上(国が示すジビエの目安) |
| 主な心配 | 生の細菌や寄生虫、馬刺しのタレ | E型肝炎ウイルス・大腸菌・旋毛虫など |
| 避けたい例 | タレ付きの馬刺し、味付け馬肉 | 入手経路が不明な野生肉、生肉・生の骨 |
馬肉も鹿肉も、一般に脂肪が少ない赤身の肉といわれ、ドッグフードの原料としても使われます。ただし、栄養効果を期待して主食代わりにする食材ではありません。どちらも、主食は総合栄養食という前提で、トッピングやごほうびとして少量使う食材です。環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、肉や魚を生のまま与えると内部寄生虫が発生したり、細菌性の中毒を起こしたりする可能性があるため、加熱調理したものを与えるほうが安全性が高まるとしています。
馬肉:馬刺しの「生食OK」は人向けの話
馬肉は日本では馬刺しとして生で食べる文化があるため、「犬も生で大丈夫」と思われがちです。しかし、人が生で食べるときには決まりごとがあります。厚生労働省は2011年に、馬肉に寄生する住肉胞子虫(サルコシスティス・フェアリー)が、生食による下痢や嘔吐などの食中毒の原因になりうるとして、生食用の馬肉は中心温度−20℃で48時間以上の冷凍処理をするよう指導しています。自治体の資料によれば、症状は数時間後に出て軽く済むことが多いものの、食中毒として扱われています。
この冷凍処理は人向けの食中毒対策で、犬に生で与えても安全だと保証するものではありません。犬については、馬肉の生食を想定した公的な基準は見つかりませんでした。意見が分かれる点なので、少なくともこのサイトでは「加熱して与える」のを基本にします。馬刺しの付け合わせのタレ(醤油・にんにく・しょうが)は塩分や香味野菜が気になるため、犬には不要です。
鹿肉:ジビエは「人でも生はNG」の食材
鹿肉は、狩猟で得られた野生の肉であれば、どんな病原体を持っているかわかりません。厚生労働省は、生や生焼けの鹿・イノシシ肉による食中毒として、E型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌、旋毛虫(トリヒナ)などを挙げ、中心温度75℃で1分以上の加熱を求めています。旋毛虫は冷凍しても死なないとされ、冷凍品も加熱が必要です。
犬でも、旋毛虫は生や加熱不十分な肉を食べることで感染しうるとPetMDなどの獣医系の情報で説明されており、子犬は感染しやすい傾向があるとされています。つまり、鹿肉をもらったからと生のままあげる、猟で得た肉を生で与えるといったことは避けたい行動です。入手するなら、食肉処理施設で処理され、販売元がはっきりしているものを選び、家庭で中心まで火を通しましょう。
加熱のしかたと与え方
- 下ごしらえ:骨、見える脂、硬い筋を取り除きます。
- 加熱:塩・調味料なしで、ゆでる・蒸す・油を使わずに焼くなどして、中心まで火を通します。表面だけ焼くのは不十分です。
- 切り方:冷まして、愛犬の口に合わせて薄く小さく切るか、ほぐします。
- 量:環境省のガイドラインは、間食を1日に必要なカロリーの20%以内に抑えるよう示しています。馬肉・鹿肉もこの範囲で、足した分はごはんを減らします。
初めての日は、ほんの少量にして、ほかの新しい食材と重ねないようにします。まな板や包丁、手を洗うことも忘れないでください。ほかの肉の扱い方は、犬は牛肉を食べても大丈夫?も参考になります。
アレルギーの犬に使われる理由と、注意が必要な犬・食べてしまったとき
鶏肉や牛肉でアレルギーが出る犬の除去食に、馬肉や鹿肉などが使われることがあります。Mueller博士らが2016年にBMC Veterinary Researchで発表した、犬の食物アレルギー報告297頭の総説では、原因として報告された食材は牛肉34%、乳製品17%、鶏肉15%、小麦13%の順で、馬肉や鹿肉は挙がっていませんでした。
ただし、これは馬肉・鹿肉でアレルギーが起きないという意味ではありません。もともと食べる機会が少ないぶん、報告が少ないだけの可能性があります。除去食(原因食材を調べる食事)は、獣医師と進め方を決めるのが基本です。調べ方は犬の食物アレルギー検査方法で解説しています。食後にかゆがる、軟便や嘔吐が続くなどの様子があれば、与えるのをやめて動物病院に相談してください。
子犬、腎臓や肝臓の持病でたんぱく質の管理をしている犬、肥満気味の犬、療法食を食べている犬は、肉をトッピングする前に獣医師へ相談すると安心です。食事の内容は、体の状態によって「足してよいもの」が変わるためです。
生の馬肉・鹿肉を食べてしまったとき
生の馬肉・鹿肉を食べてしまったら、食べた量と時間、肉の種類(市販か猟で得たものか)を確認します。数日は便と食欲を見て、嘔吐、下痢、元気や食欲の低下、筋肉を痛がる様子があれば、その情報を伝えて動物病院に連絡してください。野生の肉の場合は、とくに早めの相談が安心です。家庭で吐かせたり薬を与えたりせず、獣医師の指示を受けましょう。生肉の考え方は、犬に生の豚肉は危険?も参考になります。
よくある質問
Q. 馬肉・鹿肉のジャーキーや缶詰は大丈夫?
犬用として売られているものは、環境省のガイドラインでいう「間食」などにあたり、パッケージの給与量の範囲で使います。原材料と加工方法を確認し、人用の味付けジャーキーは避けましょう。
Q. 鹿の角や骨は与えていい?
硬さによる歯の欠けや、割れた破片のリスクがあります。注意点は鹿の角を与える際の注意点にまとめています。
Q. ほかの食べ物の可否は?
犬が食べていいもの・ダメなもの早見表で確認できます。
まとめ
- 馬肉・鹿肉は、中心まで加熱して少量なら△。生は避ける
- 馬刺しの冷凍処理(−20℃48時間以上)は人向けの対策で、犬への安全を保証するものではない
- 鹿肉(ジビエ)は、E型肝炎ウイルス・大腸菌・旋毛虫のリスクがあり、中心75℃で1分以上の加熱が国の目安
- 間食・トッピングは1日に必要なカロリーの20%以内。主食は総合栄養食
- アレルギー対策の除去食は自己判断せず、獣医師と進める
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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