「うちの子もだんだん年を取ってきた。シニアになると、お金はどれくらい余分にかかるの?」。7歳、8歳を過ぎると、こうした不安が現実味を帯びてきます。結論から言うと、シニア期は医療費が増えやすいことが、保険契約データからはっきり読み取れます。一方で、食費や用品代、介護にかかる費用は犬によって大きく違い、一律の金額は示せません。この記事では、公表されている数字と、費用が増えやすいポイント、準備の進め方を整理します。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。


病気の症状や治療の内容には触れません。気になる様子があれば、費用を心配する前に動物病院に相談してください。
犬の「シニア」はいつから?寿命の目安


環境省・農林水産省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」では、高齢期は約7〜8歳以降の時期とされています。ただし、老化のスピードには個体差があり、すべての犬がこの年齢から高齢犬というわけではないとも説明されています。
ペットフード協会の「令和5年(2023年)全国犬猫飼育実態調査」では、犬の平均寿命は全体で14.62歳、超小型犬が15.07歳、小型犬が14.29歳、中型犬・大型犬が13.86歳でした。7〜8歳をシニアの入り口と考えると、犬の一生のおよそ半分近くがシニア期にあたります。若い時期の出費だけで生涯の計画を立てると、後半に不足しやすい点を意識しておきたいところです。
年齢で医療費はどう変わる?
アニコム損害保険の「家庭どうぶつ白書2025」(2023年4月〜2024年3月の保険契約データ)では、犬の年間診療費が年齢層ごとに示されています。
| 年齢 | 平均 | 中央値 |
|---|---|---|
| 0〜4歳 | 52,613円 | 21,860円 |
| 5〜9歳 | 88,362円 | 39,358円 |
| 10歳以上 | 172,742円 | 99,346円 |
10歳以上の平均は、0〜4歳の約3.3倍です。中央値でも約4.5倍で、一部の犬だけが高いのではなく、全体として年齢とともに診療費が増える傾向がわかります。
別の版の白書の数字もあります。オリコンの解説によると、「家庭どうぶつ白書2024」では犬の年間診療費の平均が7歳で約10万円、14歳で約24万9,500円とされています。また、nippon.comが紹介した「家庭どうぶつ白書2023」(2021年度データ)では、1歳が5万956円、15歳が23万9,810円と、約4.7倍の差でした。版によって対象年度や集計方法が違うため数字は一致しませんが、高齢になるほど診療費が上がるという方向性は共通しています。
医療費以外に増えやすい費用


シニア期には、診察や薬以外にも次のような費用が増えることがあります。いずれも犬の状態によるため、全員に必要というわけではありません。
- 定期的な健康診断:日本獣医師会の調査(令和3年)では、1日ドックの料金の中央値は16,250円でした。年に1〜2回受けると、その分が毎年の固定費になります。
- フードの見直し:ガイドラインでは、高齢期にはシニア用のフードがあるとされています。食べやすさや体重の管理で、フードの種類や形状を変える場合があります。
- 床の滑り止めやマット、ベッド:足腰への負担や、寝ている時間が増えることに合わせた用品です。
- 介護用品:ハーネス、おむつ、シーツの量の増加など。詳しくは老犬介護完全ガイドをご覧ください。
- 室温の管理:アニコムの2025年調査では、飼育に伴う追加の光熱費が年間約2万2,000円と報告されています。暑さ寒さに弱くなると、冷暖房の使用が増えるかもしれません。
- 通院の手段:歩くのが難しくなった場合、通院の移動手段(タクシーなど)の費用が増えることもあります。
シニア期に向けた準備の進め方
1. 7歳ごろから「シニア用の枠」を作る
毎月の予算とは別に、医療費・介護費の積み立て枠を持つ考え方です。たとえば、10歳以上の年間診療費の平均(約17.3万円)を1年分の目安として、月に1万円強を積み立てておくと、年間分を賄える計算になります(私の単純計算)。積み立てが無理なく続けられる額から始めましょう。
2. 保険に入る場合は、年齢の条件を早めに確認する
ペット保険は新規に加入できる年齢の上限が商品ごとに決まっており、保険料は年齢とともに上がるのが一般的です。すでに病気がある場合、加入や更新の条件が変わることもあります。比べるときの視点はペット保険は必要?入る前に知りたい考え方と比べる視点で整理しています。
3. 病気を見つける目的の健診を計画に入れる
早い段階で気づければ、治療の選択肢が増えたり、負担が軽くなったりする場合があります。一方で、糖尿病や腎臓病のように、長くつきあう病気もあります。代表的な病気の知識は犬の糖尿病完全ガイドや犬の腎臓病の初期症状で確認できます。受診の目安に迷うときは、動物病院に相談してください。
4. 家族で「できる範囲」を話し合っておく
介護や治療は、お金だけでなく、時間や体力も必要です。家族の誰が通院に連れていくのか、留守番の間どうするのかなどを前もって話し合い、負担が一人に偏らないようにします。
介護が必要になったときの費用の考え方
歩行や排泄に介助が必要になると、用品やサービスの費用が加わります。人の介護のような公的な介護保険は、犬にはありません。費用の見通しを立てるときは、次の点を意識すると無理が出にくくなります。
- 用品は一度にそろえない:状態は少しずつ変わります。必要になった時点で、必要なものを足していくほうが、使わない用品を買う無駄が減ります。
- 消耗品の量を見積もる:おむつやシーツなどは、使う枚数が増えるほど月々の負担が大きくなります。1週間の使用量を記録して、月額を割り出しておきます。
- 預け先や介護サービスは事前に調べる:旅行や急な用事のときに預けられる場所があるか、料金体系はどうなっているかを、必要になる前に確認しておきます。
- 自治体や団体の支援は地域差が大きい:助成制度の有無は住んでいる地域で違うため、気になる場合はお住まいの自治体の窓口で聞いてみてください。
介護中は、費用だけでなく飼い主さんの心身の負担も大きくなります。つらいときは、かかりつけの動物病院や、家族・友人に相談して、一人で抱え込まないようにしましょう。
よくある質問


- シニア期に入ると、毎月の出費はどれくらい増えますか?
-
一律の金額は示せません。医療費は年齢とともに増える傾向がありますが、元気なまま過ごす犬もいれば、持病の治療が長く続く犬もいます。自分の犬の過去数か月の支出を記録して、変化を見るのが確実です。
- シニア用のフードに変えると、食費は高くなりますか?
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商品によって価格はさまざまで、一概には言えません。ガイドラインでは、年齢に合わせたフードに変えるときは、急に切り替えず1週間ほどかけて徐々に割合を増やすことが勧められています。体重や便の状態を見ながら調整してください。
- 老犬になってから保険に入ることはできますか?
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商品によって加入できる年齢の上限が決まっています。上限を超えている場合は新規加入ができず、すでにある病気は補償されないこともあります。詳しい条件は各社の約款で確認してください。入れない場合は、貯金での備えを中心に考えることになります。
まとめ
- ガイドラインでは、高齢期は約7〜8歳以降が目安。犬の寿命の約半分がシニア期にあたる。
- アニコムの白書2025では、年間診療費の平均は0〜4歳が約5.3万円、10歳以上が約17.3万円と、年齢とともに増える。
- 医療費のほか、健康診断、フードの見直し、室温管理、介護用品などの費用も増えることがある。
- 7歳ごろからシニア用の積み立て枠を作り、保険は年齢条件を早めに確認する。
- お金だけでなく、家族の時間や体力の分担も合わせて考える。
数字は調査時点のものです。個々の犬の状態については、かかりつけの獣医師にご相談ください。年間の支出全体の見通しは、同じカテゴリの「犬を飼うと年間いくらかかる?」もご覧ください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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