愛犬の具合が悪くなって動物病院へ行ったら、思ったより会計が高くて驚いた。そんな経験から、「次に何かあったらいくら必要なんだろう」と不安になる飼い主さんは多いようです。結論として、動物病院の料金は病院ごとに自由に決められていて、相場の幅が大きいため、あらかじめ「平均的な目安」と「自分の家で用意できる額」を知っておくことが、いちばんの備えになります。
この記事では、日本獣医師会の診療料金調査とアニコム損害保険のデータをもとに、医療費の目安と備え方を整理します。病気の症状や治療内容そのものについては触れません。具合が悪そうなときは、費用を心配して受診を遅らせず、動物病院に相談してください。
動物病院の料金はどう決まる?
人の医療は公的な医療保険で料金がそろっていますが、犬など動物の診療には同じような制度がなく、料金は各病院が決めます。日本獣医師会が令和3年8〜10月に行い、令和5年9月に公表した「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」(小動物診療施設の開設者1,096件が回答)には、全国の病院の料金のばらつきが示されています。
| 項目 | 料金(中央値) | 前回(平成27年) |
|---|---|---|
| 初診料 | 1,500円 | 1,386円 |
| 再診料 | 750円 | 726円 |
| 時間外診療(深夜) | 6,250円 | 4,513円 |
| 健康診断(1日ドック) | 16,250円 | 14,021円 |
日本獣医師会は、全体として診療料金が引き上げられている状況だと報告しています。さらに、1日ドックの料金は、5,000円台の施設から3万円を超える施設まで広がっています。同じ検査でも、病院によって2倍以上の差が出る可能性があります。
実際にどれくらい医療費を払っている?
アニコム損害保険の「2025年のペットにかける年間支出調査」(同社のペット保険契約者5,494名、2025年1〜12月)では、犬のけがや病気の治療費は年間89,120円で、前年の110.9%でした。2022年の調査では治療費が約6万7,000円、ワクチンや健康診断などの予防費が約3万4,000円と紹介されています。保険契約者の調査である点には注意が必要です。
年齢でも大きく違います。アニコムの「家庭どうぶつ白書2025」(2023年4月〜2024年3月の保険契約データ)では、犬の年間診療費は次のとおりです。
| 年齢 | 平均 | 中央値 |
|---|---|---|
| 0〜4歳 | 52,613円 | 21,860円 |
| 5〜9歳 | 88,362円 | 39,358円 |
| 10歳以上 | 172,742円 | 99,346円 |
平均が中央値の2倍前後になっているのは、一部の犬に高額な治療費がかかっているためと考えられます。報道では、骨折の手術と入院で30万円ほどかかるケースがあるとも紹介されています。「普段は数万円で済むが、数年に一度、数十万円になることがある」と考えておくと、備えるべき金額のイメージがつかみやすくなります。
医療費が膨らみやすい場面
費用が大きくなるのは、一般的に次のような場面です。
- 時間外・夜間の診察:深夜診療の料金(中央値)は、通常の初診料の4倍以上です。
- 検査が重なるとき:血液検査、画像検査などが組み合わさると、診察料より検査料のほうが大きくなります。
- 手術や入院:麻酔、手術、入院にかかる費用が加わります。
- 年齢を重ねてからの通院:シニア期は通院の回数が増え、薬や検査が続くことがあります。
日頃の予防や、早めの受診が結果的に医療費を抑えることもあります。予防の基本は犬のワクチン完全ガイドを参考にしてください。
備え方は「貯金」「保険」「両方」
医療費への備え方は、大きく3つの考え方があります。
- 貯金で備える:犬専用の口座や封筒を作り、毎月一定額を入れておきます。使わなかった分が手元に残る一方、貯まるまでに時間がかかります。
- 保険で備える:毎月の保険料と引き換えに、治療費の一部が戻ってきます。補償の範囲や上限、年齢による保険料の変化を確認する必要があります。詳しい見方はペット保険は必要?入る前に知りたい考え方と比べる視点にまとめました。
- 両方を組み合わせる:通院などの小さな出費は貯金で、手術・入院などの大きな出費は保険で、と役割を分けます。
貯金で備えるときの目標額の決め方
目標額に決まりはありませんが、次のように段階を作ると続けやすくなります。
- 第1段階:5万円…診察と検査が重なっても慌てない額。アニコムのデータで、5〜9歳の年間診療費の平均(約8.8万円)に近づける意識で、まずここを目指します。
- 第2段階:10万〜20万円…10歳以上の年間診療費の平均(約17.3万円)を一つの目安にします。
- 第3段階:30万円前後…手術や入院が必要になった場合の備えです。報道されている骨折の手術・入院の例(30万円ほど)を参考にしています。
毎月3,000円を積み立てると、1年で3万6,000円、3年で約10万8,000円です(私の単純計算)。給料日に自動で別口座に移す設定にしておくと、使い込まずに続けられます。取り崩したあとは、また積み立て直します。
どれを選んでも、「いつでも使える現金」が少しあると安心です。貯金で備える場合の進め方は、同じカテゴリの別の記事でも取り上げます。
治療費を考えるときの動き方
実際に動物病院へ行ったとき、費用の不安を抱えながら黙って受けるのではなく、次のように相談してみてください。
- 検査や治療を始める前に、おおよその費用と、治療の流れを尋ねる。
- 「予算は〇〇円くらいまでです」と伝え、優先順位をつけて相談する。
- 検査や治療の選択肢が複数あるときは、それぞれの費用と、期待できること・リスクの違いを聞く。
- 支払い方法(クレジットカードなど)が使えるかを事前に確認しておく。
- 日頃から、かかりつけの病院を1か所決めておく。経過や体質を把握してもらえると、検査の重複を減らせます。
獣医師は診断や治療の専門家です。費用を理由に必要な診察を先延ばしにしないよう、お金の心配は遠慮せずに正直に話すことが大切です。
よくある質問
Q. 動物病院によって料金が違うのはなぜですか?
診療料金を病院が自由に決めているためです。設備や検査機器、診察時間、地域の物価などによって差が出ます。高い病院が悪い、安い病院が良いという単純な話ではなく、診察内容と説明の丁寧さも含めて、かかりつけを選ぶ材料にするとよいでしょう。
Q. 夜間や休日に診てもらえる病院の料金は高いですか?
日本獣医師会の調査では、深夜診療の料金(中央値)は6,250円で、通常の初診料より高く設定されています。診察料に加えて、検査や処置の費用がかかります。夜間救急の病院は、前もって調べておくと慌てずに済みます。
Q. 老犬になってから医療費は増えますか?
アニコムのデータでは、10歳以上の年間診療費の平均は約17.3万円で、0〜4歳の約5.3万円より大幅に高くなっています。ただし、個々の犬の健康状態によって大きく違います。シニア期の暮らし全体は老犬介護完全ガイドもご覧ください。
まとめ
- 動物病院の診療料金は病院ごとに決まり、同じ検査でも差が大きい。
- 日本獣医師会の令和3年調査では、初診料の中央値は1,500円、深夜診療は6,250円、1日ドックは16,250円。
- アニコムのデータでは、年間診療費は年齢とともに増える。平均は一部の高額治療に引っ張られるため、中央値も合わせて見る。
- 備え方は貯金・保険・両方の3通り。いざというときに使える現金を少しずつ用意する。
- 費用が心配なときは、診察の前に目安を聞き、優先順位を獣医師と相談する。
金額は調査時点のものです。実際の料金は、受診する動物病院でご確認ください。年間の支出全体は犬を飼うと年間いくらかかる?で整理しています。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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