愛犬が後ろ足で体を掻いている、同じところをずっと舐めている、お腹や脇の皮膚が赤くなっている。そんな様子に気づくと、「かゆいのかな」「アレルギー?」「ノミ?」と心配になりますよね。
皮膚の赤みとかゆみは原因がとても多く、見た目だけでは飼い主さんにも獣医師にも区別がつかないことがあります。そこでこの記事では、原因を当てることではなく、「どこが・いつ・どんなふうにかゆそうか」を観察して整理する方法と、動物病院に相談したほうがよい目安をまとめます。運営者は獣医師ではないため、診断や治療の話はしません。受診時に役立つ「様子の見方」としてお読みください。
まず確認したい:かゆみのサインと皮膚の状態
犬のかゆみは、掻く以外の仕草にも表れます。次のような行動が増えていないか見てみましょう。
- 後ろ足で体を掻く、体を床や壁にこすりつける
- 足先、わき、お腹、股のあたりを舐める・噛む
- 顔を前足でこする、耳をよく掻く
- お尻を床にこすりつけて歩く
- 落ち着いて寝ていられず、夜中に掻く音がする
あわせて、皮膚そのものを観察します。被毛をかき分けて、赤み、ブツブツ(発疹)、かさぶた、フケ、脱毛、ベタつき、においがないかをチェックしてください。毎日のブラッシングのときに見る習慣がつくと、小さな変化に気づきやすくなります。
赤み・かゆみの背景として挙げられる主な原因
犬の皮膚トラブルの原因として、一般的に説明されているものを整理します。実際にはいくつかが重なっていることも多いとされています。
ノミ・ダニなどの寄生虫
ノミやマダニの唾液に反応して、強いかゆみや赤みが出ることがあります。ノミは背中から腰、お腹のあたりに症状が出やすいと説明されることがあります。目に見えにくい小さな寄生虫が関わる場合もあり、「ノミが見えないから違う」とは言い切れません。寄生虫の予防は、動物病院で相談できます。
アレルギー(環境・食べ物)
ロイヤルカナンの解説によると、犬のアトピー性皮膚炎は、花粉やダニ、カビなど環境中の物質に皮膚が反応するもので、生後6週齢から3歳ごろまでに症状が出ることが多いとされています。顔まわり、関節の内側、股などに赤みが出やすく、日本ではフレンチ・ブルドッグ、柴犬、シーズーなどでよく見られるという記載があります。食物アレルギーでも皮膚のかゆみが出ることがあり、下痢や嘔吐などの消化器症状を伴うこともあります。
犬種ごとの傾向は犬のアレルギーが出やすい犬種一覧、食物アレルギーの調べ方は犬の食物アレルギー検査方法で詳しく触れています。
細菌・真菌(カビ)が増える皮膚炎
皮膚には普段から細菌や真菌がすんでいますが、皮膚のバリアが弱ったり、湿気がこもったりすると、増えすぎて炎症の原因になることがあります。ブツブツ、かさぶた、ベタつき、独特のにおいが出ることがあります。
濡れ・蒸れ・乾燥などの環境
雨の日の散歩、シャンプーやプールのあとに十分乾かしていないと、蒸れて皮膚炎が起きやすくなります。逆に、洗いすぎや冬の乾燥でも、皮膚がカサついてかゆみが出ることがあります。乾燥については犬の皮膚が乾燥する原因と保湿ケア方法が参考になります。
ホルモンなど体の中の要因
左右対称に毛が薄くなる、全身の毛づやが落ちるといった場合は、ホルモンの働きが関わっていることがあると説明されています。かゆみが目立たなくても脱毛が広がる場合は、早めに相談しましょう。
「どこを掻くか」でヒントを集める
かゆがる場所は、原因を探るヒントになるとされています。もちろん決めつけはできませんが、受診時に先生へ伝える情報として、記録しておくと役立ちます。
| よく掻く・赤くなる場所 | 一般的に挙がる背景の例 |
|---|---|
| 耳、耳のまわり | 耳の炎症、耳のダニ、アレルギー |
| 顔、目・口のまわり | 環境アレルゲンや食べ物への反応など |
| 足先、指の間 | アレルギー、湿気、異物、舐め癖 |
| わき、お腹、股 | アレルギー、蒸れ、擦れ |
| 背中から腰、尾の付け根 | ノミの関与が説明されることがある |
| お尻まわり | 肛門まわりの不快感、寄生虫など |
この表は「こうなる」という答えではなく、あくまでヒントです。体のどこをいつ掻いているか、季節で変わるか、食事を変えたあとか、といった情報を合わせて、先生が総合的に判断します。
様子見でよい?受診したほうがよい?の目安
ちょっと体をポリポリ掻くのは、犬にとって日常的な行動です。ただし、次のような場合は動物病院への相談を考えてください。
- 数日以上、掻く・舐めるが続いている
- 皮膚が赤い範囲が広がっている、ブツブツやただれがある
- 掻き壊して出血している、かさぶたができている
- 毛が抜けて地肌が見えている
- においやベタつきが強い
- 夜も眠れないほど掻く、落ち着きがない
- 下痢・嘔吐など、皮膚以外の不調も出ている
掻き壊した傷から細菌が入ると、症状が重くなりやすいともいわれます。「そのうち治るだろう」と長引かせるほど、かゆみの悪循環が続いてしまうことがあるため、早めの相談が安心です。
なお、自己判断で人間用のかゆみ止めを塗ったり、薬用シャンプーを頻繁に変えたりするのは避けましょう。犬の皮膚は人より薄く、成分によっては刺激になることがあります。何を使うかは、動物病院で相談してください。
受診前にできる、観察と記録のコツ
皮膚の症状は、診察室では落ち着いて見えても、家では強くかゆがっていることがあります。次の記録があると、先生に状況が伝わりやすくなります。
- いつから、どの部位を、1日にどのくらい掻いているか(動画も有効)
- 季節との関係(春や秋に悪化するか、冬の乾燥時か)
- 食事の変更、新しいおやつ、洗剤・シャンプーの変更など生活の変化
- ノミ・ダニ予防をしているか、散歩コース(草むらの有無)
- 皮膚の写真(同じ場所を日付つきで)
家でできるお手入れとしては、散歩や水遊びのあとは指の間やわきまでよく乾かす、寝具やマットをこまめに洗う、ブラッシングで皮膚を観察する、といった基本が紹介されています。フケが目立つときは犬のフケの原因と乾性・脂性タイプ別のケアも参考にしてみてください。
よくある質問
Q. かゆがっているのに、ノミが見つかりません。ノミではない?
A. ノミは小さくて動きが速く、見つけにくいことがあります。また、ノミ以外の寄生虫やアレルギーが原因のことも多いため、「見えないから違う」とは決められません。皮膚の状態を診てもらって原因を探るのが確実です。
Q. フードをすぐに変えたほうがいい?
A. 食べ物が原因とは限らず、自己判断でフードを次々に変えると、かえって原因が分かりにくくなることがあります。食物アレルギーが疑われるときは、獣医師の指導のもとで進めるのが一般的です。嘔吐や下痢を伴う場合も、変更前に相談してください。
Q. シャンプーの回数を増やせばかゆみは治まりますか?
A. 洗いすぎは皮膚のバリアを弱めて、乾燥やかゆみにつながることがあります。頻度や使う製品は犬の皮膚の状態によって異なるため、症状があるときは先生に相談してから決めましょう。
まとめ
- 皮膚の赤み・かゆみは原因が多く、見た目だけで決めつけられない
- 掻く部位・時期・生活の変化を記録しておくと、受診時に役立つ
- 数日以上続く、赤みが広がる、掻き壊す、脱毛・においがあるときは動物病院へ
- 自己判断の薬やシャンプーの変更は避け、乾かす・観察するといった基本のケアを大切に
かゆみは、犬にとって大きなストレスです。「かわいそうだけど様子見」を続けず、早めにプロの目で皮膚を見てもらうことが、愛犬の快適な毎日につながります。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

コメント