初夏の贈り物の定番、さくらんぼ。人が食べていると、ころんとした見た目に愛犬が興味を示すこともあるかもしれません。ただし、さくらんぼは「果肉」と「種・茎・葉」でまったく扱いが違う果物です。種・茎・葉は与えない。果肉は、種を完全に取り除いたうえで、与えるとしてもごく少量(△)、というのが基本の考え方です。
この記事では、獣医師監修のAll About、いぬのきもちWEB MAGAZINE(酪農学園大学・佐野忠士准教授監修)、米国のPet Poison HelplineとAKCの情報をもとに、与え方と、種を食べてしまったときの考え方を整理します。運営者は獣医師ではないため、実際に食べてしまった場合は自己判断せず動物病院に相談してください。
さくらんぼの可否を部位ごとに確認
| 部位 | 可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 果肉(種を除いたもの) | △ 少量なら | 日本の獣医師監修の解説では与えられるとされる |
| 種 | × 与えない | 青酸系の成分、腸の詰まり・傷の心配 |
| 茎・葉 | × 与えない | 種と同様に有害成分を含む |
| 丸ごと一粒 | × 避ける | 種ごと飲み込む危険 |
| 缶詰・ドレンチェリー | × 避ける | 糖分や着色料が多い |
他の果物の一覧は犬が食べていいもの・ダメなもの早見表へ。
なぜ種・茎・葉がだめなのか
All Aboutの解説では、さくらんぼの種や茎、葉には青酸配糖体という毒性のある成分が含まれるため、取り除くよう述べられています。種は硬く、とがった部分もあるので、消化管を傷つけたり、腸に詰まったりするおそれもあります。種を飲み込んでしまった場合、青酸配糖体による呼吸障害や意識障害が起こる場合がありますが、これは主に大量に食べたケースに限られる、とも説明されています。
Pet Poison Helplineも、種・葉・茎にはシアン化物が含まれ、種が砕けて初めて成分が放出されること、種が消化管に詰まって閉塞を起こしうることを挙げています。さくらんぼ一粒を丸ごと食べた程度で中毒になる可能性は低いが、閉塞の兆候には注意が必要で、種が砕けるほど大量に食べた場合は重い中毒の心配がある、という整理です。具体的な「何粒から危険」という数字は、確認できた出典にはありません。
果肉は与えていい?出典で割れている点
実は、果肉の扱いについて出典の間で温度差があります。All Aboutは、完熟していれば国産のさくらんぼもアメリカンチェリーも果肉は与えて問題ないとしています。いぬのきもちWEB MAGAZINEも、水洗いして一口大に切った果肉のみを与えるとしています。一方、AKCの果物一覧ページは、さくらんぼの果肉以外の部分には青酸が含まれ、丸ごとや種による中毒の危険があるとして、「安全でない」側に分類しています。
こうした意見の割れ方を踏まえると、必ず与えなければならない果物ではなく、迷うなら無理に与えないのが安全です。与える場合は、ここまで気をつけてください。
- 種と茎は、犬の目の届かない場所で先に取り除く(種が割れないよう、半分に切ってから種を取り出す)
- 果肉だけを、さらに小さく切る
- ごく少量にとどめ、初めての日は特に控えめに
- 残った種や茎は、犬が届かないふた付きのごみ箱へ
買ってきたあとの扱い方
さくらんぼは茎つきの房で売られていることが多く、種も茎もそのまま残っています。食べ終わったあとの種と茎は、小さくて犬の口に入りやすく、においもあります。テーブルの上や、ごみ箱の中、床に落ちた実にも注意しましょう。人が食べる量が多い季節ほど、種のかたづけが追いつかず、うっかり落としてしまうことがあります。贈答用の箱は、愛犬が届かない高い場所に置き、食べるときは小皿に種を出す場所を決めておくと、拾い食いを防ぎやすくなります。
量の考え方・糖分と下痢
量の決まりは確認できた出典にありません。おやつ全体の目安として、環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は間食を1日に必要なカロリーの20%以内、AKCは10%以内としています。いぬのきもちWEB MAGAZINEによると、さくらんぼは多量に食べると下痢を起こすソルビトールを含むとされています。少量で十分、と考えましょう。
注意が必要な犬・ケース
- 拾い食いが多い犬、丸のみする犬:果肉でも種が混ざる可能性があるので、さくらんぼは目の届く範囲に置かない。
- 糖尿病・肥満・膵炎の経験がある犬:果物の糖分が気になるため、獣医師に確認を。
- シラカバやハンノキの花粉アレルギーがある犬:All Aboutは、交差反応が出る可能性があるとしています。
- バラ科でアレルギー歴のある犬:いぬのきもちWEB MAGAZINEは、桃の項で、りんごやさくらんぼと同じバラ科にアレルギー歴がある犬には与えないとしています。
- 子犬・小型犬、シニア犬:詰まりのリスクが相対的に大きくなるため、基本的には無理に与えない。
種や茎、たくさん食べてしまったとき
まず、いつ・何を(種、茎、葉、果肉)・どれくらい食べたかを確認します。All Aboutは、自己判断や自己流で吐かせず、動物病院に相談するよう勧めています。症状がなくても、大量に食べた、種を噛み砕いていた様子がある場合は、すぐ動物病院へ連絡してください。Pet Poison Helplineは、症状が出るのを待たない対応を勧めています。
様子の目安として、同ページでは次の2つを挙げています。
- 腸の詰まりが心配なとき:嘔吐、食欲がない、便が出ない
- 青酸(シアン化物)中毒が心配なとき:瞳孔が開く、歯ぐきが赤い、呼吸が苦しそう、下痢、ショック状態
これらは緊急性が高い状態です。疑わしい様子があればすぐに病院へ向かってください。
よくある質問
Q. 種を1粒だけ丸のみしてしまった。どうすれば?
Pet Poison Helplineは、1粒程度では中毒の可能性は低いとしつつ、閉塞の兆候に注意するよう述べています。ただし、体の大きさによってリスクは変わります。電話でかかりつけの動物病院に相談し、その後の数日は嘔吐や食欲、便の様子を見てください。
Q. 缶詰のさくらんぼやケーキの飾りのチェリーは?
All Aboutは、さくらんぼの缶詰は砂糖漬けが基本で肥満の原因になるうえ、着色料を使う製品もあるため避けるよう述べています。ドレンチェリー(ケーキなどの飾りのチェリー)も、砂糖や着色料が使われるため犬の健康維持には適さないとされています。Pet Poison Helplineも、マラスキーノチェリーは糖分が高く体調を崩すとして避けるよう述べています。
Q. 庭でさくらんぼの木を育てている場合は?
さくらんぼの木の葉や茎にも有害成分が含まれるとされています。庭やベランダで育てている場合は、落ちた葉や実を犬が口にしないよう片づけましょう。
まとめ
- さくらんぼは、種と茎・葉は与えない。果肉は種抜きして少量なら△
- 日本の獣医師監修の解説は果肉を認める一方、AKCはより厳しい。出典が割れているので、迷うなら与えない
- 種を食べたときは自己判断で吐かせず、動物病院に相談。大量なら症状を待たずに連絡
- 缶詰・ドレンチェリーなど加工品は避ける
- 量は、おやつ全体で1日のカロリーの一部まで(環境省は20%以内、AKCは10%以内)
- 同じバラ科の梨や桃の種の記事も参考にどうぞ
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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