「もし愛犬に手術が必要になったら、いくらかかるんだろう」。動物病院で手術の説明を受ける場面を想像すると、費用の不安が大きくなる方は多いと思います。結論から言うと、犬の手術費用は手術の種類によって数万円から10万円以上まで大きく差があり、病院ごとの違いも大きいため、あらかじめ「規模感」を知っておくことが備えの第一歩になります。



まずは結論から!くわしい理由は、このあと順番に説明するよ。


この記事では、日本獣医師会が全国の動物病院に行った料金調査の結果をもとに、よくある手術の料金の目安と、総額が表の金額より高くなる理由、備え方を整理します。手術の方法や、どんなときに必要になるかには触れません。
それらは獣医師が愛犬の状態を診て判断することです。気になる症状があるときは、費用を心配して受診を遅らせず、動物病院に相談してください。
💰 手術費用の目安|日本獣医師会の料金調査から


日本獣医師会の「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」は、令和3年8〜10月に小動物診療施設の開設者1,096件が回答し、令和5年9月に結果が公表されました。
手術については、麻酔料を除いた手術の料金が施設ごとに尋ねられています。主な手術の中央値は次のとおりです。
| 手術(麻酔料除く) | 料金の中央値 | 補足 |
|---|---|---|
| 犬の去勢手術 | 17,500円 | 15,000円〜20,000円未満が26.1% |
| 犬の避妊手術(卵巣子宮切除) | 27,500円 | 30,000円〜40,000円未満が31.0% |
| 体表の腫瘤切除 | 22,500円 | 10,000円〜15,000円未満が19.8% |
| 子宮蓄膿症 | 45,000円 | 50,000円〜75,000円未満が26.1% |
| 乳腺腫瘍の全切除 | 45,000円 | — |
| 膝蓋骨脱臼 | 62,500円 | 対応外の施設が45.4% |
| 大腿骨骨折 | 62,500円 | 対応外の施設が40.6% |
| 前十字靭帯断裂(関節外法) | 62,500円 | 対応外の施設が56.5% |
中央値は、回答の選択肢の区間(たとえば40,000円〜50,000円未満)の真ん中の値で示されているため、おおよその目安として見てください。また、「対応外」とは、その施設でその手術を行っていないという意味です。
整形外科など高度な手術は、一次診療の動物病院では対応していない施設も多く、専門の病院や二次診療施設を紹介される場合があります。その際の料金はさらに高くなる可能性があります。
💰 子宮蓄膿症の料金のばらつきから見えること
ばらつきの例として、子宮蓄膿症の手術料金(麻酔料除く)の分布を挙げます。
- 30,000円〜40,000円未満:20.2%
- 40,000円〜50,000円未満:20.4%
- 50,000円〜75,000円未満:26.1%
- 75,000円〜100,000円未満:10.4%
- 100,000円以上:約6%
同じ手術でも、病院によって2〜3倍の差があることがわかります。疾患そのものの特徴は犬の子宮蓄膿症完全ガイドで解説していますが、費用の面では「病院ごとに違う」と覚えておくとよいでしょう。
💡 総額が手術料の表より高くなる理由
上の表は、手術料そのものの目安です。実際の会計には、次のような費用が加わります。
- 麻酔料:同じ調査では、全身麻酔の料金の中央値が11,250円でした。10,000円〜12,500円未満の施設が26.4%で最も多くなっています。
- 術前の検査:血液検査、画像検査など。
- 入院料:手術の前後に入院する場合の費用。
- 薬や点滴、処置:術後の管理に使うもの。
- 再診料や抜糸、経過観察:退院後の通院。
アニコムの保険契約データにもとづく解説では、骨折の手術や入院で30万円ほどかかるケースがあるとされています。手術料の中央値(6万円台)を大きく上回っているのは、手術以外の費用が加わるためと考えられます。実際の金額は、病院で見積もりを出してもらうことが大切です。
💰 手術の費用を事前に確認する方法
手術が必要と言われたとき、次の点を獣医師に尋ねてみてください。
- 見積もりの内訳:手術料、麻酔料、検査、入院、薬、再診が、それぞれいくらか。
- 総額の幅:予定どおり進んだ場合と、追加の処置が必要になった場合の見込み。
- 入院の日数:何日ぐらいを想定しているか。
- 手術以外の選択肢:費用や負担の違いを含めて、ほかの方法があるか。
- 支払い方法:クレジットカードや分割が使えるか、いつ支払うか。
- ペット保険の使い方:保険に入っている場合、請求の手続きと必要な書類。
治療方針の判断に迷うときは、別の病院に意見を聞く「セカンドオピニオン」という方法もあります。ただし、病状によっては時間の猶予がないこともあります。急ぐかどうかも含めて、獣医師に確認しましょう。
手術の前に伝えておきたいこと
費用の面で不安があるときは、診察の早い段階で、予算の上限や、保険の加入状況を獣医師に伝えておくとスムーズです。
「できる範囲でどこまで治療できるか」「優先して行うべきことは何か」を一緒に整理してもらうことで、納得して治療を選びやすくなります。ためらわずに相談してください。
💰 手術費用への備え方
手術のような大きな出費には、次の備え方があります。詳しくはそれぞれの記事をご覧ください。
- 貯金:数十万円を目安にした積み立て。目標額や続け方は犬の急な出費に備える貯金はいくら?目標額の決め方と続け方で解説しています。
- ペット保険:手術や入院に絞った補償の商品もあります。補償割合、免責金額、年間の限度額などの見方はペット保険は必要?入る前に知りたい考え方と比べる視点で整理しています。
- 日頃の医療費の把握:通常の診察費や、病院ごとの料金の違いは動物病院代が高くて不安|急な医療費の目安と備え方にまとめています。
よくある質問


- 避妊・去勢手術は必ず必要ですか?
-
法律で義務付けられているものではありません。実施するかどうかは、犬の年齢、健康状態、飼い方、繁殖の予定などを踏まえて、獣医師と相談して決めます。費用は体重や病院によって変わるため、事前に見積もりを取りましょう。
- 手術費用は、どの病院でも同じくらいですか?
-
同じではありません。日本獣医師会の調査でも、同じ手術で病院ごとの料金に大きな幅がありました。ただし、料金の高低だけでなく、設備、麻酔の管理体制、術後のフォローなども含めて判断することが大切です。
- 費用が払えない場合はどうすればよいですか?
-
まず、病院の窓口に支払い方法や時期を正直に相談してください。治療の選択肢や優先順位を一緒に考えてもらえることがあります。自己判断で治療を断念する前に、獣医師に相談しましょう。
まとめ


- 日本獣医師会の令和3年調査では、手術料(麻酔料除く)の中央値は、去勢17,500円、避妊27,500円、子宮蓄膿症45,000円、骨折などの整形外科で62,500円など。
- 同じ手術でも病院によって2〜3倍の差があり、高度な手術は対応外の施設も多い。
- 総額には麻酔料(全身麻酔の中央値は11,250円)、検査、入院、薬、再診が加わり、表の金額より高くなる。
- 手術が必要と言われたら、見積もりの内訳と総額の幅を尋ねる。
- 備えは、貯金、保険、または両方。数十万円規模の出費を想定して準備を進める。
金額は調査時点のものです。手術の必要性や方法、実際の費用は、愛犬を診察した獣医師にご相談ください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。



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