「ごはんは残すのに、おやつなら食べる」。愛犬がこうした様子だと、わがままなのか、体調が悪いのか、フードが合わなくなったのか、判断が難しくなります。先にお伝えしたいのは、おやつを食べるからといって、体調に問題がないとは限らないということです。
- 犬がおやつを食べても、体調に問題がないとは限りません。
- 愛犬が食べないときは、まず元気・嘔吐や下痢・飲水・口の痛みを確認します。
- 犬が嘔吐・下痢・ぐったり・水も飲まない場合や子犬・高齢犬は、早めに受診します。
- 犬がフードを残す理由には、フードの劣化、暑さ、ストレス、おやつの出しすぎもあります。
- 犬のおやつは1日のカロリーの10%以内を目安に、ごほうび中心にします。



ひとつずつ、やさしく整理していくね。


食いつきが急に落ちたときは、工夫の前に、元気・嘔吐や下痢・水を飲んでいるか・口の中の様子を確認するのが優先です。そのうえで問題がなければ、おやつの量、フードの鮮度、食事の環境を見直します。
運営者は獣医師ではなく、メーカーや獣医師監修の解説をもとに整理した一般的な情報ですので、気になる症状があるときはかかりつけの動物病院に相談してください。
- まず確認:元気、嘔吐や下痢、水を飲むか、口の痛みのサインがないか
- おやつは食べるのにフードを残す場合:体調不良・フードの劣化・おやつの出しすぎ・環境の見直しを順に考える
- 工夫は、全身の様子に問題がないときに限って試す
まず確認:すぐ相談したいサインがないか


獣医師が監修したオリコンのペット記事では、元気があって他に症状がなければ、しばらく様子を見てもよいとしつつ、次のような場合は早めに動物病院を受診するよう説明しています。
- 嘔吐や下痢が続いている
- 元気がなく、ぐったりしている
- お腹を痛がる、お腹が張っている
- 発熱が疑われる
- 水も飲まない
- 子犬や高齢犬である
「何時間食べなかったら受診」という基準は、情報源によって少しずつ異なります。英国のケネルクラブ(Royal Kennel Club)の解説では次のように案内されています。
ホンダの犬の飼い方解説も、水を飲まない場合は必ず動物病院へ、丸1日〜2日何も食べず水も飲まないと脱水を起こしやすい、としています。
| 状況 | 目安 |
|---|---|
| 24時間以上、何も食べない | 動物病院に相談(他は普段どおりの犬でも) |
| 12時間以上食べず、嘔吐や下痢もある | 早めに相談 |
| 食べず、水も飲まない | すぐに受診 |
| 体重が減っている、異常に疲れている、咳・便秘など他の不調がある | 相談の対象 |
| 口の痛み(出血、歯茎の赤み、よだれが多い、口を前足で触る)がある | 歯や口のトラブルの可能性があるため相談 |
| 子犬 | 12時間食べない場合でも相談を勧める解説がある |
米国のAKCは12〜24時間たっても食べ始めなければ連絡を、としていますが、症状のない健康な成犬が数日食べなくても通常は心配いらないという趣旨の記述もあり、基準には幅があります。
迷ったときは短いほうの基準に合わせて相談するのが安全です。受診時に伝えやすいよう、最後に食べた時間、水を飲んだか、吐いたか、便の様子をメモしておきましょう。
🍖 おやつは食べるのにフードを残す:考えられる理由


「おやつは食べているから大丈夫」と思いたくなりますが、理由はいくつか考えられます。自宅で判断しやすい順に見ていきましょう。
① 口や体の不調がある
具合が悪いときでも、好物のおやつだけは食べる犬がいます。口内炎、歯石や歯周病、歯が欠けているといった口の痛みがあると、硬いフードは噛むのがつらく、やわらかいおやつなら食べられることがあります。
Royal Kennel Clubの解説も、口の痛み(出血、歯茎の赤み、よだれが多い、口を前足で触る)は歯の問題のサインとして挙げています。心当たりがあれば、口の中を確認し、早めに診てもらいましょう。
歯石の原因と予防は犬の歯石がつく原因と予防を参考にしてください。
② フードが劣化している・好みに合わない
開封後のフードは、油脂が酸化して「過酸化脂質」になると風味が落ち、食欲が減ることがあります。ホンダの解説では、消費期限内に食べきれる量を買い、湿度の低い冷暗所で保管することを勧めています。
冷蔵庫は、出し入れで結露が起こるため向かないとされています。フードを変えた直後に警戒して食べないこともあります。保存のコツは開封後のフードの保存方法にまとめています。
③ おやつの出しすぎ・「待てば好物が出る」と学習している
Royal Kennel Clubの解説では、おやつは1日のカロリー必要量の10%以内にとどめることが示されており、家族が別々にあげていないかも確認するよう案内しています。
フードを残してもおやつがもらえると学習していると、フードを無視して待つようになります。ホンダの解説でも、おやつは理由なく与えず、指示に従ったときのごほうびに限るよう勧めています。
④ 食事の時間・場所・食器などの習慣
決まった時間や場所、食器で食べることに慣れている犬は、環境が変わると食べないことがあります。落ち着かない場所、人の出入りが多い場所、食器の変更が原因のこともあります。
⑤ おやつや間食でお腹がいっぱい
おやつや人の食べ物でお腹がいっぱいになっていると、ごはんの時間に食欲がありません。1回量が多すぎる場合も同様です。フードの量の考え方は犬のフードの量とパッケージの見方で解説しています。
🏥 病気以外で考えられる主な原因
ホンダの解説や各種の解説をまとめると、病気以外の要因には次のようなものがあります。
- 暑さ:暑い季節は食欲が落ちやすく、短頭種や寒い地域原産の犬種、肥満気味の犬、老犬は特に暑さに弱いとされています
- ストレス・環境の変化:大きな音、引っ越し、散歩コースの変更、家族の増減など
- 成長期の終わり:子犬期の旺盛な食欲が落ち着くのは自然なことです
- 加齢:首や足腰の筋力が落ちて食べにくくなる、においに気づきにくくなる、などで食べ方が変わります
- もともと食が細い:体格に関係なく少食の犬もいます。ただし、痩せてきた、吐くといった様子があるときは別です
- 薬の影響:AKCの解説では、薬を飲んでいる犬は副作用で吐き気や食欲低下が出ることがあるとして、新しい薬を始めたときの食欲の変化は獣医師に伝えるよう勧めています
自宅でできる工夫(元気があるとき)
全身の様子に問題がなく、食欲だけが少し落ちているときに試せる工夫です。複数の解説で共通して紹介されているものを挙げます。
- 食事の時間を決め、10〜15分で片付ける:オリコンの記事で紹介されている方法です。だらだら置きっぱなしにしない
- フードを体温程度に温める、またはぬるま湯を加える:においが立ち、食べやすくなります。熱い部分がないよう、よく混ぜて確認します
- ドライとウェットを入れ替えてみる:普段ドライなら、ウェットを少量試す方法があります。くわしくはウェットとドライの使い分けで解説しています
- 手から与えてみる:人がそばにいると食べる犬もいます
- 静かで落ち着ける場所で食べさせる:ストレスを減らします
- 運動や散歩でお腹を空かせる:適度な運動は食欲につながることがあります
- フードの鮮度を見直す:においや賞味期限を確認し、食べきれる量を買うようにします
トッピングは食欲を助ける方法のひとつですが、与えすぎると今度はトッピングなしでは食べなくなったり、カロリーの取りすぎになったりします。使う場合は少量にして、その分フードを減らすなど合計の量を意識してください。
🍖 おやつの見直し方:減らす・ルールを決める
おやつが原因の可能性があるときは、次のルールを家族で共有します。
- おやつは1日のカロリーの10%以内を目安にし、その分フードを調整する
- 食事の直前・直後のおやつは避ける
- 家族全員が同じルールを守る(誰かがこっそりあげると効果が出ません)
- 「食べないからおやつ」ではなく、「指示に従えたからおやつ」にする
- フードを残す日は、おやつの量を増やさない
おやつばかり食べる状態が続くと、栄養のバランスが偏るうえ、カロリーのとりすぎで肥満につながることがあります。太りやすい理由と対策は犬が太る主な原因と対策をご覧ください。
ごほうび以外の満足感は、遊びや散歩、知育おもちゃなどで満たす方法もあります。「おやつを完全にやめて、お腹が空くまで待つ」といった極端な方法は、体調を崩す恐れがあるため避けましょう。
フードを温める、時間を決めて片づけるといった工夫と組み合わせ、数日試しても変化がなければ動物病院に相談しましょう。
やりがちな対応で、かえって長引くことも
- 食べないたびにおやつを与える:食べないとおやつがもらえると学習してしまう可能性があります。おやつは指示に従ったときのごほうびに限るほうが安全です
- 次々にフードを変える:新しいフードに慣れるのにも時間がかかるうえ、食べない原因が分からなくなります。切り替えは、新しいフードを少量から混ぜて徐々に増やします。Royal Kennel Clubの解説では、通常7〜10日かけて移行するとしています
- 無理に食べさせる:口に押し込むと食事自体に恐怖心を持つことがあります。無理強いはしません
- 様子見を長引かせる:元気がない、水も飲まない、吐く・下痢をするといった症状が重なっているときは、数日様子を見ずに相談するほうが安心です
🐶 子犬・小型犬・シニア犬は特に早めに相談を


子犬や小型犬、体力の落ちたシニア犬、持病のある犬は、成犬より食べない影響が出やすい傾向があります。一般に、1日食べないだけでも低血糖や脱水が心配されるといわれます。「おやつなら食べる」からと様子見を長引かせず、少しでも心配なら早めに受診しましょう。
高齢になると、首や足腰の力が弱まって、床に置いたボウルから食べにくくなることがあります。
ホンダの解説では、ごはん台を使う、滑りにくいマットを敷く、1日3〜4回に分けて1回の時間を短くする、ぬるめのお湯でにおいを立たせる、といった工夫が紹介されています。
それでも食欲が戻らないときは、年齢のせいと決めつけず、動物病院で歯や体調を診てもらいましょう。介護全体の準備は老犬介護完全ガイドにまとめています。
よくある質問
- 1食くらい抜いても大丈夫ですか?
-
元気があり、水も飲み、吐く・下痢などもなければ、一度の食べ残しだけで過度に心配する必要はないとされています。ただし、子犬や持病のある犬、高齢犬は様子を見すぎないようにしてください。食べない状態が続くときは相談してください。
- 元気なのに、おやつだけ食べてフードは残します。わがままですか?
-
わがままに見えても、口の痛みやフードの劣化、おやつの出しすぎなど、理由があることが多いです。まず口の中や食欲以外の様子を確認し、おやつの量とフードの鮮度を見直しましょう。体重が減っている場合は相談の対象です。
- おやつを完全にやめれば、フードを食べるようになりますか?
-
おやつの与えすぎが原因なら改善が期待できますが、体調不良が原因の場合は、おやつをやめても食べないことがあります。数日試しても改善しない、あるいは元気がない場合は、動物病院に相談してください。
- 夏だけ食欲が落ちます。対策はありますか?
-
暑さによる食欲低下は珍しくありません。室温・湿度を整える、水分をしっかりとれるようにする、散歩は早朝や夕方以降にするといった対策が紹介されています。水を飲まないときはウェットフードの利用も選択肢です。ぐったりしているなど普段と違う様子があれば、早めに受診してください。
まとめ
- おやつを食べても、体調が良いとは限らない。まず元気・嘔吐や下痢・飲水・口の痛みを確認する
- 嘔吐・下痢・ぐったり・水も飲まない、または子犬・高齢犬のときは、早めに動物病院へ
- 病気以外の原因には、フードの劣化、切り替え、暑さ、ストレス、おやつの出しすぎなどがある
- おやつは1日のカロリーの10%以内を目安に、ごほうび中心にして家族でルールを揃える
- 温める、時間を決めて片づけるなど、無理のない工夫から。食べないたびにおやつやフードを変えるのは避ける
この記事は、犬好きの運営者がメーカー・獣医師監修記事などの解説をもとに整理した一般的な情報で、診断を行うものではありません。気になる症状があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。



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