犬に噛まれたら、まず水(流水)と石けんで傷口をよく洗い、出血があれば清潔な布で押さえて止血します。そのうえで、傷が浅く見えても医療機関に相談するのが基本です。感染症の心配や、犬の状態の確認など、見た目だけでは判断しにくい点があるためです。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- まず流水と石けんで洗い、出血は清潔な布で押さえる
- 浅い傷でも医療機関に相談が基本。出血が止まらない・顔や首は急ぐ
- 相手の飼い主の確認と、保健所や警察などへの連絡も忘れずに
この記事は、犬に人が噛まれたときの対応を、自治体や公的機関、医学書の情報をもとにまとめたものです。運営者は医師でも獣医師でもない犬好きの一人なので、診断や治療の判断はできません。傷の深さや体調に不安があるときは、救急相談窓口や医療機関に連絡してください。
犬に噛まれた直後にやること|流水で洗って、出血を止める
要点|犬から離れ、流水と石けんで洗い、出血は清潔な布で押さえる。消毒薬は直接使わない
驚いて動揺するときですが、まず落ち着いて、次の順番で動きましょう。
応急手当の手順
- 犬から離れる:相手の犬が興奮している場合は、すぐ近づかず、安全な場所に移ります。
- 傷口を流水で洗う:埼玉県の保健所の案内にも、速やかに傷口を水で洗い流し、医師の診断・治療を受けるよう書かれています。石けんを使い、水で十分に流します。MSDマニュアルでも、石けんと水で傷口をよく洗うことが第一に挙げられています。
- 出血は清潔な布で押さえる:MSDマニュアルでは、清潔な布で傷口をしっかり押さえて止血するとしています。CDC(米国疾病予防管理センター)も、深い傷では清潔で乾いた布で押さえて止血し、すぐに医療を受けるよう示しています。
- 清潔なガーゼなどで覆う:浅い傷でも、むき出しにしたままにしないほうが安心です。
- 医療機関に連絡する:どこに行けばよいか迷うときは、かかりつけ医や、地域の救急相談窓口に電話で聞いてみましょう。
こんなことは避けたほうがよいとされています
- 強くこすって傷を広げる。
- アルコールなどの消毒薬を傷に直接使う。MSDマニュアルでは、アルコールやヨードなどの消毒薬を使わないとしています。
- 傷口をいじる、口で吸うなどの自己流の処置。
- 「浅いから大丈夫」と受診せずに様子を見続ける。
医療機関へ行く目安|浅い傷でも相談が基本
要点|浅い傷でも相談が基本。出血が止まらない・顔や首・関節の近くは急ぐ
MSDマニュアルには、動物に噛まれたら医師にすぐ相談する、と書かれています。
CDCも、傷が深刻・深い場合、感染のサインがある場合、犬の狂犬病ワクチンの接種状況がわからない場合、最後の破傷風の予防接種から5年以上たっている場合などは、医療機関を受診するよう示しています。
また、「傷が深く見えなくても、犬の咬み傷や引っかき傷から細菌が広がることがある」とも書かれています。
すぐに受診・救急を考えたいケース
- 血が止まらない、傷が深い、肉がえぐれている。
- 顔や首など、腫れや傷の影響が大きくなりそうな場所を噛まれた(一般的な目安です)。
- ふらつく、気分が悪い、冷や汗が出るなど、体調の変化がある。
- 噛んだ犬が、病気のように見える、いつもと様子が違う。
血が止まらない、気を失いそうなときは、迷わず救急車を呼んでください(CDCも、出血が止まらない、ふらつくときは救急に連絡するよう示しています)。
当日〜翌日に受診しておきたいケース
- 皮膚が破れている、穴が開いたような傷がある。
- 犬の飼い主が不明、またはワクチンの接種状況が確認できない。
- 破傷風の予防接種の時期がわからない、または最後の接種から5年以上たっている(米国CDCの目安であり、日本での扱いは医療機関で確認してください)。
国内の狂犬病について
厚生労働省のページには、現在、日本では犬などを含めて狂犬病の発生はないと書かれています。一方で、世界では発生している地域があり、国内の死亡例には、海外で犬に噛まれて帰国後に発症した事例も含まれています。
海外で噛まれた場合は、国内とは考え方が変わるので、できるだけ早く医療機関や検疫所に相談してください。
| 状況 | 目安となる対応 |
|---|---|
| 出血が止まらない・ふらつく | 救急車を呼ぶ |
| 深い傷・顔や首・関節の近く | すぐに医療機関へ |
| 皮膚が破れた・飼い主が不明 | 当日中に医療機関へ相談 |
| 赤くなっただけ・かすり傷 | 洗ったうえで、医療機関や相談窓口に電話で相談 |
| 海外で噛まれた | できるだけ早く医療機関へ |
相手の犬・飼い主に確認すること、連絡すること
要点|飼い主の連絡先とワクチン状況を確認し、保健所・警察など地域の窓口へ連絡する
手当てが落ち着いたら、相手の犬の飼い主を確認します。ここは、のちの手続きや安心のためにも大切です。
飼い主がわかるとき
- 飼い主の氏名・住所・連絡先を聞いておく。
- 犬の狂犬病予防注射の接種状況(登録・注射済票)を確認する。CDCは、可能なら飼い主に連絡して、犬のワクチンが有効かを確認し、ワクチンの情報や獣医師名などを控えるよう示しています。
- 噛まれた日時、場所、状況をメモや写真で残す。
地域の窓口への連絡
埼玉県の保健所の案内では、飼い主が分かる場合は保健所が飼い主に指導を行い、噛んだ犬が徘徊していて飼い主が不明な場合は保健所職員が捕獲に向かうとされています。緊急時や休日は警察に通報する流れも書かれています。
CDCも、噛まれたことを自治体の動物管理窓口や警察に届け出るよう示しています。手続きの詳細は自治体ごとに違うので、お住まいの保健所や動物愛護の担当窓口に確認しましょう。
自分の犬が人を噛んでしまった場合
さいたま市のFAQでは、飼い犬が人を噛んだときの流れとして、噛まれた方に医療機関を受診してもらうこと、住所・氏名・連絡先を控えること、警察や動物愛護の担当窓口に連絡すること、48時間以内に動物病院で犬の狂犬病の鑑定を受けることが示されています。
また、噛まれた方とトラブルにならないよう、誠実に対応することも求められています。地域によって手続きが違う場合があるので、お住まいの自治体に確認してください。
現場で気をつけたいこと
噛んだ犬がまだ興奮しているときは、手当てのためにすぐ近づかず、まず距離を取って安全を確保しましょう。リードや柵があれば、飼い主にしっかり保持してもらいます。
飼い主が近くにいない場合は、犬を追いかけたり、素手で捕まえようとしたりせず、状況を記録して窓口に連絡することを優先してください。
噛まれたあとの気持ちのケア
特に子どもは、傷が治ったあとも犬を怖がることがあります。無理に犬に近づけず、本人のペースで落ち着けるようにしてあげてください。気持ちの面で気になる様子が続くときは、かかりつけの医師などに相談しましょう。
傷が腫れた・赤くなったときの見方
要点|赤み・腫れ・熱・膿・痛みの悪化があれば早めに再受診する。薬は自己判断で選ばない
洗って手当てをしたあとも、数日は傷の様子を観察しましょう。MSDマニュアルには、感染した咬み傷は痛み、腫れ、赤みがあると書かれています。CDCも、赤み、痛み、腫れ、発熱を感染のサインとして挙げています。
こんな変化があれば、早めに再受診を
- 赤みや腫れが広がってきた、熱をもってきた。
- 痛みがだんだん強くなる。
- 傷から膿のようなものや、においのある液が出る。
- 発熱、寒気、だるさがある。
- 噛まれた手足を動かしにくい。
こうした変化が出たときは、「様子を見よう」と我慢せず、受診した医療機関に連絡するか、早めに再受診しましょう。受診時には、噛まれた日時、犬の状況、手当ての内容を伝えると、診察がスムーズです。
病院ではどんなことをするの?
MSDマニュアルには、医師が行うこととして、傷の中を滅菌した生理食塩水で洗い流す、裂けた皮膚を整える、必要なら縫合する、感染を防ぐための治療や、必要に応じて破傷風の予防接種を行う、といった例が挙げられています。実際の対応は傷の状態によって医師が判断します。
痛みや腫れがつらいとき
腫れや痛みがつらいときの対処は、診察時に医師へ相談してください。市販の薬や塗り薬を自分で選んで使うのは避け、診察を受けたうえで指示に従いましょう。
受診するときに伝えたいこと
- 噛まれた日時と場所、どんな状況だったか。
- 噛んだ犬の種類や大きさ、飼い主の連絡先、ワクチンの接種状況がわかるか。
- 洗った時間や、手当てとして行ったこと。
- 最後に破傷風の予防接種を受けた時期(わかる範囲で)。
- 持病や普段飲んでいる薬があること。
お薬手帳や母子手帳(お子さんの場合)など、接種歴のわかるものがあれば持参すると、診察がスムーズです。
犬に噛み癖があるとき・噛まれないための再発予防
要点|知らない犬には許可を得て近づく。自分の犬が噛むときは獣医師やトレーナーに相談する
CDCのページには、犬の咬傷の多くは防げる、と書かれています。食事中・睡眠中・子犬の世話をしている犬を邪魔しない、おびえている・病気・怒っているように見える犬には触らない、他人の犬は飼い主に許可を得てから、犬に自分を見てもらい匂いを嗅いでもらってから手を出す、といった基本が挙げられています。
噛まれる側の基本
- 知らない犬には、飼い主の許可なく手を出さない。
- 食事中・寝ている・子犬のそばにいる犬には近づかない。
- 知らない犬が近づいてきたら、じっと落ち着いて立ち、目を見つめない。CDCは、体を横向きにして、犬が通り過ぎるのを待つか、ゆっくり後ずさるよう示しています。
- 子どもだけで犬に近づかせない。
自分の犬が噛む場合
噛む行動には、恐怖、痛み、興奮、なわばり意識などさまざまな理由が考えられます。叱るだけでは悪化することもあるので、噛む場面を記録し、かかりつけの獣医師や専門のトレーナーに相談しましょう。
子犬の甘噛みは子犬の甘噛み、もう悩まない!しつけの秘訣、人を噛んでしまったときの原因は愛犬の人を噛んだ!噛み癖の原因と効果的なしつけ方法、豹変のサインは犬の噛みつきから守る対処法と予防策で整理しています。
お出かけの場面での配慮は犬とのお出かけマナー完全ガイド、しつけ全体の考え方は子犬のしつけ完全ガイドも参考にしてください。
よくある質問
- 小さな傷で血も出ていません。受診は必要ですか?
-
傷が浅く見えても、犬の口の中の細菌が入っている可能性があります。MSDマニュアルでは動物に噛まれたら医師に相談するよう書かれています。まず流水と石けんで洗い、医療機関や相談窓口に電話で状況を伝えて判断してもらうと安心です。
- 何科に行けばよいですか?
-
診療科は、傷の場所や状態、地域の医療機関の体制によって変わります。迷うときは、救急相談窓口やかかりつけ医に電話で聞いてみてください。顔や関節など、状況によっては救急外来が必要になることもあります。
- 飼い主が逃げてしまった、または不明です。どうすればよいですか?
-
噛んだ犬が徘徊していて飼い主が不明な場合、保健所が対応する流れが自治体の案内に書かれています。緊急時や休日は警察に連絡してください。犬の特徴や場所、日時をメモしておくと役立ちます。
- 噛まれたあと、狂犬病は心配ですか?
-
厚生労働省のページには、現在、日本では犬などを含めて狂犬病の発生はないと書かれています。ただ、海外で噛まれた場合は事情が異なります。不安があれば、医療機関や保健所に相談してください。
まとめ
- 噛まれたら、まず流水と石けんで傷口をよく洗い、出血は清潔な布で押さえます。
- 浅い傷でも、医療機関や相談窓口に相談するのが基本です。血が止まらない、顔・首・関節の近くのときはすぐ受診します。
- 相手の飼い主の連絡先やワクチンの状況を確認し、保健所や警察などの窓口にも連絡します。
- 赤み・腫れ・熱・膿・痛みの悪化があれば、早めに再受診します。
- 自分の犬が噛むときは、叱るだけにせず、獣医師やトレーナーに相談しましょう。
📚 参考にした情報
- 埼玉県(朝霞保健所)|犬に咬まれたら
速やかに傷口を水で洗い医師の診断を受けること、国内で狂犬病の発生はないこと、飼い主が不明な場合の保健所・警察対応の流れ。 - さいたま市|よくある質問(FAQ)飼い犬が人を咬んだ場合
飼い犬が人を咬んだときに、咬まれた方の受診、連絡先の記録、警察と担当窓口への報告、48時間以内の狂犬病鑑定を行う流れ。 - 米国CDC|Dogs (Healthy Pets, Healthy People)
軽い傷は水と石けんで洗う、深い傷は清潔な布で圧迫、受診すべきケース、感染のサイン、咬傷の届出。 - MSDマニュアル家庭版|Animal Bites
石けんと水で洗い、清潔な布で止血し、すぐ医師に相談すること。アルコール等の消毒薬は使わないこと。感染した傷は痛み・腫れ・赤みを伴うこと。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。獣医師ではありません。くわしくは編集方針をご覧ください。


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