夏に犬を留守番させるときは、暑い室内に放置せず、エアコンなどで温度と湿度を管理するのが基本とされています。自治体や環境省も、気温の高い時期に暑い室内へペットだけを残すことは熱中症につながりうる状況として注意を呼びかけています。そのため「短時間の外出でも、暑い日はエアコンをつけたまま出かける」という考え方が現実的です。ただし、つけっぱなしにしていても停電や故障、タイマー切れで止まる可能性はゼロではありません。この記事では、つけっぱなしを勧める理由、止まったときの備え、室温の見方、出かける前のチェックを順に整理します。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- 暑い日の留守番は、エアコンで温度と湿度を管理するのが基本
- エアコンは停電やタイマー切れで止まることがあるので備えを重ねる
- ぐったり・けいれんなどはすぐ動物病院へ電話する
💡 エアコンつけっぱなしが勧められる理由と電気代の考え方
要点|犬は体温調節が苦手で閉め切った室内は熱がこもる。電気代は冷房を止めず効率で工夫
犬は人のように全身で汗をかいて体温を下げることが得意ではなく、主に口を開けてハァハァと呼吸(パンティング)をして熱を逃がします。
東京都などの自治体の案内でも、犬や猫は人間と比べて体温調節が苦手で、高温多湿や風通しの悪い環境では短時間でも熱中症になるおそれがあるとされています。しかも、部屋を閉め切った室内は、人が思っている以上に熱がこもります。
「家の中にいるから大丈夫」とは言えないのが夏の怖いところです。
鳥取県の資料では、機密性の高い住宅や直射日光が当たる部屋は室温が上がりやすいため特に注意すること、留守番のときは風通しを確保し、カーテンで直射日光をさえぎり、エアコンで室温が上がりすぎないようにすることが挙げられています。
また、屋内で飼う場合は、エアコンなどで温度と湿度を適切に管理し、犬が涼しい場所へ自由に移動できる環境を整えて、いつでもきれいな水が飲めるようにしておく、というのが東京都の案内です。
こうした公的な情報を合わせると、留守番中の室温管理にエアコンを使うことは、基本の対策として位置づけられていると言えます。
では「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」のどちらがよいのでしょうか。留守番中は、帰宅するまで人が室温を見られません。部屋が暑くなってからエアコンを入れ直す運用は、そもそも人がいないので成り立ちません。
そのため、暑い日に出かけるときは、あらかじめ運転した状態で出るのが安心です。外出時間が短くても、天気予報で暑くなりそうな日、日が差し込む部屋、閉め切りがちな住まいでは、特に早めの対策が向いています。
電気代が心配なときの考え方
電気代は、エアコンの機種、部屋の広さ、断熱、設定温度、地域の電気料金によって大きく変わるため、「だいたいいくら」と一律には言えません。確認できた公的な資料にも、電気代の具体的な金額は載っていませんでした。
気になる場合は、次のような工夫で無理なく続けやすくなります。
- フィルターをこまめに掃除して、冷房の効率が落ちないようにする
- カーテンやすだれで日差しをさえぎり、部屋に熱を入れない
- サーキュレーターや扇風機で空気を回し、部屋の温度ムラを減らす
- 犬が過ごす部屋だけを冷やし、使っていない部屋とはドアで仕切る
- 電力会社の使用量の見える化サービスなどで、実際の使用量を確認してみる
なお、使用量の見える化で実際の数字を知っておくと、「思ったほどかからなかった」「この使い方なら続けられる」といった判断がしやすくなります。電気代を理由に冷房を止めて、愛犬の具合が悪くなってしまっては元も子もありません。
節約は「冷房を止める」ではなく「冷やす効率を上げる」方向で考えるのがおすすめです。
エアコンが止まるリスクと、止まったときの備え
要点|停電・タイマー・リモコン誤操作などで止まる。室温計や遠隔確認、協力者を用意
つけっぱなしにしていれば安心、と言い切れるわけではありません。留守番中にエアコンが止まってしまう原因として、次のようなものが考えられます。
- 停電やブレーカーが落ちた(雷、同時に多くの家電を使ったときなど)
- タイマー機能やおやすみ運転などで、意図せず切れてしまった
- 犬がリモコンを踏んだ、あるいは別のリモコン操作で誤って停止した
- エアコン本体の故障や、室外機のまわりをふさいだことによる不具合
- フィルターの目詰まりなどで、冷えが弱くなっていた
止まったとしても被害を小さくするために、次の備えをしておくと安心です。
- 犬の手が届く場所にリモコンを置かない。誤操作の予防になります。
- タイマー設定を確認する。自動で切れる設定になっていないか、外出前に見直します。
- 室温計を犬の高さの近くに置く。床に近い場所は、人が立って感じる温度と差があることがあります。帰宅したときに「留守中にどうだったか」を知りたいなら、最高温度が記録できるタイプが便利です。
- 遠隔で見られる環境を検討する。スマートフォンから室温を確認できる温度計やカメラ、遠隔で操作できるエアコンなどがあります。ただし、こうした機器自体も通信が切れれば見られなくなるため、あくまで補助として考えます。
- 家族や近所の方に協力をお願いできるか考えておく。長時間の外出や、遠出の日は特に有効です。
- 犬が涼しい場所へ移動できるようにする。日が当たる場所・当たらない場所、床がひんやりした場所など、選べる環境にしておきます。
停電そのものを防ぐことはできません。長時間の外出が必要な日は、無理に1頭で留守番させず、ペットホテルや家族・信頼できる人に預けることも選択肢に入れてください。
留守番の長さそのものについては、犬の留守番は何時間まで?年齢別の目安と分離不安の見分け方も参考になります。
室温・湿度の見方と、出かける前のチェック
要点|決まった正解の温度はなく、犬の高さの室温と様子で判断。出発前に9項目を確認
「何度に設定すればよいか」は多くの飼い主さんが知りたい点です。結論から言うと、犬種・年齢・体の状態・毛の量・部屋の環境で適切な温度は変わるため、全員に当てはまる決まった数字はありません。
環境省や東京都の案内でも、具体的な室温は示されず、「温度と湿度を適切に管理する」という書き方になっています。参考として、長野市の資料には、気温が25℃を超えるとペットの熱中症の危険性が高まるとされています。
あくまで目安のひとつとして受け止め、愛犬の様子と室温計の両方で判断しましょう。
とくに暑さに注意したい犬
鳥取県の資料などでは、熱中症になりやすい犬として、次のようなタイプが挙げられています。当てはまる場合は、余裕を持った温度管理を心がけてください。
| タイプ | 注意したい理由 |
|---|---|
| 短頭種(パグ・ブルドッグ・シーズーなど) | 呼吸がしにくく、熱を逃がしにくい |
| 北方原産の犬(ハスキーなど) | 暑さに弱い傾向がある |
| 肥満の犬 | 体に熱がこもりやすく、首まわりの脂肪で呼吸がしにくくなることがある |
| 子犬・高齢犬、心臓や呼吸器が弱い犬 | 体温調節の力が弱い |
短頭種の暑さ対策は、パグの性格・飼い方・寿命の解説でも触れています。
湿度と風の当たり方
犬はパンティングで熱を逃がすため、湿度が高いと体の熱が逃げにくくなります。梅雨明けの蒸し暑い日は、気温がそれほど高くなくても注意が必要です。
除湿(ドライ)運転や換気、空気の循環を併用すると、室内が快適になりやすくなります。一方で、大田区の案内にもあるように、ケージや寝床はエアコンの風が直接当たる場所には置かず、直射日光も避けましょう。
冷気が当たり続けると体が冷えすぎることもあるため、犬が自分で居場所を選べる広さがあると安心です。
出かける前のチェックリスト
- 天気予報を見て、暑くなる日かどうかを確認した
- エアコンを運転し、設定温度と風向き、タイマー設定を確認した
- カーテンなどで直射日光をさえぎった
- 水を十分な量、倒れにくい容器で複数用意した
- ケージ・サークルが日なた・風の直撃にならない位置にある
- リモコンや電気コードなど、いたずらしそうなものを片づけた
- 室温計の位置と表示を確認した
- 冷感マットなど、自分で選んで使える涼しい場所を用意した
- 必要に応じて、帰宅時間と連絡先を家族と共有した
水の与え方については、犬に氷や冷たい水はあげていい?も参考にしてください。
🏥 動物病院へ行く目安
要点|ぐったり・よだれ・けいれんなどはすぐ連絡。回復後も診察を受けるよう案内されている
夏の室内での熱中症は、飼い主が気づかないうちに進むことがあります。「いつもと違う」と感じた時点で連絡してよい、と考えておくと動きやすくなります。
留守番から帰ったとき、あるいは暑い日の様子から、熱中症が心配になることがあります。自治体の案内では、次のような様子が熱中症の可能性があるサインとして挙げられています。
| 対応 | こんな様子 |
|---|---|
| すぐに動物病院へ連絡(夜間・休日は救急対応の病院へ電話) | ぐったりして呼びかけへの反応が弱い、よだれが多い、泡を吹く、嘔吐、ふらつき、けいれん、意識がない、ハァハァが止まらず浅く速い |
| 早めに電話で相談 | 食欲がない、いつもより元気がない、体が熱い、目や口の中の粘膜が赤い、下痢をしている |
| 様子を見つつ環境を見直す | 呼吸が落ち着いていて元気も食欲もあるが、室温が高めだったかもしれない |
熱中症が疑われるときは、涼しい場所に移し、飲めるようであれば水を飲ませ、首や脇の下、内ももなどを濡らして風を当てるなどして体を冷やしながら、動物病院に連絡して指示を仰ぐとよい、というのが自治体の案内です。
冷やしすぎや、無理に水を飲ませることは避け、獣医師の指示に従ってください。また、一度落ち着いたように見えても、症状が出たあとは動物病院で診察を受けるよう案内されています。
この記事は診断を行うものではありません。気になる症状があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。症状の見分け方は、犬の症状から探すガイドから確認できます。
夜間や休日に診てくれる病院は、あらかじめ電話番号を控えておくと、いざというときに慌てずにすみます。
よくある質問
- 短時間の買い物でも、エアコンはつけたままのほうがいいですか?
-
暑い日や、日が当たる部屋、閉め切った部屋では、短時間でも室温が上がることがあるため、つけたまま出かけるほうが安心とされています。涼しい日や風通しがよい日まで常に必要というわけではありません。その日の気温、部屋の環境、愛犬の体質に合わせて判断してください。
- 設定温度は何度にすればいいですか?
-
公的な資料では具体的な設定温度は示されておらず、「温度と湿度を適切に管理する」とされています。犬種、年齢、毛の長さ、持病によって合う温度は違うため、室温計で犬の高さの温度を確認しながら調整し、気になる場合はかかりつけの獣医師に相談してください。
- 冷えすぎが心配です。つけっぱなしで体調を崩しませんか?
-
冷気が直接当たり続けたり、設定が低すぎたりすると、体が冷えすぎることもあります。風が直接当たらない位置に寝床を置き、犬が涼しい場所とそうでない場所を選べるようにしておくと安心です。お腹がゆるくなる、震えるなどの様子があれば、かかりつけに相談しましょう。
- 扇風機だけでは足りませんか?
-
犬は汗で体を冷やすのが得意ではないため、気温が高い日は風を当てるだけでは体温を下げにくいとされています。扇風機やサーキュレーターは、エアコンの補助として空気を回す目的で使うのが現実的です。
まとめ
- 暑い日の留守番は、エアコンなどで温度と湿度を管理するのが基本。迷ったらつけたまま外出する
- 停電、タイマー切れ、リモコンの誤操作などで止まる可能性があるため、室温計や遠隔確認などの備えを重ねる
- 決まった「正解の温度」はなく、犬種・年齢・体調と、犬の高さの室温を見て調整する
- ぐったりする、よだれが多い、けいれんなどがあれば、すぐに動物病院(夜間・休日は救急)へ電話する
- 電気代は、フィルター掃除や遮光、空気の循環などで、冷房を止めずに効率を上げる方向で考える
📚 参考にした情報
- 東京都保健医療局|動物の熱中症に注意(犬・猫の飼い主向け)
屋内飼育ではエアコン等で温度と湿度を管理し、犬が涼しい場所へ移動でき水が飲める環境にすること、症状と疑わしいときは動物病院へ連絡することが示されている。 - 鳥取県|ペットの熱中症について
留守番時は風通し・遮光・エアコンで室温上昇を防ぐこと、短頭種・肥満・子犬や老犬などリスクの高い犬、症状と応急処置が示されている。 - 長野市|ペットの熱中症予防(長野市)
気温が25℃を超えると危険性が高まること、室内でもエアコン等で温度と湿度を管理することが示されている。 - 東京都大田区|ペットの熱中症対策(大田区)
ケージは直射日光やエアコンの風が直接当たらない場所に置くことが示されている。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。獣医師ではありません。くわしくは編集方針をご覧ください。


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