狂犬病予防注射は、生後91日以上の犬に年1回受けさせることが法律で義務づけられています。注射の当日は体調のよい日を選び、接種後は少なくとも15分は動物病院の近くで様子を見て、シャンプーや激しい運動は2〜3日避けるのが一般的な目安です。顔の腫れ、呼吸が苦しそう、ぐったりして動けないなどの様子があれば、すぐ動物病院へ連絡してください。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- 狂犬病予防注射は生後91日以上の犬に年1回の義務
- 接種後は15分は様子見、2〜3日はシャンプーと激しい運動を避ける
- 顔の腫れ・呼吸の異常・ぐったりは先に電話して受診
この記事では、「なぜ毎年必要なのか」「いつ受けるのか」「接種後はどう過ごすのか」「どんな副反応があるのか」を、厚生労働省や自治体、東京都獣医師会の資料をもとに整理します。
運営者は獣医師ではないため、診断や治療の話はせず、受診の目安と家庭でできる観察に絞ってまとめます。個別の体調や持病が心配なときは、必ずかかりつけの動物病院に相談してください。
狂犬病予防注射は年1回の義務|対象・時期・登録との関係
要点|登録が先で、注射と済票があと。令和9年3月2日から通年接種が可能になる
厚生労働省のページによると、犬の飼い主には、登録、年1回の予防注射、鑑札と注射済票の装着が、狂犬病予防法により義務づけられています。
狂犬病は、感染した動物に咬まれた傷口などから感染する病気で、発症すると有効な治療法がなく、ヒトの場合は昏睡状態に至るとほぼ100%が死亡するとされています。
日本では、国内での犬の発生は1956年を最後に確認されておらず、1970年以降のヒトの死亡例は海外で感染して帰国後に発症したケースです。
「いま国内にいないから不要」ではなく、国内で発生していない状態を保つために、犬が免疫を持ち、飼い犬の所在を把握しておくという考え方で、毎年の注射と登録がセットになっています(神奈川県の案内)。
対象は「生後91日以上」の犬すべて
室内飼いの犬や小型犬も対象です。生後91日以上の犬を飼い始めたら、30日以内に登録をして、そのうえで注射を受け、注射済票を受け取る流れになります。
注射済票は、犬の登録がある自治体が発行するため、登録が済んでいないと交付されません。登録の手順は、犬のマイクロチップ完全ガイド|義務化の対象と登録方法、費用の目安でも触れています。
受ける時期は「4〜6月」から通年へ変わっていきます
これまでは毎年4月1日から6月30日までに受けることとされてきました。東京都の案内では、狂犬病予防法施行規則の改正により、令和9年3月2日から通年での接種が可能になります。
ただし、令和8年度についてはこれまでどおり4〜6月の接種が必要とされています。毎年1回受ける義務そのものは変わりません。
受け方は、春に自治体が開く集合注射か、動物病院での個別接種のどちらかです。集合注射の会場や、自治体の委託を受けた動物病院では、その場で注射済票を受け取れる運用が多いようです。
それ以外の病院で受けた場合は、病院で出してもらう注射済証明書を持って、市区町村の窓口で済票を受け取ります。済票の手数料は自治体の案内で550円と示されている例があり、注射の料金は動物病院ごとに違います。
鹿児島市の案内には、動物病院では年間を通して受けられるとあり、春の期間を逃してしまった場合も、気づいた時点で動物病院や自治体に相談するとよいでしょう。
✂️ 接種前後の過ごし方|当日の流れとシャンプー・運動の目安
要点|接種後15分は観察し、当日は安静に。シャンプーや激しい運動は2〜3日避ける
東京都獣医師会が獣医師向けにまとめた「狂犬病予防注射事故対策ガイドライン」では、接種前後の注意が整理されています。ここでは、その内容を飼い主向けにかみ砕いて紹介します。
接種の前に確認したいこと
同ガイドラインは、次のような場合は、集合注射会場ではなく、かかりつけの動物病院で相談してから接種するよう勧める項目としています。
- 発熱、咳、下痢など、いつもと違う様子がある
- 病気の治療中、または治療を終えて間もない
- 妊娠中・授乳中、または交配して間もない
- 過去に、狂犬病ワクチンや他のワクチンで副反応(アナフィラキシーなど)が出たことがある
- てんかん発作の経験がある、極度に興奮しやすい
- 高齢で体力が落ちている、迎えたばかりで環境の変化が大きい
当てはまるものがあるときは、事前に「この子は今年どうするか」を、かかりつけ医に相談しておくのが安心です。また、他のワクチンとの同時接種は避け、間隔をあけるよう求められています。
混合ワクチンと時期が近いときは、病院の指示に従ってください。混合ワクチンの種類やスケジュールは、犬のワクチン完全ガイド|混合ワクチンの種類と接種スケジュール、副反応の注意点にまとめています。
接種後の過ごし方の目安
| いつまで | 目安(東京都獣医師会の資料より) |
|---|---|
| 接種後すぐ〜15分 | 少なくとも15分は、アナフィラキシーが起きていないか観察してもらう(会場や病院の近くにいる) |
| 〜60分 | 致死的な副反応の大半は、接種後60分以内に起こる可能性があるとされる。異常があればすぐ動物病院へ |
| その日いっぱい(24時間) | なるべく安静に過ごし、帰宅後も十分に様子を見る。遅れて出る反応も報告されている |
| 2〜3日 | 激しい運動、シャンプー、交配は避ける |
この目安から、実際にはこんな段取りが考えやすくなります。
- 注射は、できれば午前中、動物病院が開いている日に受ける(その日のうちに様子の変化に気づけて、相談もしやすいため)
- 接種前に、食欲・便・元気がいつもどおりか確認する
- 接種後はすぐに帰らず、病院や会場の近くで少し様子を見る
- 帰宅後は、ドッグランや長い散歩は控え、静かに過ごさせる
- トリミングやシャンプーの予約は、接種の前後2〜3日を避けて入れる
シャンプーを避ける理由について、資料は具体的に述べていませんが、接種後は体調が変わる可能性があるため、体に負担のかかる入浴やトリミングを避けて様子を見る、という考え方だと理解できます。どうしても汚れが気になるときや、トリミングの予定が動かせないときは、接種した動物病院に相談してください。
🏥 副反応で起こりうる症状と、動物病院へ行く目安
要点|一時的な腫れや元気のなさは様子見、呼吸の異常やぐったりはすぐ連絡
狂犬病ワクチンに限らず、ワクチン接種のあとには、まれに体調の変化が出ることがあります。
東京都獣医師会のガイドラインは「副反応は起こりうるもの」という前提で作られており、接種後の体調不良とワクチンとの関連をはっきり線引きすることはできない、とも述べています。
鹿児島市の案内では、副反応の例として、発熱、注射部位の赤みや腫れ、アナフィラキシーショックなどが挙げられています。
起こりうる症状の整理
| タイプ | 主な様子(ガイドラインの整理より) |
|---|---|
| アナフィラキシー(重いアレルギー反応) | 接種直後に起こることが多いが、12〜24時間後の報告もある。ぐったりして動かない、呼吸が苦しそう、強い嘔吐、けいれん、歯茎や舌の色が悪い(青白い)など |
| それ以外のアレルギー反応 | 一時的な顔の腫れ、じんましん、かゆみ、嘔吐、下痢など |
| 注射による刺激 | 注射した場所の痛み、一時的に足をかばう歩き方など |
| 関連は証明されていないが報告があるもの | 接種から半日〜数日以内の、ふらつき、歩き方の異常、けいれんなど |
動物病院へ行く目安|様子を見てよいことが多いケース
- 注射した場所を触られるのを嫌がる、少し腫れている気がする
- いつもより少し元気がない、遊びたがらない、眠そうにしている
- 食欲が少し落ちたが、水は飲み、時間とともに戻ってきている
この場合は、半日〜1日ほど、安静にしながら変化を見ます。よくなっていく様子なら、次の診察日に「こんなことがあった」と伝えておくと、来年以降の相談に役立ちます。悪くなる、長引く、迷うというときは、様子見を続けず連絡してください。
動物病院へ行く目安|すぐに連絡・受診したほうがよいサイン
- 顔やまぶた、唇が急に腫れてきた
- 体にじんましん(ぶつぶつ)が広がっている、強くかゆがる
- 何度も吐く、水のような下痢が続く
- 呼吸が荒い、苦しそう、舌や歯茎が白い・青い
- ぐったりして立てない、呼びかけに反応が鈍い
- けいれんした、ふらついて歩けない
これらは、重いアレルギー反応の可能性もあるため、先に動物病院へ電話をして、指示を受けながら移動してください。夜間や休日は、かかりつけが休診でも、救急対応の動物病院に連絡します。
「注射したのは昼間だったから」と遠慮せず、ワクチン接種の日であることを必ず伝えましょう。症状から病院を考えたいときは犬の症状から探す|気になる「いつもと違う」の一覧も使えます。
体調や年齢で接種が難しいときの「猶予」
要点|接種できるかは獣医師が判断し、猶予証明書を自治体へ提出する
高齢や病気などで、獣医師が「いまは接種できない」と判断した場合には、獣医師が発行する「狂犬病予防注射猶予証明書」を自治体に提出する制度があります(中央区、新宿区の案内)。
新宿区の案内では、証明書はその年度内のみ有効で、翌年度も猶予が必要な場合は改めて証明書を取って提出すること、猶予の届出は無料であること、猶予の場合は注射済票が交付されないこと、接種できる状態になったら速やかに受けること、が示されています。
猶予の手続きは自治体ごとに異なり、証明書の書式や提出先も違います。
ここで大切なのは、「この子はもう高齢だから受けなくていい」と飼い主が自己判断しないことです。接種するかどうかの判断は獣医師が行い、猶予が必要なら証明書をもらう、という手順になります。
シニア犬の健康管理全般は老犬介護完全ガイド|始める時期のサインと認知症・寝たきりへの備え方、毎年かかる予防の費用は犬の予防ケアは年間いくら?ワクチン・検査・健診の費用の目安も参考にしてください。
よくある質問
- 注射のあと、当日にシャンプーしても大丈夫ですか?
-
東京都獣医師会の資料では、激しい運動、シャンプー、交配は接種後2〜3日は避けるとされています。トリミングの予約が近いときは、接種の日をずらして計画するのがおすすめです。どうしても汚れが気になるときは、接種した動物病院に相談してください。
- 顔が腫れたり、吐いたりしたら、副反応ですか?
-
一時的な顔の腫れや嘔吐は、アレルギー反応の一つとして挙げられています。ただし、ワクチンが原因かどうかを飼い主が見分けるのは難しいため、原因を考えるより先に、動物病院に連絡して指示を受けてください。顔の腫れに加えて、呼吸が苦しそう、ぐったりしているなどがあれば急いで受診します。
- 去年は問題なかったので、今年も大丈夫ですか?
-
過去に問題がなくても、年齢や体調は毎年変わります。毎回、当日の様子と最近の体調をかかりつけ医に伝えたうえで接種しましょう。過去に副反応が出たことがある犬は、事前の相談がとくに大切です。
- 春の期間に受け損ねました。どうすればいいですか?
-
令和8年度は従来どおり4〜6月の接種が必要とされていますが、動物病院では年間を通して受けられるとする自治体もあります。気づいた時点で、かかりつけの動物病院か自治体に連絡して相談してください。
まとめ
- 狂犬病予防注射は、生後91日以上の犬に年1回、法律で義務づけられている(猶予は獣医師の判断と自治体への提出が必要)
- 注射済票は登録のある自治体が発行する。登録が先、注射と済票があとの順番
- 接種後は少なくとも15分は様子を見て、その日は安静に。シャンプーや激しい運動は2〜3日避けるのが目安
- 顔の腫れ、呼吸が苦しそう、ぐったり、けいれんなどは、先に電話をして動物病院へ。夜間・休日は救急の病院へ
- 体調や持病、過去の副反応が心配なときは、接種前にかかりつけ医へ相談しておく
📚 参考にした情報
- 厚生労働省|狂犬病に関するQ&A(結核・感染症のページ)
飼い主の登録・年1回の予防注射・鑑札と注射済票の装着の義務、狂犬病の概要、国内最後の犬の発生が1956年であることが示されている。 - 東京都獣医師会|狂犬病予防注射事故対策ガイドライン HANDBOOK
接種後15分の観察、副反応の大半は60分以内、激しい運動・シャンプーは2〜3日避ける、副反応の種類、問診で注意する項目が整理されている(獣医師向け資料)。 - 東京都|「狂犬病予防法施行規則」の改正について
通年接種が令和9年3月2日から可能になり、令和8年度は従来どおり4〜6月の接種が必要とされている。 - 新宿区|狂犬病予防注射(新宿区)
高齢・疾病で接種できない場合の猶予証明書は年度内有効で、猶予では済票は交付されない。 - 神奈川県|狂犬病について(神奈川県)
狂犬病は発症後の治療法が確立されておらず、犬の登録と予防注射が所在把握と免疫の確保につながるという目的が示されている。 - 鹿児島市|狂犬病予防注射・犬の登録(鹿児島市)
副反応の例(発熱、注射部位の赤み・腫れ、アナフィラキシー)と、動物病院では年間を通して受けられることが示されている。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。獣医師ではありません。くわしくは編集方針をご覧ください。



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