歯石がついてきた、口臭が気になる。動物病院で歯のケアを勧められたものの、「全身麻酔をかけるの?」「どんなことをするの?」「うちの子は大丈夫?」と不安になる飼い主さんは多いはずです。結論からいうと、犬の歯石除去(スケーリング)は、犬が動かずに安全に、歯の根元や歯茎の下まで確認しながら行うため、全身麻酔下で行うのが一般的です。麻酔の不安を減らすには、「事前の検査」と「獣医師への質問」が大きな助けになります。



迷ったら、最後のまとめを見てね。ポイントをまとめてあるよ。


この記事では、動物病院での歯のケアの一般的な流れと、無麻酔の歯石取りが勧められていない理由、麻酔への不安との向き合い方をまとめます。
病院によって方法は異なり、薬の種類や具体的な手順は犬の状態によって変わるため、ここでは触れません。運営者は獣医師ではなく、診断や治療の判断はできないため、実際の内容は必ずかかりつけの動物病院でご確認ください。
✂️ 歯のケア(スケーリング)が検討されるのはどんなとき?


オリコンMEのペット保険ガイドでは、犬の歯周病の基本的な治療は、歯ぐきの下の歯石まで取り除くスケーリングとされています。歯石がついている、歯茎が赤く腫れている、口臭が強い、食べにくそうにしているといった様子があるときに、病院で口の中を診てもらい、必要かどうかを判断してもらいます。
歯石は一度固まると、家庭の歯磨きでは取れません。歯石がつく仕組みは犬の歯石がつく原因と予防で整理しています。「歯石がついていても元気に食べているから」と様子を見ているうちに、歯周病が進んでしまうこともあるため、気になった時点で一度相談するのが安心です。
🏥 動物病院での歯のケアの一般的な流れ


コーネル大学獣医学部やAVDC(米国獣医歯科学会)、オリコンMEなどの解説をもとに、一般的な流れを整理すると次のようになります。
- 診察・問診:口臭や食べ方、歯磨きの状況、持病、飲んでいる薬などを聞かれます。口の中を見て、歯石の量や歯茎の状態、歯のぐらつきを確認します。
- 麻酔前の検査:全身の状態を確認する検査(血液検査など)が行われるのが一般的です。年齢や持病によっては、心臓や腎臓などの検査が追加されることもあります。
- 前日からの準備:食事を抜く時間など、病院から指示があります。
- 全身麻酔下での口の中の検査:麻酔がかかった状態で、舌や口の奥まで含めて口全体を調べます。必要に応じて歯のレントゲン撮影が行われ、目に見えない歯の根や骨の状態を確認します(AVDC、コーネル大学獣医学部)。
- 歯石・歯垢の除去:専用の器具で、歯の表面だけでなく歯茎の下の歯垢・歯石も取り除きます(コーネル大学獣医学部)。
- 必要に応じた処置:ぐらつきが強い歯や、折れた歯、骨の溶けが進んだ歯は、抜歯が検討されることがあります。
- 仕上げ・洗浄:歯の表面を整え、口の中を洗浄します(東京ドクターズ)。
- 麻酔からの覚醒・経過観察・帰宅:麻酔から覚めるのを見守り、状態を確認したうえで、その日のうちに帰宅できる場合もあれば、短期間の入院を勧められる場合もあります。
- ホームケアの指導:処置後に歯垢がたまらないよう、家での歯磨きの方法を相談します。
病院によって、検査項目や処置の範囲、日帰りか入院かなどは異なります。ここに挙げた流れは一般的なものと受け止めてください。
💡 なぜ全身麻酔?無麻酔の歯石取りが勧められない理由
犬は人のように「口を開けて、じっとしていてね」という指示が通じません。歯の裏側や歯茎の下の歯石を、犬が動かない状態で、安全に、しっかり取り除くためには、麻酔が必要だと考えられています。
AVDCは、麻酔をかけない歯石取りについて、歯の表面を見た目に白くするだけで、歯周病が起こる歯茎の下の細菌には届かず、口の中は大丈夫だという誤った安心感を与えるおそれがある、という立場を示しています。
レントゲン撮影や歯周ポケットの検査も、麻酔なしでは行えません。東京ドクターズの記事に登場する獣医師の多くも、無麻酔での歯石除去は痛みやストレスで以後の歯磨きを嫌がるようになる、といった理由で勧めていません。
「麻酔なしでできるなら」と考える気持ちは自然ですが、専門団体の見解は上記のとおりです。迷う場合は、かかりつけの獣医師に「この子の場合はどうか」「麻酔なしで対応できる範囲はあるのか」を尋ねてみてください。
麻酔への不安とどう向き合うか
麻酔にはリスクがゼロではありません。しかし、歯周病を放置することにも、歯の痛みや全身への影響といったリスクがあります。
東京ドクターズの記事では、歯周病の細菌が体内に入って腎臓や肝臓、心臓などに影響する可能性が指摘されており、歯周病が心臓病を招くと、麻酔のリスクが上がることも述べられています。
つまり、「麻酔が怖いから先延ばしにする」ことが、かえって処置を難しくする場合もあると考えられます。
安全性を高めるために行われること
- 麻酔前の身体検査・血液検査などで、体の状態を確認する
- 持病や飲んでいる薬、これまでの麻酔歴を獣医師に正確に伝える
- 麻酔中は、心拍や呼吸などを機器でモニタリングする
- 高齢の犬や短頭種(鼻の短い犬種)など、慎重な対応が求められる犬では、さらに事前の準備を丁寧に行う
獣医師に聞いておきたいこと
- この子の年齢や持病を考えて、麻酔のリスクはどの程度か
- どんな術前検査をするのか、結果によって処置を延期することはあるか
- 日帰りか入院か、当日の流れと連絡方法
- 抜歯が必要になった場合の方針(その場で行うか、改めて相談するか)
- 費用の目安と、追加費用が発生する可能性
- 処置後のホームケアと次回の検診の目安
病院選びに迷うときは、かかりつけの動物病院の選び方も参考にしてください。病院が苦手な犬の場合は、動物病院を怖がる犬の慣らし方も役立ちます。
💰 処置のあとと、費用・保険で知っておきたいこと


処置後は、麻酔の影響で少しぼんやりしたり、食欲が戻るまでに時間がかかったりすることがあります。食事の再開時期や、抜歯をした場合の食べさせ方などは、病院の指示に従ってください。
嘔吐が続く、ぐったりしている、出血が止まらないといった様子があれば、すぐ病院に連絡しましょう。
歯石除去は、麻酔や検査を含めて費用がかかるのが一般的で、犬の状態や病院によって幅があります。オリコンMEの解説では、ペット保険の補償は治療目的の場合が中心で、予防目的の処置は対象外になることが多いとされています。
保険の補償内容は契約によって異なるため、事前に加入先に確認しておくと安心です。
処置後の歯石は、ケアを怠ればまた少しずつたまっていきます。せっかくの処置を長持ちさせるには、毎日の歯磨きが欠かせません。嫌がる場合は歯磨きを嫌がる犬の慣らし方を参考にしてください。
よくある質問
- 年に何回くらい歯石取りが必要ですか?
-
一律の回数は決められません。歯石のつきやすさや歯周病の進行度は、犬種、年齢、日々のケアの状況によって異なります。オリコンMEの解説では、年に1回程度の口のチェックが勧められています。そのうえで、必要な処置の頻度は獣医師が判断します。
- 高齢だと麻酔はかけられませんか?
-
年齢だけで決まるわけではなく、全身の状態を検査で確認したうえで、獣医師が判断します。高齢犬では事前の準備をより丁寧に行うことが重要とされています。
- 歯石取りの後、歯磨きは不要になりますか?
-
いいえ。処置のあとも歯垢は毎日たまります。AVDCも、専門的なケアとあわせて、毎日の家庭でのケアと年1回程度の動物病院での歯科チェックを勧めています。
まとめ
- 歯石除去(スケーリング)は、検査から麻酔、口腔内の確認、歯石除去、必要な処置、ホームケア指導までが一連の流れ。
- 麻酔をかけない歯石取りは、歯茎の下の細菌には届かず、専門団体は勧めていない。
- 麻酔が不安なときは、術前検査の内容、リスク、当日の流れ、費用を獣医師に質問する。
- 処置のあとも、毎日の歯磨きが歯石の再発予防の中心になる。
麻酔を伴う処置は、不安になって当然です。納得できるまで質問し、愛犬に合った方法を獣医師と一緒に決めていくことが、いちばんの安心につながります。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。



コメント