「ペット保険って入ったほうがいいの?」「毎月の保険料がもったいない気もする」。犬を迎えると、早い段階で悩むテーマです。先に書いておくと、この記事は特定の保険会社や商品をすすめるものではありません。ペット保険に入る・入らないに唯一の正解はないので、判断するための材料と、商品を比べるときの見方を整理します。
動物の診療には、人のような公的医療保険がなく、診療料金は各動物病院が決めています。そのため、手術や入院が必要になると、まとまった金額が必要になることがあります。この「もしものときの出費」にどう備えるかが、保険を考える出発点です。
ペット保険に入っている人は、どんな理由で選んでいる?
比較サイト「ペット保険比較のピクシー」が、2024年10月に犬・猫の飼い主300名へ行った調査(2025年2月発表)では、約6割(61%)がペット保険に加入していました。加入理由(複数回答)は、「高額になりやすい治療費の負担を軽減したいから」が60%、「ペットがなりやすいけがや病気に備えたいから」が46%、「高齢になったときの治療費が心配だから」が44%でした。加入者のうち、よかった・どちらかといえばよかったと答えた人は合わせて88%と報告されています。
ただし、この調査は保険の比較サイトが行ったネット調査で、保険に関心がある人が多く回答している可能性があります。全国の飼い主の加入率とは別のものとして、参考程度に見てください。
保険料の目安は?
保険料は、年齢、犬種や体の大きさ、補償内容で変わります。参考になる数字を2つ挙げます。
- 2023年8月の記事で紹介された、ペット保険会社のFPCによる0〜4歳の犬・猫の契約者1,005人への調査では、月額の保険料は「2,000〜3,000円」が38.3%で最多、「1,000〜2,000円」が27.6%、「3,000〜4,000円」が12.3%で、約75%が月3,000円未満でした。
- アニコム損害保険の「2022年のペットにかける年間支出調査」では、犬のペット保険料は年間約4万5,000円でした。この調査は同社の契約者が対象で、犬の平均年齢は5.0歳と紹介されています。
若いうちは月数千円でも、年齢とともに上がるのが一般的で、シニア期には負担感が大きくなります。長い期間で払う総額を、犬の生涯費用の目安と合わせて考えておくと現実的です。
比べるときに見るべき6つのポイント
保険の比較解説で共通して挙げられている確認ポイントは、次のとおりです。
1. 補償割合
治療費のうち、保険金として支払われる割合です。70%や50%の商品が主流で、90%や100%の商品もあります。割合が高いほど保険料も高くなる傾向があります。
2. 免責金額
1回の治療で、一定額までは自己負担になる仕組みです。たとえば治療費35,000円、免責金額5,000円、補償割合70%なら、(35,000円−5,000円)×70%=21,000円が支払われる、という計算になります。「70%補償」でも、実際の受取額は治療費の70%にならない点に注意が必要です。
3. 年間の限度額と回数
1年間に受け取れる保険金の上限や、支払い回数・日数の上限が決まっている商品があります。上限を超えた分は全額自己負担です。
4. 通院・入院・手術のどこまで補償されるか
通院を補償しない、手術と入院に絞った商品もあります。普段の通院が多い犬なのか、大きな出費に備えたいのかで、選び方が変わります。
5. 補償されないもの
ワクチンなどの予防接種、健康診断、避妊・去勢手術など、病気やけがの治療ではないものは対象外になるのが一般的です。予防に関する費用は自己負担と考えておきましょう(犬のワクチン完全ガイド)。契約前に、すでにある病気や、加入後すぐには補償されない待機期間の扱いも確認します。
6. 加入年齢と更新
新規に加入できる年齢には上限があり、商品によって違います。契約は1年ごとの更新が基本で、保険料は年齢とともに上がるのが一般的です。更新時には、支払いの上限に達した場合や、治療中の病気がある場合に、条件が変わったり更新できなかったりすることがあると説明されています。乗り換えは新規契約扱いとなり、年齢や告知内容によっては加入できないこともあります。
入る・入らないを決めるための4つの問い
保険の良し悪しではなく、自分の家庭に合うかどうかを考えるための質問です。
- 数十万円の医療費が急に必要になったとき、貯金で対応できるか。対応できるなら、保険に頼らず積み立てる選択も現実的です。
- 治療方針を決めるときに、費用が最大の悩みになりそうか。費用面の不安が大きい場合は、保険で負担の見通しを立てるのも一つの方法です。
- 保険料を長い期間払い続けられるか。シニア期に保険料が上がっても続けられるかを考えます。
- 貯金と保険を組み合わせるか。通院などの小さな出費は貯金で、手術や入院などの大きな出費は保険で、というように役割を分ける考え方もあります。
アニコムの「家庭どうぶつ白書2025」では、年間診療費の平均が0〜4歳で約5.3万円、10歳以上で約17.3万円と報告されていて、年齢とともに増える傾向があります(中央値は0〜4歳で約2.2万円、10歳以上で約9.9万円で、平均よりかなり低くなっています)。つまり、多くの犬は平均より少ない金額で済む一方、一部の犬に高額な費用がかかるという分布です。保険は、この「一部の高額」に備えるという性格の仕組みです。
契約前に確認しておきたいこと
- パンフレットだけでなく、約款と重要事項説明書で、補償されない場合の条件を読む。
- 病気やけがの履歴を正しく告知する。告知内容に誤りがあると、保険金が支払われないことがあります。
- 保険金の請求方法(動物病院の窓口で精算できるか、後から請求するか)を確認する。
- 保険料の総額を、現在の年齢だけでなくシニア期まで想定して試算する。
- 強引な勧誘や、内容がわかりにくい説明を受けたときは、その場で決めず、お住まいの消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談する。
よくある質問
Q. 子犬のうちに入らないと損ですか?
一般に、若いうちは保険料が低く、持病もないため加入しやすいとされています。一方で、若い時期は医療費が比較的少ないという傾向もあります。損得だけでなく、将来の見通しと家計の余裕で考えるのが現実的です。
Q. 保険に入っていれば、動物病院の治療費は気にしなくていいですか?
いいえ。免責金額や補償割合、年間の限度額があるため、自己負担は残ります。治療内容や費用は、獣医師と相談しながら決めるのが基本です。
Q. 貯金だけで備える場合、いくらくらい貯めるのがよいですか?
決まった金額はありません。アニコムの調査では、骨折の手術・入院で30万円ほどかかるケースがあるとされています。貯金で備えるなら、まず数十万円を目標に、月々の積み立てを続ける方法が考えられます。貯金の進め方は、別の記事でも取り上げます。
まとめ
- 動物の診療には公的医療保険がなく、診療料金は病院ごとに決まる。大きな出費への備えとしてペット保険がある。
- 保険料は月数千円が目安だが、年齢とともに上がるのが一般的。長期の総額で考える。
- 比べるポイントは、補償割合、免責金額、年間の限度額、補償範囲、対象外、加入年齢と更新の6つ。
- 入るかどうかは、貯金で対応できるか、費用が治療の判断を左右しそうかで考える。
- 契約前に約款を確認し、迷ったら消費者ホットライン188に相談する。
数字は各調査の時点のものです。詳しい条件は、必ず各社の約款・重要事項説明書でご確認ください。年間の支出全体の見通しは犬を飼うと年間いくらかかる?もご覧ください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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