犬を迎えたいけれど、一生でいくらかかるのか不安で踏み出せない。そんな方に向けて、公表されている調査の数字をもとに「生涯費用」の目安と、その読み方を整理しました。ペットフード協会の「令和5年(2023年)全国犬猫飼育実態調査」では、犬1頭の生涯費用の目安は約244万6,000円(平均寿命14.62歳として計算)とされています。年に直すと約16.7万円、月にならすと約1.4万円の計算です。
ただし、これは平均的な飼い方の目安です。大きな病気や介護が重なれば、この金額を超える可能性は十分にあります。数字の中身と、無理のない備え方を見ていきましょう。
ペットフード協会が示す犬の生涯費用
報道や解説記事で紹介されている2023年調査の数字は次のとおりです。体の大きさで3区分に分けられています。
| 区分 | 平均寿命 | 生涯費用の目安 |
|---|---|---|
| 超小型犬 | 15.07歳 | 2,554,012円 |
| 小型犬 | 14.29歳 | 2,382,200円 |
| 中型犬・大型犬 | 13.86歳 | 2,559,186円 |
| 犬全体 | 14.62歳 | 2,446,068円 |
意外に感じるかもしれませんが、大型犬は食べる量が多い一方で寿命が短く、超小型犬は長生きする分だけ年数がのびるため、総額の差が小さくなっていると考えられます。区分間の差は最大でも約18万円です。
生涯費用を平均寿命で割ると、犬全体で年間約16.7万円になります。つまりこの数字は「1年あたりの支出に寿命をかけ合わせた試算」と読み取れます。
数字は調査のたびに変わる|2020年調査との比較と含まれる費用
同じペットフード協会の「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査」では、犬の生涯必要経費の平均は約207万円(小型犬約200万円、中型・大型犬約230万円)とされていました。2023年の約245万円との差は、調査年や回答者の構成、物価などによって数字が動くことを示しています。
月の支出を比べても傾向は似ています。2020年調査では犬の1か月の支出の平均が13,715円、2025年調査では18,041円(いずれも調査で尋ねた月の支出総額の平均)でした。最新の調査ほど金額が大きい傾向なので、数年前の記事や古い見積もりを使うときは「今はもう少し高いかもしれない」と考えておくのが安全です。毎月の内訳は犬を飼うと年間いくらかかる?月の支出・内訳・予算の立て方で詳しく紹介しています。
生涯費用に入っているか確認できない費用
調査の報道を見る限り、生涯費用は日々のお世話にかかる支出が中心です。報道されている範囲では、次の点は確認できませんでした。
- 子犬を迎えるときの購入費用や譲渡費用が含まれているか
- ペット保険料がどのように扱われているか
- 災害時の備蓄や避難にかかる費用
- 老後の介護用品や、長期の治療にかかる費用
数字の細かい定義は調査報告書に記載されているはずですので、気になる方はペットフード協会の公式サイトで報告書を確認してください。ここでは「上乗せが必要な費用がある」という前提で、予算に余裕を持たせる考え方をおすすめします。
生涯の中で費用が重くなる時期
生涯費用の平均を寿命で割った金額は、実際には毎年同じではありません。特に医療費は年齢で大きく変わります。
アニコムの「家庭どうぶつ白書2025」(2023年4月〜2024年3月の保険契約データ)では、犬の年間診療費は次のように報告されています。
| 年齢 | 平均 | 中央値 |
|---|---|---|
| 0〜4歳 | 52,613円 | 21,860円 |
| 5〜9歳 | 88,362円 | 39,358円 |
| 10歳以上 | 172,742円 | 99,346円 |
平均と中央値の差が大きいのは、入院や手術で高額になった犬が平均を引き上げるためと考えられます。それでも、10歳以上では中央値でも10万円近くになっています。子犬や若い時期は出費が少なく、シニア期にまとまってかかるという山を想定しておくと、貯めるペースを決めやすくなります。シニア期の暮らしについては老犬介護完全ガイドも参考になります。
無理なく備えるための3つの考え方
1. 月の積み立てに置き換える
約244万円を平均寿命14.62歳の月数(約175か月)で割ると、1か月あたり約1.4万円です。フードやトリミングなど毎月の支払いに加えて、医療費のための積み立てを別枠で持つと、突発的な出費にも対応しやすくなります。
2. 「必ずかかる費用」と「減らせる費用」を分ける
狂犬病の予防接種や登録、混合ワクチンなどは、犬と暮らすうえで省けない費用です。一方で、おやつの量やグッズの買い替え頻度、トリミングのサイクルなどは、犬の様子を見ながら調整できます。予防に関する基本は犬のワクチン完全ガイドにまとめています。
3. 備え方を「貯金」「保険」「その両方」から選ぶ
医療費に備える方法は貯金だけでなく、保険を使う考え方もあります。どちらが合うかは、家計の余裕や犬の年齢、家族の考え方によります。このカテゴリでは、特定の商品をすすめずに、比べるときの観点を紹介する記事も用意しています。
迎える前に試算するときのチェックリスト
これから犬を迎える方は、調査の平均だけで判断せず、次の点を自分の家庭に当てはめて書き出してみてください。
- 迎えたい犬種や大きさで、フードの量とトリミングの頻度はどのくらいになりそうか
- 毎月の固定費(フード、消耗品、予防)が、今の家計の何割になるか
- 急な入院や手術が起きたとき、数万円から数十万円をすぐ用意できるか
- 仕事や引っ越し、家族構成が変わっても、10年以上続けられるか
- 留守中の預け先や、飼い主が体調を崩したときのサポートがあるか
お金の面だけでなく、時間や体力も含めて「最期まで世話を続けられるか」を考える材料になります。数字に余裕がない場合は、保護犬の譲渡や迎える時期をずらすなど、選択肢を広げて考えてみてもよいでしょう。
よくある質問
Q. 生涯費用が200万円台なら、貯金がそのくらいないと飼えませんか?
そうとは限りません。生涯費用は14年ほどの総額で、毎月の収入から支払っていく費用です。大切なのは、毎月の支出を無理なく続けられることと、突発的な医療費に備える余裕を少しずつ作ることです。事前に収支を試算してみるとイメージがわきます。
Q. 大型犬は小型犬より生涯費用がかなり高くなりますか?
ペットフード協会の2023年調査では、中型犬・大型犬は約256万円、小型犬は約238万円で、差は約18万円でした。ただし、これは区分ごとの平均です。個々の犬では、持病や皮膚・関節などのケア、トリミングの有無で大きく変わります。
Q. 途中でお金が足りなくなりそうなときはどうすればよいですか?
まず、かかりつけの動物病院に費用の見通しを相談し、検査や治療の優先順位を聞いてみてください。支出の見直しは、フードの量や種類、グッズ、トリミングなど順番に行うのが現実的です。無理をして予防や診察を先延ばしにすると、かえって後で出費が増えることもあります。
まとめ
- ペットフード協会の2023年調査では、犬の生涯費用は約244万6,000円(平均寿命14.62歳)。小型・中型・大型で大きな差はない。
- 2020年調査の約207万円より増えており、調査年によって数字は動く。古い数字は「今はもう少し高いかも」と考える。
- 生涯費用には購入費、介護、災害対策などが含まれているか確認できない。余裕を持った予算にする。
- 医療費は年齢とともに増える。月1.4万円ほどを目安に、無理のない積み立てから始める。
数字は調査時点のものです。最新の調査結果や定義は、ペットフード協会などの公式発表でご確認ください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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