ドッグフードの袋を裏返して原材料欄を見ても、「結局これは良いフードなの?」と迷ってしまう人は多いと思います。先に結論を書くと、原材料欄は「使った原材料を、使用量の多い順に並べたもの」が基本で、どんな食材が使われているかを知る手がかりになります。ただし、実際の量や品質までは読み取れないため、この欄だけで良し悪しを決めることはできません。
この記事では、原材料欄の並び方のルール、「穀類」「肉類」のようなまとめ表示の意味、添加物の見方、そして原材料欄だけでは分からないことを整理します。特定のフードをすすめる記事ではなく、パッケージを自分で読み解くための記事です。
原材料欄は「使用量の多い順」に並んでいる
日本のペットフードは、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」というルールに沿って表示されているものが多くあります。環境省・農林水産省の参考資料(公正競争規約の解説)には、原材料名は使用量の多い順に書くこと、とされています。表示例として「小麦、チキン、ビタミンA、ビタミンD、増粘安定剤(カラギナン、グァーガム)」のような並びが示されています。
同じ資料には、主な原料の合計が80%以上になるように書く、単品で10%以上使っている原料名は必ず書く、という注記もあります。つまり、先頭に近いほど「そのフードの中心になっている原材料」と考えて大きくは外れません。
なお、ペットフード安全法という法律では、すべての原材料を原則として記載することが求められています。法律で表示が義務づけられているのは、次の5項目です(環境省の資料より)。
- 名称(犬用か猫用かが分かるもの)
- 原材料名
- 賞味期限
- 事業者の名称と住所
- 原産国名
目的(総合栄養食など)、内容量、成分、給与方法といった項目は、公正競争規約で定められている表示事項です。規約の内容は見直されることがあるので、最新の決まりはペットフード公正取引協議会の公式サイトで確認してください。
「穀類」「肉類」などのまとめ表示は何を意味する?
規約では、主な原料を「穀類」「でん粉類」などの分類名、または「とうもろこし」「コーンスターチ」といった個別名で書くとされています。環境省のガイドラインに載っている例も「穀物(とうもろこし、小麦)、肉類(ビーフ、チキン)…」のように、分類の中に個別名をカッコで添える形です。
| 表示のしかた | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| 「肉類(チキン、ビーフ)」 | 肉類の中にチキンとビーフが含まれていること | チキンとビーフの割合、部位 |
| 「穀類」だけ | 穀物が使われていること | どの穀物を、どれだけ |
| 「チキン」と単品で書かれている | 使った原料の名前 | 使った量そのもの、どの部位か |
まとめ表示だと、アレルギーなどで避けたい食材がある場合に判断しづらいことがあります。気になる場合は、メーカーのお客様窓口に「この分類の中身は何ですか」と問い合わせるのが確実です。
添加物の欄で見ておきたいこと
原材料欄の後半には、ビタミン類、ミネラル類のほか、添加物が並びます。規約では、添加物は個別名で書き、甘味料・着色料・増粘安定剤・酸化防止剤・発色剤として使った場合は用途名もあわせて書くとされています。たとえば「酸化防止剤(ミックストコフェロール)」のような形です。
酸化防止剤は、フードに含まれる油脂が酸化して傷むのを遅らせる目的で使われることが多い添加物です。添加物だからすべて避けるべき、という単純な話ではなく、「何のために入っているのか」を読み取る視点が大切です。一方で、添加物の種類や量について不安がある場合は、パッケージの言葉だけで判断せず、メーカーに理由を尋ねるか、かかりつけの獣医師に相談してみてください。
また、規約には、加工助剤やキャリーオーバーなど表示を省略できるケースも決められています。「無添加」とうたわれていても、どの範囲を指すのかはメーカーごとの説明を読む必要があります。
原材料欄だけでは分からないこと
ここが一番大切なところです。アメリカのタフツ大学の獣医栄養学者フリーマン博士は、同大学のブログ(Petfoodology)で、フード選びを原材料リストや評価サイトに頼らないよう、以前から勧めてきたと書いています。代わりに、メーカーの栄養学の専門性や品質管理など、客観的に確認できる情報を重視するという考え方です。
同じタフツ大学のハインツ博士も、「肉が1番目に書かれている」「穀物や副産物を使わない」「果物や野菜が入っている」といった、いわゆるプレミアムフードにありがちな特徴が、犬の健康に良いという明確な証拠は示されていないと述べています(2016年の記事)。
理由はシンプルで、原材料欄には次のような情報がないからです。
- 各原材料の実際の量(順番しか分からない)
- 栄養素がバランスよく入っているか
- 犬が消化・吸収しやすいか
- 製造・品質管理がどの程度きちんとしているか
原材料欄は「材料の名前と順番」であって、「栄養設計の結果」ではない、と覚えておくと判断しやすくなります。
パッケージは「セット」で読む:確認の順番
原材料欄だけでなく、次の順に確認していくと、情報の抜けが減ります。
- 目的の表示:「総合栄養食」と書かれているか(毎日の主食にするなら基本の確認項目です。詳しくは犬の総合栄養食とはで解説しています)
- 対象の年齢・体格:子犬用・成犬用・シニア用などの表示
- 原材料欄:先頭付近の食材、避けたい食材が含まれていないか
- 成分値・カロリー:粗タンパク質、粗脂肪、水分など、およびカロリー表示
- 賞味期限と保存方法:未開封で保存条件を守った場合の期限であること
- 事業者名と連絡先:問い合わせ先が明記されているか
環境省のガイドラインの例では、総合栄養食の表示の近くに「公正取引協議会の定める給与試験の結果、総合栄養食であることが証明されています」という趣旨の文言が示されています。こうした文言があるかどうかも、確認のポイントになります。
よくある質問
Q. 肉が原材料の先頭にあれば良いフードですか?
A. 一概には言えません。順番から分かるのは「使った量が多い順」までで、そのフードが栄養バランスよく作られているか、犬が消化しやすいかは分かりません。先ほど紹介したタフツ大学の解説でも、「肉が先頭」という特徴が健康に良いという明確な証拠は示されていないとされています。順番は参考情報のひとつと考え、総合栄養食の表示や成分値とあわせて見てください。
Q. 「ヒューマングレード」とあれば安心ですか?
A. 法律で表示が義務づけられている項目には含まれていません。私が確認できた環境省・農林水産省の資料の範囲では、この言葉の定義や基準も見つかりませんでした。意味づけはメーカーごとに異なる可能性があるため、「何を根拠にそう表現しているのか」を問い合わせるのが確実です。
Q. 愛犬の体質に合うかどうかは原材料から分かりますか?
A. 原材料から推測はできますが、合う・合わないは犬によって違うため、確かめるには実際に与えて様子を見る必要があります。皮膚や便の様子が気になる場合は、自己判断でフードを何度も替えず、動物病院で相談してください。検査の考え方は犬の食物アレルギー検査方法の記事も参考になります。
まとめ
- 原材料欄は「使用量の多い順」の一覧で、先頭付近がそのフードの中心の原料
- 「穀類」「肉類」などのまとめ表示は、中身の割合までは分からない
- 添加物は「何のために入っているか(用途名)」を見る。不安ならメーカーに質問する
- 原材料欄だけでは、栄養バランスや品質管理は判断できない
- 総合栄養食の表示、成分値、賞味期限、問い合わせ先とセットで読む
フードを新しく変える場合は、ドッグフードの正しい切り替え方も合わせて確認してください。パッケージの読み方に慣れると、広告の言葉に振り回されにくくなります。
この記事は、犬好きの運営者が公的資料や専門家の解説をもとに整理した一般的な情報であり、獣医師による診断や個別の栄養指導に代わるものではありません。愛犬の健康状態が気になる場合は、かかりつけの動物病院に相談してください。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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