元気に走っていたと思ったら、急に後ろ足を上げてケンケンするように歩き始めた——多くの飼い主さんを驚かせるこの症状の正体は、膝関節を支える「前十字靭帯」の断裂であることが少なくありません。人間のスポーツ選手が起こすケガとしてもよく知られていますが、犬でも決して珍しくない、整形外科の中でもっとも多い部類の疾患です。この記事では、前十字靭帯断裂の症状から好発犬種、手術の種類、術後のリハビリの流れまでを整理してまとめました。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
前十字靭帯断裂とはどんな状態か


膝関節の中には、大腿骨と脛骨(すねの骨)をつなぎ、関節が前後にずれないように支える「前十字靭帯」があります。この靭帯が完全に切れる、あるいは部分的に損傷すると、膝関節が不安定になり、体重をかけるたびに痛みが生じます。
運動や肥満による関節への負荷、加齢による靭帯組織のもろさ、犬種による骨格の特徴など、複数の要因が組み合わさって発症すると考えられています。
片方の膝で発症した犬は、もう片方の膝にも負担がかかりやすく、将来的に両膝を発症するケースも少なくありません。
好発犬種


💡 大型犬・肥満気味の犬は特に注意
ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ロットワイラー、ニューファンドランド、コーギー、アメリカンコッカースパニエル、トイプードル、ヨークシャーテリア、柴犬などで比較的多く報告されています。犬種にかかわらず、肥満は膝への負担を大きく増やす要因になるため、体型のチェック方法は犬の肥満チェックとBCSガイドを参考にしてください。
🏥 見逃したくない症状


- ✅ 急に片方の後ろ足を上げてケンケンするように歩く
- ✅ 座るときに片方の足を横に投げ出す
- ✅ 立ち上がりに時間がかかる、階段やソファを避けるようになった
- ✅ 膝を触ると痛がる、腫れている
🔧 治療の選択肢:体格によって推奨される方法が異なる


| 体格 | 主な治療法 |
|---|---|
| 小型犬 | 保存療法(安静・体重管理・関節サポート)、または靭帯の代わりを人工的に作る縫合手術 |
| 中〜大型犬 | 骨を切って関節の角度を変え、靭帯がなくても安定するようにする「TPLO」という手術が広く推奨される |
体重が重い犬ほど、手術をせずに保存療法だけで済ませようとすると、変形性関節症が進みやすいとされています。獣医師と相談のうえ、体格と生活スタイルに合った方法を選びましょう。
術後リハビリのおおまかな流れ


- 手術直後〜2週間:痛みの管理と、無理のない範囲での可動域の維持が中心。安静第一。
- 2〜4週間:短い距離の歩行など、少しずつ体重をかける練習を始める
- 4〜8週間:筋力を取り戻すための運動を段階的に増やしていく
- 8週間以降:獣医師の許可のもと、日常生活への復帰を目指す
リハビリの進め方は個体差が大きいため、必ず担当の獣医師の指示に従い、自己判断で運動量を増やさないことが、再断裂や後遺症を防ぐポイントです。
よくある質問


Q. 手術をせず、安静にしているだけで治ることはありますか?
A. 小型犬や高齢で麻酔リスクが高い犬では、安静と体重管理による保存療法で症状が落ち着くこともあります。ただし、関節の不安定な状態が続くと変形性関節症が進行しやすいため、獣医師と相談のうえで方針を決めることが大切です。
Q. 手術費用はどれくらいかかりますか?
A. 手術方法や体重、病院によって幅がありますが、TPLOなどの本格的な手術は片足で20〜40万円程度かかることも珍しくありません。両膝の発症リスクもあるため、費用面も含めて事前によく相談しておくと安心です。
Q. 予防できる方法はありますか?
A. 完全に防ぐことは難しいですが、適正体重の維持、過度なジャンプや急停止を伴う激しい遊びを控えること、日頃からの適度な筋力維持が、発症リスクを減らす助けになるとされています。
まとめ


犬の前十字靭帯断裂は、急な足のかばい方から気づかれることが多い、整形外科でよく見られる疾患です。体格に応じた治療法を選び、術後は焦らず段階的なリハビリを続けることが、再発を防ぎながら元の生活を取り戻す近道になります。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。



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