犬のよだれが増える理由は、「食べ物への期待・興奮・暑さ・緊張・乗り物酔い」といった心配の少ないものから、「口の中の病気・吐き気・誤飲・熱中症・胃捻転」のように急いで受診したいものまで幅広くあります。見分ける目安は、いつもと比べて量が急に増えたか、においや色が違うか、元気や食欲があるか、の3点です。血や泡が混じる、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、誤飲の心当たりがあるときは、様子を見ずに動物病院へ連絡してください。この記事では、よだれの原因を分けて整理し、受診の目安と家庭でできる対策をまとめます。運営者は獣医師ではないため、診断や治療の判断は必ず獣医師に任せてください。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- よだれは、いつもの量と比べて急に増えたかどうかを見ます
- 血や泡が混じる、ぐったり、呼吸が苦しそうなどは、すぐ動物病院へ連絡します
- 食事前や暑い日だけで元気なら、環境を整えて経過を観察します
犬のよだれはどのくらいが普通?まず「いつもの量」を知る
要点|他の犬ではなく、その子のいつもの量と比べて変化があるかを見るのが大切で、口元がたるんだ犬種や短頭種は出やすい傾向があります。


犬は人と違って、口を閉じていれば唾液が口の外に出ることはあまり多くありません。それでも、食事の前や散歩の後に少しよだれが出る程度なら、体の自然な反応であることがほとんどです。
一方で、セントバーナードやマスティフ、ニューファンドランドなど、口元の皮膚がたるんだ犬種は、健康でもよだれが垂れやすい傾向があります。パグやフレンチブルドッグといった鼻の短い犬種も、口が閉じにくい構造のため、よだれが目立つことがあります。
そのため、大切なのは「他の犬と比べる」ことではなく、「その子のいつもの量と比べてどうか」という見方です。普段はほとんどよだれが出ない子が、胸元がぬれるほど垂らしているなら、変化があると考えましょう。
💡 心配の少ないよだれの原因5つ
要点|食べ物への期待、暑さ、緊張、乗り物酔い、犬種の特徴は一時的なことが多いですが、明らかに増えたら確認します。
まずは、一時的で、環境を整えれば落ち着くことが多い原因を見ていきましょう。
食べ物への期待や興奮
ごはんやおやつを目の前にしたとき、食べ物のにおいをかいだときに、よだれが出るのは自然な反応です。食事の準備をしている間だけ出る、食べ終われば止まる、という場合は心配いりません。
暑さ・運動後のパンティング
犬は人のように全身で汗をかいて体温を下げることができないため、暑いときは舌を出して「ハッハッ」と息をすることで熱を逃がします。この行動をパンティングと呼びます。口を開けて激しく呼吸するので、よだれも増えやすくなります。
涼しい場所で休ませれば、呼吸とよだれが落ち着くことが目安です。
ストレスや緊張
動物病院、トリミングサロン、知らない場所や来客など、苦手な状況で緊張すると、よだれが増えることがあります。飼い主さんの緊張が愛犬に伝わることもあるといわれるので、飼い主さん自身が落ち着いた声かけをすることも大切です。
乗り物酔い
車に乗ると、吐き気の前触れとしてよだれが増えることがあります。口の周りをしきりになめる、あくびを繰り返す、そわそわするなども酔いのサインです。対策は犬の車酔い対策|症状の見分け方と車に慣らすステップで詳しく紹介しています。
犬種の特徴
前述のとおり、口元がたるんだ犬種や短頭種は、もともとよだれが出やすい構造です。ただし「この犬種だから」と決めつけず、いつもより明らかに増えたときは、病気が隠れていないか確認しましょう。
🏥 病気が隠れているかも?よだれが増える主な原因
要点|口の中のトラブルや異物、吐き気、誤飲、熱中症、胃捻転などでも増え、診断は動物病院でしかできません。


次のような病気やトラブルでも、よだれが増えることがあります。ここでは受診のきっかけを知るための参考情報として、代表的なものを紹介します。診断は動物病院でしかできません。
口の中のトラブル
歯周病、口内炎、歯の根元の炎症、口の中の腫れ物などがあると、痛みで唾液を飲み込みにくくなり、よだれが増えることがあります。この場合、口臭が強くなる、よだれに血が混じる、食べ方が変わる、口元を気にして前足でこするなどの様子が見られやすくなります。
歯石や歯周病の予防は、犬の歯石がつく原因と予防で、歯磨きの始め方は犬が歯磨きを嫌がる原因と慣らし方で紹介しています。関連する情報は歯周病・歯石の記事一覧からも探せます。
異物が口やのどに引っかかっている
骨や木の枝、おもちゃの破片などが口の中やのどに引っかかると、突然よだれが増えます。口を気にして前足でこする、えずく、飲み込みにくそうにするといった様子があれば要注意です。
無理に取ろうとすると、手をかまれたり、奥に押し込んだりする危険があるため、早めに動物病院へ向かいましょう。
吐き気(胃や腸の不調)
吐く前の犬は、よだれが増え、くちびるをしきりになめることがあります。胃炎や膵炎など、吐き気を伴う消化器の病気も原因になりえます。嘔吐や下痢、食欲の低下が重なるときは、受診を考えましょう。
中毒・誤飲
洗剤や農薬、有毒な植物(ユリなど)、人間の薬、チョコレート、キシリトール、ブドウ類などを口にしたとき、急によだれが増えることがあります。
誤飲・誤食が疑われる場合は、口の中を無理に触ったり水ですすいだりせず、何をどれくらい口にしたかを確認して、すぐ動物病院へ連絡してください。誤飲直後は症状がなくても、数時間〜数日後に嘔吐や食欲不振が出ることがあります。
熱中症
気温や湿度が高いと、パンティングだけでは熱を逃がしきれず、熱中症になることがあります。よだれが大量に出る、呼吸が荒い、舌や歯ぐきの色がいつもと違う、ふらつく、ぐったりしているときは危険なサインです。
涼しい場所に移して、動物病院に連絡しましょう。夏の屋外での過ごし方は、熱中症リスクに注意!夏のドッグランでの楽しい遊び方も参考にしてください。
胃捻転(胃拡張・胃捻転症候群)
胃がふくらんでねじれる病気で、大型犬や胸の深い犬に多いとされます。よだれが急に増える、お腹が張る、吐こうとしても何も出ない、落ち着きがなくなるといった様子があれば、一刻を争う可能性があります。食後すぐの激しい運動は避けるなど、予防の工夫が大切です。
脳や神経のトラブル
てんかん発作や、顔の神経のまひなどで、よだれを飲み込めずに垂れ流すことがあります。けいれん、ふるえ、意識がぼんやりしている、顔が片側だけ下がっている、といった様子があればすぐ受診しましょう。
🏥 すぐに受診すべき「危険なサイン」と緊急度の目安
要点|血や泡、においの変化、ぐったり、呼吸が苦しそうなどがあれば、様子を見ずに動物病院へ連絡します。
よだれの原因が生理的なものか病気によるものか迷ったときは、以下のサインがないか確認してください。いずれかに当てはまる場合は、様子を見ずにすぐに動物病院へ連絡しましょう。
- よだれに血や泡が混じっている
- よだれのにおいがいつもと明らかに違う
- ぐったりしている、元気や食欲がない
- お腹が張っている、吐こうとしても何も出ない(胃捻転の可能性)
- 呼吸が苦しそう、舌や歯ぐきの色がいつもと違う
- けいれん、ふるえ、ふらつきがある
- 誤飲・誤食の可能性がある(毒物・薬・植物など)
- 口を閉じられない、飲み込めない
| 様子 | 緊急度の目安 | 対応 |
|---|---|---|
| 呼吸が苦しい・けいれん・ぐったり・誤飲の疑い | 今すぐ | 電話で動物病院に連絡し、指示を受けて向かう |
| 吐く・下痢・食欲がない・口臭が強い・口元を気にする | 当日〜早めに | その日のうちに受診を相談する |
| 少しずつ増えてきた、元気はある | 近いうちに | かかりつけで口の中をチェックしてもらう |
| 食事前・興奮時・暑い日だけで、普段どおり元気 | 経過観察 | 環境を整え、いつもの量を観察する |
🏥 受診前に家庭でできることと、病院で伝えたいこと
要点|口の中は落ち着いて安全にできるときだけ見て、出始めた時期やタイミングなどをメモして伝えると診察に役立ちます。
家庭でできる観察
愛犬が落ち着いていて、安全にできるときだけ、口の中を見てみましょう。歯ぐきの色、腫れや出血、異物がないかなどを確認します。痛がっている、興奮している犬の口に手を入れるのは、かまれる危険があるためやめてください。
動物病院で伝えるとよい情報
受診するときは、次の点をメモしておくと診察がスムーズになります。
- いつから、どのくらいの量のよだれが出ているか
- 出るタイミング(食事前、興奮時、寝起き、車の中など)
- よだれの色・におい・泡や血の有無
- 食欲、嘔吐、下痢、元気、呼吸など、よだれ以外の様子
- 最近食べたもの、散歩中に口にしたものの心当たり
- 誤飲が疑われる場合は、そのもののパッケージや破片
スマートフォンで動画や写真を撮っておくと、診察のときに様子を伝えやすくなります。
🔧 犬のよだれが多いときの対策方法
要点|室温や湿度の調整、口のケア、緊張する場面に少しずつ慣らすこと、口元やしわの間をこまめに拭くことが対策になります。


室内環境を整える
暑い時期は、室内でも室温や湿度が上がりやすくなります。犬が部屋の中で息を荒くしているときは、エアコンや除湿器で室温と湿度を調整しましょう。
口の中をケアする
口の中の不調が気になる場合は、定期的な歯磨きや動物病院での歯のチェックが役立ちます。歯磨きが難しいときは、まず口元を触る練習から始めるのがおすすめです。始め方は犬の歯磨きはいつから?子犬の始め方と成犬から始めるコツを参考にしてください。
緊張しやすい場面に少しずつ慣らす
病院やトリミングなど、緊張でよだれが出る場合は、短い時間から場所に慣らし、できたら褒めるようにしましょう。無理をさせず、ストレスの少ない方法を選びます。
よだれ対策のお手入れ
よだれが多い犬種では、口元や首まわりをこまめに拭くと、皮膚のトラブルを防ぎやすくなります。しわの間がぬれたままだと、においやかぶれの原因になることがあるため、清潔にしておきましょう。
よくある質問
- 短頭種(パグやフレンチブルドッグなど)はよだれが多いのは普通ですか?
-
短頭種は構造上、口が閉じにくくよだれが垂れやすい傾向があります。ただし、普段と比べて急に増えた場合や、呼吸が苦しそうな様子が伴う場合は、熱中症などのリスクもあるため注意して観察してください。
- ドライブのたびによだれを垂らします。車酔い以外の理由もありますか?
-
車酔いのほか、車に対する不安や緊張が原因のこともあります。短い距離から少しずつ慣らす、窓を開けて換気する、酔い止めについて獣医師に相談するなどの対策が考えられます。
- シニア犬になってからよだれが増えました。年のせいでしょうか?
-
加齢だけでなく、歯周病や口の中のできものなど、シニア期に増える病気が原因のこともあります。「年だから」で済ませず、口の中に異常がないか、一度動物病院でチェックしてもらうと安心です。
- よだれが増えたけれど元気で食欲もあります。様子を見てもいいですか?
-
元気があっても、口の中の痛みや歯周病が背景にあることがあります。数日で落ち着くなら環境の影響かもしれませんが、増えた状態が続く、においが強い、食べ方が変わるといったときは、早めに受診を相談しましょう。
まとめ


- 犬のよだれは、食べ物への期待・興奮・暑さ・緊張・乗り物酔い・犬種の特徴など、心配の少ない原因も多い
- 「いつもの量」と比べて急に増えたかどうかを見る
- 血や泡、においの変化、ぐったり、呼吸が苦しい、お腹の張り、誤飲の心当たりは、すぐに動物病院へ
- いつから、どんなときに出るか、他の症状はあるかをメモしておくと診察に役立つ
- 口のケアと室温管理、緊張する場面への慣らしで、日常の対策ができる
愛犬の「いつもの様子」を知っておくことが、異変に気づく一番のポイントです。迷ったときは、早めに獣医師へ相談してください。
専門家に確認しました
身内のペットトリマーに確認したところ、「トリミング中に緊張してよだれを垂らす子は多いが、いつもと違う量やにおいがあるときは、飼い主さんにすぐ伝えるようにしている」とのことでした。日頃から愛犬の平常時のよだれの量を知っておくことが、異常に気づく一番のポイントだと聞いています。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。
📚 参考にした情報
- MSDマニュアル(Merck Veterinary Manual)|Ptyalism in Small Animals(小動物のよだれ過多)
よだれ増加の原因として、口腔内の病気や異物、中毒、消化管の不調、乗り物酔い・恐怖・興奮、垂れた下唇などの体型、代謝・神経疾患が挙げられている。 - MSDマニュアル(Merck Veterinary Manual)|Gastric Dilation and Volvulus in Small Animals(胃拡張・胃捻転)
胃捻転の徴候に、吐こうとして吐けない動作・よだれ過多・落ち着きのなさがあり、直ちに処置が必要な緊急疾患である。 - MSDマニュアル(Merck Veterinary Manual)|What to Do in a Dog or Cat Emergency
熱中症の徴候によだれ・激しいパンティング・嘔吐・ふらつきがあり、中毒や熱中症は直ちに動物病院へ、応急処置は涼しい場所で冷やすこととされる。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。


