国内の大手航空会社の例(ANA)では、犬は機内に持ち込めず、ペットケージ(クレート)に入れて貨物室で預かる扱いが基本です。座席に一緒に座ったり、足元に置いたりすることはできません。しかも、預かりには生後4か月以上、心臓や呼吸器の病気がない、鎮静剤を使っていないといった条件があり、夏季(5月1日〜10月31日)は短頭犬種の預かりを中止しています。条件・料金・ケージの規格は航空会社ごとに違うため、予約の前に公式サイトで最新の案内を確認し、持病や犬種のことが気になる場合はかかりつけの獣医師に相談してください。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。
- 国内線の犬は貨物室預かりが基本(ANAの例)
- 生後4か月以上・健康・鎮静剤なしなどの条件あり
- 夏季は短頭犬種を中止。獣医師に事前相談を
この記事では、「犬と飛行機」で調べる人が知りたい、機内持ち込みと貨物室預かりの違い、預けられる犬の条件、ケージのサイズ・重量の確認項目、予約から搭乗までの流れ、事前に相談したいことを整理します。
運営者は獣医師でも航空会社の担当者でもない犬好きの個人です。ここでは、ANAの公式ページで確認できた内容を例にして、一般的な考え方をまとめています。最新の規定は各社の案内で確認してください。
⚖️ 犬は飛行機に一緒に乗れる?機内持ち込みと貨物室預かりの違い
要点|ANA国内線は機内持ち込み不可で貨物室預かり。他社は個別に確認
「犬と一緒に飛行機に乗る」と聞いて、座席の足元にキャリーを置くイメージを持つ人もいますが、国内線でそれができるかどうかは航空会社次第です。
ANAの国内線の案内では、哺乳類(犬・猫・うさぎ・ハムスター・ハリネズミ・フェレットなど)は「預入可・機内持ち込み不可」とされています。
機内に持ち込めるのは、補助犬(盲導犬・聴導犬・介助犬)などの別の扱いのほか、一定の条件を満たす小さな爬虫類・魚・昆虫に限られます。
| 項目 | 機内持ち込み | 貨物室預かり |
|---|---|---|
| ANA国内線での犬の扱い | 不可 | 可(条件あり) |
| 飼い主との距離 | 手元に置ける(認めるかどうかは会社ごとに異なる) | 搭乗中は離れ、貨物室(バルクカーゴルーム)に載せられる |
| 環境 | 客室 | 空調で温度・湿度を管理するが、客室とは環境が異なる場合がある。飛行中は照明が消えて暗い |
| 確認したい点 | キャリーのサイズ・重量・月齢の制限(航空会社ごと) | ケージの規格、夏季の制限、短頭犬種、体調、料金 |
機内への同伴を認める航空会社や路線があるかどうかは、今回確認できた公式情報の範囲では整理しきれませんでした。機内同伴を考えている場合は、利用予定の航空会社の公式ページか予約窓口で、犬の同伴可否・条件を直接確認してください。
貨物室預かりについて、ANAは「日常生活とは大きく異なる輸送環境では、お預かりしたペットが衰弱、もしくは死傷することがある」と明記しています。
貨物室には手荷物や貨物も載せられ、離着陸や飛行中はエンジン音や風切り音もあります。飛行機での移動が、犬にとって負担の大きい選択肢になりうることは、最初に知っておきたい点です。
移動の手段は飛行機だけではありません。距離や日程に余裕があるなら、車や鉄道など別の方法を選ぶこともできます。車での移動に不安がある場合は犬の車酔い対策|症状の見分け方と車に慣らすステップも参考にしてください。
⚠️ 預けられる犬の条件と、避けたいケース
要点|月齢・持病・体調の条件があり、夏季は短頭犬種の預かりを中止
ANAの国内線の案内では、預かりの対象を「ご家庭で飼いならされ、航空機の利用に適した健康状態である」ペットに限っています。具体的には次の条件が挙げられています。
- 売買用・産業用の動物ではない
- 妊娠していない
- 若齢(生後4か月未満)ではない
- 心臓疾患・呼吸器疾患がない
- 鎮静剤を使用していない
さらに、次のような様子がある場合は、ストレスや気温の変化の影響を受けやすく、健康被害が生じるおそれがあるため、預かりを断られることがあるとされています。
- 食欲がなく、元気がない
- 呼吸が荒く、心拍数が上がっている
- ふらふらした歩き方をしている
- 過度に緊張して震えている、または大量のよだれが出ている
- パニック状態になり、吠え続けている
短頭犬種は夏季の預かりを中止している
ANAは、毎年5月1日〜10月31日の夏季期間は、高温に弱く、熱中症や呼吸困難を起こすおそれがある「短頭犬種」の預かりを中止しています。
対象として挙げられているのは、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、ボクサー、シーズー、ボストン・テリア、ブル・テリア、キングチャールズ・スパニエル、チベタン・スパニエル、ブリュッセル・グリフォン、チャウチャウ、パグ、チン、ペキニーズです。
夏季以外でも、短頭犬種は「ストレスや気温の変化の影響を受けやすく体調を崩すおそれがある」ため、事前に獣医師へ相談することが強く勧められています。
こうした制限は航空会社ごとに内容が異なります。短頭犬種かどうか迷う場合やミックス犬の場合は、予約窓口に犬種を伝えて確認すると安心です。
こんな場合は、飛行機以外の方法も検討したい
- 持病がある、高齢、体力の落ちた犬
- ケージに入るのが苦手、長時間の留守番や一人で過ごすのに強い不安がある犬(分離不安など)
- 短頭犬種で、暑い時期の移動になる場合
ANAも、「長時間飼い主と離れることに慣れていない」「長時間ケージに入ることに慣れていない」「短頭犬種である」「持病がある」場合は、事前に獣医師に相談することを強くすすめています。分離不安が気になる場合は犬の分離不安症完全ガイド|留守番中の破壊・吠え・粗相を克服するトレーニングも参考にしてください。
📏 ケージ(クレート)の条件とサイズ・重量の確認項目
要点|IATA規格のケージ、立つ・座る・向きを変えられる大きさ、総重量を確認
貨物室で預かる場合、犬は専用のペットケージに入ります。ANAの案内では、IATA(国際航空運送協会)の規定に適合した、航空輸送に耐えられるペットケージのみが対象で、1つのケージには原則1頭までです。
持ち込みのケージが安全上使えない場合は、会社が貸し出すケージを使うことになります。
ケージの主な条件(ANA国内線の例)
- 頑丈な屋根があり、硬質プラスチック、金属、木製などで丈夫である
- 換気用の窓など、通気性がある
- 外側に機能的な取っ手がついている
- 逃亡や接触を防ぐための鍵がついている
- 車輪は取り外し可能、または固定できる
- 犬が立つ、座る、寝る、向きを変えることができる大きさ
- 吸水材などがあり、排泄物が外に漏れない構造
- 保冷マットや、水・えさ用の容器など、犬の状態や輸送時間に応じた準備
- 5月1日〜10月31日は、通気性が悪くなり危険なため、ケージを二重にしたり、カバーをかけたりした状態では預かれない
給水器は、水がこぼれにくい「ノズル式」で、ふたをしっかり閉めてケージに固定するよう案内されています。受け皿タイプは預かれません。
サイズの目安(ANAの貸出ケージ)
| サイズ | 目安の犬種 | 寸法(幅×奥行×高さ) | 貸出ケージの重量 |
|---|---|---|---|
| S | チワワ、マルチーズ、ポメラニアンなど小型犬、猫 | 40×55×40cm | 2.5kg |
| M | ビーグル、コーギー、コッカー・スパニエルなど | 46×66×50cm | 5.2kg |
| L | ボクサー、エアデールテリア、ウィペットなど | 55×80×60cm | 6.9kg |
| LL | シェパード、レトリバー、ドーベルマンなど | 65×95×70cm | 8.7kg |
貸出ケージには数に限りがあります。LLサイズを希望する場合は、事前の連絡が必要です。小型機(DH4、CR7)では貨物室や扉の制限のため、LLサイズのケージを預けられません。
大型犬は、ケージの大きさによっては航空機に載せられないこともあるため、事前の確認が欠かせません。
体重・総重量で確認すること
- ウェブ受付では、犬とケージを合わせた「総重量」の申告が必要
- 総重量が32〜45kgの場合は、預かれないことがあるため、電話窓口に相談する
- 総重量が45kgを超える場合は預かれず、空港の貨物窓口に申し込む
お手持ちのキャリーが航空機の預かりに使えるかは、見た目だけではわかりません。通院用のキャリーが、そのまま航空輸送の規格に合うとは限らないため、購入前・予約前に規格を確認しましょう。
ケージに慣らす練習の進め方は犬のクレートトレーニング完全ガイド|嫌がる子でも慣れる段階的なやり方が参考になります。
予約から搭乗・到着までの流れ
要点|事前予約、同意書、早めのチェックイン、到着後は安静に
ANA国内線の例で、一般的な流れを整理します。会社ごとに手順や受付期限は異なるため、実際に利用する際は公式の案内に従ってください。
- 航空券を予約する前に確認する:犬種・月齢・体調が預かりの条件に合うか、夏季の制限に当たらないかを確認します。夏季は、気温の影響を受けやすい日中の時間帯を避けた便を選ぶことが勧められています。貨物室の収容状況によっては、預かれずに便の変更をお願いされる場合もあります。
- ペットの事前予約をする:ANAでは、ウェブサイトまたは電話窓口(あんしんご予約デスク)で受け付けています。ウェブ予約は搭乗日の前日までです。当日の利用は電話窓口か搭乗手続きカウンターに問い合わせます。予約では、ペットの種類、ケージのサイズ、総重量を申告します。
- ケージを準備する:持参するか、貸出ケージを利用します。給水器と、暑さ・寒さ対策のグッズを用意します。
- 空港で手続きをする:通常より時間がかかるため、早めに空港へ向かいます。同意書への署名と、料金の支払いでチェックインが完了します。ANAの国内線では、1個1路線あたり6,600円(一部路線は4,400円)と案内されています(確認時点の金額で、改定の可能性があります)。事前に散歩を済ませて排泄させておくと、ケージ内での粗相を減らせます。
- 搭乗・移動:預けた犬は、貨物室に載せられます。預けたあとは、乗り継ぎ時を含め、食事を与えられません。
- 到着後に受け取る:環境の変化で体調を崩すことがあるため、到着後はなるべく安静にします。
ANAでは、夏季(5月1日〜10月31日)は保冷剤と給水器を取り付けるサービスを行っていますが、貸出給水器には数に限りがあるため、自分で用意するよう案内されています。同意書は事前に印刷して記入して持参します。
登録の方法や預かりの流れは、各航空会社で少しずつ違うため、利用する航空会社の手順で確認してください。
搭乗前の準備と、獣医師に相談しておきたいこと
要点|ケージ慣らし、ワクチン確認、食事、リード外し、持病や短頭種は相談
出発前にしておきたい準備
- ケージに慣らす:長時間ケージにいることに慣れていない犬はストレスを感じやすいため、旅行前に慣れさせておくことが勧められています。ケージの中で落ち着いて過ごす練習は、早めに始めましょう。
- 予防接種の確認:ANAは、狂犬病予防法で定められたワクチン接種を1年以内に受けておくよう案内しています。ワクチンの種類や時期は犬のワクチン完全ガイド|混合ワクチンの種類と接種スケジュール、副反応の注意点で整理しています。
- 食事は量に注意:満腹も空腹も、飛行機酔いなど体調不良の原因になることがあるため、食事や水は適量を心がけます。預けたあとは与えられないため、預ける前に済ませます。
- 暑さ・寒さ対策:夏はクールマットや保冷剤、冬は毛布やペット用カイロなどを用意します。室内飼育でアンダーコート(下毛)が多い犬は、夏の旅行前に下毛のお手入れをすすめる案内もあります。
- 誤飲を防ぐ:ケージにおもちゃを入れると、環境の変化で飲み込んでしまうことがあるため注意が必要とされています。リードは、絡まりやかみちぎりの危険があるため、外した状態で預けます。首輪をつけたままにする場合は、緩みがなく適切に装着されているかを確認します。
- 出発当日はいつもどおりに:飼い主の様子の変化を犬が不安に感じることがあるため、普段と同じ接し方を心がけます。
獣医師に相談しておきたいこと
- 持病があるか、高齢か、短頭犬種かなど、飛行機に適した健康状態か
- はじめて飛行機を利用する場合の心配事
- ワクチンの接種時期、必要な書類
- 不安や興奮が強い犬の場合の、旅行前の準備の進め方
なお、ANAの預かり条件には「鎮静剤を使用していない」ことが含まれています。移動前に落ち着かせる目的で、自己判断で人の薬やサプリメントを与えることは避け、必要かどうかも含めて獣医師に相談してください。
到着後に動物病院へ相談したい様子
ANAは、到着後に次のような症状があるときは、獣医師の診察を受けることをすすめています。
- 下痢、嘔吐
- 呼吸が荒い、体が震える
- 食欲がない
- 散歩や外に出たがらない
- 不安な様子が取れない、いつもと様子が違う
旅行全体の準備リストは犬と旅行に行く前の完全準備リスト|持ち物と気をつけたいポイントにまとめています。
⚠️ 海外へ行く場合と、日本へ連れ帰る場合の注意
要点|国ごとにルールが違い、日本への持ち込みは準備に数か月かかる
海外では、国や地域によってルールが違い、各国の法令や検疫制度のため、手荷物としては預かれず、貨物としてしか扱えない場合があります。
ANAの国際線の案内では、イギリス・香港・オーストラリア(パース空港は入国・出国とも不可)への入国を伴う出発の場合は預かりができず、貨物代理店への相談が必要と案内されています。
渡航先や乗り継ぎ地で必要な書類(輸出検疫証明書、健康証明書、輸入証明書など)は、飼い主が出発国・渡航先の検疫所などで確認します。条件は農林水産省動物検疫所のホームページで確認するよう案内されています。
日本へ連れ帰るときの手続きも、準備に時間がかかります。
動物検疫所の案内によると、海外から犬を日本に持ち込む場合は、到着予定日の40日前までの事前届出、マイクロチップの装着、狂犬病ワクチン2回以上の接種、狂犬病抗体価検査(0.5IU/ml以上)、採血日から180日間の待機などが求められています。
条件を満たさないと、動物検疫所の施設で係留検査を受けることになります。国によって扱いも異なるため、旅行を決める前に、早めに動物検疫所の最新情報を確認してください。
よくある質問
- 小型犬なら、飛行機の座席の足元にキャリーを置けますか。
-
ANAの国内線では、犬を含む哺乳類は機内に持ち込めず、貨物室で預かる扱いです。機内に同伴できるかどうかは航空会社や路線で異なるため、利用予定の会社の公式案内か予約窓口で確認してください。
- 子犬は飛行機に乗せられますか。
-
ANAの国内線では、生後4か月未満は預かりの対象外です。月齢の条件は航空会社ごとに異なります。生後4か月以降でも、予防接種の時期や体調に左右されるため、獣医師に相談してから判断しましょう。
- 夏でも預けられますか。
-
ANAでは夏季(5月1日〜10月31日)も預かりを行っていますが、短頭犬種の預かりは中止しています。そのほか、ケージの二重化やカバーは不可で、日中の時間帯を避けることが勧められています。暑さの影響が心配なときは、旅行時期や手段を見直すのも選択肢です。
- 落ち着かせるために、薬を飲ませてから乗せてもよいですか。
-
ANAの預かり条件には「鎮静剤を使用していない」ことが含まれています。自己判断で与えず、移動の負担が心配な場合は、獣医師に飛行機に乗せるかどうかを含めて相談してください。
まとめ
- ANAの国内線では、犬は機内持ち込み不可で、ペットケージに入れて貨物室で預かる。ほかの会社は別に確認する
- 預かりには、生後4か月以上、心臓・呼吸器の病気がない、鎮静剤を使っていないなどの条件があり、夏季は短頭犬種の預かりを中止している
- ケージはIATA規格に適合したものが必要。犬が立つ・座る・向きを変えられる大きさと、犬とケージの総重量を事前に確認する
- 事前予約、ケージの慣らし、ワクチン確認、獣医師への相談を済ませてから航空券を確定すると安心
- 海外は国ごとにルールが違い、日本へ連れ帰る手続きにも時間がかかる。早めに動物検疫所の情報を確認する
📚 参考にした情報
- ANA|ペットをお連れのお客様(国内線)
国内線で犬は機内持ち込み不可・貨物室預かりであること、預かり条件、夏季の短頭犬種の中止、ケージ規格・サイズ・重量、予約と料金、搭乗前の注意が案内されている。 - ANA|快適で安全な空旅のために
獣医師に事前相談をすすめるケース、貨物室の環境、到着後に獣医師の診察をすすめる症状が案内されている。 - ANA|ペットをお連れのお客様(国際線)
国・地域ごとにルールが異なり、条件は動物検疫所で確認すること、イギリス・香港・オーストラリア入国を伴う出発では預かれないことが案内されている。 - 農林水産省 動物検疫所|海外から日本への犬、猫の持ち込みについて
海外から日本へ犬を連れてくる際の事前届出、マイクロチップ、狂犬病ワクチン、抗体価検査、180日の待機などの手続きが説明されている。
※上記の公的・専門機関の情報をもとに、当サイトの言葉でまとめています。内容は獣医師の診察・診断の代わりにはなりません。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。獣医師ではありません。くわしくは編集方針をご覧ください。



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