夕食のあと、お皿に残ったおかずを前に、愛犬がじっとこちらを見つめている。「もったいないし、少しだけなら…」と思う瞬間は、犬と暮らす人なら誰でもあると思います。結論から言うと、人の食べ残しや食卓の料理を、そのまま犬に与えるのは避けるのが基本(×)です。塩分や脂質が多く、ネギ類のような犬に危険な食材が入っていることも多いからです。一方、味付け前に取り分けた単純な食材を、おやつとして少量与えるのであれば(△)、犬にとっても楽しみになります。



忙しいときは、目次と「まとめ」だけ読んでもだいじょうぶだよ。


この記事は獣医師ではない犬好きの運営者が、環境省のガイドライン、ヒルズ(日本語サイト)、AKC(アメリカンケネルクラブ)、ASPCAなどを読み比べてまとめたものです。診断や個別の指示の代わりにはなりません。持病のある子は、かかりつけの獣医師に相談してください。
🍖 食べ残しはOK?結論と早見表
| パターン | 可否 | 考え方 |
|---|---|---|
| 食卓に出した料理の残り・食べ残し | × | 味付け・油・ネギ類・骨などが混ざる |
| 味付け前に取り分けた単一食材(ゆで野菜、卵など) | △ | 犬が食べてよい食材か確認し、少量だけ |
| お皿やフライパンに残ったソース・汁・油 | × | 塩分・脂質・香辛料が濃縮されている |
| ゴミ箱の中の食べ残し・骨・包装 | × | 誤飲や中毒の原因。ゴミ箱は蓋つきに |
| 食卓で手から直接与える | × | おねだり行動を強化する |
個別の食べ物の可否は犬が食べていいもの・ダメなもの早見表で確認できます。
🍖 なぜ食べ残しは避けたほうがいいのか


理由1:塩分が多すぎる
環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、犬が1日に摂る食塩の量は人間の3分の1程度でよいとされており、人が普通に食べている惣菜やハム、ソーセージなどを与えると、知らない間に塩分が過剰になり、心臓や腎臓に負担をかけると説明しています。
ヒルズの日本語サイトも、多くの人間の食べ物は犬の健康に良くない量のナトリウムを含むとしています。塩分については犬の塩分の摂りすぎの記事に詳しく書いています。
理由2:脂質が多く、膵炎のリスクがある
ヒルズによると、典型的な人間の食べ物は脂肪分が多く、犬は適切に消化できないため、嘔吐や下痢、場合によっては膵炎などの深刻な病態につながることがあります。
AKCも、高脂肪の食事を1回たくさん食べただけでも引き金になりうること、人の食べ物の残りやゴミをあさる犬はリスクが高いことを述べ、予防として、脂っこい食べ物や残飯を避け、ゴミ箱を閉めておくことを挙げています。
獣医師が執筆するPETOKOTOの膵炎の記事も、人の食べ物、ゴミ箱の残飯、好きなだけ食べることをリスクとして挙げています。揚げ物については犬に揚げ物・唐揚げは食べていい?で詳しく解説しています。
理由3:犬に有害な食材が入っていることがある
ヒルズの「犬が食べてはいけないもの」では、チョコレート、ぶどう・レーズン、アルコールと生のパン生地、キシリトール、タマネギ・ニンニクなどが、死に至る危険のある食べ物として挙げられています。食べ残しには、こうした食材が思わぬ形で入っていることがあります。
| 食材 | 食卓での例 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| ネギ類(玉ねぎ・ねぎ・ニラ・にんにく) | カレー、ラーメン、味噌汁、唐揚げの下味、餃子 | 玉ねぎ中毒 |
| チョコレート | ケーキ、クッキー | チョコレート中毒 |
| ぶどう・レーズン | パン、シリアル、サラダ | ぶどう・レーズン |
| キシリトール | ガム、ゼリー、ヨーグルト | キシリトールガム |
| マカダミアナッツ | クッキー、チョコ、ミックスナッツ | マカダミアナッツ |
| 鶏などの骨 | 焼き鳥、手羽先、魚の骨 | 鶏の骨 |
| アルコール・生のパン生地 | 料理酒、洋酒入りの菓子、パン作り中の生地 | ヒルズ・ASPCAが危険として挙げる |
理由4:カロリーが想像以上に高い
ヒルズは、体重約9kgの犬にとって、約30gのチェダーチーズは、人でいうハンバーガー約1.5個分のカロリーに相当すると説明しています。
「その少しは本当に少し?」という別の解説では、クッキー1枚や約30gのチーズが、約9kgの犬には人の食事1回分に近い量になると警告しています。
同サイトは、おやつや人間の食べ物から摂るカロリーは、1日の摂取カロリーの8〜10%以下にするべきだとしています。
PETOKOTOは10%以内、環境省は間食全体で20%以内を挙げており、数字は異なりますが、どれも「ごく一部にとどめる」考え方です。
理由5:おねだりが強化され、フード離れの原因にも
ヒルズによると、食卓から食べ物をもらう経験は、おねだり行動を強化し、食卓の食べ物を食べてよいと学習させ、自分のフードを拒否することにつながる場合があります。環境省のガイドラインにも、フードに飽きる背景に、家族の誰かが人の食事や味の強いおやつを与えていることがあるとあり、食欲不振につながるケースもあります(犬がフードを食べない時の工夫)。
💡 どうしても分けたいときの現実的なやり方
ヒルズは、人間の食べ物を与えるなら、塩を加えていない卵、フルーツ、塩をかけていない野菜など、単一の食材にするよう勧めています。手料理でも有害な成分が含まれることがあるため、食卓に出た料理は避けます。そのうえで、次のルールを家族で共有してください。
- 調理の途中で取り分ける:しょうゆ、塩、油、ネギ類を加える前に、犬に食べさせてよい食材(例えばゆでたキャベツなど)を別に取っておく。
- 一口サイズで少量:ヒルズは、一口程度の健康的な食品を、良い行動へのご褒美として与えることを提案しています。
- おねだり中は与えない:吠えたり前足でせがんだりしている最中にはあげない。
- 食卓から直接与えず、いつものフードボウルに入れる:「食べ物をもらえるのはボウルからだけ」と理解させる(ヒルズ)。
- 与えたぶんのカロリーはフードから引く。
- 家族全員で同じルールにする:誰かが内緒で与えると、体重管理もしつけも崩れます。
栄養バランスの面でも、食事の基本は総合栄養食のドッグフードです(犬の総合栄養食とは?)。人のおかずを増やして手作りに近づけたい場合は、犬の手作りご飯のメリット・デメリットを先に読み、獣医師に相談してください。
⚠️ 注意が必要な犬・ケース


- 膵炎の経験がある犬、肥満気味の犬、糖尿病の犬:脂質・糖質の影響が大きく、人の食べ物は避けます。
- 腎臓・心臓に持病がある犬、シニア犬:塩分とカリウムの管理が必要なことがあります。
- 療法食を食べている犬、アレルギー体質の犬:療法食の効果を損なう、アレルギーの原因になるおそれがあります。
- 小型犬・子犬:少量でも体重あたりの影響が大きくなります。
- 食べ物への執着が強い犬:ゴミ箱を高い場所や蓋つきにし、食卓の食べ物を手の届く場所に置かないようにします。
🍖 食べてしまったとき・ゴミ箱をあさられたとき


食べたものが何かで対応は大きく変わります。まず、何を、どれくらい、いつ食べたかを確認してください。
ネギ類、チョコレート、ぶどう、キシリトール、マカダミア、アルコール、骨付き肉、串、包装フィルムなどが含まれる可能性があれば、症状がなくても動物病院に電話で相談しましょう。
ヒルズは、迷ったら獣医師に相談するよう勧めています。次のような様子があるときは、特に急いで連絡してください。
- 嘔吐や下痢が繰り返される、元気がない、お腹を痛がる
- 震える、ふらつく、けいれんする
- 水をがぶ飲みする、よだれが多い、呼吸が荒い
- のどに何か詰まったように見える、えずく
連絡の際は、食べたものの種類、量、時間、犬の体重、あれば原材料の表示を伝えます。わんちゃんホンポ(獣医師監修)のネギ類の記事は、自宅で塩やオイルを使って吐かせることは危険だとして強く警告しています。
誤飲全般については犬の誤飲・誤食完全ガイドも参考にしてください。
よくある質問
- 薄味にした料理や、幼児向けの取り分けなら大丈夫ですか?
-
人の幼児向けに薄味にした料理でも、犬に必要な塩分量とは違いますし、ネギ類やだし、油が使われていることがあります。そのままの料理ではなく、味付け前の単純な食材を取り分けるほうが安心です。
- いつも少量あげても太らないので問題ないですか?
-
体重が変わっていなくても、塩分や脂質、危険な食材のリスクは別の問題です。また、少量が習慣になると、量が少しずつ増えがちです。体重と便の状態を定期的に確認し、与えるなら量と食材をルール化してください。
- 家族が内緒で食べ物をあげているようです。どうしたらいいですか?
-
「犬のごはんの量」「おやつの上限」「あげていいもの・いけないもの」を、紙に書いて冷蔵庫に貼るなど、見える形で共有する方法があります。来客や子どもにも説明し、食卓の近くには犬が入れないようにするのも有効です。
まとめ
- 人の食べ残しや食卓の料理は犬に与えない(×)。塩分・脂質が多く、ネギ類などの危険な食材が入っていることがある。
- どうしてもあげたいときは、味付け前に取り分けた単一の食材を、一口で少量、ご褒美として。ボウルの中に入れて。
- おやつと人の食べ物は、あわせて1日の摂取カロリーの一部にとどめる。ヒルズは8〜10%以下、PETOKOTOは10%以内、環境省は間食全体で20%以内。
- ゴミ箱は蓋つきにして、食卓の食べ物を犬の手の届く場所に置かない。
- 危険な食材を食べた可能性があれば、症状がなくても動物病院へ。自宅で吐かせない。
- 家族全員でルールを共有する。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。



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