歯磨きのときにガーゼに血がついた、犬の歯茎が赤く腫れているように見える。そんなとき、「このまま続けていいのか」「すぐ病院に行くべきか」と迷いますよね。結論からいうと、歯茎の赤みや出血でもっとも多く考えられるのは、歯垢・歯石による歯肉炎(歯周病の入り口)です。ただし、ほかの原因が隠れていることもあり、出血が続く・量が多い・元気がないといった場合は、早めに動物病院に相談したほうが安心です。



ひとつずつ、やさしく整理していくね。


この記事では、歯茎が赤い・出血するときに考えられる原因、様子を見てよいケースと受診したいケースの目安、家庭で気をつけたいことをまとめます。運営者は獣医師ではなく、診断や治療の判断はできません。獣医師監修の解説などをもとにした一般的な情報としてお読みください。
💡 歯茎が赤い・出血するときに考えられる主な原因


歯肉炎(歯周病の初期)
歯垢や歯石の中の細菌が歯茎に炎症を起こした状態が歯肉炎です。オリコンMEのペット保険ガイドでは、歯周病の進行段階を4つに分け、最初のステージ(初期)の特徴として「歯ぐきの赤み、軽い出血」が挙げられています。
東京ドクターズの解説でも、歯肉が赤くなり軽い口臭が出る段階が最初のステージとされています。歯磨きの最中や、おもちゃをかじったときにごく少量の血がつく、という程度の変化から始まることが多いと考えられます。
歯石の増加と歯周病の進行
歯肉炎が進むと、歯を支える骨にまで炎症が及び、歯茎の腫れ、歯のぐらつき、膿などが見られるようになります。歯石が増えるほど、歯茎の炎症も続きやすくなります。歯石のでき方は犬の歯石がつく原因と予防で整理しています。
歯の生え変わり時期
子犬の乳歯から永久歯への生え変わりの時期(生後6〜7か月ごろまで)は、歯茎が一時的に赤くなったり、わずかに出血したりすることがあります。ただし、乳歯が残ったまま永久歯が生えている場合などは、歯垢がたまりやすくなるため、動物病院で相談しておくと安心です。
口の中のケガ・異物
硬いおもちゃや骨、木の枝などで、歯茎や口の中を傷つけてしまうことがあります。歯が欠けたり折れたりして出血している場合もあります。歯が折れた場合の考え方は子犬・老犬の歯が折れたときの記事を参考にしてください。
前足で口を何度もこする、よだれが急に増えた、というときは、何かが刺さっていたり挟まっていたりすることもあります。
口内炎や口の中のできもの
歯垢や歯石とは別に、口内炎やできものが原因で赤みや出血が起こることもあります。見た目だけで判断することはできないため、「歯茎の一部だけが盛り上がっている」「治りにくい傷がある」といった場合は、診察を受けてください。
歯周病の進み方の中で、赤み・出血はどこにあたる?
オリコンMEのペット保険ガイドでは、犬の歯周病を次の4段階に整理しています。
| 段階 | 主な様子 |
|---|---|
| 初期 | 歯ぐきの赤み、軽い出血 |
| 軽度 | 口臭、歯石の付着 |
| 中等度 | 歯ぐきの腫れ、歯のぐらつき |
| 重度 | 骨の破壊、歯の脱落、全身への影響 |
つまり、赤みや軽い出血は、ケアで立て直しやすい「入り口」の段階のサインともいえます。この段階で気づいて、歯垢を減らすケアや病院での確認につなげられれば、その先の負担を小さくできる可能性があります。
反対に「歯石が増えたけれど、血が出ていないから大丈夫」とは言い切れません。
歯周病は症状が目立たないまま進むこともあり、AVDC(米国獣医歯科学会)も、口臭や歯のぐらつきといったサインが出る頃にはかなり進んでいることが多いと説明しています。
🏥 様子を見てよい?すぐ受診したほうがよい?


| 様子 | 目安 |
|---|---|
| 歯磨き中に少量の出血があるが、止まって元気・食欲もある | 数日様子を見て、続くようなら受診を検討 |
| 歯茎の赤みや腫れが数日〜1週間以上続く | 早めに受診 |
| 磨くたびに毎回出血する、出血の量が多い | 受診を検討(歯肉炎が進んでいる可能性) |
| 口臭が強い、歯石が目立つ、硬いものを嫌がる | 受診を検討 |
| 顔が腫れている、目の下が腫れる、膿が出ている | 早めに受診 |
| 歯茎が白っぽい・紫がかっている、ぐったりしている | 口の中だけの問題ではない可能性があり、至急受診 |
| 暑い環境で、歯茎が真っ赤、ハァハァが止まらない | 熱中症の可能性もあるため至急受診 |
これはあくまで一般的な目安で、実際の判断は獣医師の診察が前提です。歯茎の色は犬によって個体差があり(黒い色素がある犬もいます)、普段の色との違いを見ることも大切です。
歯磨きで出血したとき、続けてもいい?
歯肉炎があると、歯ブラシが当たっただけで出血しやすくなります。だからといって、すぐに磨くのをやめてしまうと、歯垢がたまってさらに炎症が悪化する、という悪循環につながるおそれがあります。
一方で、強くこすると傷をつくり、犬が歯磨き自体を嫌がるようになることもあります。
家庭では次のような点を意識するとよいでしょう。
- 毛先のやわらかい歯ブラシか、ガーゼ・歯磨きシートを使い、力を入れすぎない
- 1か所に長くとどまらず、さっと短時間で終える
- 出血が毎回ある、量が多い、犬が痛がる場合は、無理に続けず病院に相談する
- 血がついたガーゼやシートの色や量を覚えておく(受診時に伝えられる)
どの程度の出血なら続けてよいかは、犬の口の状態によって違います。迷ったら、病院で歯磨きの方法も含めて確認してもらうのが確実です。嫌がって磨けない場合は歯磨きを嫌がる犬の慣らし方も参考にしてください。
🏥 動物病院ではどんなことを確認されるか
一般的には、問診で出血の時期や頻度、食欲、歯磨きの状況などを聞かれ、口の中の視診で歯茎の状態や歯石、歯のぐらつき、ほかの異常がないかを確認します。
必要に応じて、歯の根の状態を調べる検査や、全身状態の確認が行われることもあります。処置が必要かどうか、どのような方法で行うかは、犬の年齢や持病によっても変わるため、獣医師とよく相談して決めることになります。
よくある質問


- 骨のかけらや硬いおやつが原因のこともありますか?
-
あります。硬いものは歯茎を傷つけたり、歯を折ったりする原因になります。コーネル大学獣医学部も、骨・角・ひづめ・硬いおもちゃなどは歯の摩耗や破折のリスクがあるとして注意を促しています。
- 歯茎の赤みは自然に治りますか?
-
軽い炎症が一時的に落ち着くこともありますが、歯垢や歯石が残ったままだと、繰り返したり悪化したりしやすいといわれます。赤みが引かない場合は、原因を確かめるために受診を検討してください。
- 口を触らせてくれないので、赤みを確認できません。
-
無理に確認しようとせず、よだれの増加、口臭、食べ方の変化、顔を気にする仕草など、外から見える変化をメモしておきましょう。獣医師に相談するときの判断材料になります。口臭については犬の口臭が気になる原因の記事も参考になります。
まとめ
- 歯茎の赤みや軽い出血は、歯垢・歯石による歯肉炎(歯周病の初期)が最も考えられる原因。
- 生え変わり期、ケガ、口内炎・できものなど、ほかの原因もある。
- 出血が続く・量が多い、腫れ、膿、歯茎が白い・紫、ぐったりしているときは早めに受診する。
- 歯磨きで出血しても、力を入れず短時間で。毎回出る場合は病院で相談する。
歯茎の赤みは、歯周病のサインの中でも見つけやすいものです。気づいた段階で相談できれば、犬の負担も小さく済みます。
この記事の執筆者
ルーク隊長(犬のまとめ 運営者)
子どもの頃から20年以上、犬との暮らしを続けている犬好き。身内にペットトリマー・ドッグトレーナーがおり、日常的に多くの犬と接する環境にある。

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